
結論: 田辺市は、市と取引のある事業者から請求書を電子で受け取る「電子請求サービス」を、2026年(令和8年)3月23日から順次始めています。使うのはインフォマートの「BtoBプラットフォーム」で、市から招待を受けた事業者は請求書の基本サービスを無料で利用できます。紙の請求書も従来どおり受け付けると明記されているため、明日から紙が使えなくなるわけではありません。ただし電子と紙の重複発行は不可で、工事等の前払金請求書は従来どおりLoGoフォームでの提出です。まず確認すべきは、自社あてに招待ハガキ(又はファックス)が届いていないかです。
この記事の要点 対象読者: 田辺市に物品を納めている、または市の業務を受託している南紀(田辺・白浜・みなべ・上富田など)の宿泊・飲食・小売・農水産・建設・サービス業の経営者と、請求書を作っている経理担当の方 読了後にできること: 自社が電子請求の対象かどうかを10分で切り分け、招待ハガキの確認から利用登録の申請、初回送信、送信後のデータ保存ルールづくりまでの段取りを、今週中に決められる状態になる
「市役所に出す請求書、そのうち紙じゃなくなるらしいですよ」
こういう話は、たいてい伝言の形で回ってきます。聞いた側は「うちにも案内が来ているはずだ」と思いながら、請求書の締め日に追われてそのまま数か月が過ぎる。気づくのは、経理担当が「この封筒、何ですかね」と机の奥から出してきたときです。
厄介なのは、自治体の請求実務が課ごと・契約ごとにばらばらに動いていることです。物品を納めている課、イベントを受託している課、施設の修繕を頼まれた課。窓口が違えば案内の届き方も違い、「うちは対象なのか、対象でないのか」が社内の誰にも分からないまま放置されます。
田辺市の電子請求サービスは、すでに2026年3月23日から動き始めた制度です。請求書の送信そのものは登録した事業者から順次という形で、紙も残されています。それでも、登録の申請から実際に使えるようになるまで約1週間を要する場合があると市が案内している以上、次の請求の締めに間に合わせたいなら、動くのは今週ということになります。
この記事では、和歌山県内の事業者のデジタル面の支援に取り組む立場から、2026年9月19日時点で一次情報から確認できたことだけを使い、①田辺市で何が始まったか、②南紀のどの事業者に効くか、③招待ハガキの確認から初回送信までの進め方(コピペで使えるプロンプト8本つき)、④取り違えやすい誤解、の順に整理します。手元に、直近1年で田辺市あてに出した請求書の控えを用意しながら読み進めてください。なお、個別の登録可否や請求内容の取扱いについての最終的な判断は、必ず田辺市 情報政策課(電話 0739-26-9917)にご確認ください。
目次
田辺市が「BtoBプラットフォーム」で請求書の受け取りを電子化した
まず、確認できた事実だけを並べます。田辺市は「電子請求サービスの導入について」のページを令和8年3月19日付で更新し、電子請求システム「BtoBプラットフォーム」の導入を案内しています。
| 決まったこと | 内容 | 確認できる一次情報 |
|---|---|---|
| 開始時期 | 令和8年(2026年)3月23日より順次、電子取引を開始 | 田辺市の案内ページ・概要説明資料 |
| 使うシステム | 電子請求システム「BtoBプラットフォーム」 | 田辺市の案内ページ |
| 対象 | 田辺市と取引のある事業者。招待ハガキ(又はファックス)が届いた先には記載内容に沿った申込みを依頼 | 田辺市の案内ページ |
| 事前手続き | 「電子請求書利用登録申請」フォーム(LoGoフォーム)からの利用登録。申請から登録まで約1週間を要する場合あり | 田辺市の案内ページ |
| 費用 | 招待を受けた事業者は請求書の基本サービスが無料。一部のオプションサービス(拡張機能)は別途費用 | 概要説明資料 |
| 紙の請求書 | 「電子請求書での提出に加えて、従来どおり紙による請求書の受領も引き続き行ってまいります」 | 田辺市の案内ページ |
| 例外 | 契約課宛に電子提出していた工事等の前払金請求書は、従来どおりの方法(LoGoフォーム)で提出 | 田辺市の案内ページ |
| 問い合わせ | 情報政策課(田辺市東山一丁目5番1号 市役所6階/電話 0739-26-9917) | 田辺市の案内ページ |

