
結論: 熊野古道(中辺路)のゴールにあたる熊野本宮温泉郷(和歌山県田辺市本宮町)では、2025年(令和7年)の宿泊客15万1,860人泊のうち外国人が5万7,912人泊で、比率は38.1%です。これが2026年10月時点で公表されている最新の年間値で、和歌山県の「令和7年観光客動態調査報告書」に載っています。本宮町の外国人宿泊は世界遺産登録の2004年に492人、コロナ前の2019年に3万9,960人、2025年は5万7,912人泊で、21年で約118倍、2019年比でも1.45倍に増えました。比率は県平均(13.1%)の約3倍で、2024年には初めて中国が国別の首位になり、「欧米豪の道」だった熊野古道は「欧米豪とアジアが並ぶ道」に変わっています。2026年分の県の数字は出ていませんが、全国の訪日客は2026年1〜8月で前年比2.7%減、8月の中国は59.0%減です。熊野古道の外国人比率を計画や会議に使うなら、「何の比率か」「どの年と比べるか」「どの国が増えたか」の3点に分けて読む。これだけで、2026年に備える客層は1つに絞れます。
この記事の要点 対象読者: 田辺市本宮町・中辺路町・那智勝浦町・新宮市など熊野古道沿線で宿・飲食店・売店・ガイド・送迎を営む方、白浜・田辺市街で熊野古道を歩く客の前泊・後泊を受けている方、泉州・関西から熊野古道向けの商品や出店を考えている方 読了後にできること: 県の一次統計と田辺市熊野ツーリズムビューローの公開数字から、熊野古道の外国人比率を「宿泊の比率」「取扱の比率」に分けて正しく引用し、2004年・2019年・2025年の3点と国別の入れ替わりを根拠に、2026年に備える客層を1つ決められる状態になる
「古道を歩いているのはほとんど外国人なのに、うちの宿の外国人は3割しかいません。」
観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組む立場で熊野古道沿線の数字を見ていると、「外国人比率」ほど人によって答えが違う数字はありません。滝尻王子から本宮まで歩く人を見れば9割が外国人に見える。田辺市熊野ツーリズムビューローの取扱では海外客が約77%。県の宿泊統計では38%。どれも正しく、どれも別の数字です。
数字がばらつく原因は、あなたの観察が間違っているからではありません。熊野古道には入場ゲートがなく、「歩いた人の国籍」を数えた通年の統計がないため、公表されているのは「泊まった人の国籍」と「ビューロー経由で予約した人の国籍」だけだからです。38%を「参道を歩く人の比率」と読めば実際より少なく、77%を「本宮に泊まる人の比率」と読めば2倍に見積もることになります。
この記事では、県の報告書と田辺市熊野ツーリズムビューローの公開数字、熊野本宮観光協会のまとめを報じた地元紙の記事から、熊野古道の外国人比率の中身を「分母・推移・国別・月別・比較・客層」の6つに分けて整理し、その数字を2026年の打ち手に落とす7ステップと、そのままコピペで使える8本の文面、計画書に使う前に確認する8項目を公開します。使う数字は、2026年10月13日時点で和歌山県・日本政府観光局(JNTO)・田辺市熊野ツーリズムビューロー関連の公開資料と、日付を明記した報道で確認できたものだけです。自店の昨年の宿泊名簿か来客メモを手元に置きながら、読み進めてください。
目次
まず結論|熊野古道の外国人比率を自店の打ち手に落とす7ステップ(即効テンプレ)
最初に全体像です。上から順に進めれば、「外国人だらけ」という見た目の印象に振り回されず、自店の客層で判断できます。
| ステップ | やること | 今日できる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. 分母を決める | 「宿泊の比率」か「取扱の比率」かを決めて1行写す | 本宮38.1%・ビューロー76.5%の違いを確認する |
| 2. 推移を3点で並べる | 2004年・2019年・2025年の3つを並べる | 492人・3万9,960人・5万7,912人泊を書く |
| 3. 国別の入れ替わりを見る | 2024年と2025年の上位国を比べる | 中国が首位、欧米豪は合計で見る |
| 4. 月別の山と谷を見る | 外国人の最多月と最少月に丸をつける | 10月9,210人泊と1月1,388人泊を比べる |
| 5. 県・高野山と並べる | 県13.1%・高野山約5割の間で自店の位置を見る | 自店の外国人比率を横に書く |
| 6. 歩く人か車で来る人か決める | 自店の主な客が古道を歩いて来るか決める | 昨日の客を思い出して分ける |
| 7. 2026年の客層を1つ決める | 中国減・欧米豪安定の全国動向で備える国を決める | 来月やることを1行で書く |

ポイントは、ステップ1で「分母」を決めることです。同じ熊野古道でも、県の宿泊統計なら外国人は38.1%、田辺市熊野ツーリズムビューローの2025年度取扱なら76.5%で、どちらを使うかで計画書の前提が2倍変わります。分母を書かないまま「外国人が多い」と言うと、会議で話がかみ合いません。
所要時間の目安は、ステップ1〜5が報告書と記事を開いて30分、ステップ6が自店の名簿を見て15分、ステップ7が翌日までです。使うのは県の報告書PDFと電卓と無料のAIだけで、費用はかかりません。
熊野古道の外国人比率とは|「宿泊の比率」「取扱の比率」「歩いている人の比率」の違い
本記事で言う熊野古道の外国人比率とは、原則として和歌山県が毎年まとめる「観光客動態調査」の主要観光地区「熊野本宮温泉郷」(田辺市本宮町地域)の宿泊客数に占める外国人宿泊客数の割合を指します。県の観光客動態のページには、2026年10月13日時点で令和7年観光客動態調査報告書が最新として掲載され、地区別の宿泊客数と外国人宿泊客数、国・地域別と月別の内訳までが載っています。「熊野古道」という単位の統計はなく、中辺路のゴールである本宮町の数字がそれに当たります。
同じ「熊野古道の外国人比率」として語られる数字には、次の3種類があります。
