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和歌山の台風休業|休業手当の要否と営業判断の5ステップ【2026年9月】

和歌山の台風休業|休業手当の要否と営業判断の5ステップ【2026年9月】

結論: 台風で店や宿を休みにした日の給与は、「台風だから払わなくてよい」でも「休ませたら必ず払う」でもありません。分かれ目は1つ、その休業が不可抗力か、会社の判断かです。建物の被害や交通機関の運休で物理的に働けない日は原則として休業手当は不要、営業できる状態なのに会社の判断で休む日は原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。これを台風が来る前に仕分けておけば、当日の朝に迷いません。

この記事の要点 対象読者: 和歌山県内(特に田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊・上富田・すさみ)で人を雇っている宿泊・飲食・小売・農林水産・観光の経営者と、シフトと給与を任されている現場責任者 読了後にできること: 自社の台風休業を「休業手当が必要な日」と「不要な日」に仕分け、判断基準・連絡文・計算式・就業規則の1条をこの記事のプロンプトで今日中に用意できる状態になる

「明日、店を閉めるのはいいんですが、パートさんの時給はどうしたらいいんですか」

白浜への移住準備で地域の事業者の方と話していると、台風が近づくたびにこの質問が出ます。営業を休む判断はできても、休んだ日の給与を払うのか払わないのか、誰も明確に教えてくれないからです。

しかも和歌山は、この判断を毎年迫られる土地です。気象庁の統計では、1951年から2026年の台風第8号までに和歌山県へ上陸した台風は26回で、鹿児島県に次ぐ全国2位タイです。南紀の宿や店にとって、台風休業は「もしも」ではなく「毎年の業務」に近い出来事です。

うまくいかない原因は、経営者の判断力ではありません。「台風=不可抗力=給与不要」という一律の思い込みと、判断の記録が残っていないことの2つにあります。実際には、同じ台風の日でも「営業できたのに休んだ日」と「そもそも働けなかった日」では、法律上の扱いが変わります。この違いを知らないまま処理すると、あとで従業員や労働基準監督署に説明できなくなります。

この記事では、白浜(和歌山)への移住準備を進めながら地域の事業者の実務を見ている立場から、台風接近時の営業判断と給与処理の5ステップ、そのままコピペで使える8本のプロンプト、業種別の判断ポイント、そして台風の週に揉めないためのチェックリスト8項目を公開します。なお本記事は公開されている制度情報の整理であり、個別の賃金処理の適法性を判断するものではありません。直近3か月分の給与明細か賃金台帳を1枚手元に置いて、読み進めてください。

目次
  1. まず結論|台風接近時の営業判断と給与処理の5ステップ(即効テンプレ)
  2. 休業手当とは|「休業補償」「欠勤」との違いと賃金の3パターン
  3. 営業判断と給与処理の5ステップ(完全版)
    1. ステップ1: 休業・時短の判断基準を「情報名と数値」で決める
    2. ステップ2: 休業手当の要否を「不可抗力か会社判断か」で仕分ける
    3. ステップ3: 平均賃金と休業手当の額を計算する
    4. ステップ4: 従業員への連絡文と判断の記録を型にする
    5. ステップ5: 雇用調整助成金の要件と就業規則を確認する
  4. 業種別の判断ポイント
  5. 【要注意】台風の給与処理でこじれる4つの失敗パターン
    1. 失敗1: 「台風だから休業手当は不要」と一律に決める
    2. 失敗2: 有給休暇を会社の判断で充ててしまう
    3. 失敗3: 判断基準がなく、当日の朝に電話で決める
    4. 失敗4: 従業員の安全と通勤リスクを考えずに出勤させる
  6. 台風の週に揉める事業所・揉めない事業所の違い(チェックリスト)
  7. 和歌山は台風上陸数が全国2位タイ|備えている中小企業はまだ2割弱
  8. よくある質問
    1. Q. 台風で休業した日の給与は、必ず払わなければいけませんか?
    2. Q. 中小企業や個人事業主でも、パート・アルバイトに休業手当は必要ですか?
    3. Q. 和歌山で台風の営業判断は、いつ・何を見て決めればいいですか?
    4. Q. 休業の日に従業員に有給休暇を使ってもらってもいいですか?
    5. Q. 計画運休で電車通勤の従業員だけ出勤できない場合はどうなりますか?
    6. Q. 会社の指示で早退させた場合の給与はどうなりますか?
    7. Q. 台風で売上が落ちたら、雇用調整助成金は使えますか?
    8. Q. 就業規則には何を書いておけばいいですか?
  9. まとめ:今日から始める3つのアクション
  10. 参考・出典

