
宿のキャンセル料に全国一律の正解はありません。自施設の予約データから取消時期ごとの損失を整理し、予約を確定する前に条件を見せ、確定後も同じ内容を保存できる状態にすることが出発点です。
観光庁の現行「モデル宿泊約款」は条項設計の土台になりますが、別表第2の取消料率欄は空欄です。そこへ他館の数字をそのまま写すのではなく、部屋を再販売できた割合、食材や清掃など支出を回避できた額、プランと予約経路の違いを自館の資料で確かめて埋めます。
この記事の要点 - モデル宿泊約款の料率欄は空欄であり、国が一律の割合を定めた表ではない - 消費者契約法上の「平均的な損害」は、同種の契約について当該事業者に生ずべき平均値として検討する - 自社予約、OTA、電話予約で「どの条件を、いつ示し、何を残すか」を決める - 連泊短縮、人数減、無断不泊、災害、交通途絶、急病を本文と内部手順の両方に落とす - 公開文だけでなく、料率の根拠台帳、免除判断記録、改定履歴まで一組で運用する
本稿は、客室数の少ない旅館、民宿、ペンション、ゲストハウス、貸別荘などが、自館の制度を点検するための実務ガイドです。法的な有効性を個別に保証するものではありません。契約形態や登録制度、取引の事情に応じて、弁護士、行政書士、所管行政庁などの専門家へ確認してください。
目次
まず7工程で作る|料率表から書き始めない
最初に「3日前30%、前日50%、当日100%」のような数字を置くと、その数字を説明する資料が後から作れません。先に予約経路と実績を集め、その結果として時期区分と率を決めます。

| 工程 | やること | 最初に作る記録 |
|---|---|---|
| 1. 経路を棚卸し | 自社サイト、OTA、電話、旅行会社、団体契約を分ける | 予約経路一覧 |
| 2. 契約類型を分ける | 素泊まり、2食付き、返金条件の異なるプラン、個人・団体などを分ける | プラン分類表 |
| 3. 損失を集計 | 取消時期、再販成否、回避費用、返金・決済費用を記録する | 平均的損害の算定台帳 |
| 4. 条件を書く | 適用対象、時期、基準額、連泊・減員・不泊・例外を文章化する | ポリシー本文 |
| 5. 予約前に表示 | プラン詳細と最終確認画面で、重要条件を確認できるようにする | 画面と文面の保存 |
| 6. 確定後に保存 | 予約確認メール、マイページ、電話確認書に適用版を残す | 予約別の適用条件 |
| 7. 定期見直し | 再販率や免除件数を月次で確認し、必要なら将来予約分から改定する | 改定履歴 |
最短で着手するなら、直近12か月のキャンセル予約を「30日前以前」「29〜15日前」「14〜8日前」「7〜2日前」「前日」「当日」「無連絡」に分けます。各区分で、再販できた件数、最終的な売上、使わずに済んだ食材・アメニティ・外注費、返金や連絡に要した費用を記録してください。季節差が大きい宿は繁忙期と通常期を分けます。
客室が少ない宿ほど、1件の団体予約や年末年始の取消が平均値を大きく動かします。件数が少ない区分は、率を細かくしすぎず、データ不足であることも台帳に残します。開業直後なら、事業計画上の原価、同規模・同プランの参考資料、実際の照会件数など、現時点で確認できる資料を仮の根拠にし、3か月後や6か月後の見直し日を最初から決めます。
観光庁のモデル宿泊約款は「公定料率表」ではない
観光庁が公開するモデル宿泊約款は、宿泊契約の申込み、成立、取消し、宿側が契約を解除できる場合、料金支払いなどを整理したモデルです。現行PDFは2023年12月13日最終改正で、2026年9月11日に公開状態を確認しました。
取消しに関係する条項を正しく読む
実務で特に確認したいのは次の部分です。
- 第1条第2項:法令と慣習に反しない範囲で特約に応じられ、特約がある場合はその定めが優先するとするモデル構造
- 第3条:宿が申込みを承諾したときに契約が成立する考え方と、申込金を求める場合の扱い
- 第6条第1項:宿泊客は宿へ申し出て契約を解除できる
- 第6条第2項:宿泊客の責めに帰すべき理由で解除された場合、別表第2による違約金を申し受ける構造。申込金を求めなかった特約の場合の告知にも言及
- 第6条第3項:連絡がなく、指定到着時刻または宿が定める時刻を過ぎた場合、解除として処理できる旨のモデル
- 第7条第1項第7号、第2項:不可抗力で宿泊させられない場合の宿側解除と、提供していない宿泊サービス分を収受しない扱い