- 宿泊の比率: 2025年の熊野本宮温泉郷は宿泊15万1,860人泊のうち外国人5万7,912人泊で38.1%。1人が2泊すれば2人泊と数える延べ数です
- 取扱の比率: 田辺市熊野ツーリズムビューローの旅行事業の2025年度(2025年4月〜2026年3月)取扱人数3万4,898人のうち海外客2万6,700人で、本記事の計算で76.5%。ビューロー経由で予約した人だけの数字です
- 歩いている人の比率: 滝尻王子や発心門王子を通った人の国籍別は、田辺市・県とも通年の公表統計を確認できません。日帰り160万3,600人の国籍別も非公表です

計画書や融資の資料に書けるのは「宿泊の比率38.1%」と「ビューロー取扱の比率76.5%」の2つだけで、「歩いている人の9割が外国人」は体感であって統計ではありません。県の数字の出どころと区域の決め方は熊野古道の観光客数|175万人の中身と沿線の調べ方7ステップ【2026年9月】で、県全体の「人数」と「人泊」の違いは和歌山のインバウンド観光客数|49.6万人と71.4万人泊・87.7万人泊の違い【2026年】で扱っています。
熊野本宮温泉郷の外国人宿泊の推移|世界遺産登録から2025年まで
熊野古道の外国人比率は、2004年(平成16年)7月の世界遺産登録を起点に読むと分かりやすくなります。紀伊民報が熊野本宮観光協会のまとめとして報じた本宮町の年別の数字と、県の報告書の2025年の値を並べました。協会の数字は2025年1月の1,388人が県の月別値と一致し、2024年の4万4,540人も県の前年比130.02%から逆算した値(約4万4,540人泊)と一致するので、同じ系列として読めます。
| 年 | 出来事 | 本宮町の外国人宿泊客数 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2004年 | 世界遺産登録 | 492人 | 熊野本宮観光協会(紀伊民報 2025年5月7日) |
| 2019年 | コロナ前の最多 | 3万9,960人 | 同上 |
| 2020年 | 入国制限 | 2,181人 | 熊野本宮観光協会(紀伊民報 2024年6月24日) |
| 2021年 | コロナ禍の底 | 226人 | 同上 |
| 2023年 | 回復 | 2万6,790人 | 同上 |
| 2024年 | 過去最多・中国が初の首位 | 4万4,540人(前年比1.66倍) | 熊野本宮観光協会(紀伊民報 2025年5月7日) |
| 2025年 | 万博の年 | 5万7,912人泊(前年比130.02%) | 和歌山県 令和7年観光客動態調査報告書 |
(2026年10月13日参照。協会の単位は「人」、県の単位は「人泊」で、2025年の前年比は県報告書の値)

この表から読める事実を、順に挙げます。
- 21年で約118倍になった: 2004年の492人から2025年の5万7,912人泊へ。紀伊民報の2025年5月7日の記事は、2024年の4万4,540人を「過去最多」と報じています
- コロナ前はすでに超えた: 2025年は2019年の3万9,960人に対して1.45倍です。熊野本宮温泉郷の観光客総数が2019年の93.4%にとどまるのと対照的で、戻ったのは「外国人の宿泊」だけです
- 比率は1年で8ポイント上がった: 2024年の宿泊客数は2025年の15万1,860人泊と前年比102.22%から逆算すると約14万8,600人泊で、外国人4万4,540人を割ると約30%。2025年の38.1%との差は、本記事の試算で約8ポイントです
- 日本人等の宿泊は減っている: 2025年の宿泊15万1,860人泊から外国人5万7,912人泊を引くと9万3,948人泊。2024年は約14万8,600人泊から4万4,540人を引いた約10万4,000人泊なので、本記事の試算では日本人等の宿泊が1年で約1割減ったことになります
本宮町で起きているのは「外国人が増えて宿泊全体が膨らんだ」のではなく、「宿泊の総数がほぼ横ばいのまま、中身が日本人から外国人に入れ替わった」という現象です。県の報告書は熊野本宮温泉郷について「宿泊施設では受け入れ可能数の上限に近い宿泊客数を記録している」と記しています。部屋が増えない町で外国人が増えれば、比率が上がるのは当然で、増えた分はそのまま日本人の減少です。
熊野古道の外国人比率を自店の打ち手に落とす7ステップ(完全版)
ここからが本体です。各ステップの文面は、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。8本すべてを使う必要はなく、ステップ3の「国別」とステップ6の「歩く人か車で来る人か」の2本だけでも、2026年の準備は変わります。初めての方も、始め方は次の3行だけです。
- スマホのアプリストアで「ChatGPT」の公式アプリを入れる(無料版で十分です)
- メールアドレスで登録する(3分ほどで終わります)
- この記事の文面をコピーして貼り付け、( )の中を自分の店のことに書き換えて送信する
ステップ1: 比率の「分母」を決めて1行写す
最初にやることは、どの比率を使うかを決めて、分母と分子を1行で写すことです。宿の計画なら県の宿泊統計(熊野本宮温泉郷の宿泊15万1,860人泊・外国人5万7,912人泊・38.1%)、歩く客向けのガイドや荷物搬送なら田辺市熊野ツーリズムビューローの取扱(3万4,898人・海外2万6,700人・76.5%)です。分母を書かずに「外国人比率」とだけ書いた資料は、38%と77%のどちらの話かを聞かれた時点で止まります。
あなたは地域の観光統計を読み解くアドバイザーです。以下の材料から、私の計画書に書く「熊野古道の外国人比率」を1つに決めてください。
【材料】
・県の宿泊統計: 熊野本宮温泉郷の宿泊151,860人泊、うち外国人57,912人泊(38.1%)
・田辺市熊野ツーリズムビューローの2025年度取扱: 34,898人、うち海外客26,700人(76.5%)
・歩いている人の国籍別: 公表統計なし