無料になるのは「招待を受けた事業者の基本サービス」
費用のところは、言葉の範囲を正確に押さえてください。市の案内ページは、事業者が田辺市へ無料で電子請求書を送付できると書いています。概要説明資料では、田辺市から招待された事業者の利用料金について、請求書の基本サービスは無料、ただし一部のオプションサービス(拡張機能)を利用する場合は別途費用が発生すると整理されています。
つまり「無料」は、市あてに請求書を送るという用途の範囲での話です。自社の会計ソフトとの自動連携など、拡張機能に踏み込むかどうかは別の判断になります。ここを最初に線引きしておかないと、社内で「有料になるんじゃないか」という不安だけが広がって、登録そのものが止まります。
紙の請求書も残る。ただし「両方出す」は不可
もう一つ、読み落とされやすい点です。市は紙の請求書の受領も引き続き行うと明記しています。同時に、電子請求サービスの利用開始後は、電子での請求書と紙の請求書の重複発行に注意するよう求めています。
紙が残ること自体は、手が回らない事業者にとって助かる話です。しかし「電子でも出したし、念のため紙でも持っていった」という善意の二度手間は、市の側で二重計上を防ぐ確認作業を生みます。紙と電子のどちらで出すかを1件ごとに決めるルールが、切替期にいちばん重要になります。
現時点で公表されているのはここまでです。紙の受付をいつまで続けるのか、将来的に電子提出が必須になるのかについては、市の案内に記載がありません。この記事でも、そこから先の推測は書きません。
南紀のどの事業者に効くのか|「市と取引がある」の範囲が広い
「うちは市の仕事なんてしていない」と考えている事業者ほど、一度棚卸しをしてほしいところです。自治体との取引は、入札を伴う大きな契約だけではありません。単発の物品納入や、イベントの受託、施設利用に伴う実費精算まで含めると、対象は想像より広く分布します。
| 業種グループ | 田辺市との取引として起こりやすい例 | 請求事務で変わる点 |
|---|---|---|
| 宿泊・飲食・小売 | 市の会議・研修での会場利用や弁当・茶菓の納品、視察対応の宿泊、記念品や消耗品の納入 | 締め日ごとに紙で持参・郵送していた請求書を、登録後はブラウザ上で作成・送信できる |
| 農水産・食品加工 | 施設向けの食材納入、ふるさと納税・物産関連の受託、イベント出店に伴う精算 | 品目や数量の控えが電子で残り、送信済みかどうかを画面で確認できる |
| 建設・設備・サービス | 施設の修繕、設備点検、清掃・警備、広報物の制作、システム保守 | 工事等の前払金請求書は従来どおりLoGoフォーム。通常の請求と経路が分かれる |

注意したいのは、制度の名前が似ていても担当課と対象物が違うという点です。たとえば田辺市の物品入札参加者等登録は、令和8・9年度の追加登録の受付が2026年8月1日から8月31日までで、登録の有効期間は2026年10月1日から2028年3月31日まで、対象は物品(食料品を除く)及び役務等と案内されています。入札に参加するための資格登録と、請求書を電子で送るための利用登録は、まったく別の手続きです。片方を済ませていても、もう片方は自動では済みません。
同じ構図は近隣の自治体取引にもあります。和歌山市の学校給食のように、調達の名簿が部局ごとに独立しているケースは和歌山市の給食納入業者登録が随時受付に|1日最大8,300食の取引先【2026年9月】でも整理しました。まずは自社が「どの課と、何の取引で、年に何回請求書を出しているか」を紙に落とすところからです。
あなたは中小企業の経理実務に詳しいアシスタントです。以下の材料から、自治体あての請求の棚卸し表を作ってください。
【材料】
・自社の業種と所在地: (例: 田辺市の飲食店)
・直近1年で田辺市に出した請求の内容: (例: 会議用弁当 6回、施設の清掃 毎月)
・請求書の提出方法: (持参/郵送/メール/不明)
・請求書を作っている人: (例: 代表が手書き、経理担当がExcel)
・田辺市以外の官公庁との取引: (あれば)
出力: 取引先の課|取引内容|年間の請求回数|現在の提出方法|電子化の優先度 の5列表と、優先度が高い取引の理由。【材料】にない取引や課名は補わず、確認できない項目は「要確認」と記載してください。
