
結論: 和歌山の宿泊者数を示す公的統計は2つあります。観光庁の宿泊旅行統計調査では、2025年の和歌山県の延べ宿泊者数は495万5,910人泊(前年比マイナス1.1%)、うち外国人は87万7,270人泊(プラス11.3%)、客室稼働率は48.4%で全国平均61.6%を13.2ポイント下回りました。和歌山県の観光客動態調査では、2025年の宿泊客数は547万2,043人泊(前年比108.1%)で5年連続の増加、外国人宿泊客は71万4,428人泊(同140.0%)で過去最多です。2026年に入ってからは、近畿運輸局の資料で2月の和歌山県の延べ宿泊者数が34万990人泊(前年同月比プラス12.2%)と伸びた一方、全国の7月は前年同月比マイナス4.7%、8月はマイナス6.7%でした。県内の事業者が今やることは「県全体の数字を眺める」ことではなく、「自社の市町村の数字を3つ書き出す」「自社の稼働率を県平均と並べる」「自社の町の月別の山谷に自社の予約を重ねる」の3つです。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県内(白浜町・田辺市・那智勝浦町・串本町・和歌山市・高野町・新宮市・みなべ町・有田・日高・紀北)で旅館・ホテル・民宿・ゲストハウス・一棟貸しを営む経営者と現場担当者。宿泊客を相手にする飲食店・観光体験・土産店、和歌山へ客を送る泉佐野・岸和田・堺など泉州・南大阪と関西・三重の事業者も含みます 読了後にできること: 観光庁と県の2つの統計を正しく言い分け、自社の市町村の宿泊客数・前年比・外国人比率と、町の月別・発地別の構成を自社の予約台帳に重ねて、来年の閑散期と集客経路の打ち手を数字で決められる状態になる
「県の観光客が過去最多と聞いたのに、うちの平日は去年より空いています」
白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中で、こうした声を聞くことがあります。県の観光客総数は2025年に3,392万7,940人で過去最多に近づき、宿泊客数も547万人泊と増えました。けれど、その数字は白浜町の183万人泊と和歌山市の109万人泊で半分以上を占める県の合計で、あなたの宿がある町の数字でも、あなたの宿の平日の数字でもありません。
インターネットで「和歌山 宿泊者数 2026 統計」と検索すると、観光庁の速報や県の発表記事は見つかります。けれど、「観光庁の495万人泊と県の547万人泊はなぜ違うのか」「自分の町は増えたのか減ったのか」「自分の町の月別の山谷は自分の宿と同じか」「2026年の和歌山はどう動いているのか」「この数字を融資や宿泊税の意見や予約サイトとの交渉にどう使うのか」までは、1本の記事では出てきません。
数字が打ち手に変わらない原因は、統計の知識が足りないからではありません。宿泊統計で事業者が困るのは数字の多さではなく、「自社の市町村」「自社の稼働率」「自社の月別の予約」という自社側の3つの数字が県の数字と同じ単位で並んでいないことです。単位を揃えて、並べて、差を見る。この順番で進めれば、県の数字が増えても減っても、自社の来月の判断に使えます。
この記事では、和歌山DX総合研究所が、観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年確定値と2026年の月次公表)、和歌山県の令和7年観光客動態調査報告書、近畿運輸局の月次資料、実在の宿の公表情報だけを根拠に、和歌山の宿泊者数の確定事実を整理したうえで、県内の宿と店が数字を打ち手に変える7ステップ、そのままコピペで使える8本のAIプロンプト、業種別の確認項目、統計の読み違いで起きる4つの失敗パターン、8項目のチェックリストをまとめます。先月の予約台帳か、直近12か月の月別売上を手元に置いて読み進めてください。
目次
まず結論:和歌山の宿泊統計を打ち手に変える7ステップ(即効テンプレ)
最初に全体像です。7つを上から順に進めれば、県の統計が自社の月次の判断材料に変わります。
| ステップ | やること | 今日できる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. 自社の市町村の数字を3つ書き出す | 県の報告書から自社の町の宿泊客数・前年比・外国人宿泊客数を写す | 県の報告書を開き、自社の町の行を探す |
| 2. 自社の稼働率を県平均と並べる | 直近12か月の客室稼働率を出し、県平均48.4%と施設タイプ別の数字と並べる | 先月の販売室泊数と客室数×日数を数える |
| 3. 自社の町の月別の山谷に自社の予約を重ねる | 白浜町なら3月18万2,898人泊と2月12万9,039人泊の差に、自社の月別を重ねる | 直近12か月の月別売上を12行で書く |
| 4. 発地別の構成で集客経路を決める | 県の宿泊客の44.5%が近畿、白浜は39.0%が大阪という構成を自社と比べる | 先月の予約の住所欄を府県別に数える |
| 5. 外国人比率で多言語投資の優先度を決める | 県13.1%、高野町59.3%という比率に自社の比率を並べる | 先月の外国人宿泊の人泊数を数える |
| 6. 観光庁の月次速報を月1回記録する | 毎月末の公表で和歌山県の延べ宿泊者数・前年同月比・稼働率を記録する | 観光庁の公表ページをブックマークする |
| 7. 数字を1枚にして外に使う | 融資・宿泊税の意見・OTA交渉・補助金の申請書に自社と地域の数字を添える | ステップ1〜3の数字をA4に1枚で並べる |

ポイントは順番です。多くの事業者は「インバウンドが増えているから英語対応を」と外側の数字から入りますが、自社の稼働率と月別の予約が数字になっていないと、どの打ち手が効いたかを後から確かめられません。ステップ1〜3は県の報告書と自社の予約台帳だけで今週中に終わり、ステップ4〜5は先月の予約1か月分を数えるだけで今月中に終わり、ステップ6〜7はその後に月1回の習慣として回すのが目安です。 どのステップも着手は30分〜2時間ででき、使うのは予約台帳といつものスマホ、無料のAIだけです。
和歌山の宿泊者数とは|「観光庁の495万人泊」と「県の547万人泊」の違いと基本の読み方
宿泊者数の統計には、同じ「和歌山の宿泊」を違う方法で数えた2つがあります。観光庁の宿泊旅行統計調査は、全国の宿泊施設を対象に毎月実施する国の調査で、都道府県ごとの延べ宿泊者数(人泊)、日本人と外国人の内訳、客室稼働率を、翌月末に第1次速報、翌々月末に第2次速報、翌年に確定値として公表します。和歌山県の観光客動態調査は、県が市町村ごとに観光客数と宿泊客数を推計し、年1回まとめる県の調査で、市町村別・月別・発地別の表があります。
「和歌山の宿泊者数はいくらか」と聞かれたとき、答えは2つに分けないと正しく伝わりません。
