
結論: 2026年10月から始まるふるさと納税の新しい指定対象期間に向けて、総務省は2025年6月24日に指定基準を定める告示を改正しました。柱は募集費用の透明化と地場産品基準(付加価値基準)の明確化の2つです。返礼品を提供する事業者にとって実務が変わるのは、「区域内で製造・加工したもの」として登録している返礼品について、価値の過半が区域内で生じたことを事業者自身が証明し、その内容を自治体がウェブで公表するという点です。多くの自治体は2026年夏に証明書の提出期限を設定しており、9月中にやるべきことは新しい申請ではなく「自社の返礼品が10月以降も掲載され続けるかの確認」です。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県(特に田辺・白浜・みなべ・串本・那智勝浦・新宮・御坊など南紀エリア)で、市町村のふるさと納税に返礼品を提供している、または提供を検討している農水産・食品加工・小売・宿泊・体験事業者の方 読了後にできること: 自社の返礼品が2026年10月以降も掲載され続けるかを自治体に確認する具体的な聞き方が分かり、9月末までの寄付集中と10月以降の受注変動に備えた在庫・出荷の段取りに着手できる状態になる
「10月から、うちの品は載らなくなるんでしょうか」
この9月、そう気になっている返礼品の提供事業者は少なくないはずです。6月か7月ごろに市役所や町役場から「証明書のご提出のお願い」というメールが届いた記憶はあるけれど、様式が難しくて後回しにした。あるいは、そもそも自分の商品が対象なのかどうかが分からないまま夏が終わってしまった——という状態の方もいるでしょう。
不安の原因は、この改正が「寄付する人向けのニュース」としてばかり報じられていることにあります。ポータルサイトのポイントが消えた、控除の上限がどうなる、といった話は寄付者側の関心事です。一方で、返礼品を出す側の事業者にとっての本題は別のところにあります。自社の商品が「地場産品」として認められ続けるかどうか、そしてその判断材料を、自治体ではなく事業者自身が証明書という形で出す運用に変わったということです。
この記事では、公表されている一次情報をもとに、①2026年10月に何が変わるのか、②南紀の事業者のどこに効くのか、③9月中に確認する5点とその手順、④よくある4つの誤解、⑤FAQ 8問、という順で整理します。将来の見通しや「こうなるはず」という憶測は書きません。現時点で公表されている範囲だけを、出典つきで並べます。手元に、自治体から届いたふるさと納税関連のメールを1通探しながら読み進めてください。
目次
まず結論:返礼品事業者が9月中に確認する5点(即効チェック)
最初に全体像です。9月中にやることは、新しい申請でも書類の作成でもありません。確認が5つです。
| 確認する5点 | なぜ9月中なのか | 今日できる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. どの基準で登録されているか | 10月1日から新しい指定対象期間が始まる | 自治体の担当課に「うちの品は何号基準か」と確認する |
| 2. 付加価値の証明書を出したか | 多くの自治体が夏に提出期限を設定していた | 6〜7月に届いたメールと添付様式を探す |
| 3. 一般販売価格と納入価格の関係 | 通常の販売価格より高い調達は認められない | 自社の売価と自治体への納入価格を並べて書く |
| 4. 9月末までの在庫・出荷体制 | 掲載終了前の駆け込み寄付が起こりうる | 昨年9月と12月の出荷件数を出す |
| 5. 自社名が支払先一覧に載るか | 100万円以上の支払先は公表の対象 | 昨年度の自治体からの入金合計を確認する |

ポイントは順番です。1番目の「どの基準で登録されているか」が分からないまま、2番目以降を考えても答えが出ません。ふるさと納税の返礼品は、自治体が総務大臣に申し出るときに「地場産品基準のどれに当てはまるか」を整理して登録しています。その分類を知っているのは自治体であって、事業者ではないことがほとんどです。つまり最初の一歩は、書類を書くことではなく、担当課に電話をして自社の品の扱いを聞くことになります。
所要時間の目安は、1と2で電話1本と15分の書類探し、3で30分、4で1時間、5で15分です。合計しても半日かかりません。逆に言えば、半日で「10月以降も大丈夫か」の見通しが立つということです。
何が起きたか|2026年10月改正の中身と一次情報