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招待ハガキを探すところから|利用登録から初回送信までの進め方
ここからが実務です。市の案内は、招待ハガキ(又はファックス)が届いている事業者に対し、記載内容に沿って利用登録を申し込むよう求めています。逆に言えば、最初の分かれ目は書類が手元にあるかどうかです。

以下のプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。AIは段取りの整理を助ける道具であって、登録の可否や請求内容の適否を判定する立場にはありません。判断が必要な部分は、必ず情報政策課に確認してください。
手順1: 郵便物とファックスの受信控えを1年分さかのぼる
招待ハガキは、代表者宛か経理宛か、届く先が会社ごとに違います。飲食店や小売店では、そもそも郵便物を仕分けする担当が決まっていないことも珍しくありません。まず、直近1年分の未整理の郵便物とファックスの受信控えを机に広げ、「田辺市」「BtoBプラットフォーム」「インフォマート」の3語を目印に探してください。見つかった場合は、記載内容が登録に必要な情報になるため、写真を撮って共有フォルダに置いておくと後が楽です。
手順2: 見当たらなければ、情報政策課に電話で聞く
探しても出てこない場合は、自己判断で「うちは対象外だ」と結論づけないでください。市と取引があるのに案内が届いていないのか、そもそも招待の対象になっていないのかは、市に聞けば分かる話です。電話は0739-26-9917(情報政策課)です。用件を整理してから掛けると3分で済みます。
あなたは事業者の行政手続きを手伝うアシスタントです。以下の材料から、自治体の担当課に電話するときの読み上げ用メモを150字前後で作ってください。
【材料】
・屋号(法人名)と所在地:
・田辺市との取引内容: (例: 市の施設の清掃を毎月)
・請求書の提出先の課: (分かる範囲で)
・手元にある書類: (招待ハガキ/ファックス/なし)
・確認したいこと: (例: 自社が招待の対象か、届いていない場合の手続き)
条件: 名乗り→用件→確認したいこと→折り返し先の順で書く。【材料】にない番号や日付は書かず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
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手順3: LoGoフォームから利用登録を申請する
申込みは、市が案内する田辺市 電子請求書利用登録申請フォーム(LoGoフォーム)から行います。ここで効いてくるのが、申請から登録まで約1週間を要する場合があるという市の注意書きです。月末締めの請求に間に合わせたいなら、締め日の1週間以上前には申請を終えておく必要があります。
申請前に、社内で情報を揃えておくと入力が一度で終わります。
あなたは申請フォームの入力準備を手伝うアシスタントです。以下の材料から、事業者情報の確認表を作ってください。
【材料】
・法人名(屋号)と代表者名:
・登記上の所在地と請求書に使っている住所: (違う場合は両方)
・担当者の氏名・電話番号・メールアドレス:
・適格請求書発行事業者の登録番号: (ある場合のみ)
・振込先の金融機関口座: (市に届け出ているもの)
出力: 項目|手元にある情報|不足している情報|取りに行く先 の4列表。【材料】にない番号・名義は補わず、不明な項目は「要確認」としてください。
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手順4: 誰がログインし、誰が送信するかを先に決める
システムの初期設定は、インターネットに接続できるパソコンがあれば進められると概要説明資料に整理されています。技術的な難しさより、実務でつまずくのは運用の決めごとのほうです。ログイン情報を代表者1人が持ったまま出張続きになり、請求が止まる。これは紙の押印で起きていたことが、そのまま電子に移っただけの現象です。
あなたは小規模事業者の業務ルールづくりを手伝うアシスタントです。以下の材料から、電子請求の社内運用ルール案を作ってください。
【材料】
・従業員数と経理の体制: (例: 代表と家族2人、経理は代表が兼務)