- 観光庁の数字(2025年確定値): 観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(確定値))」によると、和歌山県の延べ宿泊者数は495万5,910人泊(前年比マイナス1.1%)、うち日本人407万8,640人泊(マイナス3.5%)、外国人87万7,270人泊(プラス11.3%)。客室稼働率は全体48.4%で、旅館36.7%、リゾートホテル50.9%、ビジネスホテル62.7%、シティホテル68.4%、簡易宿所23.7%。全国は延べ6億6,111万人泊(プラス0.3%)、稼働率61.6%
- 県の数字(2025年): 和歌山県「令和7年観光客動態調査報告書」によると、観光客総数3,392万7,940人(前年比103.7%)、宿泊客数547万2,043人泊(同108.1%)、外国人宿泊客71万4,428人泊(同140.0%)。紀伊民報の2026年4月27日の記事によると、観光客総数は2019年の3,543万3,000人にはまだ届いていません
- 2つが違う理由: 観光庁は宿泊施設への調査をもとに都道府県単位で推計し、県は市町村からの報告をもとに推計します。対象施設と推計方法が違うので、同じ年でも約52万人泊の差が出ます。どちらが正しいかではなく、月次と全国比較は観光庁、市町村別と発地別は県、と使い分けます

そのうえで、和歌山の宿泊者数について2026年10月8日時点で確定している事実は、次の6つです。
- 市町村の偏り: 県の報告書の市町村別宿泊客数は、白浜町183万727人泊(前年比105.6%)、和歌山市109万4,739人泊(108.1%)、串本町53万4,743人泊(118.9%)、那智勝浦町46万4,881人泊(106.9%)、田辺市44万332人泊(107.6%)で、この5市町で県の79.8%を占めます。高野町は19万8,211人泊(98.3%)で減少、新宮市18万7,788人泊(116.7%)、みなべ町17万7,521人泊(129.4%)は増加です
- 月別の山谷: 町ごとに山と谷が違います。白浜町は最多3月18万2,898人泊に対し最少2月12万9,039人泊で差は1.4倍、串本町は最多12月5万8,911人泊に対し最少2月2万7,827人泊で2.1倍、高野町は最多10月2万6,571人泊に対し最少1月4,623人泊で5.7倍です。那智勝浦町は8月5万2,257人泊が山で6月2万9,600人泊が谷、田辺市は8月5万742人泊が山で2月2万2,942人泊が谷、和歌山市は8月10万9,703人泊が山で6月7万8,127人泊が谷です
- 発地の構成: 県の宿泊客のうち近畿からが44.5%、関東10.3%、外国人13.1%、県内9.1%(49万6,000人泊・前年比93.3%)。白浜町は大阪からが71万4,912人泊で39.0%、串本町も大阪からが22万8,704人泊で42.8%です
- 外国人の内訳: 県の集計では中国24万3,635人泊(34.1%)、欧米豪22万2,723人泊(31.2%)、台湾5万5,899人泊(7.8%)、香港3万5,366人泊(5.0%・前年比72.1%)、韓国3万527人泊(4.3%)。市町村別の外国人宿泊は白浜町14万7,547人泊、和歌山市14万4,106人泊、高野町11万7,512人泊、那智勝浦町11万4,821人泊、田辺市9万1,309人泊で、高野町は宿泊客の59.3%が外国人です
- 2019年との比較: 県の宿泊客数は2019年の550万2,058人泊に対し2025年は547万2,043人泊で、まだ0.5%下回ります。2020年の324万3,968人泊から5年連続で増えて戻ってきた段階です
- 2026年の動き: 近畿運輸局「関西の観光統計について(2026年2月分)」によると、2026年2月の和歌山県の延べ宿泊者数は34万990人泊(前年同月比プラス12.2%)、客室稼働率は44.3%で、1月の稼働率は38.9%でした。観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年8月・第1次速報、2026年7月・第2次速報)」(2026年9月30日公表)によると、全国の延べ宿泊者数は7月5,397万人泊(前年同月比マイナス4.7%・稼働率61.0%)、8月6,268万人泊(マイナス6.7%・稼働率64.4%)で、同じ資料の7月の大阪府は外国人延べ宿泊者数179万8,490人泊(マイナス10.5%)、客室稼働率72.6%でした
和歌山の宿泊者数の確定事実は「2025年は観光庁で495万人泊・県で547万人泊、県内5市町で8割、町ごとに山谷の深さが1.4倍から5.7倍まで違う、近畿が44.5%」「2026年は2月に前年同月比プラス12.2%で、全国が夏に減る中で和歌山の月次は自分で追う必要がある」の2点で、県全体の増減がそのまま自社の町や自社の宿の増減を意味する事実はありません。 以降の7ステップは、この6つの事実だけを前提に組み立てています。30市町村すべての増減は、和歌山県の観光客数 市町村別2025|30市町村の増減と明日の打ち手【2026年9月】で整理しています。
泉州・南大阪の読者向けに補足します。白浜町の宿泊客の39.0%、串本町の42.8%は大阪からで、南海と阪和自動車道、関空から和歌山へ向かう旅行者の多くが泉佐野・岸和田・堺を通ります。2026年7月に大阪府の外国人延べ宿泊者数がマイナス10.5%だった一方で、2月の和歌山県がプラス12.2%だったという数字は、泉州の宿や飲食店にとって「大阪に泊まらず南へ抜ける客」の動きを月ごとに見る必要があることを示す材料です。和歌山市から近い順に泉州の事業者も、送客先の和歌山の宿泊がどう動いているかを知っておく必要があるため、和歌山DX総合研究所では2つの統計を事業者目線で整理しています。
和歌山の宿と店が統計を打ち手に変える7ステップ(完全版)
ここからが本体です。各ステップのプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。( )の中を自社の事実に書き換えて送信してください。AIが作れるのは表の整理と比較の下書きまでで、人泊数・前年比・稼働率は観光庁と県の公表資料から写した数字だけを使い、AIに推測させてはいけません。 その前提で使えば、県の報告書から自社の町の行を探して並べる時間は大きく減らせます。
ステップ1: 自社の市町村の数字を3つ書き出す(宿泊客数・前年比・外国人)
最初にやるのは、県全体の547万人泊を覚えることではなく、自社の町の行を県の報告書から写すことです。必要なのは「宿泊客数」「前年比」「外国人宿泊客数」の3つだけです。白浜町なら183万727人泊・105.6%・14万7,547人泊、田辺市なら44万332人泊・107.6%・9万1,309人泊、高野町なら19万8,211人泊・98.3%・11万7,512人泊です。自社の町の3つの数字が1行で書けていれば、県が過去最多でも自社の町が減っていた場合に、県の数字に引きずられずに判断できます。 隣の町の数字も同じ行に書いておくと、商圏の変化が見えます。
