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小規模向け経理代行が9月1日開始|和歌山の1人経理が外注を決める線【2026年9月】

小規模向け経理代行が9月1日開始|和歌山の1人経理が外注を決める線【2026年9月】

結論: 2026年9月1日、BPOテクノロジー株式会社がオンラインアシスタント「フジ子さん」で、小規模事業者・個人事業主向けの「ライト経理」の提供を始めました。公表されている利用目安は月間仕訳数100件前後、料金は通常プランの10時間プラン・約3.4万円からです。ここで見るべきは、この1社を使うかどうかではありません。「月に何件・何時間の経理作業があるか」を数えれば、自社でやるか外注するかは値段の話ではなく作業量の話になる、という物差しが1つ公表された、ということです。

この記事の要点 対象読者: 和歌山県内(田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊など)で、経理を社長や家族、事務担当1〜2名で回している中小事業者・法人経営者と、宿泊・観光・飲食・小売・農水産の現場責任者 読了後にできること: 自社の月間仕訳件数と作業時間を数え、経理のどの作業を外に出せてどの責任が自社に残るかを切り分けたうえで、外注先に同じ条件で見積りを取れる状態になる

「経理の人、募集をかけたほうがいいでしょうか」

白浜への移住準備で地域の事業者の方と話していると、この相談を受けることがあります。決算が近づくたびに社長が夜に領収書を打ち込んでいる。事務のパートさんが1人で抱えていて、その人が休むと何も進まない。かといって、経理だけで正社員を1人雇うほどの仕事量なのかは、自分でもよく分からない。

この迷いの正体は、たいてい「うちの経理の仕事量を、誰も数えたことがない」ことにあります。忙しさは体感で分かっても、月に何件の仕訳があって、何時間かかっているかは記録がない。数がないまま「採る」「採らない」を議論すると、結論は毎回その日の疲れ具合で変わります。

今回のニュースは、そこに外から物差しを1本置いてくれます。「月間仕訳数100件前後・10時間・約3.4万円から」という具体的な条件が、公開された形で示されたからです。自社の数字がこの目安の上か下かを見るだけで、議論の出発点が体感から数字に変わります。

この記事では、9月1日の発表で何が確定したのかを一次情報で確認したうえで、経理の外注先4種類の守備範囲の違い、和歌山の求人データから見た「採用と外注の本当の分岐点」、自社の数字を出して見積りを取るまでの5つの確認、そのままコピペで使える8本のプロンプト、そして外注が回る会社・回らない会社を分けるチェックリストをまとめます。手元に、直近1か月の通帳と請求書の束を思い浮かべながら読み進めてください。

目次
  1. 9月1日に何が公表されたか|「ライト経理」の条件と、確定していないこと
  2. 経理の外注先は4種類|記帳代行・オンラインアシスタント・税理士・ソフトの守備範囲
  3. 和歌山の事業者にどう効くか|田辺0.88倍・串本0.94倍という前提
  4. 先月の仕訳件数を数えてから、同じ条件で見積りを取る
    1. 確認1: 先月の仕訳件数と作業時間を数える
    2. 確認2: 経理の作業を「定型・判断・現場・税務」に分ける
    3. 確認3: 外に出せない責任を先に切り出す
    4. 確認4: 同じ条件で見積りを取る
    5. 確認5: 決算月から逆算して、判断の締切と社内の窓口を決める
  5. ここでつまずく4つの誤解
    1. 誤解1: 「経理を外注すれば、税金のこともまとめて見てもらえる」
    2. 誤解2: 「外注すれば電子帳簿保存法の対応も片付く」
    3. 誤解3: 「和歌山は人が採れないから、外注しかない」
    4. 誤解4: 「安いプランから始めれば、失敗しても損はない」
  6. 経理の外注が回る会社・回らない会社の違い(チェックリスト)
  7. 数字で見る現在地|正社員不足51.3%、アウトソーシング市場は11兆円台
  8. よくある質問
    1. Q. 経理アウトソーシングの費用はどのくらいかかりますか?
    2. Q. 経理はどこまで外注できますか?
    3. Q. 経理代行と税理士の記帳代行は何が違いますか?
    4. Q. 外注すると社内に経理のノウハウが残らないのではありませんか?
    5. Q. 電子帳簿保存法の対応は、外注先がやってくれますか?
    6. Q. 従業員が数名の会社でも、経理DXから始めたほうがいいですか?
    7. Q. 繁忙期だけ外注する使い方はできますか?
    8. Q. まず誰に相談すればいいですか?
  9. まとめ:今日から始める3つのアクション
  10. 参考・出典