- 別表第2:違約金の時期区分、連泊短縮、15人以上の一部人数減などを設計する枠
ここで最も大切なのは、現行の別表第2にある違約金の比率欄が空欄だという点です。ホテルは契約申込人数に応じて14人まで、15〜99人、100人以上、旅館は14人まで、15〜30人、31〜100人、101人以上の欄を設けていますが、無連絡不泊、当日、前日、それ以前の各比率は施設側が検討して記入する体裁です。

観光庁の旅館業法に関するFAQには、一般的に宿泊日に近いほど取消料が高くなり、例として当日100%、連絡なしは多くの場合100%と説明する箇所があります。しかし、これは一般例の説明です。モデル約款の空欄へ必ず100%を入れるよう定めた法定表ではありません。
モデル約款の別表第2注2には、契約日数を短縮した場合、短縮日数にかかわらず1日分(初日)の違約金を収受するモデルがあります。注3には、15人以上の団体で宿泊10日前までに一部人数が減った場合、宿泊10日前時点の人数の10%(端数切上げ)を違約金の対象外とするモデルがあります。自館がこの扱いを採用するのか、OTAや旅行会社の条件と整合するのかを確認し、採用する部分だけを自館の条文へ落とします。
国際観光ホテル整備法の登録ホテル・旅館については、観光庁の宿泊料金・宿泊約款の届出案内に、実施前の届出手続が示されています。この手続を、すべての宿泊施設に一律に当てはまる届出義務として案内してはいけません。自館の営業許可や登録状況を確認し、該当する制度ごとに所管へ相談します。
「平均的な損害」を自館の資料で説明できるようにする
消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金について、解除の時期や区分などに応じ、当該事業者に生ずべき平均的な損害を超える部分を無効としています。条文はe-Gov法令検索の消費者契約法で確認できます。
消費者庁の第9条の逐条解説は、「平均的な損害」を業界全体の平均ではなく、同一事業者が結ぶ多数の同種契約について合理的に算定される平均値として説明しています。解除時期などにより区分して考えられます。また、消費者から求められたとき、事業者は算定根拠の概要を説明するよう努める規定があります。
したがって、「近隣の宿も同じ率だから」「OTAの初期値がこの率だから」だけでは、自館の根拠説明になりません。近隣相場は比較材料にはなっても、客室数、食事原価、仕入時期、再販力、決済条件が異なれば損失も異なります。
台帳で集める8項目
キャンセル1件ごとに、次の項目を残します。予約者の病名など、判断に不要な機微情報は過剰に収集しない運用も決めてください。
- 予約番号と予約経路
- 契約したプラン、室数、人数、泊数、予約時の総額
- 取消しを受けた日時、宿泊開始までの日数、無連絡かどうか
- 同じ客室・同じ日の再販売の成否と再販売額
- 食材、アメニティ、清掃、送迎、外注など回避できた費用
- 決済、返金、OTA、旅行会社などに関する実際の費用
- 請求した額、免除・減額・日程変更の結果と理由
- 根拠資料の保存場所と担当者

計算は「売上全額」を出発点にして終わらせない
内部検討では、まず取消しがなければ得られた売上を置き、同日の再販売で回収できた売上や、宿泊がなくなったことで回避できた変動費を確認します。さらに、取消時期別の再販確率を実績から見ます。固定費をどこまで含めるか、複数プランを同種契約として扱えるかなどは個別判断が必要です。
たとえば、宿泊代2万円の素泊まりプランについて、7日前の取消20件のうち16件を平均1万9千円で再販売でき、1件当たり2千円の変動費を回避できたとします。この数字から直ちに特定の取消率が法的に確定するわけではありません。再販できなかった4件、値下げ差額、回避費用、実際に発生した事務費用などを集計し、「7日前区分でどの程度の損失が通常生じたか」を検討する材料にします。
逆に、夕食の高額食材を宿泊3日前に発注し、その後は返品できない宿では、食事付きプランの直前取消と素泊まりプランの損失が同じとは限りません。貸切宿、長期滞在、団体貸切、繁忙期限定プランも、合理的な理由があれば別区分で検討します。区分を増やすほど予約者には分かりにくくなるため、損失差が小さい区分はまとめる判断も必要です。
「返金不可」プランも絶対ではない