事実関係を、日付と出典で確認します。
総務省は2025年(令和7年)6月24日に「ふるさと納税の指定基準の見直し等」を公表し、指定に係る基準を定めた告示の改正とQ&Aの発出を行いました。この改正は、令和8年(2026年)10月から開始する指定対象期間に係る指定から適用されます(総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」、資料は「ふるさと納税の指定基準の改正等について」(自治税務局市町村税課))。
ふるさと納税の指定制度では、市町村が毎年、総務大臣に申し出て指定を受けます。指定対象期間は10月1日から翌年9月30日までです。だから「2026年10月改正」と呼ばれていても、実務上の締め切りは自治体が申し出をする夏に来ていました。事業者に証明書の依頼が届いたのが6〜7月だったのは、このためです。
変更点1: 付加価値基準(第3号基準)の明確化
地場産品基準にはいくつかの類型があり、そのうち「区域内で製造・加工などの主要な部分が行われ、相応の付加価値が生じているもの」という類型は、自治体の案内では第3号基準と呼ばれています。従来はこの「相応の付加価値」の算出方法が自治体ごとにばらついていました。
改正では、価格に基づく算出を原則としたうえで、返礼品の製造等を行う事業者が「価値の過半が区域内で生じた」ことを証明し、自治体が返礼品の提供開始日までにその証明事項を一覧で公表するという運用が明確化されました。
実際の自治体の案内を見ると、運用はかなり具体的です。新潟県佐渡市は、事業者に「価値の過半が区域内で生じたことの証明書」の提出を求め、総務大臣が定める標準的な算出方法として(A−B)÷A(Aは調達費用、Bは区域外で生じた費用)が50%以上であることを示す形式を示しています。提出期限は令和8年7月3日で、期限までに提出がない場合や付加価値が50%未満の場合は返礼品の受付を停止すると明記し、提出内容は市の公式サイトで一覧公表するとしています(佐渡市「ふるさと納税返礼品の基準見直し(第3号基準)に伴う『価値の過半の証明書』のご提出およびウェブ公表について」)。
鹿児島県南さつま市も同様に、事業者向けにExcel様式の証明書を用意し、提出期限を令和8年7月10日として案内しています(南さつま市「ふるさと納税返礼品の基準見直しによる書類提出のお願いについて」)。
変更点2: 一般販売価格と調達費用の妥当性
もう1つの実務上の変更が価格です。付加価値基準に基づく返礼品については、証明書に一般販売価格(通常の販売価格)を併せて記載することが求められます。あわせて、合理的な理由なく、事業者が一般に販売する通常の販売価格に比して高額で調達することがないよう運用を図ることが示されています(ふるさとチョイス「【重要】2026年10月の制度変更に伴うお礼の品への影響と再確認のお願い」)。
平たく言えば、自社サイトや店頭で3,000円で売っている品を、返礼品としてだけ5,000円で自治体に納めるという値付けは通りにくくなるということです。
変更点3: 募集費用の透明化
改正のもう1つの柱が募集費用の透明化です。自治体は、募集に要した費用のうち1支払先あたり100万円以上のものについて、支払先・支払額などを一覧で公表しています。根拠は総務省の通知および平成31年総務省告示第179号第3条第2号です。奈良県生駒市は年度ごとの一覧をPDFで公開しており、令和7年度分は2026年9月1日公開予定と記載しています(生駒市「ふるさと納税の募集費用の支払先に係る一覧表の公表」)。
募集費用には、ポータルサイトへの手数料や送料だけでなく返礼品の調達費用も含まれます。つまり、1つの自治体から年間100万円以上の返礼品代金を受け取っている事業者は、自社名と金額が自治体のサイトに掲載される可能性があります。
変わらないこと
誤解が多いので、変わらない部分も明記します。返礼割合は寄付額の3割以下、募集経費の総額は寄付額の5割以下という基準は、今回の改正でも維持されています。また、2025年10月1日から適用されている仲介サイトによるポイント付与の禁止は、今回の改正とは別の話で、すでに実施済みです。
現時点で公表されているのはここまでです。「10月以降にどの返礼品が実際に掲載終了になるか」は自治体ごとの判断であり、公表もされていません。この記事でも予測はしません。
誰に効くのか|和歌山・南紀の返礼品事業者への影響
次に、南紀エリアの事業者にとってどこが効くのかを整理します。
