
結論: 田辺市でデジタル顧問(IT顧問)を月額で契約するかどうかは、見積を集める前に決まります。決め手は、あなたの困りごとが「助言をもらえば自分で動けるもの」なのか、「誰かが実際に手を動かして巻き取らないと止まるもの」なのかの一点です。前者なら、田辺市には無料で使える公的窓口が複数あり、月額を払う必要はありません。田辺市の商工業診断指導事業は経営コンサルタントの診断・指導を無料で受けられ、田辺商工会議所の中小企業相談室は相談がすべて無料、和歌山県のデジタル専門家派遣は専門家チーム3名程度を無料で派遣します。この記事は、その順番を1本の線に並べるための記事です。
この記事の要点 対象読者: 田辺市内(市街地・中辺路・大塔・龍神・本宮を含む)で事業を営み、「デジタル化を進めたいが相談相手がいない」「顧問を頼むべきか判断できない」と感じている経営者・後継者・事務担当の方 読了後にできること: 自社の詰まりを1枚の紙に棚卸しし、田辺市で使える無料・低額の公的窓口を順番に当たり、それでも残った部分だけを「月額で頼む範囲」として言葉にできる状態になる
「聞ける人がいないので、去年からずっと止まっています。」
白浜(和歌山)への移住準備で地域の事業者の方と話す中で、こうした言葉を聞くことがあります。会計ソフトも予約管理も入れてはみた。けれど設定の途中でつまずき、そのまま紙とエクセルに戻っている。近くに詳しい会社がないか探すと、出てくるのは県外の会社ばかりで、電話をすると特定のシステムの営業になる——。
この状態は、根性や勉強不足の問題ではありません。田辺市統計書 令和7年度版に掲載された令和3年経済センサス‐活動調査の数値では、田辺市の事業所は4,700、そのうち情報通信業はわずか26事業所・従業者195人です。市内の全事業所に占める割合は0.6%に届きません。しかも平成24年の同じ調査では34事業所・339人でしたから、10年弱で事業所も従業者も減っています。「近くにITの会社が少ない」というのは体感ではなく、統計に出ている事実です。
だからといって、いきなり月額の顧問契約に進むのは早すぎます。田辺市には市・商工会議所・県・国が用意した無料の窓口がいくつも重なっており、それを一度も使わずに月額を払い始めるのは、単純にもったいないからです。
この記事では、和歌山県の観光地で事業者のデジタル化・集客支援に取り組む立場から、2026年8月26日時点で田辺市・和歌山県・中小企業庁・中小機構・田辺商工会議所などの公式サイトに掲載を確認できた内容だけを使い、月額を払う前に踏む6ステップ、田辺市で実際に使える公的窓口7つの一覧、コピペで使える8本のプロンプトと文例、4つの失敗パターンとチェックリストを公開します。確認できなかったものは「確認できませんでした」とそのまま書きます。手元に、いま止まっているデジタルの困りごとを1つ思い浮かべながら読み進めてください。
なお本記事は、顧問サービスそのものの費用相場や契約書の細かな読み方には踏み込まず、「契約するかどうかを決めるまで」に絞って書きます。
目次
まず結論:田辺市で月額を払う前に踏む6ステップ(即効早見表)
最初に全体像です。ステップ1から5までは、すべて無料で実行できます。所要期間は、窓口の予約待ちを含めて2〜6週間が目安です。
| # | やること | 費用 | 申込先・問い合わせ先 |
|---|---|---|---|
| 1 | 詰まっている業務を1枚の紙に棚卸しする | 0円 | 自社内(所要30分) |
| 2 | 田辺市の商工業診断指導事業に申し込む | 原則無料 | 田辺市商工振興課 0739-26-9970 |
| 3 | 田辺商工会議所または地区の商工会に持ち込む | 無料 | 田辺商工会議所 0739-22-5064 ほか5商工会 |
| 4 | よろず支援拠点の田辺での出張相談を使う | 無料 | 和歌山県よろず支援拠点 073-433-3100 |
| 5 | 和歌山県のデジタル専門家派遣を申請する | 無料 | 県企業振興課 073-441-2760 |
| 6 | 残った部分だけを「月額で頼む範囲」として言葉にする | 0円 | 自社内(所要30分) |

ポイントは、ステップ6が最後にあることです。多くの記事は最初に民間サービスの比較表を見せますが、この順番で進めると、比較表にたどり着く前に困りごとの半分は形が変わります。「デジタル化が進まない」という言葉が、「請求書の作成に月8時間かかっている」という具体的な数字に変わるからです。この解像度の差が、そのまま見積の精度と、支払う金額の差になります。
【先に読んでください】この記事を読む前に知っておく3つの前提 ① 無料窓口は「助言」までが基本です。 公的な窓口は、方向性を整理し、判断材料を出し、必要なら現場を見に来ます。ただし、あなたの会社のパソコンの前に座って設定を終わらせる制度ではありません。ここが月額顧問との最大の違いです。 ② 回数と期間には上限があります。 何度でも無料なのはよろず支援拠点です。県のデジタル専門家派遣は1〜2回(1回につき1日)の想定、エキスパート・バンクは1事業所3相談まで無料です。使い方を決めずに1回目を消費すると、次がありません。 ③ 田辺市は面積1,026.89平方キロメートル。東西46キロ・南北47キロに市域が広がり、市域の9割近くを森林が占めます。 市街地と本宮町では直線距離でも大きく離れています。「来てもらえるかどうか」が、顧問選びの現実的な争点になります。この点は後半で詳しく扱います。
ここから先は、この6ステップを1つずつ具体化していきます。まずは、そもそもデジタル顧問とは何をする人なのかを整理します。
「うちの宿の場合はどうすればいい?」——そんな段階のご相談こそ歓迎です。
最大60分の無料ヒアリングで、貴施設の集客の現在地と次の一手を一緒に整理します。
※契約を前提とした営業は一切いたしません。30分の情報交換のみでも歓迎です。
デジタル顧問・IT顧問とは|コンサル・制作会社・情シスとの違い
デジタル顧問(IT顧問)とは、特定のシステムやツールを売ることを目的とせず、継続的な契約のもとで、会社のデジタル化の判断と実務推進を並行して見る外部の人材を指します。法律で定義された資格ではありません。「IT顧問」「社外CIO」「情シス顧問」など、会社によって呼び方が変わります。
田辺市の事業者から見ると、紛らわしい相手が4種類あります。違いは「何で対価を得ているか」で整理すると分かりやすくなります。
- 経営コンサルタント: 経営全体の課題整理と計画づくりが商品です。デジタルは手段の1つとして扱われ、ツールの設定や移行までは通常含まれません