事前決済・返金不可と表示したプランでも、消費者契約法第9条の検討が不要になるわけではありません。「返金不可と書けば、理由や時期を問わず宿泊代全額を必ず保持できる」と断定しないでください。平均的な損害の検討資料として、取消時期ごとの未再販分、再販売上、回避費用を残します。割引の設計理由、通常プランとの選択可能性、予約前表示も別に保存します。急病などの個別事情は平均値の算定要素と混ぜず、免除・減額を判断した理由として別の運用記録へ残します。
算定結果は、次のように文章で説明できる形にします。
当館では、同種プランの取消実績を宿泊開始までの日数ごとに集計し、再販売によって回収できた額と、食材・アメニティ等の回避費用を確認して取消料を設定しています。具体的な計算の概要についてお問い合わせいただいた場合は、個人情報や営業上の機密に配慮した範囲でご案内します。
この説明文があること自体で料率の妥当性が保証されるわけではありません。説明と一致する台帳を更新し、実績が変わったら将来の予約条件を見直すことが重要です。
本文に書く13項目|適用範囲の曖昧さを減らす
ポリシーは料率表だけでは足りません。予約者とスタッフが同じ結論へたどり着けるよう、最低でも次の13項目を決めます。
1. 適用する予約
自社サイト、電話、メール、店頭など、どの直接予約に適用するかを書きます。OTA、旅行会社、福利厚生サービス経由は、その予約画面・確認書に表示された条件が適用される場合があることを明記します。自社約款が常にOTA条件へ優先すると書かないでください。
2. 契約が成立する時点
自社予約エンジンの「予約確定」操作、宿からの承諾メール、電話での承諾など、経路別に整理します。仮押さえ、問い合わせ、リクエスト予約を確定予約と混同させない表示が必要です。
3. 取消しの受付方法と受付時刻
予約管理画面、所定フォーム、電話、メールのどれで受けるか、いつ宿へ到達した時点を基準にするかを書きます。日本時間か施設所在地の時刻か、営業時間外に届いた連絡をいつ受け付けるかも決めます。緊急時に電話しか受けないなら、その番号と対応時間を予約前に示します。
4. 基準になる金額
「予約総額」「基本宿泊料」「初日分」「取消し対象となった室・人数分」のどれに率を掛けるのかを明記します。税、入湯税、現地追加注文、未提供の食事、オプションを含むかも分けます。「宿泊料金の50%」だけでは、何の50%かが伝わりません。
5. 取消時期と率・定額
日数の数え方、当日・前日・無連絡不泊の定義を示します。取消し時刻を分単位で複雑にするより、予約画面で「無料取消期限:9月20日23:59」のように日付と時刻を表示できる形が実務的です。率は本稿の数字を写さず、自館の台帳を基に埋めます。
6. 連泊の短縮
全日程の取消しと、宿泊開始日を変えない泊数短縮を分けます。何日分を取消料の基準にするか、短縮の連絡日をどう数えるかを書きます。モデル約款の初日1日分という扱いを採用する場合も、OTAの条件と一致するかを確認します。
7. 人数・室数の減少
1室料金と1名料金では計算が変わります。減員によって客室タイプや1名当たり料金が変わる場合は、変更後料金と取消料を二重に見せないよう計算例を用意します。団体は、最終人数確定日と無料で調整できる人数枠を別紙にする方法もあります。
8. 無連絡不泊
チェックイン予定時刻を何時間過ぎたら無連絡不泊として扱うか、その前にどの連絡先へ何回連絡するかを決めます。到着予定時刻が未入力の予約に使う基準時刻も設定します。緊急搬送や通信障害が後から判明した場合の再検討手順も内部規程へ置きます。
9. 日程変更
取消料を免れる目的の変更と再取消しをどう扱うか、同一予約者・同一プラン・変更可能期間などを決めます。一方で、日程変更は現金返金より宿と旅行者の双方に有利な場合があります。機械的に禁止せず、空室と再販可能性を見て代替案として提示します。
10. 災害・交通・施設都合
宿が営業できずサービスを提供できない場合、宿は営業しているが旅行者が到着できない場合、旅行者の判断で取りやめる場合を分けます。「台風なら必ず無料」「交通が止まっても必ず全額請求」と一文で処理しない設計にします。
11. 急病・弔事などの個別事情
免除を保証する条件にするのか、書類の有無、日程変更、クーポン、減額を含めた個別判断にするのかを決めます。診断書などの提出を求める場合は、必要性、保管期間、閲覧者を絞ります。同じ事情を一貫して扱う判断表も用意します。
12. 請求・返金の方法
カード、振込、現地払い、OTA決済で処理主体が変わります。請求日、支払期限、振込手数料、返金時期、カード会社側の反映日数を案内します。OTA決済を宿だけで返金できるように見せないことも大切です。