あなたは観光統計の読み方に慣れたアドバイザーです。以下の材料から、私の事業所がある市町村の宿泊客数の現状を1枚にまとめてください。
【材料】
・自社の市町村と業種: (例: 田辺市の民宿8室)
・自社の町の2025年宿泊客数と前年比: (例: 44万332人泊・107.6%。和歌山県令和7年観光客動態調査報告書より)
・自社の町の外国人宿泊客数: (例: 9万1,309人泊)
・隣接する市町村の数字: (例: 白浜町183万727人泊・105.6%、みなべ町17万7,521人泊・129.4%)
・県全体: 547万2,043人泊・108.1%
出力: ①自社の町と隣町と県の3行の比較表 ②自社の町の外国人比率 ③県全体と自社の町で伸び率が違う場合の確認項目。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、報告書の年を取り違えないことです。県の報告書は令和7年(2025年)分が最新で、2026年分の市町村別は例年どおりなら2027年春の速報値まで出ません。資料名と年を表の欄外に書いてください。
ステップ2: 自社の稼働率を県平均48.4%と施設タイプ別に並べる
県の稼働率は、自社の数字を並べて初めて意味を持ちます。観光庁の2025年確定値で和歌山県の客室稼働率は48.4%、旅館36.7%、リゾートホテル50.9%、ビジネスホテル62.7%、シティホテル68.4%、簡易宿所23.7%です。自社の稼働率は「販売した室泊数÷(客室数×営業日数)」で出ます。客室8室で30日営業なら分母は240室泊で、48.4%なら116室泊、旅館の36.7%なら88室泊が県平均と同じ水準です。自社の直近12か月の稼働率を県の施設タイプ別の数字と並べ、県平均より高い月と低い月を色分けできれば、値下げではなく「低い月に何をするか」の議論に入れます。 稼働率の計算と検算は、小さな宿のRevPAR計算|4室・7日間の記入表とADR・稼働率の検算【2026年9月】の記入表が使えます。
あなたは小さな宿の経営数字に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、私の宿の客室稼働率を県平均と並べた表を作ってください。
【材料】
・客室数と営業日数: (例: 8室・月30日)
・直近12か月の販売室泊数: (例: 1月70、2月62、3月110、…12月85)
・施設タイプ: (例: 旅館)
・和歌山県の2025年稼働率: 全体48.4%、旅館36.7%、リゾートホテル50.9%、ビジネスホテル62.7%、シティホテル68.4%、簡易宿所23.7%(観光庁 宿泊旅行統計調査 2025年確定値)
・全国の2025年稼働率: 全体61.6%
出力: ①月別の自社稼働率の表 ②県平均と自社タイプの数字との差(ポイント) ③県平均を下回る月の一覧。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、県の稼働率が「年間平均」であることです。自社の8月が県の48.4%を上回るのは当然で、比べるべきは年間平均どうし、または観光庁の月次速報の同じ月どうしです。
ステップ3: 自社の町の月別の山谷に自社の予約を重ねる(白浜は2月が3月の7割・高野は1月が10月の2割弱)
ここが記事の核心です。県の報告書には市町村別の宿泊客数の月別推移表があり、町ごとに山谷の形が違います。白浜町は3月18万2,898人泊が山で2月12万9,039人泊が谷と、年間を通じて谷が浅い町です。串本町は12月5万8,911人泊が山で2月2万7,827人泊が谷と、冬に山がある珍しい町です。高野町は10月2万6,571人泊に対し1月4,623人泊で5.7倍の差があり、那智勝浦町は8月が山で6月が谷、田辺市は8月が山で2月が谷、和歌山市は8月が山で6月が谷です。自社の月別売上を12行で書き、町の12行と並べると、「町が谷の月に自社も谷」なのか「町が山の月なのに自社だけ谷」なのかが分かります。町も自社も谷の月は商品と価格の設計で埋める月、町は山なのに自社だけ谷の月は集客経路と掲載情報に穴がある月で、打ち手がまったく違います。 谷の月の商品設計は、宿の閑散期対策|予約データ・限界利益・現場負荷から選ぶ90日の実務ガイド【2026年】で扱っています。
あなたは宿泊施設の需要分析に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、町の月別宿泊客数と私の宿の月別売上を重ねた表を作り、谷の月を分類してください。
【材料】
・自社の町の2025年月別宿泊客数(人泊): (和歌山県令和7年観光客動態調査報告書の「市町村別 宿泊客数 月別推移表」から自社の町の12か月分をそのまま貼る。例: 白浜町は最多3月182,898/最少2月129,039)
・自社の直近12か月の月別売上か販売室泊数: (例: 1月…)
・自社の最多月を100とした指数で比べたい
出力: ①町と自社の月別指数の対比表 ②「町も自社も谷」「町は山で自社だけ谷」「自社だけ山」の3分類 ③分類ごとに最初に確認する項目1つ。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、県全体の月別を自社の町の代わりに使わないことです。高野町のように外国人が6割の町や、串本町のように大阪からの客が4割を超える町では、県の山谷と町の山谷がずれます。必ず報告書の自社の町の行を使ってください。
ステップ4: 発地別の構成で集客経路を決める(近畿44.5%・白浜は大阪が39.0%)
県の宿泊客の発地は、近畿44.5%、関東10.3%、外国人13.1%、県内9.1%です。白浜町は大阪からが71万4,912人泊で39.0%、関東からが20万7,807人泊で11.4%、兵庫からが15万8,006人泊で8.6%。串本町は大阪42.8%に県内19.8%が続き、和歌山市は大阪18万151人泊(16.5%)に外国人14万4,106人泊(13.2%)が続きます。自社の先月の予約の住所欄を府県別に数え、この構成と比べてください。自社の大阪比率が町の比率より低いなら南海・阪和道・関空経由の客を取りこぼしており、関東比率が町より低いなら羽田便と新幹線経由の客向けの情報が足りない、というように、発地の差がそのまま集客経路の穴になります。 県内客が前年比93.3%と減った点も、地元向けの日帰り・近場需要を扱う飲食店や体験事業者には重要です。
あなたは宿泊施設と観光事業者の集客経路に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、私の事業所の発地別構成を町の構成と比べ、集客経路の穴を見つけてください。
【材料】
・自社の市町村: (例: 白浜町)