- ホームページ制作会社・システム開発会社: 作ったものが商品です。実装は最も速く進みますが、「そもそもそれを作るべきか」という手前の問いには、立場上、中立な答えを出しにくくなります
- 情シス代行・保守業者: 機器やネットワークが正常に動いている状態が商品です。パソコンの台数などの測れる量で課金されることが多く、業務の中身の見直しまでは範囲外になりがちです
- デジタル顧問: 判断の相談と、社内の詰まりを外す作業の両方を、継続的に見ることが商品です。公的制度のような回数制限がなく、販売目的もない。その代わり、あなたが月額を払います
デジタル顧問に頼めること・頼めないこと
頼める業務は、おおむね次の6つに分かれます。
- 現状の見立て: 業務の流れを聞き取り、どこに手作業が残っているかを言葉にする
- 優先順位づけ: 「今やること・来期でよいこと・やらないこと」を仕分ける
- ツール選定の助言: 比較の軸を作り、営業提案の妥当性を一緒に読む
- 導入の巻き取り: 設定・データ移行・社内周知の段取りを組み、詰まったところで実際に手を動かす
- 社内リテラシーの底上げ: 従業員が自分で操作できるところまで教える
- 継続の仕組みづくり: 更新・バックアップ・担当交代の手順を書面に残す
逆に、頼めないことも先に書いておきます。補助金の採択を約束すること、売上やDXの成功を保証すること、そして「全部お任せで社内は何もしなくてよい状態」を作ることの3つです。3つ目は特に重要で、社内に手を動かす人が1人もいない状態では、どんな相手を入れても定着しません。
田辺市で考えるときの現実的な軸は「会えるか」
ここまでは全国どこでも同じ話です。田辺市に固有の事情が入るのは、この先です。
先に触れたとおり、令和3年経済センサス‐活動調査による田辺市の情報通信業は26事業所・従業者195人でした。和歌山県全体で見ても、令和3年経済センサス‐活動調査の県集計では情報通信業は268事業所・2,870人で、県内事業所に占める割合は0.6%です。全国平均の1.5%を大きく下回っています。
つまり田辺市の事業者にとって、デジタルの相談相手は最初から「市外・県外の人」である可能性が高い。そうなると、選定の軸は自然と次の2つに絞られます。
- 公的窓口で足りる範囲を、どこまで無料で伸ばせるか
- 有料で頼むなら、田辺市のどこまで、どの頻度で来てもらえるか
この記事の残りは、この2つの問いに答えるために書かれています。まずは1つ目、田辺市で実際に使える公的窓口を、一次情報で確認できた分だけ並べます。
田辺市の事業者が使える公的窓口7つ(完全版)
ここからが本体です。2026年8月26日時点で各機関の公式サイトに掲載を確認できたものだけを、費用の低い順・申込のしやすい順に並べます。掲載を確認できなかった項目は「確認できませんでした」と明記します。
| 窓口 | 費用 | 回数・期間の上限 | 申込先 |
|---|---|---|---|
| 田辺市 商工業診断指導事業 | 原則無料(診断内容により別途料金の場合あり) | 公式ページに記載なし | 商工振興課・田辺商工会議所・市内各商工会 |
| 田辺商工会議所 中小企業相談室 | すべて無料 | 公式ページに記載なし | 田辺商工会議所 0739-22-5064 |
| 市域5商工会 | 商工会の経営改善普及事業(無料) | 公式ページに記載なし | 各商工会(後述の一覧) |
| 和歌山県よろず支援拠点 | 無料 | 何度でも無料。1回は原則1時間 | 073-433-3100 または予約フォーム |
| 和歌山県 デジタル専門家派遣 | 無料(報償・旅費は県が全額負担) | 1〜2回の派遣を想定・1回につき1日 | 県企業振興課 073-441-2760 |
| エキスパート・バンク | 1事業所3相談まで無料 | 4回目以降は謝金と交通費の3分の1を負担 | 最寄りの商工会議所・商工会 |
| ミラサポconnect | 利用は無料(マッチング後の費用は別) | 記載なし | GビズIDでログイン |

① 田辺市 商工業診断指導事業(原則無料・市の制度)
意外と知られていないのが、田辺市自身が持っている制度です。市の公式ページには、経営の近代化・合理化に積極的に取り組む意欲のある中小企業者に対し、経営コンサルタントが無料で診断・指導を行うと記載されています。
対象は、個人事業者の場合は市民で市内に事業所を有する方または市内で事業所を設置予定の方、法人の場合は商業登記簿に市内の本店または支店を有する方です。申込は、申込書に記入して商工振興課、田辺商工会議所、または市内の各商工会に提出する形です。問い合わせは商工振興課(0739-26-9970)です。
注意点が1つあります。同ページには「診断内容によっては別途料金が必要になってくることもあります」と記載されています。無料であることを前提に話を進める前に、申込の段階で自分の相談内容が無料の範囲に収まるかを確認してください。
なお、この制度が具体的にどこまでデジタル分野の診断を含むかは、2026年8月26日時点で市の公式ページからは読み取れませんでした。まずは電話で「デジタル化・IT化の相談でも使えるか」を確認するのが確実です。
使う人: 窓口に電話をかける前に、相談内容を1枚にまとめたい方
あなたは中小企業の公的相談窓口に慣れた支援者です。以下の材料から、窓口に持ち込む相談メモをA4一枚分にまとめてください。専門用語は使わず、初対面の担当者が3分で全体像をつかめる構成にしてください。
【材料】
・業種と従業員数: (例: 和歌山県田辺市の建設業・本人と従業員3名)
・止まっている業務と、その状態が続いている期間: (例: 見積書と請求書が手書き。2年間このまま)
・1か月あたりの発生回数と1回の所要時間: (例: 見積は月20件・1件30分)
・すでに入れている道具: (例: パソコン1台、会計ソフト、スマートフォン)
・使える予算の感覚: (例: 初期10万円まで。未定なら「未定」と書く)
・相談で決めたいこと: (例: 何から手を付けるかの順番)
出力: ①現状を3行で ②困りごと3点(発生頻度と所要時間つき) ③この場で聞きたい質問を5つ ④持参する資料の一覧 ⑤担当者に判断してもらいたいことと、自分で決めることの切り分け。材料にない事実は補わないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
② 田辺商工会議所 中小企業相談室(無料)
田辺商工会議所は、和歌山県田辺市新屋敷町1にあります。電話は0739-22-5064、FAXは0739-25-2783です。