13. 版番号と問い合わせ先
施行日、版番号、適用対象となる予約日または宿泊日、問い合わせ窓口を書きます。改定前に成立した予約へ新しい条件をさかのぼって適用しないよう、予約番号ごとに表示版を残します。
予約前・最終確認・予約後|3段階で同じ条件を残す
消費者庁の消費者契約法第3条の逐条解説は、契約条項を明確で平易なものにし、契約内容や取消権の行使に必要な情報を提供するよう努める考え方を説明しています。長い約款へのリンクをページ末尾に置くだけで終わらせず、予約判断に重要な条件を予約導線で見せます。
観光庁のオンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン案内と概要資料では、旅行予約サイトについて、取消しが可能な期間、取消料の額、請求主体、支払・払戻方法、契約当事者、契約成立時点などを分かりやすく表示する考え方が示されています。最終確認画面と、契約成立後のメールやマイページで確認できる状態も重要です。
自社サイトは4か所をそろえる
- プラン一覧:無料取消期限や返金条件の短い要約
- プラン詳細:適用対象、基準額、時期別条件、例外への連絡方法
- 最終確認画面:宿泊日と照合した具体的な期限、発生額または計算方法
- 予約確認メール・マイページ:確定時に適用された全文、版番号、連絡先
チェックボックスは確認を促す一手段ですが、チェックがあるだけで、分かりにくい条件や過大な額まで当然に有効になると断定はできません。スマートフォンで料率表が横にはみ出さないか、無料期限が予約者の時刻で誤解されないか、読み上げでも理解できるかを確認します。
直接予約を増やす施策とポリシー表示は同時に設計できます。OTA手数料と自社予約の増やし方で、予約経路ごとの原価と導線も確認してください。
OTAは予約ごとの条件を正本として確認する
OTAでは、施設が管理画面で設定した条件がプランや料金タイプへ紐づき、予約者の画面に表示されます。たとえばBooking.comの事業者向け公開資料は、施設ポリシーの構成と、予約段階で取消期限と料金を表示する情報を分けて説明しています。個別予約の免除を宿へ問い合わせる処理もあるため、宿側だけで返金確定と案内せず、当該予約の決済・取消手順を確認します。
じゃらんnetの予約内容の変更・取消案内は、取消規定が施設ごとに異なり、予約確認メールや予約内容詳細画面で確認するよう案内しています。楽天トラベルの予約方法案内でも、予約申込みの段階で施設情報やキャンセルポリシーを確認する流れが示されています。
OTAの一般論だけで処理せず、該当予約のプラン名、確定日時、取消期限、表示額、決済主体、メッセージ履歴を一画面またはPDFで保存します。OTA側条件と自社サイトの条件が違う場合に、自社約款を一方的に優先させる案内は避けます。修正が必要なら、未来の販売分について管理画面と自社表示をそろえます。
電話予約は復唱して書面を送る
電話では、料金、宿泊日、人数、食事、取消期限、無連絡不泊、連絡方法を復唱し、SMSまたはメールで全文を送ります。送信できない場合は、読み上げた時刻、担当者、相手の確認内容を予約台帳へ残します。聞き取りにくい割合を並べるより、「9月20日23時59分までは無料。9月21日以降は予約総額の○%」のように具体日を使います。
英語で予約条件を送る必要がある宿は、宿泊予約メールの英語テンプレートも併用できます。日本語版と翻訳版で期限や基準額がずれないよう、一つの版番号で管理してください。

そのまま編集できるキャンセルポリシーテンプレ10本
以下は完成済みの法定文書ではなく、自館の実績と予約システムに合わせて埋めるためのたたき台です。角括弧内を必ず変更し、料率、受付時刻、基準額、OTAとの関係、該当制度を専門家と確認してください。
テンプレ1|直接予約向けの基本本文
【キャンセルポリシー/第[版番号]版】
施行日:[YYYY年MM月DD日]
1. 適用範囲
本ポリシーは、当館の[公式サイト・電話・メール]で成立した直接予約に適用します。
予約サイト、旅行会社その他の事業者を通じた予約には、各予約の確定画面・確認書に表示された条件が適用される場合があります。
2. 取消しの受付
取消しは[予約管理画面/フォーム/電話番号/メールアドレス]で受け付けます。
受付時刻は[日本時間/施設所在地の時間]で、[当館へ通知が到達した時刻]を基準とします。
3. 取消料
取消料は、下表の区分に従い、[予約総額/基本宿泊料/取消対象となった室・人数分]を基準に算出します。