和歌山県の南紀エリアは、みなべ・田辺の南高梅、有田のみかん、那智勝浦の生マグロ、串本のクエやケンケンかつお、熊野牛など、区域内で採れる一次産品が返礼品の主力という自治体が多いエリアです。この構造は、今回の改正では比較的影響を受けにくい部類に入ります。区域内で生産・水揚げされたものそのものは、付加価値基準(第3号)ではなく別の類型で認められていることが多いからです。
一方で、注意が要るのは次のような品です。
- 区域外の原材料を使った加工品: 他県産の原料を仕入れて町内の工場で加工している惣菜・菓子・調味料・ドリンクなど
- 加工の一部を区域外に委託している品: 町内で原料を用意し、瓶詰め・冷凍・パッケージングなどを区域外の工場に出しているケース
- OEM・セット組みの品: 複数の産地の品を詰め合わせたセット、ラベルだけ地元名を冠したOEM商品
- 加工度が高く、原料費より加工費のほうが大きい品: 革製品・木工品・化粧品など
これらは「区域内で製造・加工されたもの」として登録されている可能性が高く、その場合は(A−B)÷Aで区域内の付加価値が過半になるかを数字で示す必要が出てきます。

そのうえで、影響が出るタイミングは3つに分かれます。
- 2026年9月中: 掲載終了が予定されている返礼品に、駆け込みの寄付が集まる可能性がある期間
- 2026年10月1日: 新しい指定対象期間の開始日。証明できなかった返礼品が掲載から外れる
- 2026年11〜12月: ふるさと納税の年間最大の繁忙期。10月時点のラインアップで戦うことになる
とくに3が重要です。ふるさと納税の寄付は年末に集中します。10月1日時点で自社の返礼品が掲載されていなければ、その年の12月の受注は丸ごと失われます。9月中の確認が「来月の話」ではなく「今年の売上の話」である理由がここにあります。
なお、加工品の受注が読みにくくなる局面では、ふるさと納税以外の販路をあわせて持っておくことが現実的な備えになります。自社での直販の作り方は梅農家のネット販売|農家直送の通販を始める7ステップと許可の実務【2026年8月】、冷蔵・冷凍を含む送料設計や売り方の選び方は和歌山の食品ECで売上を伸ばす7ステップ|梅・みかん通販の実務ガイド【2026年8月】で整理しています。
今週やること|5点の確認手順(完全版)
ここからが本体です。各ステップの文例は、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。初めての方は、スマホに公式アプリを入れてメールアドレスで登録すれば3分で使えます。( )の中を自社の事実に書き換えて送信してください。
手順1: 自社の返礼品が「どの基準」で登録されているかを聞く
最初にやるのは、自治体のふるさと納税担当課への確認です。田辺市であれば返礼品提供事業者の窓口は「たなべ営業室」で、田辺市「ふるさと田辺応援寄附金返礼品提供事業者の募集」に電話番号(0739-33-7714)が掲載されています。他の市町でも、ふるさと納税の担当課は公式サイトの「ふるさと納税」ページの最下部に記載されているのが通例です。
聞くことは3つだけです。「①うちの◯◯は、地場産品基準のどの類型で登録されていますか」「②第3号基準(付加価値基準)に当たる場合、証明書の提出は済んでいますか」「③2026年10月1日以降も掲載が継続される見込みですか」。
あなたは自治体との窓口対応に慣れた実務担当者です。以下の材料から、ふるさと納税の担当課に電話で確認するための質問メモを作ってください。
【材料】
・自治体名: (例: 和歌山県◯◯町)
・自社が提供している返礼品: (例: 梅干し3種セット、干物詰め合わせ)
・原材料の産地: (分かる範囲で。区域内/県内/県外の別)
・加工している場所: (例: 自社工場は町内、瓶詰めのみ県外委託)
出力: ①電話口で読み上げられる質問を5つ以内 ②相手の回答をメモする欄 ③回答内容によって次にやることが変わる場合の分岐。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、電話でのやり取りを必ずメモに残すことです。担当者の氏名・日付・回答内容の3点を書き留めておくと、後で社内やポータル運営会社と話すときに話が早くなります。
手順2: 付加価値割合を(A−B)÷Aで自分で計算してみる
第3号基準に当たると分かったら、次は数字です。標準的な算出方法は(A−B)÷A、Aが調達費用、Bが区域外で生じた費用です(佐渡市の案内による)。区域外で生じた費用には、区域外から仕入れた原材料費や、区域外に委託した加工賃が該当します。