・自社の先月の予約の発地別人泊数: (例: 大阪60、兵庫10、京都8、関東25、県内12、外国人30、不明20)
・町の発地別構成: (例: 白浜町は大阪39.0%、関東11.4%、兵庫8.6%。和歌山県令和7年観光客動態調査報告書)
・県全体: 近畿44.5%、関東10.3%、外国人13.1%、県内9.1%
・自社の主な集客経路: (例: じゃらん、楽天トラベル、公式サイト、Google)
出力: ①自社と町と県の発地別構成の対比表 ②町より低い発地の一覧 ③発地ごとに確認する掲載先・交通経路の情報1つ。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、予約サイト経由の予約には住所が入らない場合があることです。和歌山市は報告書でも発地「不明」が32万3,844人泊(29.6%)あります。発地不明が多い宿は、チェックイン時の宿泊者名簿の住所欄を集計に使ってください。
ステップ5: 外国人比率で多言語投資の優先度を決める(県13.1%・高野町59.3%)
外国人の増加率だけを見ると判断を誤ります。県の外国人宿泊客は71万4,428人泊で前年比140.0%と大きく伸びましたが、宿泊客全体に占める比率は13.1%で、残りの87%は日本人です。観光庁の数字でも外国人は87万7,270人泊で延べ宿泊者数の17.7%です。一方で高野町は宿泊客の59.3%が外国人、白浜町は14万7,547人泊で約8%、和歌山市は14万4,106人泊で13.2%と、町によって比率が7倍以上違います。自社の外国人比率が町の比率を下回っていて、かつ町の比率が2割を超えるなら多言語対応は優先投資、町の比率が1割未満なら先に国内客の月別の谷を埋めるほうが売上への効き目が大きい、という順番で決めてください。 国籍別は中国34.1%、台湾7.8%、米国6.0%、フランス5.3%、香港5.0%で、高野町は外国人11万7,512人泊のうち欧米豪が10万2,919人泊、白浜町は14万7,547人泊のうち中国が9万257人泊と、町で主役が違います。3つの外国人統計の違いは、和歌山のインバウンド観光客数|49.6万人と71.4万人泊・87.7万人泊の違い【2026年】で整理しています。
あなたは宿泊施設のインバウンド対応の優先順位づけに詳しいアドバイザーです。以下の材料から、私の宿で多言語対応にどの程度の優先度を置くべきかを整理してください。
【材料】
・自社の市町村と業種: (例: 高野町の宿坊、客室12室)
・自社の先月の外国人宿泊人泊数と全体: (例: 外国人180人泊/全体420人泊)
・町の外国人比率と主な国・地域: (例: 高野町59.3%、欧米豪10万2,919人泊。和歌山県令和7年観光客動態調査報告書)
・県全体の外国人比率: 13.1%、国籍別は中国34.1%、台湾7.8%、米国6.0%、フランス5.3%、香港5.0%
・自社の現状の多言語対応: (例: 英語の館内案内あり、予約メールは日本語のみ)
出力: ①自社と町と県の外国人比率の対比 ②優先度(高・中・低)とその根拠 ③優先度に応じた最初の対応1つ。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、2026年の国籍別の動きが2025年と違う可能性です。県の集計でも香港は2025年に前年比72.1%と減っており、国・地域ごとの増減は毎年見直してください。
ステップ6: 観光庁の月次速報を月1回記録する(毎月末公表・速報は後から改定)
県の報告書は年1回ですが、観光庁の宿泊旅行統計調査は毎月末に公表され、報道発表資料と集計結果のExcelに都道府県別の延べ宿泊者数と客室稼働率の表があります。近畿運輸局はその都道府県別の数字を「関西の観光統計について」として月ごとにまとめており、2026年2月分では和歌山県が34万990人泊で前年同月比プラス12.2%、稼働率44.3%、1月分の稼働率は38.9%でした。2026年9月30日公表の資料では、全国の7月が5,397万人泊でマイナス4.7%、8月が6,268万人泊でマイナス6.7%と減っています。7月分・8月分の和歌山県の行は、観光庁の集計結果のExcelから自分で写してください(本記事では引用していません)。毎月末に観光庁の公表ページを開き、「和歌山県の延べ宿泊者数・前年同月比・稼働率」の3つを自社の同じ月の数字の横に書き足すだけで、1年後には県と自社の12か月分の対比表が自動的にできあがります。 2026年1月分から調査の層化基準が従業者数から客室数に変わったため、観光庁は前年同月比に見直しの影響が含まれる可能性があると注記しています。2026年の前年比は、この注記つきで読んでください。
あなたは観光統計の月次モニタリングに慣れた事務担当者です。以下の材料から、観光庁の月次速報を記録する表の様式と、毎月の記入手順を作ってください。
【材料】
・記録したい項目: 和歌山県の延べ宿泊者数、前年同月比、客室稼働率(全体・自社の施設タイプ)、全国と大阪府の前年同月比
・直近の記録例: 2026年2月 和歌山県340,990人泊・プラス12.2%・稼働率44.3%(近畿運輸局「関西の観光統計について(2026年2月分)」)、2026年7月 全国マイナス4.7%・稼働率61.0%(観光庁、2026年9月30日公表)
・自社の同じ月の数字: (例: 2026年2月の販売室泊数130・稼働率58.0%)
・注意点: 2026年1月分から層化基準が従業者数から客室数へ変更、前年同月比に影響の可能性(観光庁の注記)
出力: ①12か月分の記入表の様式(列の定義つき) ②毎月末の記入手順を5行で ③前年同月比を読むときの注意書き。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、第1次速報と第2次速報と確定値で数字が改定されることです。表には「どの速報か」の列を必ず作り、確定値が出たら上書きしてください。
ステップ7: 数字を1枚にして融資・宿泊税の意見・OTA交渉に使う
ステップ1〜6で出た数字は、社内の判断だけでなく外向きの書類に使えます。創業融資や設備資金の申込書には、自社の町の宿泊客数と前年比、自社の稼働率と県平均の差を書けば、「需要の根拠」が数字になります。白浜町で2027年3月に始まる宿泊税と、県が検討中の宿泊税については、自社の年間人泊数と稼働率を添えた意見が制度に反映される余地があります。予約サイトとの手数料やプラン設計の交渉でも、「町の大阪比率39%に対して当館は25%」のような数字があれば、掲載枠や特集の要望に根拠がつきます。A4一枚に「自社の町の3つの数字」「自社の稼働率と県平均の差」「月別の対比」「発地別の対比」を並べたものは、融資・宿泊税・OTA・補助金のどの書類にもそのまま転記できる、自社で最も使い回しのきく資料です。 宿泊税の登録と表示の実務は、宿泊税の導入が全国に拡大|白浜町は2027年3月開始、宿が今週やる6ステップ【2026年9月】で整理しています。