[税・入湯税・食事・オプションを含むか]は[具体的な取扱い]です。
4. 個別事項
連泊短縮、人数・室数の減少、無連絡不泊、日程変更、災害・交通・急病等の取扱いは、当館が本ポリシーと同時に表示する[該当条項名/URL]に従います。
お問い合わせ:[窓口、受付時間]
※そのままコピーして使えます
テンプレ2|自館で埋める料率表
【プラン区分:[素泊まり/食事付き/貸切/団体/その他]】
基準額:[予約総額/基本宿泊料/取消対象分]
無料取消期限:[宿泊日の○日前 23:59]
取消しを受けた時期 取消料
[○日前]から[○日前]まで [基準額の○%/○円]
[○日前]から前日まで [基準額の○%/○円]
当日 [基準額の○%/○円]
無連絡不泊 [基準額の○%/○円]
日数の数え方:[具体例]
受付時刻の基準:[日本時間、到達時点など]
設定根拠の内部資料:[台帳名・集計期間・承認日]
次回見直し日:[YYYY年MM月DD日]
※そのままコピーして使えます
テンプレ3|取消し受付の返信
件名:ご予約取消し受付のご案内(予約番号:[番号])
[お名前]様
当館へご連絡いただきありがとうございます。
[受信日時]に、次の取消しを受け付けました。
宿泊日:[日付]
プラン:[名称]
取消対象:[○室・○名・○泊]
適用ポリシー:[第○版/予約確定時のURLまたは添付]
取消料:[○円/確認中]
返金予定:[方法、目安。決済事業者側の処理期間がある場合はその旨]
計算の内訳は[別記/後ほど○営業日以内にご案内]します。
内容に相違がある場合は[期限]までに[窓口]へお知らせください。
※そのままコピーして使えます
テンプレ4|取消料の計算案内
予約番号:[番号]
取消し受付日時:[日時・時間帯]
適用条件:[プラン名、ポリシー版、取消時期区分]
基準額:[○円]
対象:[○室・○名・○泊/初日分など]
適用率または定額:[○%/○円]
取消料:[○円]
既払額:[○円]
返金額または請求額:[○円]
基準額に含むもの:[宿泊料、食事等]
基準額に含まないもの:[未提供オプション、現地税等]
算定根拠の概要をご希望の場合:[連絡窓口]
※そのままコピーして使えます
テンプレ5|免除・減額を決めたときの通知
ご予約の取消しについて、[確認した事実]を踏まえ、今回は[全額免除/○円へ減額/○円を返金]とします。
処理方法:[カード取消/OTA経由/振込/次回充当]
処理予定日:[日付]
本対応は、今回確認できた事情と予約条件に基づく個別対応です。
今後のすべての予約に同じ取扱いを約束するものではありません。
ご不明点は[窓口]へご連絡ください。
※そのままコピーして使えます
テンプレ6|日程変更を提案するとき
現時点の空室状況では、取消しの代わりに次の日程変更をご提案できます。
変更候補:[日付・泊数・プラン]
料金差額:[○円/確定前に再見積り]
変更手数料・取消料:[具体的な扱い]
再変更・再取消し時の条件:[適用する期限・率・版番号]
回答期限:[日付・時刻]
回答期限までに合意できない場合は、予約確定時の取消条件に基づき処理内容をご案内します。
※そのままコピーして使えます
テンプレ7|無連絡不泊を防ぐ到着前連絡
件名:本日のご到着時刻の確認(予約番号:[番号])
本日の到着予定時刻は[時刻]です。
[時刻]を過ぎる場合は、[電話/メッセージ]でご連絡ください。
連絡がなく[基準時刻]を過ぎた場合は、予約確定時の条件に基づき無連絡不泊として扱うことがあります。
交通の運休、災害、急病などで到着が難しい場合も、状況が分かり次第ご連絡ください。
緊急連絡先:[番号、対応時間]
※そのままコピーして使えます
テンプレ8|災害・交通障害の確認票
予約番号:[番号]
連絡日時・経路:[日時、電話/OTA等]
宿の営業状況:[営業可能/一部制限/休業/未確定]
予約したサービスの提供可否:[可/不可/一部不可]
公的な避難・通行規制:[情報源URL、発表時刻]
利用予定交通の運休・欠航:[便名・区間・公式情報]
代替経路の有無:[確認内容]
旅行者の希望:[取消/変更/到着待ち]
適用する予約条件:[版番号・OTA画面]
決定:[免除/減額/請求/変更/保留]
決定理由・承認者:[事実と判断を分けて記載]
再連絡期限:[日時]
※そのままコピーして使えます
テンプレ9|電話予約の復唱スクリプト
「ご予約内容を確認します。[日付]から[○泊]、[○室・○名]、[プラン名]、総額[○円]です。