9月1日に何が公表されたか|「ライト経理」の条件と、確定していないこと

事実関係から確認します。2026年9月1日10時00分、BPOテクノロジー株式会社はオンラインアシスタント®︎「フジ子さん」、小規模事業者向け「ライト経理」を9月1日より提供開始(プレスリリース)を公表しました。同社は東京都中央区銀座に本社を置き、設立は2017年2月、代表者は山田真也氏です。サービスの案内はオンラインアシスタント「フジ子さん」公式サイトに掲載されています。

公表されている条件は、次のとおりです。

  • 対応業務: 会計ソフトへの仕訳・記帳/経費入力/領収書・請求書等をもとにした入力/請求書発行に伴う入力/入金明細・振込明細等の入力/月次の残高確認チェック
  • 料金: 「当社オンラインアシスタントサービスの通常プランを利用し、10時間プラン/約3.4万円~からご利用いただけます」
  • 利用目安: 月間仕訳数100件前後
  • 想定利用者: 小規模事業者・個人事業主

なお、同サイトに掲載されている通常プランの料金は、PLAN20が20時間/月・税込68,640円、PLAN30が30時間/月・税込101,970円、PLAN50が50時間/月・税込150,700円です。10時間・約3.4万円という水準は、この通常プランの時間単価と整合する数字です。単純に割ると1時間あたり約3,400円になります。

現時点で公表されているのはここまでです。 提供開始日、対応業務の範囲、料金の下限、利用の目安件数。それ以上のこと——たとえば導入社数、削減できる時間の実績値、今後のプラン拡充の予定——は公表資料に書かれていないため、この記事では扱いません。また本記事は特定のサービスを推奨するものではありません。経理のアウトソーシングは以前から複数の事業者が提供している分野であり、今回の発表は「小規模事業者向けの条件が具体的な数字で公開された」という点に意味があります。

経理の外注先は4種類|記帳代行・オンラインアシスタント・税理士・ソフトの守備範囲

そもそも「経理を外に出す」と言ったとき、出し先は1種類ではありません。ここを混同したまま見積りを取ると、比べられない見積りが3枚集まるだけになります。

経理のアウトソーシングとは、自社の経理業務の全部または一部を、社外の事業者に継続的に委託することを指します。実務上、選択肢は次の4つに分かれます。

  1. 記帳代行・経理代行会社: 仕訳入力や月次の残高確認など、経理の作業そのものを引き受ける
  2. オンラインアシスタント型: 時間契約でリモートの担当者が入り、経理以外の事務も含めて任せられる(今回の「ライト経理」はこの型)
  3. 税理士・税理士法人: 申告や税務相談を担い、その業務に付随して記帳代行も引き受けることがある
  4. クラウド会計ソフト・AI: 人ではなく仕組みに寄せる。銀行明細やレシートの取り込みで入力そのものを減らす
経理の外注先4種類の守備範囲を比較した図解

ここで最も重要なのが、3の税理士と、1・2との境界です。国税庁のNo.9203 税理士制度については、「納税者からの依頼を受けて行う税務代理、税務書類の作成および税務相談の業務が税理士業務とされ」、「これらの業務を行うことができるのは、税理士、税理士法人、国税局長に通知をした弁護士および弁護士法人に限られています」と説明しています。

一方、日本税理士会連合会の税理士とはでは、税理士は「税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務を行います」と説明されています。つまり記帳代行は、税理士業務そのものではなく、それに付随して行われうる業務という位置づけです。

実務的な意味は、はっきりしています。仕訳の入力や残高チェックは税理士以外にも頼めますが、申告書の作成や税務の相談は頼めません。 「経理を丸ごと外注したから、税金のこともまとめて見てもらえる」と考えると、期待と契約がずれます。外注は入力の手を借りる話であって、税務判断の相手を替える話ではないと切り分けてください。