中小企業相談室のページには、「相談はすべて無料」、そして「小規模事業者であれば、商工会議所の会員・非会員の区別なく指導」と明記されています。会員でないと相談できないと思い込んで足が止まっている方は、この一文だけ覚えて電話をかけてください。ここでいう小規模事業者は、常時使用する従業員が20人以下(商業またはサービス業は5人以下)の商工業者とされています。
公式サイトで案内されている相談メニューは、金融相談(マル経融資など公的融資制度の斡旋)、税務(決算指導・申告書作成指導、所得税・相続税・贈与税の相談)、労働保険の手続き、共済制度、取引紹介・信用調査・営業証明、法律相談・民事相談・特許相談などです。
正直に書きます。2026年8月26日時点で、田辺商工会議所の公式サイトに「IT・デジタル化」を明示した支援メニューの掲載は確認できませんでした。 受付時間の記載も確認できませんでした。掲載がないことと、相談できないことは別です。経営指導員は事業者の相談を幅広く受ける立場にあるため、まず電話で「デジタル化の相談をしたい」と伝えて、どの制度につないでもらえるかを聞くのが実務的です。実際、後述するエキスパート・バンクとよろず支援拠点の出張相談は、どちらも商工会議所が入口になります。
使う人: 電話で相談内容を短く伝えられるか不安な方
あなたは中小企業の相談窓口に慣れた支援者です。以下の材料から、商工会議所・商工会に電話をかけたときに最初の30秒で読み上げる説明文(150字前後)と、その後に聞く質問3つを作ってください。
【材料】
・業種と従業員数: (例: 田辺市の小売業・家族2名)
・止まっている業務を1つ: (例: 在庫管理が手書きのまま)
・電話で決めたいこと: (例: デジタル化の相談ができる制度につないでもらう)
出力: ①30秒の説明文 ②質問3つ(相談できる制度はどれか・持参する資料・次の予約の取り方)。材料にない事実は補わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
③ 市域5商工会(本宮・龍神・中辺路・大塔・上秋津)
田辺市は平成17年5月1日に、田辺市・龍神村・中辺路町・大塔村・本宮町の5市町村が合併して現在の姿になりました。そのため、商工会議所の地区とは別に、旧町村の区域には商工会があります。和歌山県商工会連合会の県内商工会一覧に掲載されている、田辺市内の5商工会は次のとおりです。
| 商工会 | 所在地 | 電話 |
|---|---|---|
| 牟婁商工会 | 田辺市上秋津2084-1 | 0739-35-1110 |
| 中辺路町商工会 | 田辺市中辺路町栗栖川396-1 | 0739-64-1002 |
| 龍神村商工会 | 田辺市龍神村西376(龍神行政局内) | 0739-78-0472 |
| 大塔村商工会 | 田辺市鮎川2567-1 | 0739-49-0171 |
| 本宮町商工会 | 田辺市本宮町本宮219 | 0735-42-0269 |
市街地から離れた地区で事業をされている方は、田辺商工会議所より先に、この一覧の中で最も近い商工会に電話をかけてください。市の商工業診断指導事業の申込書は、市内の各商工会でも受け付けると市の公式ページに記載されています。移動時間を1時間減らせるだけで、相談のハードルは大きく下がります。
なお、各商工会の受付時間とFAX番号は、和歌山県商工会連合会の一覧では確認できませんでした。訪問前に電話でご確認ください。
④ 和歌山県よろず支援拠点(何度でも無料・田辺市内で3か所)
よろず支援拠点は、国が設置した無料の経営相談所です。公式サイトには「経営上のあらゆるご相談に何度でも無料で対応します」と明記されています。設置・運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構です。
和歌山県よろず支援拠点は和歌山市本町二丁目1番地のフォルテワジマ6階にあり、電話は073-433-3100、受付時間は平日9時〜12時/13時〜17時45分です。相談対応は原則各1時間で、9時15分、10時30分、13時、14時15分、15時30分の各枠が公式サイトに示されています。予約が必要で、予約なしで窓口に行っても対応できないと明記されています。
田辺市の事業者にとって重要なのは、ここからです。同拠点は和歌山市の拠点に加えて県内8か所で出張相談を実施しており、田辺市内には次の3か所が掲載されています。
- 紀陽銀行田辺ビジネスセンター: 毎月第四木曜日・午前(同センターに直接問い合わせ)
- 日本政策金融公庫田辺支店: 毎月第四木曜日・午後(同支店に直接問い合わせ)
- 田辺商工会議所: 随時開催
つまり、和歌山市まで往復しなくても、田辺市内で無料の経営相談を受けられます。しかも回数の制限がありません。オンライン相談にも対応しています。デジタルの困りごとについて「何度でも無料で聞ける場所」は、田辺市の事業者にとってここが実質的な本命です。
ただし、相談は原則1時間です。1時間で扱える議題は多くて3つと考えてください。次のプロンプトで、事前に議題の順番を決めておくと、1回の密度が変わります。
使う人: 1時間の相談枠で扱う議題を、優先順位つきで決めたい方
あなたは外部の相談窓口を活用する側のアドバイザーです。以下の材料から、1時間の無料経営相談で扱う議題を、時間配分つきで設計してください。空欄の項目は「未定」として扱い、勝手に補わないでください。
【材料】
・業種と従業員数: (例: 和歌山県田辺市の飲食店・家族3名)
・困りごとの一覧: (棚卸しシートの内容をそのまま貼り付け)
・すでに他の窓口で受けた助言: (なければ「なし」)
・同席できる社員と役割: (未定なら「未定」)
・この相談の3か月後に到達したい状態: (例: 予約の電話対応を半分に減らす)
出力: ①1時間で扱う議題を3つまで(各議題の時間配分つき) ②次回に持ち越す議題と、その理由 ③事前に送っておくべき資料 ④相談員に判断してもらうことと、自社で手を動かすことの切り分け ⑤終了5分前に必ず確認する質問を2つ。制度の解釈は断定せず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
⑤ 和歌山県 デジタル専門家派遣(無料・専門家チーム3名程度)
ここまでは「相談」でした。次は、専門家が事業所に来る制度です。
和歌山県のデジタル専門家派遣事業は、県内に事務所等を有する事業者(法人格の有無は問わない)を対象に、専門家チーム(3名程度)を編成して派遣する制度です。公募ページには「無料(専門家に支給する報償、旅費等は、県がすべて負担します。)」と明記されています。派遣は1回につき1日で、1〜2回の派遣を想定と案内されています。
支援内容は2種類に分かれています。
- デジタル技術の導入に関する派遣(申請は様式7-1)