・私の業種と店の場所: (例: 本宮町の8室の民宿、中辺路町の荷物搬送、新宮市の飲食店)
出力: ①私の業種に対応する比率はどちらか、その理由 ②計画書に書く1行(分母・分子・比率・出典・年を含む) ③この比率では分からないことを3つ。材料にない数値を補わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、県の数字とビューローの数字を足したり平均したりしないことです。県は暦年(1〜12月)、ビューローは年度(4月〜翌3月)で、対象も単位も違います。
ステップ2: 推移を「3点」で並べる
次に、2004年・2019年・2025年の3つを並べます。本宮町の外国人宿泊は492人、3万9,960人、5万7,912人泊で、世界遺産登録比で約118倍、コロナ前比で1.45倍です。基準年を1つに固定すると、「118倍」とも「1.45倍」とも言えてしまうので、必ず2つ以上の物差しを添えます。
あなたは統計の読み解きが得意なアナリストです。以下の年次データから、私の計画書に書ける「外国人宿泊の推移の説明文」を250字以内で作ってください。
【材料】
・2004年(世界遺産登録): 492人
・2019年(コロナ前の最多): 39,960人
・2021年(コロナ禍の底): 226人
・2024年: 44,540人(過去最多・前年比1.66倍)
・2025年: 57,912人泊(前年比130.02%・宿泊の38.1%)
・出典: 熊野本宮観光協会のまとめ(紀伊民報報道)と和歌山県 令和7年観光客動態調査報告書
条件: 「世界遺産登録比」と「コロナ前比」の2つの物差しを必ず併記し、単位が「人」と「人泊」で異なる点を脚注に入れる。【材料】にない年は補わず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、協会の「人」と県の「人泊」を同じ単位として倍率にしないことです。本記事の「約118倍」「1.45倍」も単位が混ざった目安なので、計画書に使うときは脚注を添えてください。
ステップ3: 国別の「入れ替わり」を見る
ここが2026年に向けて最も重要なステップです。紀伊民報が報じた熊野本宮観光協会の2024年の国別と、県の報告書の2025年の国・地域別を並べました。
| 国・地域 | 2024年(協会・人) | 2025年(県・人泊) | 2025年の構成比 |
|---|---|---|---|
| 中国 | 6,241(初の首位) | 1万3,491 | 23.3% |
| 台湾 | 4,101 | 6,888 | 11.9% |
| オーストラリア | 5,841 | 6,966(ニュージーランド含む) | 12.0% |
| 米国 | 4,392 | 5,281 | 9.1% |
| スペイン | 2,912 | 3,368 | 5.8% |
| ドイツ | 記載なし | 2,654 | 4.6% |
| フランス | 2,082 | 2,070 | 3.6% |
| イギリス | 記載なし | 1,822 | 3.1% |
(出典: 紀伊民報 2025年5月7日の記事、和歌山県 令和7年観光客動態調査報告書。構成比は外国人宿泊5万7,912人泊に対して本記事で計算。2026年10月13日参照)
2025年の本宮町は、中国と台湾を合わせた2万379人泊(35.2%)と、米国・オーストラリア・スペイン・ドイツ・フランス・イギリスを合わせた2万2,161人泊(38.3%)がほぼ並び、「欧米豪の道」から「欧米豪とアジアが並ぶ道」に変わっています。日本交通公社の研究員が2019年6月に書いた熊野古道に関するコラムでは、熊野古道を訪れる外国人旅行者の約7割が欧米豪とされていました。6年で構成が変わったことになります。伸び率では中国が1年で2.16倍、台湾が1.68倍、米国が1.20倍、フランスは横ばいです。
あなたは観光地のインバウンド対応を支援するアドバイザーです。以下の材料から、私の店が2026年に最初に対応する客層を1つ決めてください。
【材料】
・本宮町の外国人宿泊の国別(2025年・人泊): 中国13,491、オーストラリア・ニュージーランド6,966、台湾6,888、米国5,281、スペイン3,368、ドイツ2,654、フランス2,070、イギリス1,822
・2024年からの伸び: 中国2.16倍、台湾1.68倍、米国1.20倍、フランス横ばい
・全国の2026年8月の訪日客: 中国59.0%減、韓国28.7%増、台湾7.3%増、米国1.5%増(JNTO推計値)
・私の店の昨年の外国人客の国の様子: (分かる範囲。不明なら「不明」)
・いま用意できること: (例: 英語メニュー、中国語の案内、カード決済、荷物預かり)
出力: ①最初に対応する客層を1つとその理由 ②その客層に必要な準備の優先順位3つ ③後回しにしてよいこと ④材料から判断できない点。国別の好みや消費額を材料の範囲を超えて断定せず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、2024年の協会の数字と2025年の県の数字で単位と集計主体が違うことです。倍率は目安として使い、資料には両方の出典を書いてください。英語の口コミへの返信文例は口コミ返信 英語例文30選|低評価にも使える和訳付き【2026年8月】にまとめています。
ステップ4: 月別の山と谷を見る
報告書の主要観光地別の外国人宿泊客月別推計で、熊野本宮温泉郷の最多月と最少月に丸をつけます。2025年の外国人宿泊は10月9,210人泊、11月8,646人泊、4月7,852人泊、5月7,145人泊が山で、1月は1,388人泊まで落ち、最多月との差は6.6倍です。1日あたりに直すと、10月は約297人泊、1月は約45人泊です。年間5万7,912人泊を365日で割った平均は約159人泊で、平均は山と谷を「ならした値」にすぎません。
あなたは観光地の小規模事業者の年間計画を支援するアドバイザーです。以下の材料から、熊野古道沿線の閑散期の打ち手を決めてください。
【材料】