・請求書を作る人と承認する人:
・パソコンとネット環境: (例: 事務所の1台のみ)
・月の請求件数の目安:
・繁忙期に手が離せない時期: (例: 連休中)
出力: ①ログイン情報の管理方法 ②作成から送信までの担当と承認の順番 ③担当者が不在のときの代替手順 ④毎月の作業日 の4項目。【材料】にない人員や設備は補わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
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手順5: 1件目は金額の小さい請求で試す
いきなり主要取引の請求から始めないでください。初回は、金額が小さく、締め日に余裕のある1件を選びます。操作の流れは市が公開している請求書操作マニュアルと説明会動画で確認できます。説明会は2026年3月5日に開かれ、その録画が田辺市電子請求サービス事業者様向け説明会動画(YouTube)として公開されています。読むより見るほうが早い人は、こちらを先に開くのが近道です。
あなたは業務の切替を支援するアシスタントです。以下の材料から、電子請求の初回送信の実施計画を作ってください。
【材料】
・初回に電子で出す請求の内容と金額の目安:
・その請求の締め日と支払予定日:
・操作する人と立ち会う人:
・紙で出している他の請求: (件数)
・不安な点: (例: 送信できたか分からない)
出力: ①実施日と当日の手順 ②送信後に確認する項目 ③うまくいかなかった場合の連絡先と代替手段 ④次回以降に電子へ移す請求の順番。金額や支払日の断定はせず、確認できない項目は「要確認」としてください。
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紙と電子は1件ごとに決める|重複発行を防ぐ社内ルール
切替期にいちばん事故が起きやすいのが、ここです。市が注意を促しているとおり、電子と紙の重複発行は避けなければなりません。判断を担当者の記憶に任せると、繁忙期に必ず崩れます。

決め方はシンプルで構いません。利用登録が完了した日を境に、それ以降の請求は電子に寄せる。ただし工事等の前払金請求書は、市の案内どおり従来の方法(LoGoフォーム)を使う。この2行を紙に書いて、請求書を作る場所に貼るだけでも事故は減ります。あわせて、請求台帳に「提出方法」の列を1つ足してください。電子で送ったのか紙で出したのかが1件ごとに残れば、問い合わせが来たときに即答できます。
あなたは経理の業務設計を手伝うアシスタントです。以下の材料から、請求書の提出方法を取り違えないための運用ルールと台帳の様式を作ってください。
【材料】
・電子請求の利用登録が完了した日: (未完了なら「未完了」)
・田辺市あての請求の種類: (例: 物品納入、施設修繕、工事の前払金)
・請求書を作る人と保管場所:
・現在の台帳の有無: (Excel/紙/なし)
出力: ①提出方法の判断ルール(3行以内) ②台帳に必要な列の一覧 ③二重提出に気づいたときの連絡手順。制度の解釈や可否の断定はせず、確認が要る点は「要確認(情報政策課)」としてください。
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設備や業務システムの入れ替えに費用がかかる場合は、補助制度を先に確認しておくと段取りが重なります。市・県・国の制度の探し方は田辺市の事業者が使える補助金まとめ|創業・設備・販路の制度と申請手順【2026年8月】で整理しています。
送った請求書の控えは、電子のまま残す必要がある
見落とされやすいのが、送信したあとの話です。電子で請求書をやり取りすると、それは電子帳簿保存法でいう電子取引に当たります。国税庁は電子帳簿等保存制度特設サイトで、国税関係書類の保存義務者について、電子取引のデータ保存が必要であることを案内しています。紙に印刷して綴じれば終わり、という運用が前提ではないということです。
国税庁は同時に、保存時に満たすべき要件に従った保存が間に合わない「相当の理由」がある場合の猶予措置や、2課税年度前の売上高が5,000万円以下の事業者について検索機能の要件を不要とする取扱い(ダウンロードの求めに応じられることが前提)も案内しています。小規模な事業者が即座に要件違反になる制度設計ではありません。