- 自社の課題整理に関する派遣(申請は様式7-2)
「何を導入すべきか分からない」という段階なら、迷わず2番の「自社の課題整理」を選んでください。導入すべきものが決まっていない状態で1番を申請すると、貴重な1日が製品説明で終わります。
提出書類は、様式7-1または7-2に加えて、法人は宣誓書(様式8)と商業登記簿謄本等、個人等は宣誓書(様式9)と本人確認書類です。派遣完了後に様式13を提出します。募集期間は令和8年5月19日(火)から令和8年12月28日(月)まで。ただし予算の上限に達し次第、公募は終了と明記されています。派遣時期は随時で、具体的な日時は相談のうえ決定されます。問い合わせは和歌山県商工労働部企業政策局企業振興課(073-441-2760)です。
年度末に近づくほど枠が埋まる制度です。使うつもりがあるなら、秋のうちに電話を入れてください。
使う人: 様式7-2「自社の課題整理」に書く内容を、下書きしたい方
あなたは公的な専門家派遣制度の申請書を書く事業者の支援者です。以下の材料から、「自社の課題整理」を目的とした専門家派遣の申請文の下書きを作ってください。制度の要件は断定せず、確認が必要な箇所は【要確認】と明記してください。
【材料】
・業種と従業員数、所在地: (例: 和歌山県田辺市本宮町の宿泊業・家族4名)
・現在の業務の流れ: (例: 予約は電話とじゃらん、台帳は紙、請求は手書き)
・自社が「デジタル化したい」と感じている理由: (例: 繁忙期に予約の取りこぼしが出る)
・すでに試して失敗したこと: (なければ「なし」)
・派遣後3か月で到達したい状態: (例: 予約情報を1か所で見られるようにする)
出力: ①現状の業務フローを箇条書きで5行 ②課題を3つに整理し、それぞれ「なぜ自社だけでは解けないか」を1行 ③専門家に見てもらいたい範囲と、見てもらう必要がない範囲 ④派遣当日に用意する資料 ⑤【要確認】として窓口に聞くべき点。実績や効果の数値は作らないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
⑥ エキスパート・バンク(1事業所3相談まで無料)
エキスパート・バンクは、和歌山県内の小規模事業者を対象に、登録された専門家が事業所を訪問して助言する制度です。和歌山県の公式ページによると、対象は従業員数が製造業で20人以下、商業・サービス業で5人以下の事業所で、1事業所3相談まで無料、4回目以降は1回につき専門家謝金と交通費の3分の1の負担が必要(教材・材料費等は実費)とされています。
相談分野には、経営計画、新技術開発、販売促進、店舗レイアウト、ISO取得支援、IT・デジタル化、パソコン活用、BCP、製品コストダウン、会計システム導入、品質管理、税務・法律・労務管理・特許、後継者教育が並びます。「IT・デジタル化」「パソコン活用」「会計システム導入」が明示されている点は、本記事の読者にとって重要です。
申込窓口はお近くの商工会議所または商工会です。田辺市の事業者であれば、田辺商工会議所または市域5商工会が入口になります。制度全体の問い合わせ先は和歌山県商工労働部商工労働政策局商工振興課(073-441-2744)です。
3回という上限は、使い方次第で大きく価値が変わります。1回目で現場を見てもらい、2回目で具体的な設定作業に立ち会ってもらい、3回目で社内の担当者に引き継ぐ、という設計にすると、無料の範囲でかなり進みます。逆に、3回とも「相談」で終わると、何も残りません。
使う人: エキスパート・バンクの3回を、何に使うか先に決めたい方
あなたは公的な専門家派遣を活用する側のアドバイザーです。無料で使える訪問相談が3回だけあります。以下の材料から、3回の使い道を設計してください。
【材料】
・解決したい詰まり: (棚卸しシートの1〜2行を貼り付け)
・社内で同席できる人と役割: (未定なら「未定」)
・3回目が終わった時点で到達したい状態: (例: 従業員が自分で入力を続けられる)
出力: ①1回目・2回目・3回目それぞれの目的とゴール ②各回までに自社で済ませておく準備 ③3回で終わらなかった場合に持ち越す範囲の候補。制度の要件は断定せず【要確認】と付け、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
⑦ ミラサポconnect(国・利用は無料)
ミラサポconnectは、中小企業庁が運営する成長加速マッチングサービスです。公式サイトには「成長を目指す企業(事業者)と金融機関等の支援機関をつなぐマッチングサービス」と説明されており、令和8年度中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業の一環と記載されています。
利用に必要なのはGビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントです。GビズIDエントリーのアカウントは利用できないと明記されています。使い方は、ログインして自社のプロフィールと挑戦課題を登録し、支援者からのコンタクトを待つ、という流れです。
費用については、公式サイトに「本サービスの利用は無料ですが、マッチング後に支援者から提供される各種サービスについては、別途費用が生じる場合があります。」と明記されています。つまり、出会いまでは無料で、その先は個別の契約になります。ここを混同しないでください。
田辺市のように地元にIT事業者が少ない地域では、「そもそも候補が見つからない」という段階でつまずくことが多くあります。GビズIDプライムは補助金の申請でも必要になるアカウントなので、取得しておいて損はありません。
番外: 有料だが基準になる2つの制度
無料ではないものの、月額顧問の見積を判断するときの「定規」になる制度が2つあります。
1つ目は、独立行政法人中小企業基盤整備機構のハンズオン支援(専門家派遣)です。公式ページに記載された費用は1万7,500円(専門家1人、1日あたり。消費税込)です。ITに関する型は2つあり、IT-A型(IT企画・導入支援)は数か月〜10か月程度・20回程度、IT-B型(情報化構想策定)は4か月程度・8回程度が目安とされています。IT-B型なら単純計算で総額14万円ほどです。申込は最寄りの地域本部に電話です。
2つ目は、生産性向上支援訓練です。ポリテクセンター和歌山の事業主向けページには、4つのテーマ・131コースが用意され、「ITツールを活用した業務改善」「AI(人工知能)活用」「効率よく分析するためのデータ集計」「生成AIの活用」といったコースが掲載されています。生産性向上人材育成支援センターの電話は073-461-1691です。