・本宮町の外国人宿泊の最多月と最少月: 10月9,210人泊、1月1,388人泊(6.6倍)
・山と谷の時期: 4〜5月・10〜11月が山、1〜2月が谷
・私の店の昨年の月別の売上か来客数: (分かる範囲)
・町の谷と私の店の谷が一致しているか: (例: 町は1月、店は6月)
・冬に提供できるもの: (例: 湯の峰温泉のつぼ湯、人の少ない大斎原、冬の川湯、温かい郷土料理)
出力: ①私の店の谷が町の谷と同じか違うか、違う場合に考えられる理由の仮説 ②谷の月に試す打ち手を1つ(誰に・何を・どこで) ③やらないと決めること1つ ④材料から判断できない点。材料にない月の数値を推定せず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、谷の月は「外国人が来ない月」ではなく「外国人も日本人も少ない月」だということです。1月の外国人1,388人泊を増やすより、谷の月に休む日を決めて固定費を下げる判断も同じくらい重要です。
ステップ5: 県平均・高野山・田辺市街と並べて自店の位置を決める
本宮町の38.1%が高いのか低いのかは、同じ報告書の他の地区と並べて初めて分かります。県全体は宿泊547万2,043人泊のうち外国人71万4,428人泊で13.1%、本宮町の38.1%は県平均の約3倍で、2024年に宿泊客約20万1,000人泊の約半数が外国人だった高野山に次ぐ高さです。高野山の2025年の外国人宿泊は11万7,512人泊で、本宮町の約2倍の規模があります。一方、田辺市街とみなべ町を含む主要観光地区「田辺・中辺路・百間山・みなべ」は宿泊42万7,855人泊のうち外国人6万848人泊で14.2%にとどまり、同じ田辺市でも本宮町と市街地では比率が2.7倍違います。
あなたは観光地の小規模事業者の数字を整理するアドバイザーです。以下の材料から、私の店の外国人比率が地域のどの位置にあるかを整理してください。
【材料】
・和歌山県全体の外国人宿泊比率: 13.1%(714,428人泊÷5,472,043人泊)
・高野山: 2025年の外国人宿泊117,512人泊。2024年は宿泊客約201,000人泊の約半数が外国人(報道値)
・熊野本宮温泉郷: 38.1%(57,912人泊÷151,860人泊)
・田辺・中辺路・百間山・みなべ: 14.2%(60,848人泊÷427,855人泊)
・私の店の昨年の外国人比率と数え方: (例: 宿泊名簿で外国籍20%、または不明)
・私の店の場所: (例: 本宮町、中辺路町近露、田辺駅前、那智勝浦町)
出力: ①私の店の比率が近い地区と、その地区より高いか低いか ②差の理由として考えられる仮説を2つ ③比率を上げる・下げる以外に見るべき数字を1つ ④材料から判断できない点。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、比率の高さを目標にしないことです。比率は「増やすもの」ではなく「自店の現在地を知るもの」で、38%の町で外国人比率60%の宿は日本人客を取りこぼしている可能性もあります。
ステップ6: 自店の客が「歩いて来る人」か「車で来る人」かを決める
ここまでの数字を、自店の客層に当てはめます。中辺路を歩いて本宮に着き泊まる客は「歩いて来る人」で、宿泊1日約416人泊・うち外国人約159人泊(38%)・連泊と荷物と夕食が前提です。車やバスで大社に参拝して帰る客は「車で来る人」で、日帰り160万3,600人・1日約4,393人・国籍別は非公表で滞在が短い前提です。本宮町では車で来る人が泊まる人の約10倍おり、どちらを主な客にするかで、営業時間・言語・価格の設計が最初から変わります。

あなたは観光地の小規模事業者の戦略を整理するアドバイザーです。以下の材料から、私の店の主な客が「歩いて来る人」「車で来る人」のどちらかを判定し、方向を決めてください。
【材料】
・本宮町の1日あたりの数字: 宿泊約416人泊(うち外国人約159人泊)、日帰り約4,393人(国籍別は非公表)
・私の業種と営業時間: (例: 大社前のカフェ・10時〜16時、本宮町の民宿6室)
・昨日の客を思い出した内訳: (例: 昼のみの日本人グループ、夕方にザックを背負って来た外国人)
・増やしたいもの: (例: 客単価、冬の来店、連泊)
出力: ①歩いて来る人・車で来る人のどちらが主な客か、その判定理由 ②その客層で私の業種が優先すべき方向を1つ ③やっても効きにくい方向を1つとその理由 ④材料から判断できない点。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、「車で来る人」の店が「歩いて来る人」の夕食を狙うなら、営業時間と仕込みを変える必要があることです。歩いて来る人は夕方に着き、朝早く出ます。歩く客の受け入れ条件(荷物・食事・予約)は熊野古道のインバウンド対応|沿線事業者の予約・食事・荷物を整える7つの実務【2026年】で扱っています。
ステップ7: 2026年に備える客層を1つ決める
ステップ1〜6で分かった「分母・推移・国別・谷・位置・客層」を1行にまとめ、2026年に備える客層を1つだけ決めます。2026年8月の全国の訪日客は中国が59.0%減、米国が1.5%増、台湾が7.3%増で、2025年に本宮町で2.16倍に増えた中国客を前提に投資すると、2026年は空振りになる可能性があります。一方、田辺市熊野ツーリズムビューローの2025年度の海外客は国別でオーストラリア・米国・台湾の順で、歩く客の主役は変わっていません。
あなたは小さな事業者の実行計画を支援するアドバイザーです。以下の材料から、2026年に備える客層と来月試す打ち手を1つに絞ってください。
【材料】
・私の店の主な客層(歩いて来る人/車で来る人):
・私の店の外国人比率と、本宮町38.1%との差:
・2025年に本宮町で増えた国: 中国2.16倍、台湾1.68倍、米国1.20倍
・2026年の全国動向: 1〜8月累計2.7%減、8月は中国59.0%減・韓国28.7%増・台湾7.3%増・米国1.5%増
・ビューロー経由の海外客の上位: オーストラリア・米国・台湾