そして4のソフトは、1〜3のどれを選んでも土台になります。入力を減らしてから外に出すのと、多いまま外に出すのとでは、必要な時間数が変わるからです。ソフト側の要件、とくに電子帳簿保存法まわりの確認は、freee会計がJIIMA認証を取得|電子帳簿保存法の対応ソフト確認手順【2026年9月】で手順にまとめています。

和歌山の事業者にどう効くか|田辺0.88倍・串本0.94倍という前提

ここからが本題です。和歌山でこのニュースを読むとき、「採用が難しいから外注する」という筋書きをそのまま当てはめると、判断を誤ります。地元の求人データが、その筋書きを支持していないからです。

和歌山労働局が2026年8月28日に公表した一般職業紹介状況(令和8年7月分)によれば、和歌山県の有効求人倍率(季節調整値)は0.94倍で前月と同水準でした。同じ月の近畿は1.07倍、全国は1.18倍です。さらに正社員の有効求人倍率(原数値)は0.85倍で、前年同月比0.07ポイントの低下でした。倍率が1を下回るということは、求人1件あたりに対して求職者のほうが多い状態を意味します。

安定所別に見ると差はもっと具体的です。同資料の令和8年7月の有効求人倍率(原数値)は、田辺0.88倍、御坊0.88倍、串本0.94倍、海南0.79倍、和歌山0.77倍、一方で新宮1.47倍、湯浅1.45倍、橋本1.01倍でした。南紀の中でも、田辺・御坊と新宮とでは前提がまるで違います。

あなたの立場 今回のニュースの効き方 今すぐ確認すること
社長や家族が夜に経理をしている 時間単価の物差しができ、自分の作業を「外に出す/出さない」で評価できる 先月、経理に何時間使ったか
事務担当1名に集中している 属人化の解消先として、採用以外の選択肢が1つ増える その人が休んだ月に何が止まるか
経理担当を募集中 倍率上は採用可能な地域。急いで外注に振り替える理由は薄い 求人票の想定業務が月何時間分か
税理士に記帳まで任せている 委託範囲の重複が起きやすい。二重払いの確認が先 契約書に記帳代行が含まれるか

つまり和歌山の場合、「人が採れないから外注」ではありません。月に10時間や20時間しかない仕事のために、正社員1人分の固定費と採用の手間を持つかどうかが本当の分岐点です。給与だけでなく社会保険料の事業主負担、募集費用、育成の時間、そして辞めたときにゼロからやり直すリスクまでが固定費に含まれます。一方の外注は、時間契約であれば繁忙期と閑散期で調整できる代わりに、社内に経理の知識が残りにくいという弱点があります。

業種別に外注しやすい経理作業と自社に残る作業を整理した図解

業種で見ると、切り出しどころはさらにはっきりします。白浜や那智勝浦の宿泊施設なら、じゃらんnetや楽天トラベルの管理画面からダウンロードする精算書の入力は定型作業の典型で、外に出しやすい部類です。田辺や御坊の飲食店なら、食材業者から届く請求書の入力。みなべ・田辺の梅農家や串本・那智勝浦の水産関係なら、出荷や精算のWeb明細の整理。新宮の小売店なら、ECモールの領収書データの取りまとめです。

逆に、現金の実査、レジ締め、棚卸、そして「この支出は経費か」の判断は、現場と責任者に残ります。外注で軽くなるのは手であって、責任ではありません。

なお、繁忙期の偏りが大きい観光・農水産では、時間契約の外注は月ごとに必要時間が動く点に注意が必要です。年間の平均で契約時間を決めると、8月と年末に足りなくなります。人手が足りない前提で仕事の量そのものを減らす考え方は、和歌山の中小企業の人手不足対策|採用が難しい前提で回す7ステップ【2026年8月】で順番に整理しています。

先月の仕訳件数を数えてから、同じ条件で見積りを取る

ここからが実務です。次の5つの確認を順番に進めれば、今週中に「自社の経理は月◯件・◯時間」という1枚が作れ、複数の外注先から比べられる見積りが取れる状態になります。各プロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使ってください。初めての方は、スマホのアプリストアで「ChatGPT」の公式アプリを入れ、メールアドレスで登録すれば3分で始められます(無料版で足ります)。( )の中を自社の情報に書き換えて送信します。