受講料について、和歌山のページには記載を確認できませんでした。同じ制度を案内するポリテクセンター関西(大阪府内)のページには「訓練時間に応じて、1人あたり2,200円(税込)〜6,600円(税込)」「訓練時間は、4時間〜30時間の間で、ご要望に合わせて設定できます」「お客様の自社会議室や外部の施設など、ご要望に合わせて設定できます」と記載されています。田辺市で実施できるか、受講料が同じかは、必ずポリテクセンター和歌山に直接ご確認ください。
社員のリテラシー研修を月額顧問に含めるかどうかを考えるとき、この「1人あたり数千円で自社会議室に来てもらえる制度がある」という事実は、判断材料として非常に強く効きます。
「うちの宿の場合はどうすればいい?」——そんな段階のご相談こそ歓迎です。
最大60分の無料ヒアリングで、貴施設の集客の現在地と次の一手を一緒に整理します。
※契約を前提とした営業は一切いたしません。30分の情報交換のみでも歓迎です。
無料窓口で足りるか、月額の顧問が要るか(ステップ1とステップ6)
窓口を回る前後に、自社の側でやることが2つ残っています。6ステップの最初と最後、詰まりの棚卸し(ステップ1)と、月額で頼む範囲の言語化(ステップ6)です。判断の分かれ目は、最初に書いたとおり1つしかありません。あなたの詰まりが「助言をもらえば自分で動けるもの」か、「誰かが実際に手を動かして巻き取らないと止まるもの」かです。

助言で動ける側のサインは、①欲しいのは判断材料で、決まれば自分たちで動ける、②社内にパソコン操作を任せられる人が1人はいる、③課題が特定のソフトの操作方法に絞られている、の3つです。この場合、ここまでの無料窓口とメーカーのサポート窓口、そして対話型AIで前に進めます。宿泊業の方なら、ChatGPTを旅館・民宿で使う15の方法|コピペで使えるプロンプト集【2026年8月】のような手順書だけで動き出せる場面も多くあります。
巻き取りが要る側のサインは、①設定・データ移行・従業員への教育まで、誰かが現場で手を動かさないと進まない、②デジタルの判断で手が止まる頻度が週1回を超えている、の2つです。この2つがそろったときに初めて、月額の顧問が候補に入ります。
まだ棚卸しをしていない方は、次の列を表計算ソフトに写して、思いつくまま20行埋めてください。調べ物は不要で、使うのは記憶だけです。
【詰まり棚卸しシート/列だけコピーして使う】
No / 止まっている業務 / 月に何回・1回何分 / 何が詰まっているか(操作が分からない・決められない・人がいない)/ 助言で動けるか、巻き取りが要るか / 最初に持ち込む窓口(市の診断・商工会議所か商工会・よろず・県派遣)
記入例
1 / 予約台帳の転記 / 月120回・3分 / 操作が分からない / 助言で動ける / よろずの田辺出張相談
2 / 会計ソフトの設定と移行 / 未着手のまま半年 / 人がいない / 巻き取りが要る / 県派遣で課題整理から
※そのままコピーして使えます
窓口を回り終えたら、「巻き取りが要る」に残った行だけを、月額で頼む範囲として言葉にします。ここまで来れば、見積の依頼文は自然に書けます。
あなたは中小企業のデジタル化に詳しい中立のアドバイザーです。特定の製品や事業者を勧めないでください。以下の棚卸しシートのうち「巻き取りが要る」と印を付けた行だけを読み、外部に月額で頼む範囲を言葉にしてください。
【材料】
・「巻き取りが要る」行の内容: (シートから貼り付け)
・社内で手を動かせる人: (例: 事務1名がパソコン操作は得意。いなければ「いない」)
・すでに公的窓口で受けた助言: (なければ「なし」)
・月に使える予算の感覚: (未定なら「未定」)
出力: ①頼む作業を「作業名・頻度・想定時間」の表に整理 ②自社に残す作業 ③見積を取るときに相手へ渡す説明文を200字で ④月の対応時間の合計目安。「巻き取りが要る」行が1つもない場合は「月額で頼む必要は現時点でない」と明記してください。材料にない業務は加えず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
このプロンプトは、あえて「頼む行がなければ、頼む必要はない」と出力させています。それがこの記事の一番大事な出口だからです。なお、ホームページのように「作るもの」が先に決まっているなら、顧問ではなく制作会社に直接相談するほうが早く進みます。依頼先の選び方は田辺市のホームページ制作|依頼先4タイプの選び方と実際の価格【2026年8月】で整理しています。
田辺市の地区別|市街地・中辺路・大塔・龍神・本宮の現実解
もう1つの問い、「どこまで来てもらえるか」に移ります。田辺市の面積は1,026.89平方キロメートル、東西46キロ・南北47キロに市域が広がり、市域の9割近くを森林が占めます(田辺市統計書 令和7年度版)。同じ市内でも、市街地と本宮・龍神では、使いやすい窓口がまったく違います。
| 地区 | 相談の入口 | 電話 | 最初の打ち手 |
|---|---|---|---|
| 市街地(旧田辺市域) | 田辺商工会議所/よろずの田辺出張相談 | 0739-22-5064 | 窓口が集中。商工会議所を起点に制度をはしごする |
| 上秋津など | 牟婁商工会 | 0739-35-1110 | 商工会経由で市の診断指導事業を申し込む |
| 中辺路・大塔 | 中辺路町商工会/大塔村商工会 | 0739-64-1002/0739-49-0171 | 最寄りの商工会を入口に、よろずはオンライン相談を併用 |
| 龍神 | 龍神村商工会(龍神行政局内) | 0739-78-0472 | 商工会を入口に、事業所に来る県派遣を優先して使う |
| 本宮 | 本宮町商工会 | 0735-42-0269 | 来訪型の制度を軸に、有料候補には訪問条件を最初に確認 |

共通の原則は2つです。1つ目は、近い窓口から使うこと。市の商工業診断指導事業の申込書は各商工会でも受け付けるため、市街地まで出る必要はありません。2つ目は、来てもらう制度を優先すること。県のデジタル専門家派遣とエキスパート・バンクは、専門家があなたの事業所に来る制度です。移動時間をあなたが払うか、制度が払うかの違いは、山あいの地区ほど大きく効きます。
有料の顧問候補と話す段階では、料金より先に訪問条件を確認してください。次の文面をそのまま使えます。
件名: デジタル化支援の訪問条件のご確認(〇〇〔社名〕・田辺市〇〇町)
〇〇 ご担当者様
田辺市〇〇町で〇〇業を営む〇〇と申します。
デジタル化の支援をお願いする場合の条件について、下記をご教示ください。
・田辺市〇〇町(実際の所在地。本宮町・龍神村など)への訪問は可能でしょうか
・可能な場合、訪問の頻度と1回あたりの滞在時間の目安