・私の業種、使える時間(週に何時間)、使える予算:
出力: ①2026年に備える客層を1つ(国・歩く人か車で来る人か) ②来月試す打ち手を1つ(誰に・何を・どこで・いつ) ③効いたかどうかを判断する数字を1つと、その数え方 ④やらないと決めること2つ ⑤材料から判断できない点。成果の数値を約束せず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
客層が決まったら、案内文もその場で作ります。歩いて来る人向けの案内は、割引ではなく「翌朝の出発に必要なこと」を軸にしてください。
あなたは熊野古道沿線の小さな宿や店の案内文を書くライターです。以下のひな形を【材料】で書き換え、歩いて来る客向けの案内文を2種類(①予約確認メールに添える英文=80語以内 ②店頭掲示用の日英併記=各60字・40語以内)作ってください。
ひな形: 「〇〇(宿名・店名)です。△△(例: 発心門王子からの到着目安、夕食の最終受付時刻、翌朝の弁当、荷物の預かり)をご用意しています。□□(例: 近露・本宮・那智勝浦への次の宿)へ向かう方は◇◇(バス時刻の確認先)をご確認ください。」
【材料】
・宿名・店名:
・用意できること: (用意しているものだけ)
・最終受付・チェックイン時刻:
・次の宿への移動手段の案内先: (あるものだけ)
【材料】にない設備・サービス・特典は書かず、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、県の統計で効果を測ろうとしないことです。2026年分の報告書が出るのは2027年4月以降で、自店の打ち手の効果は町の数字には現れません。効果は自店の宿泊名簿・予約の国籍欄・問い合わせの言語で数えてください。
業種別・立地別|熊野古道の外国人比率で見る列を変える
同じ38.1%でも、業種と立地によって見る列が違います。自分に近い行から着手してください。
| 業種・立地 | 最初に見る数字 | 次に見る数字 | 打ち手の方向 |
|---|---|---|---|
| 本宮町・中辺路町の宿 | 宿泊の外国人比率38.1%と月別の谷 | 国別の入れ替わり(中国2.16倍・欧米豪38%) | 連泊・夕食・翌朝の弁当を整え、減った日本人客にも案内する |
| 大社前・街道沿いの飲食・土産 | 日帰り160万人と1日約4,393人 | 歩いて来る人の到着時刻(夕方) | 昼の日帰り客と夕方の歩く客で営業時間を分ける |
| ガイド・荷物搬送・送迎 | ビューロー取扱の海外比率76.5% | 海外客の上位国(オーストラリア・米国・台湾) | 英語の予約導線と「次の宿」への接続を整える |
| 那智勝浦町・新宮市の宿と店 | 那智勝浦町11万4,821人泊(42.3%増)、新宮市2万2,040人泊 | 本宮から抜けてくる歩く客の到着日 | 本宮の宿と前後泊で組む |
| 白浜・田辺市街の前泊・後泊の宿 | 田辺・中辺路・百間山・みなべの14.2% | 本宮の月別の山(4〜5月・10〜11月) | 歩く前日の荷物と早朝バスの案内を用意する |
| 泉州・関西からの出店・卸 | 本宮の国別と月別 | 2026年の中国減・欧米豪安定 | 欧米豪向けの食品・工芸で谷の月に試す |
本宮町の宿にとって熊野古道は「泊まる人の4割が外国人で、残り6割の日本人が減っている町」であり、大社前の店にとっては「1日4,393人が日帰りで通り、416人泊だけが泊まる町」です。同じ町にいても、見るべき列は正反対です。
熊野古道は和歌山県内でも大阪から最も遠い観光地ですが、歩く客の多くは関空から入ります。関西国際空港からJR阪和線・きのくに線で紀伊田辺駅に出て、路線バスで滝尻王子や本宮へ向かうのが中辺路の標準的な入り方です。泉佐野・岸和田など泉州の事業者から見ると、熊野古道を歩く欧米豪の客は「関空に着いてから和歌山に向かう途中で、泉州を通過している客」です。前泊を関空周辺で取る客に向けて、歩く前日の装備や食品を泉州側で売る余地があります。和歌山DX総合研究所が泉州の事業者にも本宮町の国別と月別を勧めるのは、この位置関係のためです。
【要注意】熊野古道の外国人比率で失敗する4つのパターン
手順を踏んでも、次の4つのどれかに当てはまると、数字が計画書の飾りで終わります。4つに共通するのは、熊野古道の「見た目の外国人の多さ」を「自店の需要」と取り違えている点です。順に確認してください。
失敗1: 「9割が外国人」を統計として計画書に書く
❌ よくある間違い: 古道を歩く人の印象から「熊野古道の観光客の9割は外国人」と計画書に書き、審査担当者に出典を聞かれて答えられない。
⭕ 正しいアプローチ: 「熊野本宮温泉郷の宿泊客に占める外国人の比率は38.1%(2025年・和歌山県観光客動態調査)」と、分母と区域と年を含めて書く。
なぜ重要か: 歩いている人の国籍別は通年の公表統計がなく、計画書に書ける比率は宿泊の38.1%とビューロー取扱の76.5%の2つだけだからです。「9割」は中辺路の山中の区間では体感として正しいかもしれませんが、本宮町に来る人の91%は日帰り客で、その国籍別は公表されていません。
失敗2: 「欧米豪の道」のまま2026年の準備をする
❌ よくある間違い: 「熊野古道は欧米豪の巡礼者が歩く道」という10年前の印象のまま、英語だけを整え、2025年に首位になった中国・台湾の客を数えていない。あるいは逆に、2025年の中国2.16倍を見て中国語の投資を最優先にする。
⭕ 正しいアプローチ: 2024年と2025年の国別を並べ、中国・台湾(35.2%)と欧米豪(38.3%)が並んでいる事実を前提に、2026年の全国動向(中国59.0%減・欧米豪は横ばいから微増)も添えて、備える国を1つ決める。
なぜ重要か: 本宮町の外国人宿泊は6年で「欧米豪が約7割」から「欧米豪とアジアが4割ずつ」に変わり、しかも2026年の中国客は全国で急減しているため、どちらか一方に賭けた投資は外れやすいからです。SNSの企画・運用の現場でも、伸びている指標だけを追い、構成の変化を見ない失敗はよく起きます。国別に増減の理由を1つずつ確かめる方が、空振りは減ります。