あなたは食品加工業の原価計算に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、ふるさと納税の付加価値割合の試算を整理してください。
【材料】
・返礼品名と自治体への納入価格(税抜): (例: 梅干し3種セット 1セット4,000円)
・区域外から仕入れた原材料費: (例: 容器・ラベル 300円、県外産の砂糖 150円)
・区域外に委託した加工費・作業費: (例: 瓶詰め委託 400円)
・区域内で生じた費用: (例: 自社の原料梅、町内の人件費、町内の光熱費)
出力: ①(A-B)÷A の計算過程 ②50%を上回るか下回るか ③下回る場合に区域内の工程を増やす案を3つ ④この試算で不足している情報。数字が不明な項目は「未確認」と明記し、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます

注意点は、この試算はあくまで社内で状況を把握するためのものだということです。実際に提出する証明書の様式・記載方法・添付資料は自治体ごとに指定されています。試算の結果がどちらでも、最終的な判断は自治体に確認してください。
手順3: 一般販売価格と自治体への納入価格を並べる
3つ目は価格の整合です。証明書には一般販売価格を記載することが求められ、通常の販売価格に比して合理的な理由なく高額な調達は行わないという運用が示されています。ここで問題になりやすいのが、自社ECでは値引きセールをしているのに、返礼品の納入価格は定価ベースのままというケースです。
あなたは価格設定の点検が得意なコンサルタントです。以下の材料から、ふるさと納税の返礼品と自社販売の価格の整合性を点検してください。
【材料】
・返礼品名:
・自治体への納入価格(税抜):
・自社サイト/店頭での通常販売価格(税込・税抜を明記):
・直近1年で行った値引き・セールの価格と期間:
・返礼品だけに含めている追加コスト: (例: 専用外箱、個別送付の梱包、のし対応)
出力: ①2つの価格の差額と差の理由の候補 ②「合理的な理由」として説明できそうなものとできなさそうなものの仕分け ③自治体に説明するときの1段落の文案。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、差額がある=ただちに問題、ではないことです。返礼品専用の梱包や個別配送の実費など、説明できる理由がある場合もあります。大事なのは、説明できる形で自分の手元に整理しておくことです。
手順4: 9月末までの寄付集中と、10月以降の反動に備える
過去の実例として、仲介サイトのポイント付与が禁止される直前の2025年9月には、通常なら12月に集中する寄付が大きく前倒しされました(Impress Watch「ふるさと納税ポイント廃止 今年は9月が駆け込みピーク?」)。2026年9月についても、掲載終了が見込まれる返礼品への駆け込みが起こる可能性はあります。ただし、どの程度の規模になるかを予測できる公表データはありません。ここは断定せず、「増えても対応できる」「増えなくても損しない」の両方に備えるのが実務的です。
あなたは小規模な食品事業者の生産計画に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、9月末までの受注増と10月以降の変動に備える段取りを作ってください。
【材料】
・返礼品の種類と1日あたり出荷可能数: (例: 梅干しセット 1日40件が限界)
・原材料の在庫と追加調達にかかる日数:
・繁忙期に手伝える人の数と稼働可能日:
・昨年9月と昨年12月の出荷件数:
・出荷を止められない他の販路: (例: 自社EC、卸)
出力: ①出荷が詰まる工程はどこか ②増やせる余地と増やせない制約の切り分け ③平常時・1.5倍・2倍の3段階での対応方針 ④受注を止める判断基準。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
出荷が追いつかないときに一番効くのは、実は増員ではなく「受注を止める判断を先に決めておくこと」です。人手の確保そのものが難しい地域での回し方は和歌山の中小企業の人手不足対策|採用が難しい前提で回す7ステップ【2026年8月】で整理しています。
遅延が避けられないときのお詫び文面も、先に用意しておくと落ち着いて対応できます。