無料で取消しできる期限は[具体日・時刻]です。
それ以降は、[基準額]に対して[時期別の率または定額]がかかります。
連泊短縮・人数減・無連絡不泊は[要点]です。
取消しの連絡先は[窓口]です。
この後、同じ内容を[SMS/メール/郵送]でお送りします。内容に相違はありませんか」
記録:復唱日時[ ]/担当者[ ]/送付先[ ]/送付結果[ ]/相手の回答[ ]
※そのままコピーして使えます
テンプレ10|平均的損害の内部算定台帳
集計期間:[YYYY年MM月〜YYYY年MM月]
契約類型:[プラン・部屋・個人/団体・季節区分]
取消時期区分:[○日前〜○日前]
取消件数:[ ]件
取消対象売上合計:[ ]円
再販売できた件数:[ ]件
再販売売上合計:[ ]円
回避できた食材費:[ ]円
回避できた清掃・アメニティ・外注費:[ ]円
取消しに伴い実際に生じた費用:[ ]円
免除・減額件数と理由分類:[ ]
算定方法の説明:[式と採用理由]
データ不足・外れ値の扱い:[ ]
検討した料率・定額:[ ]
現行条件との差:[ ]
確認者・確認日:[ ]
次回見直し日:[ ]
根拠資料の保存先:[ ]
※そのままコピーして使えます
テンプレを導入するときは、現場スタッフが「どの画面を見るか」「誰が免除を承認するか」「返金を誰が実行するか」まで試行します。自社予約で条件を見せる導線は、南紀の宿が直予約を増やす方法と合わせると整理しやすくなります。
連泊・減員・無連絡不泊は計算例まで決める
通常の全取消しだけを決めても、現場で迷うのは連泊短縮と人数減です。予約確認画面に計算例を一つ置き、同じ予約を担当者2人が計算して同額になるかを確認します。
連泊短縮の例
5泊10万円の予約を、宿泊7日前に3泊へ短縮したとします。次のどれを採るかで結果が変わります。
- 取消しとなった後半2泊分を基準にする
- モデル約款別表第2注2のように、契約日数を短縮した場合、短縮日数にかかわらず1日分(初日)を基準にする
- 長期滞在プランの個別特約に従う
- OTA予約画面に表示された短縮条件に従う
自館が採用する計算を本文に書き、率の根拠も該当類型の台帳で確認します。「連泊のキャンセルは1泊分」とだけ書くと、全取消し、泊数短縮、チェックイン後の早期出発のどれか分かりません。
人数減・室数減の例
4名1室の総額8万円から3名へ減った場合、1名分2万円を単純に取消対象とするのか、3名利用の客室料金へ変更して差額を出すのかを決めます。2室のうち1室を取り消す場合は、取り消した1室の料金が基準になりやすい一方、パッケージや団体契約は別の計算が必要です。
夕食数の確定後に減員された場合、宿泊分と仕入済み食事分を分けて記録します。食事代を二重に請求しないこと、提供していないオプションを基準額に機械的に含めないことを確認します。
無連絡不泊の前に残す記録
無連絡不泊は、単にチェックインが遅れただけの旅行者と区別する必要があります。到着予定時刻、最終チェックイン時刻、事前連絡、電話・OTAメッセージの送信時刻、送達結果を残します。連絡なしで処理する時刻はポリシーに明記し、深夜到着がある地域では公共交通の最終時刻も運用設計に含めます。
台風・交通・急病|例外は「事実→条件→判断」で処理する
災害時の対応は、宿の営業可否と旅行者の到達可否を分けると判断しやすくなります。
- 施設が宿泊サービスを提供できない:休業、避難指示区域、建物被害、ライフライン停止などを確認する
- 施設は提供できるが旅行者が到着できない:予約した交通の運休、代替経路、道路規制、旅行者の所在地を確認する
- 施設も交通も動いているが旅行者が取りやめる:予約確定時の条件と、個別に確認できた事情を基に判断する
- 急病・弔事など:自動免除と断定せず、自館の例外基準、変更提案、証明資料の必要性を確認する

国民生活センターの宿泊予約と交通機関運休に関するFAQは、ホテルが通常営業している場合、交通機関の運休を理由に旅行者が取り消しても、原則として宿の規約に沿った取消料が発生し、支払いを拒むのは難しいとしつつ、状況により異なるためホテルへ問い合わせるよう案内しています。2026年1月9日更新の公開情報を2026年9月11日に確認しました。
この案内からも、「台風・欠航なら宿は必ず無料」「宿が営業していれば事情を問わず必ず全額請求」という両極端な運用は導けません。宿がサービスを提供できないときはモデル約款第7条の扱いも確認し、OTA予約なら個別予約の条件と決済経路を確認します。