失敗3: 比率の上昇を「需要の増加」と読む
❌ よくある間違い: 外国人比率が30%から38%に上がったのを見て「本宮の宿泊需要が伸びている」と判断し、客室を増やす計画を立てる。
⭕ 正しいアプローチ: 宿泊の総数(前年比102.22%)と外国人の増加(130.02%)を分け、日本人等の宿泊が減っている事実を先に見る。比率の上昇は「入れ替わり」であり、「増加」ではない。
なぜ重要か: 2025年の本宮町の宿泊は総数がほぼ横ばいのまま外国人が1万3,000人泊増えており、本記事の試算では日本人等の宿泊が約1割減っているからです。県の報告書が「受け入れ可能数の上限に近い」と書く町では、比率が上がった分だけ、日本人の予約が取れなくなっているとも読めます。減った側の客に向けた打ち手が、増えた側より空いています。
失敗4: 協会・県・ビューローの数字を1つの表に混ぜる
❌ よくある間違い: 2004年は紀伊民報の「492人」、2025年は県の「5万7,912人泊」、比率はビューローの「76.5%」を、出典を書かずに1枚の折れ線にする。
⭕ 正しいアプローチ: 協会の数字(単位は人・暦年)、県の数字(人泊・暦年)、ビューローの数字(取扱人数・年度)を別の行に置き、資料名と日付を添える。
なぜ重要か: 同じ本宮町の外国人宿泊でも、協会の2024年「4万4,540人」と県の2025年「5万7,912人泊」は単位が違い、ビューローの「76.5%」は年度で分母も違うからです。混ぜた表は、数字の1つでも疑われた瞬間に全部が信用を失います。出典を添えた表は、食い違いがあっても「資料の差」として説明できます。
ここまでの内容は、県の報告書と地元紙の記事と電卓だけであなた1人でも進められます。それでも「減っている日本人客と、歩いて来る欧米豪の客の両方に向けて何を発信し、どこで予約を受けるかの手が足りない」という段階でつまずくことはあります。株式会社Tip(※当コラムの運営元です)では、和歌山県内の事業者向けにInstagram・TikTok運用を月10万円(企画・台本・撮影・編集・投稿まで)、ホームページ制作を10万円(5ページまで・スマホ対応・問い合わせフォーム込み)、対面DX・AI伴走支援を月10万円(月1回の現地訪問とチャット相談)で承っています。いずれも税別で、税区分等の詳細は無料ヒアリングでご案内します。相談の際は、この記事のステップ1〜7で書いた「分母・推移・国別・谷・位置・客層」の1行を持ってきてください。数字が揃っている相談は、必ず短く済みます。
計画書・会議で使う前に確認する8項目(チェックリスト)
熊野古道の外国人比率を計画書や会議資料に載せる前に、当てはまるものにチェックを入れてください。
- □ 使っている比率が「宿泊の比率」「ビューロー取扱の比率」のどちらか、分母を書いてある
- □ 区域が「熊野本宮温泉郷(田辺市本宮町地域)」であることと、年を明記してある
- □ 2004年・2019年・2025年の3点を並べ、世界遺産登録比とコロナ前比の両方を書いてある
- □ 協会の「人」と県の「人泊」の単位の違いを脚注にしてある
- □ 2024年と2025年の国別を並べ、中国・台湾と欧米豪が並んでいると理解している
- □ 最多月(10月)と最少月(1月)の差6.6倍を、自店の月別と並べてある
- □ 比率の上昇を「需要の増加」ではなく「日本人から外国人への入れ替わり」として読んでいる
- □ 2026年の全国動向(中国減・欧米豪横ばい)を添えて、備える客層を1つ書いてある

特に見落とされやすいのが7つ目で、38.1%という比率は「外国人が増えた」と同時に「日本人が減った」ことを示す数字です。チェックが3つ未満でも心配はいりません。この記事の7ステップは、上から順に進めればチェックが1つずつ埋まる構成になっています。
2026年の熊野古道は「増やす」より「受ける」が先|県・ビューロー・全国の動き
「人手も部屋も増やせないのに、何をどう変えればいいのか」と感じるかもしれません。公的統計と地域の動きを並べると、優先順位は見えてきます。
まず県の統計です。和歌山県の令和7年観光客動態調査報告書によると、2025年の県全体の外国人宿泊客は71万4,428人泊(前年比140.0%)で、宿泊全体に占める比率は2024年の10.1%から13.1%に上がりました。県の2026年4月23日の速報値を報じたわかやま新報の2026年5月19日の記事によると、県全体の地域別構成はアジア56.1%、欧米豪31.2%で、中国が34.1%を占めます。市町村別では訪日ラボの2026年7月1日の記事が、白浜町14万7,547人泊(35.9%増)、和歌山市14万4,106人泊(51.4%増)、高野町11万7,512人泊(10.2%増)、那智勝浦町11万4,821人泊(42.3%増)、田辺市9万1,309人泊(32.9%増)、新宮市2万2,040人泊(11.5%増)と伝え、高野町と田辺市は欧米豪の客の方が多いと書いています。田辺市は紀伊民報の2025年5月30日の記事が報じた2024年の6万8,695人泊から、1年で2万2,000人泊以上増えた計算です。県全体が中国客で伸びる中で、熊野古道の沿線だけが欧米豪の比率を保っています。
次に歩く客の受け皿です。田辺市熊野ツーリズムビューローの旅行事業について、紀伊民報の2026年6月23日の記事は、2025年度の売上高が過去最高の12億7,677万円(前年度比約1億4,000万円増)、取扱人数が世界69か国の3万4,898人、うち海外客が2万6,700人で2019年度の1万1,072人の約2.4倍、国別上位はオーストラリア・米国・台湾、国内客も8,198人で過去最多と伝えています。歩いて来る客の予約窓口では、2026年3月までの1年間で海外客が過去最多を更新しており、県の2026年分が出るまでの「2026年の熊野古道」を示す最も新しい公表値はこの数字です。自治体国際化協会の2019年10月8日の事例記事によると、ビューロー設立の2006年に1,299人だった田辺市の外国人宿泊者は2018年に4万3,824人と12年で約33.7倍になっており、「受け皿を先に作る」姿勢が20年続いた結果が今の比率です。