あなたは中小事業者の事業計画書づくりに慣れた事務担当者です。以下の材料から、融資申込書や意見書に添える「地域の需要と自社の現状」をA4一枚(600字以内)にまとめてください。
【材料】
・自社の市町村と業種: (例: 那智勝浦町の旅館10室)
・自社の町の2025年宿泊客数と前年比: (例: 46万4,881人泊・106.9%、和歌山県令和7年観光客動態調査報告書)
・県の2025年稼働率と自社の直近12か月稼働率: (例: 県48.4%・旅館36.7%、自社41%)
・2026年の動き: 和歌山県の2026年2月延べ宿泊者数340,990人泊・前年同月比プラス12.2%(近畿運輸局「関西の観光統計について(2026年2月分)」)
・使う目的: (例: 客室改装の設備資金申込)
出力: ①見出しつきの600字以内の本文 ②引用した統計の出典と参照日の一覧 ③数字の裏付けとして添付する資料の名前。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは宿泊施設と予約サイトの交渉に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、予約サイトの担当者に送る掲載強化の依頼文(300字以内)を作ってください。
【材料】
・自社の市町村と施設: (例: 白浜町のペンション6室)
・町の発地別構成: (例: 白浜町は大阪39.0%、関東11.4%、兵庫8.6%)
・自社の発地別構成: (例: 大阪25%、関東8%、兵庫5%、外国人12%)
・依頼したいこと: (例: 関西発の特集ページへの掲載、平日プランの露出)
・根拠にする統計: 和歌山県令和7年観光客動態調査報告書、観光庁 宿泊旅行統計調査
出力: ①依頼文(300字以内、数字の出典を1行添える) ②担当者から聞かれそうな質問2つとその答え。材料にない数字は使わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、融資や補助金の書類で県の数字を自社の見込みに置き換えないことです。「町は7.6%増だから当館も7.6%増」とは書かず、自社の月別実績と、それを上回る根拠を分けて書いてください。補助金の公募年度・締切・補助率は制度ごとに異なるため、必ず最新の公募要領をご確認ください。
業種別・和歌山の宿泊統計で見る数字と今週の確認項目
同じ和歌山の事業者でも、宿泊統計のどの数字が効くかは業種で違います。自社に近い列から着手してください。
| 業種 | 見る数字 | 今週の確認項目 |
|---|---|---|
| 宿泊施設(旅館・民宿・ゲストハウス・一棟貸し) | 自社の町の宿泊客数と前年比、県の施設タイプ別稼働率(旅館36.7%・簡易宿所23.7%)、自社の町の月別の谷(白浜2月・串本2月・高野1月) | 直近12か月の自社稼働率、県平均を下回る月、先月の発地別人泊数 |
| 飲食店(宿泊客を相手にする店) | 自社の町の宿泊客数と日帰り客の比率、県内客の減少(前年比93.3%)、外国人比率(高野町59.3%・白浜町約8%) | 夕食なしプランの宿が近くに何軒あるか、夜の営業日と町の山谷の重なり |
| 観光体験・交通(熊野古道ガイド・海の体験・貸切バス) | 発地別の構成(近畿44.5%・関東10.3%)、外国人の国籍別(中国34.1%・欧米豪31.2%)、高野・田辺は欧米豪、白浜・那智勝浦は中国が首位 | 予約の発地と言語の記録、関空・南海・羽田便経由の客向け情報の有無 |
| 小売・土産(道の駅・温泉街の店) | 自社の町の宿泊客数と観光客総数の差(日帰りの多さ)、町の月別の山(白浜3月・串本12月・高野10月) | 山の月の在庫と人員、宿への卸や置き土産の提案先の宿泊客数 |

共通するのは、どの業種でも「自社の町の宿泊客数(ステップ1)」を土台にすることです。県の観光客総数3,392万7,940人のうち宿泊客は547万2,043人泊で、残りの2,845万5,897人は日帰り客なので、宿泊客を相手にする飲食店や土産店ほど、県全体の観光客数ではなく自社の町の宿泊客数を見る必要があります。 白浜町のように宿泊が多い町と、日帰りが中心の町では、同じ「観光客が増えた」でも夜の売上への効き方が違います。

【要注意】和歌山の宿泊統計の読み違いで起きる4つの失敗パターン
7ステップを進めても、次の4つのどれかに当てはまると、数字が判断を誤らせます。4つとも統計の側の問題ではなく、「県全体で自社を語る」「2つの統計を混ぜる」「速報を確定と同じに扱う」「外国人の伸び率だけ見る」という読む側の手順で起きる失敗です。 順に確認してください。
失敗1: 県全体の「過去最多・5年連続増」で自社の見通しを立てる
❌ よくある間違い: 県の宿泊客数が547万人泊で5年連続増と聞いて、来年の自社の予約も同じ率で増える前提で人員や仕入れを決める。
⭕ 正しいアプローチ: 自社の町の行(ステップ1)と自社の月別実績(ステップ3)を先に出し、県の数字は「地域の追い風か向かい風か」を知る参考にとどめる。
なぜ重要か: 県の547万人泊は白浜町と和歌山市で53.5%を占め、高野町(98.3%)・御坊市(87.6%)・湯浅町(74.6%)・有田川町(83.1%)のように減った町もあります。県が8.1%増えた2025年に自社の町が減っていた場合、県の数字で立てた見通しは最初から外れているのが、この失敗の実害です。
失敗2: 観光庁の495万人泊と県の547万人泊を混ぜて前年比を語る
❌ よくある間違い: 「和歌山の宿泊は495万人泊で前年比マイナス1.1%」と「547万人泊で108.1%」を同じ資料に並べ、どちらが正しいのかと迷ったまま融資の書類に両方書く。
⭕ 正しいアプローチ: 観光庁は都道府県単位・月次・全国比較に、県は市町村別・発地別・月別に使うと決め、1つの表には1つの統計だけを使い、資料名と年を欄外に書く。
なぜ重要か: 2つの統計は対象施設と推計方法が違うので、同じ年でも約52万人泊の差があり、前年比の符号も逆です。書類の中で2つを混ぜると、読んだ側が「この事業者は数字の出どころを理解していない」と判断し、数字そのものの信用を失うのが、この失敗の実害です。
失敗3: 単月の速報の数字を確定値と同じに扱い、2026年の年間を断定する
❌ よくある間違い: 2026年2月の「和歌山県プラス12.2%」をそのまま「2026年は1割増の年」と社内資料に書く。
⭕ 正しいアプローチ: 速報は第1次、第2次、確定値の順に改定され、2026年1月分から層化基準が変わったと観光庁が注記している点を資料に添え、月ごとの記録を12か月そろえてから年間の傾向を語る。