まず結論|台風接近時の営業判断と給与処理の5ステップ(即効テンプレ)

最初に全体像です。台風が来る前に「基準・仕分け・計算式」の3つを紙に書いておけば、当日の給与処理は仕分け表に当てはめる作業だけになります。

ステップ やること 今日できる最初の一歩
1. 判断基準を決める 休業・時短を判断する情報と数値を決める 「暴風警報で休業」など1行を紙に書く
2. 要否を仕分ける 休業の理由ごとに休業手当の要否を分ける 過去の台風休業を2つに分類してみる
3. 計算式を用意する 平均賃金と休業手当の額を出す 直近3か月の賃金台帳を開く
4. 連絡と記録 従業員への連絡文と判断記録の型を作る 公式LINEかグループの連絡先を確認
5. 制度と規則 雇用調整助成金の要件と就業規則を確認 就業規則に「天災時」の条文があるか見る
台風接近時の営業判断と給与処理の5ステップのフロー図

ポイントは順番です。多くの事業所は台風当日に「今日どうする」から始めますが、ステップ1と2が決まっていないと、判断のたびに給与の扱いも変わってしまいます。お客様向けのキャンセル規定と告知の順番は、台風・大雨のキャンセル対応|宿泊・飲食が今週決める規定と告知の順番【2026年9月】で整理しました。この記事はその裏側、つまり従業員に対する判断と給与を扱います。

休業手当とは|「休業補償」「欠勤」との違いと賃金の3パターン

休業手当とは、会社の都合で労働者を休ませたときに、労働基準法第26条にもとづいて支払う手当です。条文は「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と定めています(労働基準法(e-Gov法令検索)、参照日: 2026-09-29)。

名前の似た言葉と混同されやすいので、先に違いを押さえます。

  • 休業手当: 会社都合で休ませた日に払う。根拠は労働基準法第26条。台風の記事で問題になるのはこれ
  • 休業補償: 仕事や通勤が原因のケガ・病気で働けない期間に、労災保険から出る給付。台風の避難で店を閉めた日には関係しない
  • 欠勤(ノーワーク・ノーペイ): 労働者側の都合で働かなかった時間は、賃金を払う義務がない原則
  • 年次有給休暇: 労働者が請求して取る休み。会社が一方的に「台風の日は有給扱い」とすることはできない

台風の日の賃金は、この整理にもとづいて3パターンに分かれます。同じ台風の日でも「働いた」「会社都合で休ませた」「働けなかった」のどれに当たるかで、100%・60%以上・0%と結果が変わります。

  1. 通常の賃金(100%): 出勤して働いた時間。会社の指示で早退させた場合も、働いた時間分は通常どおり払う
  2. 休業手当(平均賃金の60%以上): 営業できる状態だったのに会社の判断で休ませた日や時間
  3. 賃金なし(0%): 建物の被害や交通機関の運休など不可抗力で働けなかった日、または労働者が自分の判断で休んだ日
台風の日の賃金の扱い3パターンを対比した図解

「不可抗力」の判断基準は、厚生労働省が令和元年台風第19号のときに公表したQ&Aに書かれています。不可抗力とは、①その原因が事業の外部から発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、の2つの要件を両方満たすものです(厚生労働省「令和元年台風第19号による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A」、参照日: 2026-09-29)。この2要件が、以降のステップ全体の土台になります。

営業判断と給与処理の5ステップ(完全版)

ここからが本体です。各ステップのプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。AIが出すのは「判断の下書き」であり、最終的な適法性の確認は社会保険労務士か管轄の労働基準監督署(和歌山労働局管内には田辺・新宮・御坊などの署があります)に行ってください。始め方は、スマホに公式アプリを入れてメールアドレスで登録し、この記事の文例を貼り付けて( )を自社の情報に書き換えるだけです。

ステップ1: 休業・時短の判断基準を「情報名と数値」で決める

台風の営業判断で最も避けたいのは、「危なそうだから休む」という感覚での決定です。感覚で決めると、従業員から見て「先週は営業したのに今週は休みなのはなぜか」が説明できず、給与の扱いにも納得が得られません。基準は、誰でも確認できる公的な情報名と数値で決めます。