確認 やること 今日できる最初の一歩
1. 件数を数える 先月1か月の仕訳件数と作業時間を出す 会計ソフトで先月の仕訳一覧を開く
2. 作業を4分類 経理の作業を定型/判断/現場/税務に仕分ける 経理の作業名を紙に20個書き出す
3. 責任を切り出す 外に出せない仕事を先に確定させる 現金と通帳を触る人を確認する
4. 条件を揃える 同じ前提で見積り依頼文を作る 使っている会計ソフト名をメモする
5. 締切と担当 判断の期限と社内の窓口を決める 決算月から逆算した相談日を入れる
経理を自社対応にするか外注するかを決める5つの確認のフロー図

ポイントは順番です。多くの会社は4(見積り)から始めますが、1〜3を飛ばした見積り依頼は「だいたい月これくらいで」という曖昧な返答しか呼びません。数字と範囲を先に固めるほど、見積りは比べられるものになります。所要時間の目安は、1〜3が合計2〜3時間、4〜5が1週間です。

確認1: 先月の仕訳件数と作業時間を数える

最初にやるのは、値段調べではなく自社の棚卸しです。会計ソフトを使っているなら、先月分の仕訳一覧を出して件数を確認します。手書きやエクセルなら、通帳の入出金行数と、受け取った請求書・領収書の枚数を数えれば近い数字になります。あわせて、経理に触れている人それぞれに「先月、経理に何時間使ったか」をざっくり聞いてください。1時間単位で構いません。

あなたは中小事業者の経理実務に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、当社の経理の作業量を整理してください。

【材料】
・事業の内容と規模: (例: 田辺市の飲食店・従業員6名)
・先月の仕訳件数: (例: 約140件。分からなければ通帳の入出金行数と請求書の枚数)
・経理に触れている人と時間: (例: 社長 月6時間、事務パート 月14時間)
・使っている会計ソフト: (例: 〇〇会計クラウド/エクセル/手書き)
・繁忙期: (例: 8月と年末年始)

出力: ①月間の仕訳件数と総作業時間の推計 ②繁忙期に何倍になるかの見立て ③数え漏れが起きやすい作業の指摘。推計に使った前提を必ず明記し、材料にない数値は補わないでください。

※そのままコピーして使えます

数字が出たら、それ自体が判断材料になります。今回公表された「月間仕訳数100件前後で10時間」という目安に対して、自社が300件なら単純計算で3倍の時間が要る、という当たりが付けられるからです。

確認2: 経理の作業を「定型・判断・現場・税務」に分ける

次に、経理の中身を分解します。ひとくちに経理と言っても、性質の違う4種類が混ざっています。定型作業(入力・突合・ファイリング)、判断が要る作業(経費かどうか、値引きの承認)、現場でしかできない作業(現金の実査、レジ締め、棚卸)、そして税務(申告書の作成、税務相談)です。外に出せるのは主に1つ目で、4つ目は前述のとおり税理士等に限られます。

あなたは中小事業者の業務整理が得意なコンサルタントです。以下の経理作業を4分類してください。

【材料】
・経理の作業一覧: (例: 通帳記帳、請求書発行、支払振込、レシート入力、給与計算、レジ締め、棚卸、年末調整の書類集め など思いつくだけ)
・現場の制約: (例: 現金商売、店舗は2か所、Wi-Fiは事務所のみ)

出力: ①定型作業(外部委託しやすい) ②判断が要る作業(社内に残す) ③現場でしか行えない作業 ④税理士等の資格者が担う作業、の4分類の表。判断に迷うものは「要確認」と明記し、資格の要否を断定しないでください。

※そのままコピーして使えます

あなたは業務手順の設計が得意なアドバイザーです。以下の定型作業について、外部の担当者に渡すための手順書の骨子を作ってください。

【材料】
・対象の作業: (例: 食材業者の請求書PDFを会計ソフトに入力する)
・現在のやり方: (例: メールで届いたPDFを印刷し、月末にまとめて入力)
・使っているソフトと勘定科目のクセ: (例: 仕入は「仕入高」、消耗品は「消耗品費」)
・渡せない情報: (例: 従業員の給与額)

出力: ①手順の番号リスト ②入力ルール(勘定科目の対応表つき) ③判断に迷ったときのエスカレーション先と連絡方法 ④渡してはいけない情報の明示。材料にないルールは追加しないでください。