あなたは丁寧な顧客対応文が得意なライターです。以下の材料から、ふるさと納税の寄付者向けのお知らせ文を2種類(①発送遅延のお詫びと見込み ②在庫終了による受付停止のお知らせ)作ってください。
【材料】
・事業者名と返礼品名:
・現在の状況: (例: 想定の3倍の申込で、発送が2週間遅れる見込み)
・発送の見込み時期:
・問い合わせ窓口: (自治体の担当課か自社かを明記)
条件: 言い訳をしない/確定していない時期は「見込み」と明記する/窓口を1つに絞る。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
手順5: 自社名が「募集費用の支払先一覧」に載るかを確認する
5つ目は公表の話です。返礼品の調達費用は募集費用に含まれるため、1つの自治体から年間100万円以上の支払いを受けている事業者は、自社名と金額が自治体のサイトに掲載される対象になります。生駒市の例では、年度ごとの一覧がPDFで公開されています。
これは不利益な話ではありません。むしろ「この町のふるさと納税を支えている事業者」として名前が公になるということで、採用や取引先開拓の材料にもなります。ただし、金額が公になることを社内で共有していないと、後で驚くことになります。
あなたは中小企業の広報に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、自社名がふるさと納税の募集費用の支払先一覧に掲載されることを想定した社内共有メモを作ってください。
【材料】
・自治体名と担当課:
・昨年度に受け取った返礼品代金の概算: (分かる範囲で)
・社内で共有すべき相手: (例: 代表、経理、現場責任者)
・公表を前向きに使いたい場面: (例: 求人票、取引先への説明、SNS発信)
出力: ①共有メモ本文(400字以内) ②想定される社内からの質問と回答案3つ ③公表を活かした発信の切り口3案。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、公表される金額を自社の売上実績として単純に語らないことです。返礼品代金には送料や手数料が含まれる場合があり、自治体側の集計区分は自治体ごとに異なります。
さらに、10月以降にラインアップを見直す場合は、区域内の工程を増やす方向の商品改良が選択肢になります。
あなたは地域の食品加工の商品企画に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、区域内で生じる価値の割合を高める商品改良案を提案してください。
【材料】
・現在の返礼品と製造工程: (工程ごとに、区域内か区域外かを記載)
・区域外に出している工程とその費用:
・区域内で調達できる可能性のある原材料:
・設備・人員の制約:
出力: ①区域内比率を上げられる工程を効果の大きい順に3つ ②それぞれの想定コストと必要期間 ③今の設備でできることとできないことの切り分け。設備投資が必要な案は「要投資」と明記し、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
商品を切り替えるときは、パッケージや商品ページの作り直しが同時に発生します。冷蔵・冷凍を含む温度帯ごとの売り方と費用感は新宮市のネットショップ制作|温度帯で決まる売り方と費用の実額【2026年8月】で具体的にまとめています。
返礼品タイプ別の確認ポイント
同じ「返礼品を出している事業者」でも、扱っている品によって9月中に見るべきところは変わります。自社に近い行から確認してください。
| 返礼品タイプ | 考え方の目安 | 9月中の確認点 |
|---|---|---|
| 区域内で採れた一次産品(梅・みかん・鮮魚など) | 区域内で生産・水揚げされたもの | 出荷体制と等級・数量の確保。基準面は担当課に念のため確認 |
| 区域内原料が主要部分の加工品(梅干し・干物など) | 原材料の主要部分が区域内 | 原料の産地を書類で示せるか。他産地の混入がないか |
| 区域外原料を使う加工品(惣菜・菓子・調味料など) | 第3号基準に当たる可能性 | 証明書の提出状況と(A−B)÷Aの試算 |
| セット品・OEM・工芸品 | 工程の所在で判断が分かれる | どの工程が区域内かを工程表で整理 |

共通して押さえておきたいのは、判断するのは事業者ではなく自治体であるという点です。事業者の役割は、判断のもとになる事実(産地・工程・費用・販売価格)を正確に出すことにあります。ここを取り違えて「うちは大丈夫だと思う」で止まってしまうと、10月1日に掲載が消えて初めて気づく、という事態になりかねません。