使えるのは次の3種類です。1つ目は気象庁の警報で、「和歌山県南部に暴風警報が出たら休業」のように使います。2つ目は市町村が出す避難情報で、内閣府の指針では警戒レベル3が「高齢者等避難」、レベル4が「避難指示」、レベル5が「緊急安全確保」です(内閣府「避難情報に関するガイドライン」、参照日: 2026-09-29)。3つ目は交通機関の計画運休で、JR西日本は2020年10月の台風第14号のとき、きのくに線の紀伊田辺駅から新宮駅の間を終日運転見合わせとする計画運休を事前に発表しました(トラベルWatch「JR西日本、台風14号接近に伴いきのくに線で計画運休」、参照日: 2026-09-29)。

基準は「どの情報が、どの段階になったら、誰が、何を決めるか」の1行にまとめ、従業員に事前に配っておくことが、給与の説明を楽にする一番の近道です。

あなたは和歌山県の小規模事業者の労務と防災に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、台風接近時の「休業・時短・通常営業」を判断する基準を1枚にまとめてください。

【材料】
・業種と所在地: (例: 白浜町の客室8室の民宿)
・従業員の通勤手段: (例: 自家用車4名、きのくに線通勤1名)
・使う情報: 気象庁の警報・市町村の避難情報(警戒レベル)・JRの計画運休
・判断する人と時刻: (例: 前日17時に店主が決め、当日6時に再確認)

出力: ①情報名と段階ごとの「休業/時短/通常営業」の対応表 ②判断する人と連絡する時刻 ③従業員への配布用の3行要約。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

注意点は、基準を厳しくしすぎないことです。「大雨注意報で休業」のように緩い条件にすると休業が増え、後述する休業手当の対象日も増えます。安全と営業の両立点を、警報と避難情報の段階で決めてください。

ステップ2: 休業手当の要否を「不可抗力か会社判断か」で仕分ける

ステップ1で休業を決めたら、その日が休業手当の対象かどうかを仕分けます。分岐は2つだけです。

厚生労働省のQ&A(地震・台風とも同じ考え方です)は、次のように整理しています。事業場の施設や設備が直接被害を受けて休業する場合は、原則として使用者の責に帰すべき事由に当たらず、休業手当の義務はありません。一方、施設に直接被害がなく、取引先や交通機関の影響など間接的な理由で休業する場合は、原則として使用者の責に帰すべき事由に当たり、休業手当が必要です。ただしこの場合も、取引先への依存度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、休業を避けるための具体的努力などを総合的に見て判断するとされています(厚生労働省「地震に伴う休業に関する取扱いについて」、参照日: 2026-09-29)。

台風の場面に置き換えると、次の2分岐になります。

台風休業の休業手当の要否を2分岐で整理した図解

判断のコツは「その日、店を開けようと思えば開けられたか」を自分に問うことで、開けられたのに閉めた日は原則として休業手当の対象になります。暴風警報の段階で早めに閉める判断は安全上正しいことが多いのですが、その分の給与は会社が負担すると理解したうえで決めてください。

あなたは労働基準法第26条(休業手当)に詳しい社会保険労務士のアシスタントです。以下の台風休業の事実関係を、「不可抗力の2要件(①事業の外部から発生した事故、②通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられない事故)」に当てはめ、休業手当の要否の仮判定を出してください。

【材料】
・休業した日と時間帯: (例: 9月◯日 終日)
・その時点の気象情報: (例: 暴風警報発表中、避難指示は未発令)
・建物・設備の状況: (例: 被害なし、停電なし)
・交通機関: (例: きのくに線は計画運休、車通勤者は出勤可能)
・休業を決めた理由: (例: 客のキャンセルが全件で営業しても売上ゼロ)

出力: ①2要件それぞれの当てはめ ②「休業手当が必要な可能性が高い/低い」の仮判定と理由 ③判定を左右する未確認事項。最終判断は社会保険労務士または労働基準監督署の確認が必要である旨を必ず添え、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

注意点は「お客様のキャンセルで売上がない」は不可抗力の理由にならないことです。売上がなくても店は開けられるため、会社判断の休業と整理されるのが原則です。

ステップ3: 平均賃金と休業手当の額を計算する

休業手当は「平均賃金の60%以上」です。平均賃金は労働基準法第12条で、算定する日の前3か月間に支払った賃金の総額を、その期間の暦日数で割った額と定められています。ただし時給や日給で働く人には最低保障があり、賃金総額を実際に働いた日数で割った額の60%を下回ることはできません。パート・アルバイトの多い宿や店では、たいていこの最低保障のほうが高くなります。