・交通費・出張費の扱い(月額に含まれるか、別途か)
・訪問とオンラインを組み合わせる場合の進め方
所在地の関係で、訪問条件を先に確認してから相談を進めたいと考えております。
〇〇〔氏名・電話・メール〕
※そのままコピーして使えます
なお、当コラムを運営する株式会社Tip(※当コラムの運営元です)も、白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、現地対面でのリテラシー研修と実作業の巻き取りを組み合わせた「対面特化デジタル顧問」を新サービスとして準備しています(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応)。ただし、この記事の結論は変わりません。まず無料の公的窓口を順番に使い切ってください。それで足りるなら、それが最も良い結論です。
【要注意】窓口を使っても進まない4つの失敗パターン
無料窓口を回っても成果につながらない会社には、共通の型があります。順に確認してください。
失敗1: 「デジタル化したい」のまま窓口に行く
❌ よくある間違い: 棚卸しをせずに窓口へ行き、1回目の相談が「まずは現状を教えてください」の聞き取りだけで終わる。
⭕ 正しいアプローチ: 「請求書の作成に月8時間かかっている」というレベルまで数字にしてから予約する。棚卸しシートをそのまま持ち込めば十分です。
なぜ重要か: 無料相談は1回原則1時間だからです。その1時間を課題の言語化に使うか、解決策の検討に使うかで、同じ相談の価値がまるで変わります。よろずは何度でも無料ですが、あなたの営業時間は無料ではありません。
失敗2: 回数上限のある制度から先に使ってしまう
❌ よくある間違い: 目についた制度から申し込み、県派遣の貴重な1日を「何から始めるべきか」の総論相談で使い切る。
⭕ 正しいアプローチ: 回数無制限のよろず支援拠点で方向を整えてから、回数上限のある県のデジタル専門家派遣とエキスパート・バンクを、具体的な作業や現場診断に当てる。
なぜ重要か: 無料の窓口には「何度でも」と「数回だけ」の2種類があるからです。順番を間違えると、専門家に手元を見てもらえるはずだった回を、椅子に座った相談で消費することになります。
失敗3: 窓口ごとに違う説明をして、助言が食い違う
❌ よくある間違い: 行く先々で記憶を頼りに違う説明をし、返ってくる助言もばらばらになって、結局どれも実行しない。
⭕ 正しいアプローチ: 同じ棚卸しシート1枚を全部の窓口に見せ、受けた助言を同じ紙に書き足していく。
なぜ重要か: 複数の専門家の意見は、同じ前提に対してもらって初めて比較できるからです。書き足されたシートはそのまま「自社のカルテ」になり、最後に月額の顧問候補と会うときの説明資料としても使えます。
失敗4: 無料窓口で足りる部分まで月額に含めて契約する
❌ よくある間違い: 従業員研修も構想づくりも実作業も、全部まとめて「一式・月◯万円」で契約する。
⭕ 正しいアプローチ: 研修は生産性向上支援訓練(1人あたり数千円〜)、構想づくりは県派遣や中小機構ハンズオン支援(1万7,500円/人・日)を定規に当て、公的制度で置き換えられない「巻き取り」だけを月額にする。
なぜ重要か: 月額の中身は分解できるからです。定規を持って見積を読むと、「この部分は公的制度で足りるのではありませんか」という交渉の言葉が持てます。白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中でも、見積を分解して読んでいる会社はごく少数だと感じます。差がつくのはここです。
公的窓口を使い切れているか(チェックリスト)
月額の見積を取る前の最終確認に使ってください。当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 止まっている業務を、頻度と所要時間つきで1枚に書き出した
- □ 市の商工業診断指導事業に「デジタルの相談で使えるか」を電話で確認した
- □ 田辺商工会議所か、最寄りの商工会に相談を持ち込んだ
- □ よろず支援拠点の田辺出張相談か、オンライン相談を予約した
- □ 県のデジタル専門家派遣は「自社の課題整理(様式7-2)」から使うと決めた
- □ エキスパート・バンクの3回の使い道を、1回目を使う前に設計した
- □ 遠方の支援者には、訪問の頻度・交通費・オンライン併用を確認した
- □ 月額で頼む範囲を「作業名と頻度」で言葉にしてから見積を取っている

チェックが8つ埋まっていれば、あなたはもう「言い値で買う側」ではありません。3つ以下なら、見積を取るのはまだ早い段階です。この記事の窓口一覧に戻って、上から順に埋めてください。
無料の経営相談は年71万件超使われている|「相談する側」に回った事業者から進む
「公的な窓口に相談するなんて、大げさではないか」と感じるかもしれません。数字は逆を示しています。
中小機構が公表した令和6年度よろず支援拠点相談等実績によると、全国のよろず支援拠点の相談対応件数は年間累計717,618件、和歌山県よろず支援拠点だけで11,291件でした(来訪に限らない延べ件数・速報値)。和歌山県内で1営業日あたり40件を超えるペースで、無料の経営相談が使われている計算です。相談は特別な行動ではなく、すでに標準的な経営行動になっています。
デジタルの道具そのものも、もう特別ではありません。総務省の令和6年通信利用動向調査(令和7年5月30日公表)によると、クラウドサービスを利用している企業は8割を超え、利用企業のうち「効果があった」と回答した企業は88.2%でした。道具は行き渡り、効果も出ている。詰まっているのは「自社の場合はどれを、どの順番で」という個別の判断であり、それこそが相談窓口で解けるものです。
実在の例も、公的な窓口の公式事例として公開されています。和歌山市の宿泊施設「新和歌ロッジ」(大瀬株式会社)は、営業赤字が続く状態から和歌山県よろず支援拠点に相談し、予約システムの導入、国内外10以上の予約サイトへの登録、ホームページの全面リニューアルなどの支援を受け、支援開始から2年間で売上が約2倍になり経常利益の黒字化を達成したと紹介されています。ネット経由の予約は支援前の3倍になり、売上増加額の65%を占めたとされています。平成26年に相談が始まった10年以上前の事例ですが、「無料相談を起点に、ITで立て直す」という型は、いま田辺市で使える窓口とそのままつながっています。
田辺市の情報通信業は26事業所。市場に任せておけば相談相手が見つかる環境ではないからこそ、市・商工会議所・県・国が窓口を重ねて用意しています。年71万件の相談の列に、あなたの1件を足すだけです。