なぜ重要か: 観光庁の統計は年間の確定値が翌年7月に出るまで改定が続き、2026年は調査方法の見直しの影響が前年同月比に含まれる可能性があります。実際に全国の延べ宿泊者数は2月に和歌山が伸びた後、7月にマイナス4.7%、8月にマイナス6.7%と減りました。単月の速報で年間を断定すると、確定値や翌月の数字が逆方向に出たときに、資料の作り直しと説明が同時に発生するのが、この失敗の実害です。
失敗4: 外国人の伸び率だけを見て、宿泊客の87%を占める日本人の減少を見落とす
❌ よくある間違い: 「外国人が140%」のニュースで英語サイトと多言語メニューに先に投資し、日本人の予約が減っている月を放置する。
⭕ 正しいアプローチ: 自社の町の外国人比率(ステップ5)と、県内客が前年比93.3%に減った事実を同じ表に置き、国内客の谷の月(ステップ3)を先に埋める順番にする。
なぜ重要か: 県の宿泊客の外国人比率は13.1%、観光庁の数字でも17.7%で、観光庁の2025年確定値で和歌山県の日本人延べ宿泊者数はマイナス3.5%でした。白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中でも、「インバウンド対応を先に」という受け止めは珍しくありません。町の外国人比率が1割未満の宿が多言語投資を先にすると、売上の9割を占める国内客の谷が埋まらないまま費用だけが先に出るのが、この失敗の実害です。
ここまでの7ステップと4つの失敗パターンは、すべて観光庁と県の公表資料と自社の予約台帳だけで進められます。それでも「予約台帳から月別と発地別を集計する仕組みがない」「数字を1枚にまとめて融資や交渉に出す手が足りない」という事業者もあるはずです。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、県内の宿や店舗の集客と業務効率化の支援に取り組んでいます。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは直近12か月の月別売上と先月の予約台帳だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
宿泊統計を打ち手に変えられている事業者・いない事業者の違い(チェックリスト)
現在地の確認に使ってください。県の報告書と自社の予約台帳を手元に置き、当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 自社の町の2025年宿泊客数・前年比・外国人宿泊客数を即答できる
- □ 観光庁の495万人泊と県の547万人泊の違いを一言で説明できる
- □ 直近12か月の自社の客室稼働率を出し、県平均48.4%と施設タイプ別の数字と並べている
- □ 自社の町の月別宿泊客数(白浜なら3月18万2,898人泊・2月12万9,039人泊)に自社の月別を重ねた表がある
- □ 先月の予約の発地別構成を数え、町の構成(白浜なら大阪39.0%)と比べている
- □ 自社の外国人比率を町の比率と並べ、多言語投資の優先度を決めている
- □ 観光庁の月次速報を月1回記録し、「どの速報か」の列を作っている
- □ 自社と地域の数字をA4一枚にまとめ、融資・宿泊税・OTAの書類に使っている

特に見落とされやすいのが「どの速報かの列」で、ここがないと翌月に数字が改定されたときに、自社の表のどの数字を直せばよいか分からなくなります。 チェックが3つ未満でも心配はいりません。7ステップを上から順に進めれば、1つずつ埋まる構成にしています。
和歌山の客室稼働率は48.4%で全国より13.2ポイント低い|空き部屋が多いことは「売れていない」ではなく「伸ばす余地」の数字
「県は過去最多なのに稼働率が低いのはなぜか」と感じるかもしれません。公表されている数字は、和歌山の宿泊が「人数は戻ったが部屋はまだ空いている」段階にあることと、その差を埋めた実例があることを示しています。
まず観光庁の2025年確定値です。和歌山県の客室稼働率48.4%は全国平均61.6%を13.2ポイント下回り、都道府県で最も高い大阪府の78.6%とは30.2ポイントの差があります。施設タイプ別では旅館36.7%(全国38.2%)、リゾートホテル50.9%(全国56.9%)、ビジネスホテル62.7%(全国75.3%)、シティホテル68.4%(全国74.1%)、簡易宿所23.7%(全国29.6%)と、どのタイプも全国を下回ります。
次に県の報告書です。2025年の宿泊客数547万2,043人泊は2019年の550万2,058人泊を0.5%下回る水準まで戻り、2020年の324万3,968人泊からは5年連続で増えました。外国人宿泊客は2019年の50万1,844人泊から2025年の71万4,428人泊へ増えています。一方で宿泊施設の収容力は、白浜町が474軒・定員1万6,725人、田辺市が155軒・6,221人、和歌山市が118軒・7,278人、高野町が63軒・2,269人です。つまり、人数は2019年の水準に戻りつつあり、外国人は2019年の1.4倍ですが、観光庁の稼働率で見ると部屋の半分は空いています。
そのうえで実例です。那智勝浦町のホテル浦島(客室365室)は、トラベルボイスの2026年8月28日の記事によると、2026年12月の開業70周年に向けて約40億円を投じて大規模改装を進め、ホテル浦島の公式お知らせによると2026年8月1日に日昇館をリニューアルオープンしました。同じ記事によると、日昇館の客室定員を従来の4〜5人から3人程度に見直し、実際の平均利用人数は約2.3人、RevPAR(販売可能な1室あたりの売上)は社長就任から約2年半で約1万円上昇したと報じられています。365室の大型ホテルの話ですが、「部屋数を増やすのではなく、実際の利用人数に合わせて1室の価値を上げる」という方向は、客室8室の民宿が県の稼働率48.4%と自社の数字を並べた後に取る打ち手と同じ原理です。改装の中身と那智勝浦の宿への影響は、ホテル浦島の40億円改装|那智勝浦の宿泊単価が動く前に見直す7手順【2026年9月】で整理しています。
和歌山の宿泊者数は2019年の水準に戻りつつあり、2026年2月も前年同月比プラス12.2%と伸びているのに客室稼働率は48.4%で全国より13.2ポイント低いので、県内の宿が統計から読むべきなのは「客が来ない」ではなく「来ている客に対して部屋の売り方(月別の谷・発地・単価)がまだ合っていない」という伸ばす余地です。 人数は地域が連れてきます。部屋をどう売るかは、自社の数字を並べた宿から決まります。月別の単価の決め方は、小さな宿のダイナミックプライシングのやり方|手動7ステップと料金表テンプレ【2026年9月】で扱っています。
よくある質問
検索で多い疑問を8問にまとめました。先に結論を言うと、2026年10月8日時点で和歌山の宿泊者数は、観光庁の2025年確定値で495万5,910人泊(稼働率48.4%)、県の2025年調査で547万2,043人泊、2026年2月は近畿運輸局の資料で前年同月比プラス12.2%です。