台風や大雨の情報収集、宿泊客への連絡、休業判断を一つの表にする方法は、台風・大雨時に宿泊・飲食事業者が決める規定と告知も参照してください。既存記事の結論を一律の取消条件として流用せず、気象情報の発表主体、URL、確認時刻、対象地域と、今回の予約でサービスを提供できるかを記録します。
例外対応の承認幅を決める
スタッフごとの判断差を減らすため、次のような権限表を内部用に作ります。
| 対応 | 現場担当 | 責任者 | 保存するもの |
|---|---|---|---|
| 無料期限内の取消し | 処理可 | 事後確認 | 予約条件、受付時刻 |
| 予約条件どおりの定型請求 | 案内可 | 一定額以上を確認 | 計算書、送信履歴 |
| 日程変更への振替 | 空室確認まで | 承認 | 旧予約・新予約の紐付け |
| 一部減額・クーポン | 提案まで | 承認 | 理由、金額、期限 |
| 全額免除 | 提案まで | 承認 | 公式情報、判断理由 |
| 規定を超える請求や紛争化 | 処理停止 | 専門家相談 | 全履歴 |
証明資料を求める際は、判断に必要な最小限にします。急病なら診断名の詳細まで集めず、予約日との関係を確認できる情報で足りるかを検討します。保存期限を過ぎた資料は削除し、メール添付を複数端末へ放置しない運用も必要です。
公開後の運用|月次15分、四半期60分で見直す
良いポリシーは、厳しい率を置いたものではなく、予約者が事前に理解でき、現場が同じ計算をし、宿が根拠を説明できるものです。公開後は次の指標を確認します。
- 取消件数と取消率
- 取消時期区分ごとの再販売率と再販売単価
- 回避費用と実費の推移
- 請求額、回収額、返金額
- 免除、減額、日程変更の件数と理由
- 条件に関する問い合わせ、苦情、決済争い
- 自社サイトとOTAの条件不一致件数
- 電話予約で書面を送れなかった件数
問い合わせの内容も分類します。「いつから発生するか分からない」が多ければ、率を変える前に無料期限を具体日で出す表示を直します。「何に率を掛けるか分からない」が多ければ、基準額と計算例を追記します。苦情件数だけを見ても原因は分かりません。予約前表示、スタッフの説明、計算、返金処理のどこで認識が分かれたかを記録すると、改定すべき箇所を特定できます。
月次では、予約画面と確認メールの表示が変わっていないか、期限計算が正しいか、例外案件の記録漏れがないかを15分程度で確認します。四半期では、取消区分別の再販率と損失を再集計し、現行率との乖離を見ます。季節変動が大きい場合は、繁忙期終了後に別途レビューします。
改定は未来の予約から分かるようにする
改定時は、旧版を上書きして消さず、版番号、公開日、適用開始日、変更理由、承認者を残します。すでに成立した予約には、予約時に表示された版を紐づけます。自社サイト、予約エンジン、OTA、電話用台本、館内マニュアルを一つのチェックリストで更新し、表示不一致のまま販売を続けないようにします。
少なくとも年1回は、現行法令、観光庁資料、利用中OTAの規約・管理画面を確認します。OTAや予約エンジンの仕様は更新されるため、古い操作画面の説明を恒久ルールにしないでください。
公開前の最終チェック15項目
- [ ] 対象となる予約経路が書かれている
- [ ] 契約成立の時点が経路別に分かる
- [ ] 取消しの連絡方法、受付時刻、タイムゾーンが分かる
- [ ] 料率を掛ける基準額が分かる
- [ ] 取消時期の数え方を具体日で確認できる
- [ ] 料率の内部算定台帳がある
- [ ] 連泊短縮、人数減、室数減の扱いがある
- [ ] 無連絡不泊とする時刻と連絡手順がある
- [ ] 日程変更後の再取消条件がある
- [ ] 災害・交通・急病を一律処理しない手順がある
- [ ] 自社サイトのプラン詳細と最終確認画面が一致する
- [ ] 予約確認メールに全文または保存可能な条件がある
- [ ] OTAのプラン別条件を実予約で確認した
- [ ] 電話予約の復唱台本と送付手段がある
- [ ] 版番号、改定履歴、次回見直し日がある
よくある質問
Q. 宿のキャンセル料は法律で全国一律に決まっていますか?
全国の宿に共通する一律料率が定められているわけではありません。観光庁の現行モデル宿泊約款にも時期区分の枠はありますが、別表第2の比率欄は空欄です。自館の同種契約で生じる平均的な損害を検討し、表示方法と例外運用を含めて設定します。