ただし、自社がどの取扱いに当てはまるかの判断は税務の領域です。この記事では該当性の判定は行いません。会計ソフト側の対応状況から確認したい場合は、freee会計がJIIMA認証を取得|電子帳簿保存法の対応ソフト確認手順【2026年9月】で、自社のソフトが電帳法に対応しているかを調べる手順をまとめています。
あなたは事業者の書類管理を手伝うアシスタントです。以下の材料から、電子でやり取りした請求書の保存ルール案を作ってください。
【材料】
・使っている会計ソフト: (なければ「なし」)
・データの保存場所: (例: 事務所のパソコン、クラウド)
・保存しているファイル形式: (PDF/画面の印刷/不明)
・2課税年度前の売上規模の区分: (5,000万円以下/超える/不明)
・バックアップの有無:
出力: ①ファイル名の付け方の規則 ②保存先フォルダの構成 ③毎月の保存作業の手順 ④税理士に確認すべき論点の一覧。税務上の可否は断定せず、判断が要る点は「税理士に確認」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
取り違えやすい4つの誤解
自治体の制度変更でつまずくのは、たいてい次の4つのどれかです。
誤解1: 「3月から紙の請求書は受け付けてもらえない」
❌ よくある間違い: 電子化が始まったと聞いて、紙で出したら受理されないと思い込み、登録が済むまで請求そのものを止めてしまう。
⭕ 正しい理解: 市は「電子請求書での提出に加えて、従来どおり紙による請求書の受領も引き続き行ってまいります」と案内しています。電子は紙に加わる選択肢です。
なぜ重要か: 請求を止めると、入金が遅れるのは自社だからです。登録の手続きと、今月の請求を出すことは、切り離して進めてください。
誤解2: 「システムを使うなら、どうせ費用がかかる」
❌ よくある間違い: クラウドサービスだから月額がかかると決めつけ、案内を読まずに封筒を戻してしまう。
⭕ 正しい理解: 概要説明資料では、田辺市から招待された事業者について、請求書の基本サービスは無料で利用でき、一部のオプションサービス(拡張機能)を使う場合に別途費用が発生すると整理されています。市の案内ページも、事業者は無料で電子請求書を送付できると書いています。
なぜ重要か: 「無料の範囲がどこまでか」を先に把握しておけば、社内の反対意見に事実で答えられるからです。費用の話は、拡張機能を検討する段階で改めて考えれば足ります。
誤解3: 「市に送ったデータは市が持っているから、うちは保存しなくていい」
❌ よくある間違い: 送信履歴が画面に残っているから大丈夫と考え、自社側でのデータ保存を何も決めない。
⭕ 正しい理解: 電子でやり取りした請求書は、自社にとっての電子取引のデータでもあります。国税庁は電子取引のデータ保存について、要件と猶予措置をあわせて案内しています。保存の主体は、それぞれの事業者です。
なぜ重要か: システムの画面で見られることと、法令上の保存ができていることは別の話だからです。解約や仕様変更があっても手元に残る形を、最初に決めておくほうが安全です。
誤解4: 「電子にすれば、市への提出は全部これで済む」
❌ よくある間違い: 利用登録が済んだので、工事等の前払金請求書も同じシステムから送ってしまう。
⭕ 正しい理解: 市は、契約課宛に電子提出していた工事等の前払金請求書について、従来どおりの方法(LoGoフォーム)で提出するよう案内しています。経路が2つ並走する期間があるということです。
なぜ重要か: 提出先を間違えた請求書は、届いていないのと同じだからです。建設業のように前払金のやり取りがある事業者は、社内ルールにこの例外を必ず明記してください。
ここまでの作業は、市が公開している資料と手元の請求書だけで完結します。それでも「操作マニュアルを読む時間が取れない」「請求と台帳の仕組みを一度整理し直したい」という事業者の方がいるのも事実です。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、県内の事業者のデジタル面の実務支援に取り組んでいます。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは直近の請求書の控えだけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