和歌山県の最低賃金は2026年10月3日から時間額1,101円になります(和歌山労働局「和歌山県最低賃金が10月3日から時間額1,101円に改定されます」、参照日: 2026-09-29)。この時給で1日6時間、3か月で36日働いたパートの例で計算します。

  • 3か月の賃金総額: 1,101円 × 6時間 × 36日 = 237,816円
  • 原則の計算(暦日数92日で割る): 237,816円 ÷ 92日 = 約2,585円
  • 最低保障(労働日数36日で割り60%): 237,816円 ÷ 36日 × 0.6 = 約3,964円
  • 平均賃金は高いほうの約3,964円
  • 休業手当(60%): 約3,964円 × 0.6 = 1日あたり約2,378円

時給1,101円・1日6時間のパートを会社判断で1日休ませた場合、休業手当の最低ラインは1日あたり約2,378円で、通常の賃金6,606円の約36%です。「6割払う」と聞くと通常賃金の6割を想像しがちですが、実際の最低ラインはそれより低くなります。逆に言えば、通常賃金の6割を払うと決めるのは法律を上回る扱いで、従業員には歓迎される選択です。

あなたは給与計算の実務に詳しいアシスタントです。以下の材料から、労働基準法第12条の平均賃金(原則計算と、日給・時給者の最低保障の両方)と、第26条の休業手当(平均賃金の60%)を計算してください。

【材料】
・雇用形態と賃金: (例: パート 時給1,101円)
・休業日の直前の賃金締切日から遡った3か月の賃金総額: (例: 237,816円)
・同じ3か月の暦日数: (例: 92日)
・同じ3か月の実労働日数: (例: 36日)
・休業させた日数: (例: 1日)

出力: ①原則の平均賃金 ②最低保障額 ③採用する平均賃金と理由 ④休業手当の合計額 ⑤計算式をそのまま給与明細の備考に貼れる1行。通勤手当や賞与の扱いなど前提が不明な点は「要確認」とし、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

注意点は3つあります。賃金締切日がある場合は直前の締切日から3か月を数えること、休業手当の対象は所定労働日だけで元々の休日には不要なこと、そして時給の改定額は和歌山 最低賃金 2026|1,101円は10月3日から【2026年9月】で確認してから計算に使うことです。

ステップ4: 従業員への連絡文と判断の記録を型にする

判断と計算ができても、伝え方と記録がないと揉めます。連絡文には「休業するか」だけでなく「その日の給与をどう扱うか」まで書きます。従業員が本当に知りたいのは後者だからです。

あなたは家族経営の宿の主人です。以下の材料から、台風接近に伴う休業を従業員へ知らせる公式LINE用の連絡文を200字以内で作ってください。

【材料】
・休業する日と時間帯: (例: 9月◯日 終日)
・判断した根拠: (例: 和歌山県南部に暴風警報、きのくに線が計画運休)
・その日の給与の扱い: (例: 会社判断の休業として休業手当を支給/不可抗力のため無給。有給希望者は申し出可)
・次の連絡予定: (例: 翌朝6時に営業再開の可否を連絡)

条件: 安全を最優先する姿勢を先に書く/給与の扱いを1文で明記する/有給は本人の希望があれば使えると添える。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

有給休暇については、厚生労働省のQ&Aが、年次有給休暇は労働者が請求した時季に与えるものであり、使用者が一方的に取得させることはできないと整理しています。台風休業の日に有給を使うかどうかは本人が決めることであり、会社が「有給扱いにしておく」と処理した瞬間に問題になります。希望を聞く文面も用意しておきます。

あなたは小規模事業者の労務担当です。台風で休業した日について、従業員本人が希望する場合に限り年次有給休暇を使えることを伝え、希望の有無を確認する短い文面を作ってください。

【材料】
・休業した日: (例: 9月◯日)
・その日の本来の扱い: (例: 休業手当の対象日/無給の日)
・回答期限と方法: (例: 給与締め日の前日までにLINEで返信)

条件: 有給の使用を勧めたり促したりしない/使わない場合の扱いも明記する/2〜3文で完結させる。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

記録は、判断した日時・根拠にした情報・決めた内容・連絡した相手と時刻の4点を1行で残します。紙のノートでも、スプレッドシートでも構いません。この記録があるだけで、後日の説明も、次に述べる助成金の申請も格段に楽になります。