※そのままコピーして使えます

この分解には、外注しない場合にも効果があります。定型作業がどれだけあるかが見えると、ソフトや自動連携で消せる作業が特定できるからです。

確認3: 外に出せない責任を先に切り出す

経理の外注でいちばん多いつまずきが、作業と責任を一緒に手放そうとすることです。とくに次の3つは、外注しても自社に残ります。

  • 現金と口座の管理: 出金の承認、通帳・カードの管理、内部牽制の役割
  • 電子取引データの保存義務: 国税庁が示すとおり、電子取引に係る電磁的記録の保存は令和6年1月1日から義務化されており、真実性の確保と可視性の確保が要件です。保存義務を負うのは委託先ではなく自社です
  • 税務判断: 申告書の作成や税務相談は税理士等の業務です
あなたは中小事業者の内部管理に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、経理を外部委託する場合に「自社に残す責任」と「委託先に依頼する作業」を切り分けてください。

【材料】
・委託を検討している作業: (確認2の①の一覧を貼り付け)
・現金の扱い: (例: 日々の売上現金あり、金庫は店舗)
・口座とカードの管理者: (例: 社長のみ)
・電子で受け取る書類: (例: OTAの精算書PDF、食材業者のメール請求書)
・顧問税理士: (あり/なし)

出力: ①自社に残す責任の一覧と理由 ②委託先に依頼する作業 ③委託契約で明記すべき条項の候補(データの保存場所、再委託、秘密保持、終了時の引き継ぎ)。法令の当てはめは断定せず、確認が必要な点は「要確認」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

電子取引データの保存は、外注していても自社の義務として残る点をとくに押さえてください。「委託先のクラウドに入っているから大丈夫」ではなく、自社がいつでも取り出せて、必要な検索ができる状態かどうかが問われます。

確認4: 同じ条件で見積りを取る

ここまでで数字と範囲が固まったので、ようやく見積りです。比べられる見積りにするコツは、こちらから前提を提示することです。仕訳件数、作業の一覧、使用ソフト、繁忙期、こちらで用意できる資料の形。この5つを揃えて同じ文面を複数社に送れば、返ってきた金額が比較可能になります。

あなたはビジネス文書の作成が得意なアシスタントです。以下の材料から、経理業務の委託を検討している旨の見積り依頼メールを400字前後で作ってください。

【材料】
・自社の概要: (例: 白浜町の宿泊施設・客室10室・従業員8名)
・月間仕訳件数と繁忙期: (確認1の結果)
・委託したい作業: (確認3の②)
・自社に残す責任: (確認3の①)
・使っている会計ソフトと資料の形: (例: 〇〇会計クラウド、請求書はPDFで受領)
・希望する開始時期: (例: 2026年11月)

条件: 金額だけでなく「対応時間」「連絡手段と返答の目安」「担当者交代時の引き継ぎ」「契約終了時のデータ返却」も質問に含める/こちらの前提を先に伝える/質問は6つまで。材料にない要望は書かないでください。

※そのままコピーして使えます

あなたは相見積りの比較が得意なアドバイザーです。以下の見積り内容を、同じ物差しで比較できる表に整理してください。

【材料】
・各社の見積り内容: (社名は A社・B社などに置き換えて貼り付け)
・自社の前提: (確認1〜3の結果)

出力: ①比較表(月額/含まれる作業/含まれない作業/繁忙期の扱い/連絡手段/解約条件) ②各社に追加で確認すべき点 ③金額以外で差が出ている項目。優劣の断定はせず、判断材料の提示に留めてください。

※そのままコピーして使えます

金額の安さだけで決めないでください。差が出るのは、繁忙期の追加費用、連絡手段と返答の速さ、担当者が替わったときの引き継ぎ、そして解約時にデータをどう返してもらうかです。

確認5: 決算月から逆算して、判断の締切と社内の窓口を決める

最後は日程です。経理の委託は、期の途中で始めると勘定科目の付け方が前半と後半で変わり、比較しづらい帳簿になります。可能なら期首から、少なくとも月初からの開始を目安に、逆算して判断日を決めてください。