複数の自治体に返礼品を出している場合は、自治体ごとに運用が違うことにも注意が必要です。佐渡市は7月3日、南さつま市は7月10日と、提出期限ひとつを取っても差があります。1つの自治体で問題がなかったからといって、別の自治体でも同じとは限りません。
【要注意】よくある4つの誤解
ニュースの受け取り方でつまずきやすい点を4つ挙げます。
誤解1: 「返礼割合3割・経費5割のルールが厳しくなった」と思い込む
❌ よくある間違い: 2026年10月から返礼割合が下がる、経費の上限が5割から引き下げられる、という前提で価格や原価を組み直そうとする。
⭕ 正しい理解: 今回の改正で示されているのは、募集費用の透明化と地場産品基準(付加価値基準)の明確化です。返礼割合3割以下・募集経費総額5割以下という基準そのものは維持されています。
なぜ重要か: 誤った前提で納入価格を下げると、利益だけが減って基準対応にはつながらないからです。数字を動かす前に、自分が対応すべきなのは「割合」なのか「証明」なのかを切り分けてください。
誤解2: 「地元の原料を使っているから関係ない」と確認をやめる
❌ よくある間違い: 主原料が町内産だから第3号基準の話は無関係だと判断し、自治体からのメールを開かない。
⭕ 正しい理解: どの類型で登録されているかを決めているのは自治体です。主原料が区域内であっても、容器・調味料・委託加工などの費用構成によっては、付加価値基準で整理されている場合があります。
なぜ重要か: 確認のコストは電話1本ですが、確認しなかった場合のコストは12月の受注そのものだからです。「たぶん大丈夫」を「担当者に確認済み」に変えるだけで、リスクの性質が変わります。
誤解3: 「ポータルサイトが教えてくれるはず」と待ってしまう
❌ よくある間違い: ふるさとチョイスや楽天ふるさと納税などのポータル側から連絡が来るまで動かない。
⭕ 正しい理解: ポータル各社も告知を出していますが(ふるさとチョイスの制度変更の告知など)、返礼品ごとの基準の判断と証明書のやり取りは、自治体と事業者の間で行われます。ポータルは掲載の結果を反映する立場です。
なぜ重要か: 連絡経路を取り違えると、動くべきタイミングを丸ごと逃すからです。窓口は自治体のふるさと納税担当課、と覚えてください。
誤解4: 「掲載が終わる=売れなくなる」と決めつける
❌ よくある間違い: 返礼品から外れることが決まった瞬間に、その商品の生産をやめてしまう。
⭕ 正しい理解: 返礼品としての掲載と、商品そのものの価値は別です。ふるさと納税で全国から注文が入っていた実績は、自社ECや卸に切り替えるときの説得材料になります。白浜への移住準備で地域の事業者と話す中でも、販路が1本しかない状態のもろさは繰り返し話題に出ます。
なぜ重要か: ふるさと納税は制度である以上、今後も基準が見直される可能性があるからです。制度に合わせて商品を作るのではなく、商品を持ったうえで制度を1つの販路として使う——この順番だけは、どんな改正が来ても変わりません。
なお、設備や販促の見直しに使える地域の制度は、南紀の町の補助金まとめ|上富田・すさみ・みなべ・串本・那智勝浦の制度と窓口【2026年8月】に町ごとの窓口とあわせてまとめています。相談先の入口としては商工会・商工会議所も使えます(田辺商工会議所の入会と会費|年会費9,000円からの内訳と手続き7ステップ【2026年9月】)。
9月中の確認チェックリスト(8項目)
現在地の確認に使ってください。自治体からのメールと、自社の原価表を見ながらチェックを入れます。
- □ 自社の返礼品が地場産品基準のどの類型で登録されているか、担当者名つきで確認できている
- □ 6〜7月に届いた証明書の依頼メールと様式を見つけ、提出済みかどうかを確認した
- □ 第3号基準に当たる品について、(A−B)÷Aを自分で試算した
- □ 自治体への納入価格と、自社の一般販売価格を並べて書き出した
- □ 返礼品専用のコスト(外箱・個別配送など)を説明できる形で整理した
- □ 昨年9月と昨年12月の出荷件数を出し、1.5倍・2倍のときの限界を把握した
- □ 発送遅延・受付停止のお知らせ文を、事前に下書きしてある
- □ 自社名と金額が募集費用の支払先一覧に載る可能性を、社内で共有した