Q. モデル宿泊約款に当日100%と書いてありますか?
現行PDFの料率欄は空欄です。観光庁FAQには当日100%などの一般例がありますが、公定料率ではありません。例をそのまま自館の根拠にせず、再販実績や回避費用を確認してください。
Q. 近隣ホテルと同じ率にすれば問題ありませんか?
近隣相場だけで妥当性が決まるとは言えません。消費者庁の解説では、平均的な損害は業界平均ではなく、当該事業者の同種契約について合理的に算定するものとされています。他館の表示は分かりやすさの比較に使い、率の根拠は自館の記録で作ります。
Q. 予約確認画面にチェック欄を置けば十分ですか?
チェック欄は確認を促す方法の一つです。ただし、重要条件が長文の奥にあり、基準額や期限が理解できない状態を自動的に解消するものではありません。プラン詳細、最終確認、予約後メールで同じ条件を分かりやすく示します。
Q. OTA予約にも自社サイトのポリシーを適用できますか?
自社ポリシーが常に優先するとは限りません。個別予約の確定画面、プラン条件、決済主体、OTA上の取消手順を確認します。表示に食い違いがあれば、予約者へ一方的に不利な条件を後から加えず、将来販売分の設定をそろえてください。
Q. 台風や電車の運休なら必ず無料ですか?
必ず無料とは限りません。宿がサービスを提供できないのか、宿は営業できるが旅行者が到着できないのか、予約条件、公式の交通・規制情報、代替案を確認します。反対に、どのような状況でも必ず全額請求できるとも断定できません。
Q. 急病なら診断書を求めるべきですか?
一律に必須とする前に、免除・減額判断に何の情報が必要かを決めます。書類を求めるなら、目的、必要項目、保存期間、閲覧権限を限定します。日程変更など、病状の詳細を集めずに解決できる選択肢も検討してください。
Q. 返金不可プランなら全額を必ず請求できますか?
「返金不可」という表示だけで、あらゆるケースの全額請求が当然に認められるとは断定できません。平均的な損害の上限は、取消時期ごとの未再販分、再販売上、回避費用などで検討します。プラン設計と予約前表示、サービス提供の可否も確認します。急病などの個別事情による免除・減額は、平均値の算定とは分けた運用判断として記録します。
Q. 連泊の途中で早く帰る場合は何泊分を請求しますか?
自館の連泊短縮条項、予約経路、プラン条件により扱いが変わります。モデル約款別表第2注2には、契約日数を短縮した場合、短縮日数にかかわらず1日分(初日)の違約金を収受するモデルがありますが、すべての予約へ自動適用される扱いではありません。チェックイン前の短縮と滞在開始後の早期出発も分けて書きます。
Q. 開業直後で取消データがない場合はどうしますか?
客室原価、食材の発注期限、再販可能な期間、予約照会の実績、同規模施設の公開条件など、確認できる資料から暫定設計します。データ不足を記録し、3か月後または一定件数がたまった時点で必ず見直します。参考相場だけで恒久率を決めないことが重要です。
今日から作るのは「公開文・根拠・運用」の3点セット
キャンセルポリシーの作り方で最初に押さえるべきことは、率だけを決めないことです。モデル宿泊約款は条項の抜けを確かめる土台にし、空欄の料率は自館の取消・再販・回避費用の記録から検討します。そのうえで、予約前の分かりやすい表示、予約確定後の保存、経路別の処理、例外判断、改定履歴を一つの運用にします。
まず直近12か月の予約を六つ程度の取消時期に分け、テンプレ10の内部算定台帳へ20件でも入力してください。次にテンプレ1と2で本文を作り、プラン詳細、最終確認画面、確認メール、電話台本を同時に更新します。最後に、別の担当者がテスト予約を行い、具体的な無料期限と請求額を同じように計算できるか確認します。
参考にした一次情報・公式情報
以下は2026年9月11日に公開状態と内容を確認しました。制度や各サービスの仕様は更新されるため、実際の導入・改定時に最新版を再確認してください。
- 観光庁「モデル宿泊約款」(2023年12月13日最終改正)
- 観光庁「モデル宿泊約款・ホテル営業等の制度案内」
- 観光庁「旅館業法に関するFAQ」
- 観光庁「登録ホテル・旅館の宿泊料金、宿泊約款の届出」
- e-Gov法令検索「消費者契約法」
- 消費者庁「消費者契約法第9条の逐条解説」
- 消費者庁「消費者契約法第3条の逐条解説」
- 観光庁「オンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン」
- 国民生活センター「交通機関が運休した場合のホテルのキャンセル料」
- Booking.com Developers「Policies API overview」「Cancellation policies」
- じゃらんnet「予約内容の変更・取消し」
- 楽天トラベル「予約方法」