あなたはプロジェクトの段取りが得意なアドバイザーです。以下の材料から、逆算スケジュール表(期限/やること/担当/完了の判定基準)を作ってください。

【材料】
・目標: (例: 2026年11月1日から経理の一部を委託開始する)
・今日の日付: 2026年9月
・自社の決算月: (例: 3月)
・現在の状況: (確認1〜4の結果)
・動かせる人: (例: 社長・事務担当・顧問税理士)
・繁忙期: (例: 8月と年末年始)

出力: 週単位の逆算スケジュール表。顧問税理士の確認待ちになる項目には「要確認」と明記し、繁忙期を避けて配置してください。確定していない事項を前提として書かないでください。

※そのままコピーして使えます

あなたは社内向けの説明が得意な書き手です。以下の材料から、経理の一部を外部に委託する方針を社内に伝える文面を300字以内で作ってください。

【材料】
・委託する作業と残す作業: (確認3の結果)
・開始時期: (例: 11月から試行)
・担当者への影響: (例: 入力作業が減り、現場確認に時間を回す)
・社内の窓口: (例: 事務担当の〇〇)

条件: 人員削減の話と受け取られない書き方にする/誰に何を聞けばよいかを明示する/専門用語を使わない。材料にない決定事項は書かないでください。

※そのままコピーして使えます

社内の窓口を1人決めておくのも重要です。委託先からの質問に誰も答えられない状態が続くと、作業は止まり、結局こちらの手戻りになります。

導入費用そのものを軽くしたい場合は、公的な支援制度も併せて確認してください。ソフトの導入費については【締切9/29】デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠|今週やる5手順【2026年9月】に、県内で使える無料相談や専門家派遣は和歌山県のデジタル化支援メニュー完全ガイド|使える制度と申し込み手順【2026年8月】にまとめています。

ここでつまずく4つの誤解

ニュースの受け取り方を間違えると、判断そのものがずれます。よくある4つを挙げます。

誤解1: 「経理を外注すれば、税金のこともまとめて見てもらえる」

❌ よくある間違い: 記帳代行やオンラインアシスタントに経理を任せた結果、申告や節税の相談まで同じ窓口でできると考える。

⭕ 正しいアプローチ: 税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士等の業務であり、記帳代行とは別枠だと理解する。国税庁も、これらを行えるのは税理士、税理士法人、国税局長に通知をした弁護士および弁護士法人に限られると案内しています。

なぜ重要か: 期待の食い違いは、決算期にいちばん困る形で表面化するからです。委託契約を結ぶ前に「申告は誰がやるのか」を1行で確認しておけば、それだけで防げます。

誤解2: 「外注すれば電子帳簿保存法の対応も片付く」

❌ よくある間違い: 委託先が請求書PDFをクラウドに保存してくれているから、自社の保存義務も満たされていると考える。

⭕ 正しいアプローチ: 電子取引データの保存義務を負うのは自社だと押さえる。委託していても、自社が必要なときに取り出せて、要件を満たす形で保存されているかを確認する責任は残ります。

なぜ重要か: 保存の場所と方法を委託先まかせにすると、契約が終わった瞬間にデータの所在が分からなくなるからです。見積り依頼の段階で「終了時のデータ返却」を質問項目に入れておいてください。

誤解3: 「和歌山は人が採れないから、外注しかない」

❌ よくある間違い: 全国的な人手不足の報道を見て、和歌山でも経理は採用不可能だと決めつけ、比較せずに外注へ進む。

⭕ 正しいアプローチ: 地元の数字を見る。和歌山労働局の令和8年7月分では、県の有効求人倍率(季節調整値)は0.94倍、正社員の有効求人倍率(原数値)は0.85倍で、いずれも1を下回っています。倍率だけを見れば、求人より求職者が多い状態です。

なぜ重要か: 「採れないから」を理由にすると、本来の論点である仕事量と固定費の検討が飛ぶからです。判断すべきは採否ではなく、月10時間の仕事に正社員1人分の固定費を持つかどうかです。

誤解4: 「安いプランから始めれば、失敗しても損はない」

❌ よくある間違い: 月数万円だから試しに、と作業の切り出しも手順書もないまま委託を始める。

⭕ 正しいアプローチ: 委託前に確認2〜3(作業の分類と責任の切り出し)を終わらせる。渡す作業が定義されていないと、委託先は毎回質問することになり、こちらの回答時間のほうが増えます。