ステップ5: 雇用調整助成金の要件と就業規則を確認する

台風の影響で売上が落ち、休業が続く場合は、雇用調整助成金の対象になることがあります。厚生労働省の制度ページによると、通常制度の主な要件は、雇用保険の適用事業主であること、売上高または生産量などの最近3か月間の月平均値が前年同期比で10%以上減少していること、休業が労使協定にもとづき所定労働日の所定労働時間内に行われることなどで、中小企業の助成率は3分の2、支給限度日数は1年間で100日・3年間で150日です(厚生労働省「雇用調整助成金」、参照日: 2026-09-29)。1人1日あたりの上限額は毎年8月に見直されるため、最新の額は同ページで確認してください。

雇用調整助成金は「3か月の売上が前年同期比10%以上減った」場合の制度であり、台風で1日休んだだけでは要件に届かないため、まず自社の月次売上を前年同月と並べる作業から始めてください。災害が大きくなると厚生労働省が特例を出すこともありますが、それは公式発表があってから確認すれば十分です。なお、申請書類の作成は社会保険労務士など提携の専門家の領域で、和歌山DX総合研究所としては制度の存在と要件を整理するにとどめます。

あなたは雇用関係助成金に詳しい社会保険労務士のアシスタントです。以下の材料から、雇用調整助成金(通常制度)の主な要件に自社が当てはまるかを仮チェックしてください。

【材料】
・雇用保険の適用事業所か: (はい/いいえ)
・最近3か月の売上高: (例: 7月◯円、8月◯円、9月◯円)
・前年同期の売上高: (例: 昨年7月◯円、8月◯円、9月◯円)
・休業の実施方法: (例: 労使協定あり、所定労働日の全日休業)

出力: ①3か月平均の前年同期比の減少率 ②要件ごとの「該当/非該当/要確認」 ③労働局への相談前に揃える書類の一覧。支給の可否を断定せず、最新の公募要領と労働局の確認が必要である旨を添え、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

就業規則には、台風時の条文を1つ足しておくと翌年から迷いません。「天災事変その他やむを得ない事由により営業できない場合は休業とすることがある」という趣旨の条文と、休業手当の扱いを書きます。

あなたは中小企業の就業規則に詳しい社会保険労務士のアシスタントです。台風などの天災時の休業と休業手当の扱いを定める就業規則の条文案を、以下の材料から作ってください。

【材料】
・業種と規模: (例: 田辺市の飲食店、従業員6名)
・休業を決める基準: (ステップ1で決めた1行)
・休業手当の方針: (例: 法定どおり平均賃金の60%/通常賃金の60%を支給)
・有給の扱い: (本人の希望があれば使用可)

出力: ①条文案(2〜3条) ②労働基準監督署への届出が必要かどうかの注意 ③従業員への説明文3行。条文は最終的に社会保険労務士の確認を受ける前提とし、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

最後に、台風が過ぎたら振り返りを残します。

あなたは小規模事業者の業務改善担当です。今回の台風対応を振り返り、次の台風までに直すことを整理してください。

【材料】
・判断した内容と時刻: (例: 前日17時に翌日終日休業を決定)
・実際の気象・交通の状況: (例: 暴風警報は当日昼に解除、JRは午後再開)
・従業員からの反応や質問: (例: 「午後は開けられたのでは」との声)
・給与処理で迷った点: (例: 早退者の休業手当の扱い)

出力: ①判断基準の修正案 ②連絡文の修正案 ③就業規則に足す項目 ④次回までにやることの3行リスト。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

注意点は、振り返りを「反省会」にしないことです。目的は基準の精度を上げることであり、判断した人を責めることではありません。

業種別の判断ポイント

同じ台風でも、業種によって先に決めるべき基準と、給与でつまずく点が違います。自分の業種に近い行から着手してください。

業種 先に決める判断基準 給与処理でつまずきやすい点
宿泊(民宿・旅館・ヴィラ) 在館客がいる場合の「営業継続」と「新規受入停止」の線引き 客がゼロでも館内作業があれば出勤扱い。清掃担当だけ休ませる判断の説明
飲食 暴風警報と仕入れ締切時刻のどちらが先か 昼だけ営業し夕方に閉める「一部休業」の休業手当の扱い
小売 避難情報の段階と店舗の浸水リスク レジ担当を早めに帰す「会社指示の早退」の賃金
農林水産・加工 出荷先の受入停止と作業場の安全 取引先都合で作業がない日を無給にしてよいかの判断
業種別に台風時の営業判断と給与処理の要点を整理した図解