出す前に確認する8項目
切替の現在地の確認に使ってください。請求書の控えを見ながら、当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 直近1年で田辺市あてに出した請求の件数と担当課を、一覧で言える
- □ 招待ハガキ(又はファックス)の有無を、郵便物とファックス控えまでさかのぼって確認した
- □ 見当たらない場合に、情報政策課(0739-26-9917)へ確認する日を決めている
- □ 利用登録の申請を、次の締め日の1週間以上前に出す段取りになっている
- □ ログイン情報を管理する人と、担当者不在時の代替手順を決めた
- □ 紙で出す請求と電子で送る請求の区別を、1件ごとに書いたルールがある
- □ 工事等の前払金請求書は従来どおりLoGoフォームで出す、と社内で共有した
- □ 送信した請求書のデータを、自社でどこに保存するかを決めている

特に見落とされやすいのが、4つ目の「1週間以上前」です。市は申請から登録まで約1週間を要する場合があると案内しています。締め日の当日に思い出しても、その月の請求には間に合いません。チェックが3つ未満でも心配はいりません。この記事の手順1から順に進めれば、上から埋まっていく構成にしています。
請求書の電子化は、周囲でどこまで進んでいるか
「うちのような小さな事業所が、今さら対応する必要があるのか」と感じる方のために、公表されている数字を挙げます。
総務省の令和7年版 情報通信白書によると、2024年時点で企業の80.6%が、全社または一部の部門でクラウドサービスを利用しています(通信利用動向調査)。クラウドで業務を回すこと自体は、すでに例外ではなくなっているということです。
一方で、請求まわりの人手は増えていません。日本商工会議所の「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」(2024年5月20日〜6月14日実施、回答3,149者、回収率72.9%)では、経理事務を1人で行っている事業者が92.0%、その経理担当者が他の業務と兼務している割合が78.1%と報告されています。同じ調査で、インボイス制度の導入により事務負担が増えたと感じた事業者は82.2%、コスト増を感じた事業者は48.8%でした。
自治体側の動きも田辺市だけではありません。和歌山県は電子契約サービスの運用を令和7年2月24日から開始し、事業者は費用負担なく利用できると案内しています(事業者署名型・立会人型で、メールアドレスの準備と同意書の提出が必要)。システムを提供するインフォマートも、自治体向けの案内ページで、民間企業115万社以上のデジタル化実績と、請求書クラウドサービス市場で5年連続の国内シェアNo.1(2025年6月現在、東京商工リサーチ調べ)を掲げています。
数字はいずれも公表資料からの引用で、ここから「いずれ紙が廃止される」といった将来予測をするつもりはありません。確認できるのは、請求書を電子でやり取りする相手が、官民ともに増えているという事実だけです。1人で経理を回している事業者ほど、締め日に郵便局へ走る時間が削れる効果は大きくなります。経理の手が足りない場合の外注ラインの引き方は、小規模向け経理代行が9月1日開始|和歌山の1人経理が外注を決める線【2026年9月】で整理しました。
そして、電子に慣れておく価値は市との取引の外にもあります。民間の取引先にも同じ形で請求を出せるようになれば、切替の手間は一度で済みます。
あなたは取引先への案内文を書くアシスタントです。以下の材料から、請求書を電子でやり取りしたい旨を伝える連絡文を200字前後で作ってください。
【材料】
・自社名と担当者名:
・相手先と取引内容:
・電子で送りたい理由: (例: 郵送の手間と到着日のばらつきを減らしたい)
・こちらで対応できる方法: (例: PDFをメール添付)
・切替を希望する時期:
条件: 相手に費用や手間を求める表現は使わない/断られた場合に備えて従来どおりの方法も選べると書く。【材料】にないシステム名や条件は書かず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