なぜ重要か: 経理の外注で失敗する典型は、金額ではなく「説明コスト」で赤字になるパターンだからです。手順書1枚があるかないかで、最初の3か月の負担がまったく変わります。

仕訳件数と担当人数で自社対応と外注が分かれる判断分岐の図解

ここまでの内容は、公表資料と自社の数字だけで進められる範囲のことです。それでも「仕訳件数の数え方が分からない」「作業の切り出しに手が回らない」という事業者がいるのも事実です。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、地域の事業者向けに対面での伴走支援に取り組んでいます。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは先月の通帳と請求書の枚数だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。なお、税務の判断は税理士の業務ですので、当社は判断そのものは行わず、確認と段取りづくりまでをお手伝いします。

経理の外注が回る会社・回らない会社の違い(チェックリスト)

現在地の確認に使ってください。当てはまるものにチェックを入れます。

  • □ 先月の仕訳件数を数字で言える
  • □ 経理に何時間使っているかを人ごとに把握している
  • □ 経理の作業を「定型・判断・現場・税務」に分けたことがある
  • □ 外に出せない責任(現金・保存義務・税務)を書き出してある
  • □ 定型作業の手順書が1枚でも文書になっている
  • □ 電子取引データの保存先が自社側で取り出せる状態にある
  • □ 見積りを複数社から同じ条件で取っている
  • □ 委託先からの質問に答える社内の窓口が決まっている
経理の外注が回る会社・回らない会社の違いのチェックリスト図解

特に見落とされやすいのが、最後の「社内の窓口」です。委託先は必ず質問してきます。誰が答えるかを決めていない会社では、質問が社長の携帯に溜まり、結局元の状態に戻ります。チェックが3つ未満でも問題ありません。この記事の5つの確認を上から進めれば、1つずつ埋まる構成になっています。

数字で見る現在地|正社員不足51.3%、アウトソーシング市場は11兆円台

「うちのような規模で外注なんて」と感じるかもしれません。数字を見ると、外に出すこと自体はすでに珍しくありません。

まず人手の側です。帝国データバンクの人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)によれば、正社員が不足していると答えた企業は51.3%、非正社員は28.8%でした。調査期間は2026年7月17日〜7月31日、有効回答は1万518社(回答率47.1%)です。業種別では「金融」が67.1%で最も高くなりました。全国では、企業の半数が正社員の不足を感じている状態です。

次に市場の側です。矢野経済研究所が2026年5月8日に公表した人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査を実施(2026年)によれば、同市場(主要14分野計)の2024年度規模は前年度比3.4%増の11兆8,077億円で、2025年度も同3.2%増が見込まれています。調査期間は2026年1月〜3月です。経理に限った数字ではありませんが、事務の外部委託が一過性の流行ではないことは読み取れます。

そして地域の側です。和歌山の有効求人倍率は0.94倍、正社員では0.85倍。全国平均の1.18倍を下回っており、採用の窓が閉じているわけではありません。だからこそ和歌山の事業者にとっての問いは、「採れるか」ではなく「月に何時間の仕事のために、どの形でお金を払うか」になります。今回のニュースが有用なのは、その比較に使える具体的な数字——月間仕訳数100件前後、10時間、約3.4万円から——が公開された点です。

自社の数字がこの目安のどこに位置するかを確かめる。それが今週できる、いちばん確実な一歩です。

よくある質問

Q. 経理アウトソーシングの費用はどのくらいかかりますか?

公表されている条件で言えば、今回の「ライト経理」は通常プランの10時間プラン・約3.4万円からで、利用目安は月間仕訳数100件前後です。同社サイトの通常プランはPLAN20が20時間/月・税込68,640円などとなっています。事業者やサービスによって前提が異なるため、金額を比べる前に自社の仕訳件数と作業時間を出し、同じ条件で複数社に見積りを依頼してください。

Q. 経理はどこまで外注できますか?

仕訳入力、経費入力、請求書発行に伴う入力、入金・振込明細の入力、月次の残高確認といった定型作業は委託の対象になりえます。一方、現金の実査やレジ締め、経費かどうかの判断、そして税務代理・税務書類の作成・税務相談は自社または税理士等に残ります。まず確認2の4分類で線を引いてください。