特に見落とされやすいのが、6つ目の「昨年の出荷件数」です。ふるさと納税の受注は自治体側の管理画面やポータルの事業者向け画面に履歴が残っていることが多く、探せば1時間もかかりません。チェックが3つ未満でも問題はありません。この記事の手順1から順に進めれば、上から埋まる構成になっています。
数字で見る規模|1兆3,314億円の市場と、南紀の位置
「制度対応にそこまで手間をかける価値があるのか」と感じる方のために、規模を確認します。
総務省が2026年7月31日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」によると、令和7年度の受入額は1兆3,314億円(前年度比4.6%増)、受入件数は5,963万件(同1.4%増)でした。住民税の控除額は9,524億円(同9.0%増)、控除適用者数は1,151万人(同6.5%増)です。前年度にあたる令和6年度の受入額は1兆2,728億円でしたから、ポイント付与の禁止をはさんでもなお市場は拡大しています。
自治体単位で見ると、金額の桁は中小事業者の想像を超えます。宮崎県都城市は、令和7年度のふるさと納税受入額が216億4,600万円で全国第3位だったと自ら公表しています(都城市「令和7年度ふるさと納税受入額について総務省より発表がありました」)。1つの市の返礼品調達だけで、地域の食品事業者の売上構造が変わる規模だということです。
南紀エリアの市町は都城市のような規模ではありませんが、逆に言えば事業者1社が占める比率は相対的に大きくなります。町のふるさと納税の主力返礼品を作っている事業者にとって、掲載の有無は自社の年商だけでなく、町の歳入にも影響する話です。だからこそ、自治体の担当課は事業者からの確認の電話を歓迎します。放置されて10月に掲載が消えるほうが、自治体にとっても痛手だからです。
もう1つ数字を添えます。2025年10月のポイント付与禁止の直前、9月に寄付が大きく前倒しされた実績があります。2026年9月にも同じことが起きるとは断定できませんが、「9月に増えるかもしれない」という前提で在庫と人手を見ておくコストは、増えなかった場合でもほぼゼロです。備えの費用対効果が非対称なときは、備えるほうが合理的です。
よくある質問
Q. ふるさと納税は2026年10月から何が変わりますか?
総務省が2025年6月24日に公表した告示改正が、2026年10月から始まる指定対象期間の指定から適用されます。柱は募集費用の透明化と、地場産品基準(付加価値基準)の明確化の2つです。寄付する側の手続きが大きく変わるという公表はありません。事業者側では、区域内で製造・加工したものとして登録している返礼品について、価値の過半が区域内で生じたことの証明が求められます。
Q. 返礼品の3割ルール・5割ルールは変わりますか?
変わりません。返礼割合は寄付額の3割以下、募集経費の総額は寄付額の5割以下という基準は維持されています。今回の改正は割合の引き下げではなく、地場産品として認める根拠の示し方と、費用の公表の話です。
Q.「付加価値の過半が区域内」とは、どう計算するのですか?
自治体の案内では、総務大臣が定める標準的な算出方法として(A−B)÷Aという式が示されています。Aが調達費用、Bが区域外で生じた費用で、これが50%以上であることを製造等を行う事業者が証明します(佐渡市の案内による)。ただし様式・添付資料・記載方法は自治体ごとに指定されているため、必ず提供先の自治体の指示に従ってください。
Q. 区域外の原材料を使っていると、返礼品にできないのですか?
そうとは限りません。問われているのは原材料の産地だけでなく、区域内で生じた価値が過半かどうかです。区域外から仕入れた原材料があっても、区域内での加工工程が価値の過半を生んでいれば基準を満たしうる、というのが今回明確化された考え方です。実際の判定は自治体が行います。
Q. 証明書の提出期限を過ぎてしまいました。もう間に合いませんか?
期限や取り扱いは自治体ごとに異なるため、記事として断定はできません。佐渡市のように「期限までに提出がない場合は受付を停止する」と明記している自治体もあります。まずは担当課に連絡し、現状と今後の扱いを直接確認してください。連絡した記録を残しておくことも大切です。
Q. 一般販売価格より安く自治体に納めるのは問題ありませんか?
示されているのは「合理的な理由なく、通常の販売価格に比して高額で調達することがないよう運用する」という方向です。つまり問題視されているのは高すぎる調達のほうです。ただし価格の妥当性は自治体が確認する事項であり、返礼品専用のコストがある場合は説明できるように整理しておくと安心です。