全国の動きは逆向きです。日本政府観光局(JNTO)の推計値を報じたトラベルボイスの2026年9月16日の記事によると、2026年8月の訪日外国人旅行者数は309万8,900人で前年同月比9.6%減、1〜8月の累計は2,762万6,300人で2.7%減です。8月の中国は41万8,000人で59.0%減(同記事は中国政府による日本への渡航の注意喚起の影響を挙げています)、韓国は85万500人で28.7%増、台湾は66万6,000人で7.3%増、米国は19万7,400人で1.5%増、イタリアとスペインは単月で過去最多でした。2025年に本宮町で2.16倍に増えた中国客は、2026年は全国で半減しています。一方、スペインは熊野古道とサンティアゴ巡礼路の両方を歩いた人を登録する「共通巡礼」の相手国で、紀伊民報の2025年4月26日の記事によると登録者は2025年4月に1万人を超え、世界70か国・地域に広がっています。本宮町でも2025年にスペインから3,368人泊が泊まっています。
三重県側の伊勢路も参考になります。東紀州地域振興公社の令和5年の熊野古道伊勢路来訪者数推計は30万4,695人(前年比4.7%増)で、語り部の案内人数や峠8か所の地点調査から算出した推計値ですが、外国人の内訳は公表されていません。伊勢路と中辺路を歩き通す客を受けるなら、国籍別の根拠は和歌山側の宿泊統計にしかないということです。
あなたの店の規模に引き直すと、客室8室で外国人比率が町と同じ38%の宿なら、泊まる10組のうち4組が外国人で、残り6組の日本人客は本記事の試算で前年より約1割減っている計算です。大社前の24席の店が、夕方に着く歩く客10人に温かい一品と翌朝の弁当を出せれば、山の月60日で600食分の売上が新しくできます。どちらも町の外国人を1人も増やさずに成立します。熊野古道は「外国人を増やす」場所ではなく「来ている外国人を受け、減っている日本人を呼び戻す」場所です。先に受け皿を整えた店が、そのまま選ばれる側に回れます。
よくある質問
迷ったときは「比率は宿泊38.1%かビューロー取扱76.5%のどちらか」「増えたのは外国人の宿泊だけで総数は横ばい」「2026年は中国減・欧米豪横ばい」の3点に戻れば、ほとんどの疑問は解けます。残りは個別の立地と業種で分かれる点です。
Q. 熊野古道の外国人比率は2026年で何%ですか?
2026年分はまだ公表されていません。最新は2025年(令和7年)の熊野本宮温泉郷で、宿泊15万1,860人泊のうち外国人5万7,912人泊、比率38.1%です。2025年分の速報値は2026年4月23日に県が公表し、報告書はその後に掲載されたので、2026年分も2027年4月以降に同じ順序で出る見込みですが、公表日は県の案内で確認し、計画書には「2025年の値」と年を明記して使ってください。
Q. 熊野古道の外国人観光客は何人ですか?
県が公表しているのは「外国人宿泊客数」で、2025年の熊野本宮温泉郷は5万7,912人泊、田辺市全体では9万1,309人泊です。歩いた人の国籍別も日帰りの外国人も数えられていないので、「熊野古道を訪れた外国人の総数」という統計はありません。田辺市熊野ツーリズムビューロー経由で予約した海外客は2025年度で2万6,700人です。
Q. 熊野古道のインバウンドはどこの国が多いですか?
2025年の本宮町の外国人宿泊は、中国1万3,491人泊、オーストラリア・ニュージーランド6,966人泊、台湾6,888人泊、米国5,281人泊、スペイン3,368人泊、ドイツ2,654人泊、フランス2,070人泊、イギリス1,822人泊の順です。中国と台湾を合わせた35.2%と、欧米6か国・地域を合わせた38.3%がほぼ並び、2024年に初めて中国が首位になりました。ビューロー経由の海外客ではオーストラリア・米国・台湾が上位で、歩く客に限れば欧米豪が主役のままです。
Q. 熊野古道の外国人は増えていますか、減っていますか?
本宮町の外国人宿泊は、2004年492人、2019年3万9,960人、2021年226人、2024年4万4,540人、2025年5万7,912人泊と、コロナ禍の底から4年で約256倍に戻り、2019年比でも1.45倍です。増えているのは外国人の宿泊だけで、宿泊の総数は前年比102.22%とほぼ横ばい、日本人等の宿泊は本記事の試算で約1割減っています。「増えている」と「減っている」は、どの数字を見るかで両方正しくなります。
Q. 熊野古道を歩く人の9割が外国人というのは本当ですか?
中辺路の山中の区間では、そう見える日があるのは事実です。ただし歩いた人の国籍別を数えた通年の公表統計はなく、計画書に書ける数字は宿泊の38.1%かビューロー取扱の76.5%だけです。体感を書くなら「歩行者の体感では外国人が大半」と出典なしの印象であることを明記し、統計の数字と分けてください。
Q. 本宮町で日本人の宿泊客は減っていますか?
県の統計に「日本人宿泊客数」の項目はありませんが、宿泊客数から外国人宿泊客数を引くと推定できます。2025年は15万1,860人泊から5万7,912人泊を引いた9万3,948人泊で、2024年の約10万4,000人泊(本記事の逆算値)と比べると約1割減です。逆算を含む数字なので、計画書に使うときは「本資料の試算」と明記してください。
Q. 2026年は中国からの客を見込んでいいですか?
2025年の本宮町では中国が1年で2.16倍に増えて首位でしたが、JNTOの推計値では2026年8月の全国の中国客は前年同月比59.0%減です。2026年の計画で中国客を前年並みに見込むのは、全国の動きと逆なので危険で、欧米豪と台湾を軸にしつつ中国は「来たら受ける」程度に置くのが現実的です。県の2026年分の数字が出るまで、自店の予約の国籍欄を月ごとに数えて判断してください。南紀の宿の実務は訪日外国人2025年統計|南紀の宿・飲食のインバウンド集客7ステップ【2026年9月】で扱っています。