よくある質問
Q. 田辺市でDXの相談を無料でできる窓口はありますか?
あります。よろず支援拠点の田辺出張相談(紀陽銀行田辺ビジネスセンター・日本政策金融公庫田辺支店・田辺商工会議所)は何度でも無料、和歌山県のデジタル専門家派遣は専門家チームが無料で事業所に来ます。田辺市の商工業診断指導事業も原則無料です。本文の窓口7つの表から、近い順に当たってください。
Q. 田辺市でデジタル顧問・IT顧問を探すときは、何から始めればいいですか?
候補探しより先に、詰まりの棚卸しです。困りごとを頻度と時間つきで1枚に書き出し、無料窓口で課題の言葉を整えてから探し始めると、見積の精度が大きく変わります。候補が見つからない場合は、中小企業庁のミラサポconnect(GビズIDで利用無料)で支援機関とのマッチングを試す方法もあります。
Q. 田辺商工会議所では、どんな経営相談ができますか?
中小企業相談室で、金融(マル経融資などの斡旋)・税務・労働保険・共済制度・取引紹介・法律相談などの相談がすべて無料でできます。小規模事業者であれば会員・非会員の区別なく利用できると明記されています。IT・デジタル化を明示したメニューは公式サイトでは確認できませんでしたが、エキスパート・バンクとよろず出張相談の入口になるため、まず0739-22-5064に電話で相談内容を伝えてください。
Q. 本宮町や龍神村の事業者でも、市街地まで行かずに相談できますか?
できます。旧町村の区域には本宮町・龍神村・中辺路町・大塔村・牟婁の5商工会があり、市の商工業診断指導事業の申込も受け付けます。よろず支援拠点はオンライン相談に対応しており、県のデジタル専門家派遣とエキスパート・バンクは専門家が事業所に来る制度です。「行く」より「来てもらう・つながる」を軸に組み立ててください。
Q. 和歌山県のデジタル専門家派遣は、いつまでに申し込めばいいですか?
募集期間は令和8年5月19日から令和8年12月28日までですが、予算の上限に達し次第、公募は終了と明記されています。締切を待たずに枠が埋まる可能性があるため、使うつもりがあるなら秋のうちに県企業振興課(073-441-2760)へ受付状況を確認してください。
Q. 無料窓口だけで、デジタル化は最後まで進みますか?
「助言があれば自分で動ける会社」なら進みます。公的な窓口は原則として助言までで、設定・移行・教育の実作業は自社の誰かが担う前提です。担える人が社内に1人でもいれば、無料の範囲でかなりの距離を進めます。いない場合は、その部分だけを外部に頼む選択になります。
Q. 月額のデジタル顧問の費用は、いくらぐらいが目安ですか?
田辺市内の事業者で顧問料金を公開している例は、今回の調査では確認できませんでした。判断の定規になるのは、中小機構ハンズオン支援の1万7,500円(専門家1人・1日あたり・税込)という公開実額です。月額の見積を受け取ったら、対応時間の上限と訪問頻度を書面で確認し、1時間あたりの単価に引き直して比べてください。