Q. 自社の名前と支払額が公表されるというのは本当ですか?
自治体は、募集費用のうち1支払先あたり100万円以上のものについて支払先と支払額を一覧で公表しています。返礼品の調達費用もこの募集費用に含まれます。生駒市のように年度ごとのPDFを公開している自治体があり、自社が該当するかどうかは提供先自治体の公表ページで確認できます。
Q. ポイント付与の禁止は2026年10月の改正で復活しますか?
いいえ。仲介サイトによるポイント付与の禁止は2025年10月1日から適用済みで、2026年10月の改正とは別の措置です。復活や再変更に関する公表は、2026年9月5日時点で確認できていません。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 6〜7月に自治体から届いたメールを検索し、証明書の依頼が来ていたかを確認する。見つからなければ担当課に電話して「うちの品は何号基準か」を聞く
- 今週中にやること: 第3号基準に当たる品について(A−B)÷Aを試算し、自治体への納入価格と自社の一般販売価格を並べて書き出す
- 今月中にやること: 昨年9月・12月の出荷件数から1.5倍・2倍の限界を把握し、発送遅延と受付停止のお知らせ文を下書きしておく
繰り返しますが、9月にやるのは新しい申請ではなく確認です。半日で「10月以降も大丈夫か」の見通しが立ちます。
次に読むなら: ふるさと納税以外の販路を1本持っておく話として、和歌山の食品ECで売上を伸ばす7ステップ|梅・みかん通販の実務ガイド【2026年8月】をあわせてどうぞ。
参考・出典
- 総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(2025年6月24日公表。告示改正およびQ&Aの発出、令和8年10月から開始する指定対象期間に係る指定から適用) 総務省 報道資料 / 資料: ふるさと納税の指定基準の改正等について(自治税務局市町村税課) (参照日: 2026-09-05)
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」2026年7月31日公表(令和7年度 受入額1兆3,314億円・受入件数5,963万件・控除額9,524億円・控除適用者数1,151万人) 調査結果(PDF) (参照日: 2026-09-05)
- 新潟県佐渡市「ふるさと納税返礼品の基準見直し(第3号基準)に伴う『価値の過半の証明書』のご提出およびウェブ公表について」((A−B)÷Aの算出方法、令和8年7月3日提出期限、令和8年10月1日から必須) 佐渡市公式ホームページ (参照日: 2026-09-05)
- 鹿児島県南さつま市「ふるさと納税返礼品の基準見直しによる書類提出のお願いについて」(令和8年7月10日提出期限、証明書様式) 南さつま市公式ホームページ (参照日: 2026-09-05)
- 奈良県生駒市「ふるさと納税の募集費用の支払先に係る一覧表の公表」(1支払先あたり100万円以上、平成31年総務省告示第179号第3条第2号) 生駒市公式ホームページ (参照日: 2026-09-05)
- ふるさとチョイス「【重要】2026年10月の制度変更に伴うお礼の品への影響と再確認のお願い」(付加価値基準の明確化、調達費用の妥当性、広報目的基準) ふるさとチョイス 告知ページ (参照日: 2026-09-05)
- 宮崎県都城市「令和7年度ふるさと納税受入額について総務省より発表がありました」(受入額216億4,600万円・全国第3位) 都城市ホームページ (参照日: 2026-09-05)
- Impress Watch「ふるさと納税ポイント廃止 今年は9月が駆け込みピーク?」(2025年9月の駆け込み傾向) Impress Watch (参照日: 2026-09-05)
- 和歌山県田辺市「ふるさと田辺応援寄附金返礼品提供事業者の募集」(担当: たなべ営業室) 田辺市ホームページ (参照日: 2026-09-05)
あわせて読みたい
- 梅農家のネット販売|農家直送の通販を始める7ステップと許可の実務【2026年8月】: ふるさと納税以外の販路を1本持つための、直販の立ち上げ手順と許可・表示の実務をまとめています
- 南紀の町の補助金まとめ|上富田・すさみ・みなべ・串本・那智勝浦の制度と窓口【2026年8月】: 商品改良や設備更新を検討するときに使える、町ごとの制度と相談窓口を一覧にしています
※本記事は2026年9月5日時点で公表されている情報に基づく整理です。個別の返礼品が地場産品基準に適合するかどうかの判断は各自治体が行います。税務・法務の個別の取り扱いについては、所管の自治体および税理士等の有資格者にご確認ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。