Q. 経理代行と税理士の記帳代行は何が違いますか?

担い手と、その先にある業務が違います。税理士は税務代理・税務書類の作成・税務相談を担い、日本税理士会連合会の説明では、これらに付随して会計帳簿の記帳代行などを行うとされています。経理代行会社やオンラインアシスタントは記帳などの作業を引き受けますが、申告や税務相談は行えません。申告まで含めて任せたいなら税理士、入力の手を増やしたいなら経理代行、という整理になります。

Q. 外注すると社内に経理のノウハウが残らないのではありませんか?

その懸念は妥当です。対策は、手順書を自社側で作って渡すこと、月次の残高確認の結果を自社で読む習慣を残すこと、そして委託範囲を全部ではなく定型作業に限ることの3つです。逆に、手順書がないまま丸投げすると、委託先を替えられない状態になります。

Q. 電子帳簿保存法の対応は、外注先がやってくれますか?

作業は委託できますが、義務は自社に残ります。電子取引に係るデータの保存義務は令和6年1月1日から課されており、真実性の確保と可視性の確保が要件です。委託先のシステムに保存されている場合でも、自社が必要なときに取り出せる状態かを確認してください。自社ソフトの対応状況の調べ方はfreee会計がJIIMA認証を取得|電子帳簿保存法の対応ソフト確認手順【2026年9月】にまとめています。

Q. 従業員が数名の会社でも、経理DXから始めたほうがいいですか?

順番としては、入力を減らすほうが先です。銀行明細やクレジットカードの自動連携で仕訳の元になるデータを取り込めば、そもそも委託すべき時間数が減ります。そのうえで残った作業量を見て、自社で回すか外に出すかを判断すると、支払う金額が小さくなります。

Q. 繁忙期だけ外注する使い方はできますか?

時間契約のサービスであれば、月ごとに必要な時間が変わる前提での相談は可能な場合があります。ただし契約条件はサービスごとに異なるため、見積り依頼の段階で「繁忙期の追加時間の扱い」と「最低契約期間」を質問項目に必ず入れてください。観光や農水産のように季節変動の大きい業種ほど、ここが実質的な費用差になります。

Q. まず誰に相談すればいいですか?

顧問税理士がいるなら最初にその方です。記帳が契約に含まれているかで、そもそも外注を検討する必要があるかどうかが変わります。顧問がいない場合は、商工会議所・商工会や県の相談窓口など無料で使える窓口から当たるのが順当です。相談先の順番は田辺市のデジタル顧問|月額を払う前に使い切る無料窓口の順番【2026年8月】で整理しています。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: 会計ソフトで先月の仕訳一覧を開き、件数を数える(ソフトがなければ通帳の入出金行数と請求書の枚数)
  2. 今週中にやること: 経理の作業を紙に書き出し、「定型・判断・現場・税務」の4つに分類して、外に出せない責任を先に確定させる
  3. 今月中にやること: 同じ前提を書いた見積り依頼文を作り、複数社に送る。あわせて顧問税理士に記帳の契約範囲を確認する

外注するかどうかを今日決める必要はありません。決めるべきは、判断に使う数字を今週中に手に入れることです。数字さえあれば、来月でも来期でも、同じ物差しで比べられます。

※本記事は2026年9月9日時点で公表されている資料に基づく情報提供であり、特定のサービスの推奨や、税務上の判断を示すものではありません。個別の適用可否や契約内容は、提供事業者および顧問税理士・所轄税務署にご確認ください。

参考・出典

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河原 将太株式会社Tip 代表取締役社長

東京都立大学在学中に事業を開始し法人化。大手エネルギー関連企業へのAIコンサルティング、上場企業を含む20社以上へのコンサルティング提供、1投稿で1億回以上再生されたSNSコンテンツの企画に携わる(実績は代表およびメンバー個人としての活動を含む)。現在は和歌山の企業・観光事業者へのSNS・AI・DX支援と、県内のホテル・リゾート開発構想に取り組む。詳しいプロフィール

本記事は、株式会社Tipが公開情報・一次情報・実務での検証結果をもとに作成し、必要に応じて更新しています。掲載内容は最終更新日時点の情報です。

公開日: 2026.09.12