Q. 和歌山県の宿泊者数は2025年にいくらでしたか?
観光庁の宿泊旅行統計調査(確定値)では495万5,910人泊で前年比マイナス1.1%、和歌山県の観光客動態調査では547万2,043人泊で前年比108.1%です。 2つは対象施設と推計方法が違うので数字も前年比も一致しません。月次と全国比較には観光庁、市町村別と発地別には県の数字を使ってください。
Q. 和歌山の延べ宿泊者数は2026年に増えていますか?
近畿運輸局の「関西の観光統計について(2026年2月分)」で、和歌山県の2026年2月の延べ宿泊者数は34万990人泊、前年同月比プラス12.2%、客室稼働率44.3%でした。 一方で観光庁の公表では全国の7月がマイナス4.7%、8月がマイナス6.7%と減っており、7月以降の和歌山県の行は観光庁の集計結果のExcelで自分で確認してください。2026年1月分から調査の層化基準が変わり、観光庁は前年同月比に見直しの影響が含まれる可能性があると注記しています。年間の傾向は12か月分がそろってから判断してください。
Q. 宿泊旅行統計で和歌山の数字はどこで見られますか?
観光庁の宿泊旅行統計調査のページで、毎月末に公表される報道発表資料のPDFと集計結果のExcelに都道府県別の延べ宿泊者数と客室稼働率の表があり、和歌山県の行を見ます。 近畿運輸局の「関西の観光統計について」にも府県別の数字がまとめられています。年間の確定値は翌年夏に公表されます(2025年分は2026年7月6日公表)。
Q. 和歌山県の客室稼働率はなぜ全国より低いのですか?
観光庁の2025年確定値で和歌山県は48.4%、全国は61.6%で、施設タイプ別でも旅館36.7%・簡易宿所23.7%とすべて全国を下回ります。 統計は理由までは示しませんが、県の報告書の月別推移表では高野町が10月2万6,571人泊に対し1月4,623人泊と5.7倍の差があるなど、町によって月の山谷が大きいことは数字で確認できます。自社の稼働率を月別に出して県平均と並べるところから始めてください。
Q. 和歌山県の観光客動態調査の最新版はいつ出ますか?
令和7年(2025年)分の速報値は2026年4月23日に県が公表し、その後に30市町村の一覧を含む報告書が県のページに掲載されています。2026年分の市町村別は、例年どおりなら2027年春ごろの速報値が最初です。 それまでの2026年の動きは、観光庁の月次公表と近畿運輸局の資料で県単位の数字を追ってください。
Q. 市町村別の宿泊客数で、自分の町はどこを見ればいいですか?
県の報告書の市町村別観光客推計総括表で、自社の町の「宿泊客数」「前年比」「外国人宿泊客数」の3つを写してください。 2025年は白浜町183万727人泊(105.6%)、和歌山市109万4,739人泊(108.1%)、串本町53万4,743人泊(118.9%)、那智勝浦町46万4,881人泊(106.9%)、田辺市44万332人泊(107.6%)、高野町19万8,211人泊(98.3%)です。30市町村の一覧は、和歌山県の観光客数 市町村別2025|30市町村の増減と明日の打ち手【2026年9月】にまとめています。
Q. 外国人宿泊者数は71万人泊と88万人泊のどちらが正しいですか?
どちらも正しく、71万4,428人泊は県の観光客動態調査、87万7,270人泊は観光庁の宿泊旅行統計調査の2025年の数字です。 県の数字は市町村別と国籍別の内訳があり、観光庁の数字は全国や他府県との比較に使えます。自社の資料には1つの統計だけを使い、資料名と年を添えてください。
Q. 統計の数字を融資や補助金の書類に使ってもいいですか?
使えます。自社の町の宿泊客数と前年比、自社の稼働率と県平均48.4%との差、観光庁や近畿運輸局の2026年の月次の前年同月比を、出典と参照日つきで書いてください。 ただし県の伸び率をそのまま自社の売上見込みにしてはいけません。自社の月別実績と、それを上回る根拠(改装・新プラン・集客経路の追加)を分けて書くと、読む側が検証できます。補助金の公募要領・締切・補助率は、必ず公式ページの最新情報で確認してください。統計を載せたことで採択が有利になると本記事が保証するものではなく、申請サポートは提携の専門家と行う範囲です。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 県の令和7年報告書から自社の町の「宿泊客数・前年比・外国人宿泊客数」を写し、先月の販売室泊数から自社の稼働率を出して、県平均48.4%と自社タイプの数字の横に書く
- 今週中にやること: 直近12か月の月別売上を12行で書き、報告書の自社の町の月別(白浜なら3月18万2,898人泊・2月12万9,039人泊)と並べて、「町も自社も谷」「町は山で自社だけ谷」の月を分ける。先月の予約の発地別人泊数を数える
- 今月中にやること: 自社の外国人比率を町の比率と並べて多言語投資の優先度を決め、観光庁の公表ページをブックマークして月末の記録日をカレンダーに入れ、ステップ1〜3の数字をA4一枚にまとめる
和歌山の宿泊者数は観光庁で495万人泊・県で547万人泊、2026年2月はプラス12.2%ですが、自社の町の3つの数字と自社の月別の稼働率を県の数字と同じ単位で並べない限り、どの数字も明日の打ち手にはなりません。 7つすべてを一度にやる必要はありません。1週間に1ステップでも、年内には県と自社の対比表が1枚できています。
次回予告: 泉州・南大阪の宿から見た「大阪に泊まらず和歌山へ抜ける客」の数字の読み方は、大阪の宿泊単価下落に学ぶ供給増の読み方|地方宿が毎月見る5指標【2026年9月】とあわせてお読みください。
参考・出典
観光庁の数字は2025年が確定値、2026年の月次は速報で今後改定されます。2026年1月分から層化基準が従業者数から客室数へ変更され、観光庁は前年同月比に見直しの影響が含まれる可能性があると注記しています。 県の数字は令和7年観光客動態調査報告書の掲載値で、速報値(2026年4月23日)とは一部の数字が異なります。本記事は報告書の数字を優先しました。