よくある質問
Q. 田辺市の電子請求は、いつから始まりましたか?
市の案内では、電子請求システム「BtoBプラットフォーム」の導入時期は令和8年(2026年)3月23日で、同日より順次、電子取引を開始するとされています。事業者向けの説明会は2026年3月5日に開かれ、その動画が公開されています。2026年9月19日時点で、利用登録の受付を終了する日は示されていません。
Q. 田辺市と取引がありますが、必ず電子請求に切り替えないといけませんか?
市は紙による請求書の受領も引き続き行うと案内しています。切替が必須であるという記載は、2026年9月19日時点の案内ページには見当たりません。ただし招待ハガキ(又はファックス)が届いている場合は、記載内容に沿った申込みが求められています。自社の扱いが分からない場合は情報政策課(0739-26-9917)へご確認ください。
Q. 利用料はかかりますか?
市の案内ページには、事業者は田辺市へ無料で電子請求書を送付することが可能と書かれています。概要説明資料では、招待された事業者は請求書の基本サービスを無料で利用でき、一部のオプションサービス(拡張機能)を利用する場合は別途費用が発生すると整理されています。拡張機能の具体的な料金は市の資料では示されていないため、必要になった段階でシステムの提供元に確認してください。
Q. 招待ハガキが見当たりません。どうすればいいですか?
自己判断で対象外と決めずに、情報政策課に問い合わせてください。市と取引があっても、郵便物が社内で埋もれているだけというケースは十分にあります。電話の前に、屋号・所在地・取引内容・請求書の提出先の課をメモにまとめておくと、確認が一度で終わります(手順2のプロンプトが使えます)。
Q. 工事の前払金の請求書も、このシステムから送るのですか?
いいえ。市は、契約課宛に電子提出していた工事等の前払金請求書について、従来どおりの方法(LoGoフォーム)で提出するよう案内しています。通常の請求と経路が分かれるため、建設業の方は社内ルールにこの例外を明記しておくことをおすすめします。
Q. 電子で送った請求書の控えは、印刷して紙で保管すればいいですか?
電子でやり取りした請求書は電子帳簿保存法でいう電子取引に当たり、国税庁は電子取引のデータ保存について要件と猶予措置を案内しています。紙に印刷して保管すれば足りるかどうかは、自社の状況によって扱いが変わる部分です。この記事では判定を行いません。会計ソフトの対応状況から確認する手順はfreee会計がJIIMA認証を取得|電子帳簿保存法の対応ソフト確認手順【2026年9月】にまとめています。
Q. 電子と紙を両方出してしまったら、どうなりますか?
市は電子での請求書と紙の請求書の重複発行に注意するよう求めています。気づいた時点で、提出先の課と情報政策課に速やかに連絡してください。予防策としては、請求台帳に「提出方法」の列を追加し、1件ごとに電子か紙かを記録するのが確実です。