Q. ホームページやSNSだけ頼みたい場合も、顧問契約が必要ですか?
必要ありません。頼むものが決まっているなら、制作会社や運用代行に直接依頼するほうが早くて安く済みます。判断基準は田辺市のSNS運用代行|自社でやるか外注するかの分岐点と探し方【2026年8月】と田辺市のLINE公式アカウント構築代行|相場と自分で作る6ステップ【2026年8月】で整理しています。顧問が要るのは、「何を頼むか自体を決めたい」「複数の導入を続けて回したい」場合です。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 詰まり棚卸しシートを20行埋め、「助言で動けるか、巻き取りが要るか」の列に印を付ける
- 今週中にやること: 最寄りの商工会か田辺商工会議所に電話し、市の商工業診断指導事業が使えるか確認する。あわせてよろずの田辺出張相談を予約する
- 今月中にやること: 県のデジタル専門家派遣「自社の課題整理」の受付状況を確認し(073-441-2760)、エキスパート・バンク3回の使い道を設計する
巻き取りが要る行が1つも残らなければ、月額は不要です。それがこの記事の一番良い結末です。
次回予告: 無料窓口でデジタル化の方向が決まったら、次は集客です。地図検索で市街地・本宮・龍神それぞれの見つかり方を整えた田辺市のMEO対策|市街地・本宮・龍神で打ち手を変える6ステップ【2026年8月】も公開しています。
集客の実務、まるごと任せることもできます。
SNSアカウントお試し2投稿 ¥3,000/ホームページ制作 ¥5,000/公式LINE構築 ¥2,000。
まず実物で、私たちの仕事をお確かめください。
参考・出典
- 田辺市「田辺市統計書 令和7年度版」(令和8年3月発行。面積1,026.89平方キロメートル・東西46km・南北47km・森林面積906.62平方キロメートル〔88.29%〕、平成17年5月1日の5市町村合併、令和3年経済センサス‐活動調査による事業所4,700・情報通信業26事業所195人・平成24年34事業所339人) https://www.city.tanabe.lg.jp/material/files/group/2/tanabe_statistical_report_R7.pdf (参照日: 2026-08-26)
- 田辺市「田辺市商工業診断指導事業」(経営コンサルタントによる無料診断・指導、「診断内容によっては別途料金が必要になってくることもあります」、申込先は商工振興課・田辺商工会議所・市内各商工会、問い合わせ0739-26-9970) https://www.city.tanabe.lg.jp/sangyo_business/shokoshinko/3/6796.html (参照日: 2026-08-26)
- 田辺商工会議所(新屋敷町1・0739-22-5064。中小企業相談室「相談はすべて無料」「小規模事業者であれば、商工会議所の会員・非会員の区別なく指導」) https://www.tanabe-cci.or.jp/ / https://www.tanabe-cci.or.jp/keiei/ (参照日: 2026-08-26)
- 和歌山県商工会連合会「県内商工会一覧」(牟婁・中辺路町・龍神村・大塔村・本宮町の各商工会の所在地・電話) https://www2.w-shokokai.or.jp/shokorink.html (参照日: 2026-08-26)
- よろず支援拠点全国本部(「経営上のあらゆるご相談に何度でも無料で対応します」・設置は中小企業基盤整備機構)/和歌山県よろず支援拠点(フォルテワジマ6階・073-433-3100・平日9:00〜12:00/13:00〜17:45・相談は原則各1時間・要予約・田辺市内の出張相談3か所〔紀陽銀行田辺ビジネスセンター毎月第四木曜午前・日本政策金融公庫田辺支店毎月第四木曜午後・田辺商工会議所随時〕・オンライン相談対応) https://yorozu.smrj.go.jp/ / https://yorozuw.go.jp/ / https://yorozuw.go.jp/yorozu-madoguchi/ (参照日: 2026-08-26)
- 中小機構「令和6年度よろず支援拠点相談等実績」(相談対応件数 全国累計717,618件・和歌山県11,291件。来訪に限らない延べ件数・速報値) https://www.smrj.go.jp/supporter/yorozu/index.html / https://www.smrj.go.jp/supporter/yorozu/fbrion0000004an2-att/c7moap000000q3zo.pdf (参照日: 2026-08-26)
- 和歌山県「わかやま人材確保・育成支援プロジェクト事業(DX推進)デジタル専門家派遣」(無料・報償旅費は県が全額負担・専門家チーム3名程度・1回につき1日で1〜2回想定・様式7-1/7-2・募集期間 令和8年5月19日〜12月28日・予算上限到達で終了・企業振興課073-441-2760) https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/061000/d00217062.html / https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/061000/iot/d00217066.html (参照日: 2026-08-26)
- 和歌山県「エキスパート・バンク(専門家派遣)」(1事業所3相談まで無料・4回目以降は謝金と交通費の1/3負担・対象は製造業20人以下、商業サービス業5人以下・相談分野に「IT・デジタル化」「パソコン活用」「会計システム導入」を明記・商工振興課073-441-2744) https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/060300/expert.html (参照日: 2026-08-26)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「ハンズオン支援(専門家派遣)」(1万7,500円〔専門家1人、1日あたり。消費税込〕、IT-A型=数か月〜10か月程度・20回程度、IT-B型=4か月程度・8回程度) https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/index.html / https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/01.html (参照日: 2026-08-26)
- 中小企業庁「ミラサポconnect」(成長加速マッチングサービス・GビズIDプライム/メンバーで利用・「本サービスの利用は無料ですが、マッチング後に支援者から提供される各種サービスについては、別途費用が生じる場合があります。」) https://mirasapo-connect.go.jp/ (参照日: 2026-08-26)
- ポリテクセンター和歌山(生産性向上支援訓練 4テーマ・131コース・生産性向上人材育成支援センター073-461-1691)/ポリテクセンター関西(受講料1人あたり2,200円〜6,600円〔税込〕・訓練時間4〜30時間・自社会議室等で実施可) https://www3.jeed.go.jp/wakayama/poly/biz/index.html / https://www3.jeed.go.jp/osaka/poly/sesansei/index.html (参照日: 2026-08-26)
- 和歌山県調査統計課「令和3年経済センサス‐活動調査 結果確報(和歌山県分)」(情報通信業268事業所・従業者2,870人〔県内構成比0.6%・0.8%〕、全国76,559事業所〔1.5%〕) https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020300/keizai/index_d/fil/r3katsudougaiyou.pdf (参照日: 2026-08-26)
- 総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」(令和7年5月30日公表。クラウドサービス利用企業は8割超・利用の効果があったと回答した企業88.2%) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000178.html (参照日: 2026-08-26)
- よろず支援拠点全国本部「支援事例: 経営危機に陥った老舗旅館が経営資源とITを活かした改革で黒字化を達成」(大瀬株式会社・新和歌ロッジ。支援開始2年間で売上約2倍・経常利益の黒字化・ネット経由予約3倍) https://yorozu.smrj.go.jp/support/wakayamayorozu_oose/ (参照日: 2026-08-26)
あわせて読みたい
- 田辺市のホームページ制作|依頼先4タイプの選び方と実際の価格【2026年8月】: 「作るもの」が決まっている場合の依頼先の選び方を、県内5社の公開価格つきで整理しています
- ChatGPTを旅館・民宿で使う15の方法|コピペで使えるプロンプト集【2026年8月】: 「助言で動ける側」に回った方が、無料のAIで実務を進めるための手順書です
※本記事は2026年8月26日時点の公開情報の整理です。制度の内容・費用・要件・受付状況は変更される場合があるため、必ず各窓口と最新の公募要領でご確認ください。当社は補助金の申請代行を行っておらず、売上やDXの成功を保証するものでもありません。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。