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」(調査の概要、月次の公表資料と集計結果の一覧。参照日: 2026-10-08)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(確定値))」報道発表資料(2026年7月6日公表。和歌山県の延べ宿泊者数495万5,910人泊・前年比マイナス1.1%、日本人407万8,640人泊・マイナス3.5%、外国人87万7,270人泊・プラス11.3%、客室稼働率48.4%・旅館36.7%・リゾートホテル50.9%・ビジネスホテル62.7%・シティホテル68.4%・簡易宿所23.7%。全国6億6,111万人泊・プラス0.3%、稼働率61.6%・旅館38.2%・リゾートホテル56.9%・ビジネスホテル75.3%・シティホテル74.1%・簡易宿所29.6%。大阪府の稼働率78.6%は都道府県で最高。公表ページ: 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年4月・第2次速報、2026年5月・第1次速報及び2025年年間値(確定値))」。参照日: 2026-10-08)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年8月・第1次速報、2026年7月・第2次速報)」(2026年9月30日公表。全国の2026年7月5,397万人泊・マイナス4.7%・稼働率61.0%、8月6,268万人泊・マイナス6.7%・稼働率64.4%。大阪府の2026年7月は外国人延べ宿泊者数179万8,490人泊・マイナス10.5%、客室稼働率72.6%。層化基準を従業者数から客室数へ変更した旨の記載。参照日: 2026-10-08)
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年1月・第2次速報、2026年2月・第1次速報)」(2026年3月31日公表。2026年1月分調査から層化基準を従業者数から客室数へ変更し、対前年同月比・差に見直しの影響が含まれている可能性がある点に留意、との注記。参照日: 2026-10-08)
- 近畿運輸局「関西の観光統計について(2026年2月分)」(和歌山県の2026年2月延べ宿泊者数34万990人泊・前年同月比プラス12.2%、客室稼働率44.3%。参照日: 2026-10-08)
- 近畿運輸局「関西の観光統計について(2026年1月分)」(和歌山県の2026年1月の客室稼働率38.9%。参照日: 2026-10-08)
- 和歌山県「和歌山県の観光客動態」(各年の報告書の掲載ページ。参照日: 2026-10-08)
- 和歌山県「令和7年観光客動態調査報告書」(観光客総数3,392万7,940人・前年比103.7%、宿泊客数547万2,043人泊・108.1%、日帰り客数2,845万5,897人、外国人宿泊客71万4,428人泊・140.0%。市町村別宿泊客数は白浜町183万727人泊・105.6%、和歌山市109万4,739人泊・108.1%、串本町53万4,743人泊・118.9%、那智勝浦町46万4,881人泊・106.9%、田辺市44万332人泊・107.6%、高野町19万8,211人泊・98.3%、新宮市18万7,788人泊・116.7%、みなべ町17万7,521人泊・129.4%、御坊市6万344人泊・87.6%、湯浅町1万5,244人泊・74.6%、有田川町1万9,937人泊・83.1%、紀美野町2万4,136人泊・87.7%。市町村別の月別推移は白浜町3月18万2,898/2月12万9,039、串本町12月5万8,911/2月2万7,827、高野町10月2万6,571/1月4,623、那智勝浦町8月5万2,257/6月2万9,600、田辺市8月5万742/2月2万2,942、和歌山市8月10万9,703/6月7万8,127人泊。発地別は近畿44.5%・関東10.3%・外国人13.1%・県内9.1%(49万6,000人泊・93.3%)、白浜町の大阪71万4,912人泊・39.0%、串本町の大阪22万8,704人泊・42.8%、和歌山市の大阪18万151人泊・16.5%、同不明32万3,844人泊。国籍別は中国24万3,635人泊・34.1%、欧米豪22万2,723人泊・31.2%、台湾5万5,899人泊、香港3万5,366人泊・72.1%、韓国3万527人泊、米国4万2,889人泊、フランス3万8,152人泊。年次推移は2019年550万2,058人泊、2020年324万3,968人泊、2024年506万3,979人泊、2019年の外国人50万1,844人泊。宿泊施設収容力は白浜町474軒・定員1万6,725人、田辺市155軒・6,221人、和歌山市118軒・7,278人、高野町63軒・2,269人。参照日: 2026-10-08)
- 和歌山県「令和7年観光客動態調査(速報値)」(2026年4月23日資料提供。観光客総数約3,392万6,000人、宿泊客数約547万人泊・108.0%、外国人宿泊客71万3,562人泊・139.8%、市町村別外国人宿泊客は白浜町14万7,547人泊(うち中国9万257人泊)、和歌山市14万4,106人泊、高野町11万7,512人泊(うち欧米豪10万2,919人泊)、那智勝浦町11万4,821人泊、田辺市9万1,309人泊。参照日: 2026-10-08)
- 紀伊民報「過去最多を大幅更新 コロナ禍からV字回復、外国人宿泊客、和歌山県」(2026年4月27日。観光客総数3,392万6,000人・3.7%増、2019年の3,543万3,000人には未達、宿泊客547万人・8.0%増、日帰り客2,845万6,000人・2.9%増。参照日: 2026-10-08)
- わかやま新報「外国人宿泊数が過去最多 25年県内、万博効果など」(2026年5月19日。県の速報値をもとに外国人宿泊71万3,562人泊・前年比39.8%増と報道。参照日: 2026-10-08)
- トラベルボイス「昭和を代表する大型温泉ホテルはどう変わるのか? 和歌山県『ホテル浦島』が40億円投資で大規模改装、その戦略を取材した」(2026年8月28日。投資額約40億円、総客室数365室、日昇館の客室定員を4〜5人から3人程度へ、平均利用人数約2.3人、RevPARが約2年半で約1万円上昇、2026年12月に開業70周年。参照日: 2026-10-08)
- ホテル浦島「【2026年8月1日】日昇館リニューアルオープンのお知らせ」(2026年7月8日。2026年8月1日に日昇館リニューアルオープン、新ロビー・ライブキッチンのレストラン・コンセプト客室、開業70周年の大規模リニューアルの第1弾。参照日: 2026-10-08)
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※本記事の計算例(稼働率の換算、比率の算出、2つの統計の差、町ごとの山谷の倍率)は公表された統計に基づく一般的な計算例です。2026年7月分以降の和歌山県の都道府県別の数値は、本記事では引用していません。観光庁の集計結果でご確認ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。