Q. 田辺市以外の取引先にも、同じ形で請求書を出せますか?
システムの提供元であるインフォマートは、民間企業115万社以上での利用実績を公表しています。ただし市の案内で無料とされているのは、招待を受けた事業者が使う請求書の基本サービスの範囲です。他社との利用条件は取引先やシステム提供元に確認してください。経理全体の負荷を見直したい場合は、小規模向け経理代行が9月1日開始|和歌山の1人経理が外注を決める線【2026年9月】が判断材料になります。
まとめ:今週のうちに決めておきたいこと
- 今日: 直近1年で田辺市あてに出した請求を書き出し、招待ハガキ(又はファックス)が届いていないかを郵便物までさかのぼって確認する
- 今週中: 見つからなければ情報政策課(0739-26-9917)に確認し、届いていれば記載内容に沿ってLoGoフォームから利用登録を申請する(登録まで約1週間を要する場合あり)
- 今月中: ログイン情報の管理者と代替手順を決め、金額の小さい1件で初回送信を試し、紙と電子の区別と保存場所を社内ルールに書く
締切が示されていない制度ほど、着手日を自分で決めなければ動きません。次の請求の締め日から1週間さかのぼった日を、そのまま自社の締切に置き換えるのがいちばん実行しやすいやり方です。
あわせて確認: 消費税の仕入税額控除まわりの期限はインボイス経過措置80%は9月まで|10月から70%・50%はいつ【2026年9月】、市の支援制度は田辺市の事業者が使える補助金まとめ|創業・設備・販路の制度と申請手順【2026年8月】で扱っています。
参考・出典
- 田辺市「電子請求サービスの導入について」(更新日: 令和8年3月19日。電子請求システム「BtoBプラットフォーム」の導入、令和8年3月23日開始、無料での電子請求書送付、利用登録の申請と約1週間の所要、招待ハガキ・ファックス、紙の請求書の継続受領、重複発行の注意、工事等前払金請求書の従来どおりの提出、問い合わせ先 情報政策課 0739-26-9917) 田辺市 電子請求サービスの導入について (参照日: 2026-09-19)
- 田辺市「電子請求システム 概要について(事業者様向け 概要説明資料)」(導入の目的、招待された事業者の基本サービス無料と拡張機能の別途費用、令和8年3月23日より順次の電子取引開始) 田辺市「電子請求システム」概要について(PDF) (参照日: 2026-09-19)
- 田辺市「電子請求書利用登録申請」フォーム(LoGoフォーム) 田辺市 電子請求書利用登録申請フォーム (参照日: 2026-09-19)
- 田辺市「電子請求サービス事業者様向け説明会動画 20260305」(2026年3月5日開催の説明会の録画) 田辺市電子請求サービス事業者様向け説明会動画 (参照日: 2026-09-19)
- 田辺市「令和8・9年度 物品入札参加者等登録申請受付について(追加登録)」(受付期間 令和8年8月1日〜8月31日、登録の有効期間 令和8年10月1日〜令和10年3月31日、対象は物品(食料品を除く)及び役務等) 田辺市 令和8・9年度 物品入札参加者等登録申請受付について(追加登録) (参照日: 2026-09-19)
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(電子取引データ保存の必要性、猶予措置、検索機能の要件に関する案内) 国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト (参照日: 2026-09-19)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」クラウドサービス(2024年の企業のクラウドサービス利用率80.6%。出典: 通信利用動向調査) 総務省 令和7年版 情報通信白書 クラウドサービス (参照日: 2026-09-19)
- 日本商工会議所「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」(2024年5月20日〜6月14日実施、回答3,149者・回収率72.9%。経理事務を1人で行う事業者92.0%、経理の兼務78.1%、事務負担増82.2%、コスト増48.8%) 日本商工会議所 中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査 (参照日: 2026-09-19)
- 和歌山県「電子契約サービスについて」(令和7年2月24日運用開始、事業者は費用負担なく利用可能、事業者署名型(立会人型)、メールアドレスと同意書の提出) 和歌山県 電子契約サービスについて (参照日: 2026-09-19)
- 株式会社インフォマート「自治体と民間事業者の見積・発注・契約・請求業務をデジタル化」(民間企業115万社以上の実績、請求書クラウドサービス市場で5年連続の国内シェアNo.1。2025年6月現在、東京商工リサーチ調べ) インフォマート 自治体向け BtoBプラットフォーム (参照日: 2026-09-19)
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※本記事は2026年9月19日時点で公表されている一次情報に基づく整理です。個別の登録可否・請求内容の取扱い・電子帳簿保存法の該当性についての判断は行っていません。手続きの詳細は田辺市 情報政策課(電話 0739-26-9917)へ、税務に関わる論点は顧問税理士・所轄税務署へご確認ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。