Q. 白浜や田辺市街、泉州の事業者も熊野古道の外国人比率を使えますか?
使えます。中辺路を歩く客は関空から紀伊田辺駅に入り、田辺市街か白浜に前泊してから滝尻王子に向かう人が多く、歩き終えた後は那智勝浦や新宮に抜けます。本宮町の国別と月別(4〜5月・10〜11月が山)は、前泊・後泊の宿と通り道の店にとって「誰が何月に通るか」の根拠になります。白浜側の数字は白浜町の観光客数|326万人と309万人の違いと調べ方7ステップ【2026年9月】で扱っています。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 熊野本宮温泉郷の宿泊15万1,860人泊・外国人5万7,912人泊・38.1%を分母つきで書き写し、ステップ2の文面で2004年・2019年・2025年の3点を並べる
- 今週中にやること: 自店の昨年の宿泊名簿か来客メモから外国人の国と月を数え、本宮町の国別(中国・台湾35.2%、欧米豪38.3%)と月別(10月9,210人泊・1月1,388人泊)と並べる
- 今月中にやること: 自店の客が「歩いて来る人」か「車で来る人」かを決め、2026年に備える客層を1つ選んで、減っている日本人客への案内と歩く客への英文案内を1通ずつ作る
7つすべてを一気にやる必要はなく、分母を書くことと国別を並べることの2つを出すだけで、熊野古道の外国人比率は「印象」から「自店の根拠」に変わります。
次回予告: 同じ県の数字を、外国人宿泊が本宮町の約2倍ある高野山で読むと何が変わるかを、高野山の観光客数の記事で扱う予定です。本宮と高野山の客層の違いを並べて読むと、自店の設計が決めやすくなります。
参考・出典
- 和歌山県「令和7年観光客動態調査報告書」(主要観光地別観光客推計総括表・主要観光地別外国人宿泊客数の国・地域別と月別推計・市町村別観光客推計総括表) 令和7年観光客動態調査報告書(PDF) / 観光客動態(和歌山県 観光客動態のページ)(参照日: 2026-10-13)
- 和歌山県「令和7年観光客動態調査(速報値)」2026年4月23日資料提供 令和7年観光客動態調査(速報値)(PDF)(参照日: 2026-10-13)
- 紀伊民報AGARA「外国人宿泊客が過去最多 24年、今年も更新ペース、和歌山県田辺市本宮町」2025年5月7日(熊野本宮観光協会のまとめ。2004年492人・2019年3万9,960人・2021年226人・2023年2万6,790人・2024年4万4,540人と2024年の国別、2025年1月1,388人) 紀伊民報の記事(参照日: 2026-10-13)
- 紀伊民報AGARA「外国人宿泊客が過去最多ペース コロナ禍からV字回復、和歌山県田辺市本宮町」2024年6月24日(2020年2,181人) 紀伊民報の記事(参照日: 2026-10-13)
- 紀伊民報AGARA「売上高 12億円超 3年連続で過去最高、和歌山県田辺市熊野TB」2026年6月23日(2025年度の売上高12億7,677万円・取扱3万4,898人・海外客2万6,700人・2019年度1万1,072人・国別上位・国内客8,198人) 紀伊民報の記事(参照日: 2026-10-13)
- 紀伊民報AGARA「外国人宿泊客が過去最多の51万人 24年に和歌山県、コロナ禍前超え」2025年5月30日(2024年速報時点の県51万2,293人泊・田辺市6万8,695人泊・高野町10万6,673人泊・白浜町10万8,531人泊・那智勝浦町8万693人泊) 紀伊民報の記事(参照日: 2026-10-13)
- 紀伊民報AGARA「【動画】「共通巡礼」1万人突破 世界遺産の熊野古道とサンティアゴ 和歌山県田辺市」2025年4月26日(登録者1万人・世界70か国・地域) 紀伊民報の記事(参照日: 2026-10-13)
- わかやま新報「外国人宿泊数が過去最多 25年県内、万博効果など」2026年5月19日(速報値71万3,562人泊・アジア56.1%・欧米豪31.2%・中国34.1%) わかやま新報の記事(参照日: 2026-10-13)
- 訪日ラボ「和歌山県の外国人宿泊者数が過去最高 熊野古道など人気スポット多数、そのインバウンド戦略は?」2026年7月1日(市町村別の2025年外国人宿泊客数と前年比、高野町・田辺市は欧米豪が多い旨) 訪日ラボの記事(参照日: 2026-10-13)
- トラベルボイス「訪日外国人数、2026年8月は310万人、マイナス幅は1割に拡大、一方で14市場では過去最多 ―日本政府観光局(速報)」2026年9月16日(JNTO推計値。8月309万8,900人・9.6%減、1〜8月累計2,762万6,300人・2.7%減、中国41万8,000人・59.0%減、韓国85万500人・28.7%増、台湾66万6,000人・7.3%増、米国19万7,400人・1.5%増、イタリア・スペインは単月過去最多) トラベルボイスの記事(参照日: 2026-10-13)
- 日経BP 新・公民連携最前線「オーバーツーリズムに悩む高野山」2025年10月8日(高野町の2024年の宿泊客約20万1,000人のうちインバウンド宿泊客約10万6,000人で半数) 日経BPの記事(参照日: 2026-10-13)
- 公益財団法人日本交通公社「なぜ熊野古道は欧米豪の旅行者に評価されるのか?」2019年6月18日(外国人旅行者の約7割が欧米豪、客室10室以下の宿が大半) 日本交通公社のコラム(参照日: 2026-10-13)
- 一般財団法人自治体国際化協会「田辺市熊野ツーリズムビューローの事例から学ぶ、誇れる地域のつくり方」2019年10月8日(田辺市の外国人宿泊者2006年1,299人・2018年4万3,824人) 自治体国際化協会の事例記事(参照日: 2026-10-13)
- 東紀州地域振興公社「令和5年 熊野古道伊勢路来訪者数推計値について」2024年4月2日 熊野古道伊勢路の来訪者数推計(参照日: 2026-10-13)
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本記事の「比率」「1日あたり」「日本人等の宿泊」「2024年の宿泊客数」「2004年比・2019年比の倍率」は、公開統計と報道値から本記事が計算した試算値で、計画書に使う際は出典と単位を添えてください。協会の数字(人)と県の数字(人泊)は単位が異なります。高野山の「約半数」は2024年の報道値で、2025年の比率ではありません。本記事は予約数や売上の成果を保証するものではありません。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。