共通するのは、「客が来ない」と「働けない」は別物で、前者だけを理由に休ませた日は原則として休業手当の対象になるという点です。宿の在館客への対応や避難の手順そのものは、小さな宿の災害時対応マニュアル|最初の10分と12テンプレート【2026年】で分岐ごとに整理しています。

会社の指示で早退させた場合は、働いた時間の賃金を払ったうえで、その額が平均賃金の60%に届かないときは差額を休業手当として払うのが行政解釈です。逆に、従業員が自分の判断で早めに帰った場合は、帰った後の時間は欠勤扱いで賃金は不要です。どちらだったのかを記録に残しておくことが、ここでも効いてきます。

【要注意】台風の給与処理でこじれる4つの失敗パターン

5ステップを実行しても、油断は禁物です。次の4つのどれかに当てはまると、従業員との信頼か法令順守のどちらかを失います。順に確認してください。

失敗1: 「台風だから休業手当は不要」と一律に決める

❌ よくある間違い: 気象庁の警報が出た時点で「不可抗力」と判断し、休ませた日をすべて無給にする。

⭕ 正しいアプローチ: 日ごと、場合によっては時間帯ごとに「働けなかったのか、働けたのに休ませたのか」を分けて処理する。

なぜ重要か: 厚生労働省のQ&Aは、施設に直接被害がなく間接的な理由で休業する場合を「原則として使用者の責に帰すべき事由に当たる」としており、警報が出ただけでは不可抗力とは認められないからです。白浜への移住準備で地域の事業者の方と話していても、「台風の日は無給が当たり前」という認識は珍しくありません。その認識のまま処理を続けると、後から従業員が労働基準監督署に相談したときに、さかのぼって支払いを求められる可能性があります。

失敗2: 有給休暇を会社の判断で充ててしまう

❌ よくある間違い: 「無給だと従業員がかわいそうだから」と善意で、休業日を有給休暇として処理する。

⭕ 正しいアプローチ: 有給を使うかどうかは本人に聞き、希望した人だけ有給処理にする。希望しない人は休業手当か無給として、その理由を伝える。

なぜ重要か: 年次有給休暇は労働者が請求して取るものであり、善意であっても会社が一方的に有給を消化させることは認められていないからです。有給の残日数は従業員にとって財産です。「勝手に使われた」という不信感は、給与の額よりも長く残ります。

失敗3: 判断基準がなく、当日の朝に電話で決める

❌ よくある間違い: 台風当日の朝に店主が空を見て「今日は休み」と決め、従業員に順番に電話する。

⭕ 正しいアプローチ: 前日の決まった時刻に、決まった情報(警報・避難情報・計画運休)にもとづいて判断し、一斉に連絡する。

なぜ重要か: 判断の根拠が記録に残っていないと、その日の休業が不可抗力か会社判断かを後から示せず、休業手当の要否も説明できなくなるからです。気象庁の統計では、台風の上陸数の平年値は年3.0個で、8月0.9個・9月1.0個・10月0.3個と秋に集中しています(気象庁「台風の平年値」、参照日: 2026-09-29)。毎年この時期に同じ判断を繰り返すのに、基準を紙にしていないのは、経営の手間を自分で増やしていることになります。

失敗4: 従業員の安全と通勤リスクを考えずに出勤させる

❌ よくある間違い: 「営業できるなら出てきて当然」と、暴風警報下で車通勤の従業員に出勤を求める。

⭕ 正しいアプローチ: 出勤の可否は従業員ごとの通勤経路と情報の段階で判断し、危険な場合は休ませて休業手当を払うか、出勤時刻をずらす。

なぜ重要か: 会社には従業員の安全に配慮する義務があり、通勤途中の被災は通勤災害として労災保険の対象になり得るため、「営業できる」と「出勤させてよい」は別に判断すべきだからです。和歌山地方気象台の記録では、2018年の台風第21号で和歌山(観測点)の最大瞬間風速は57.4m/s、御坊の最大潮位偏差は260cmに達しました(和歌山地方気象台「和歌山県に災害をもたらした主な台風」、参照日: 2026-09-29)。この風の中で車を走らせる判断を、従業員個人に押しつけないでください。

ここまでの内容は、無料の道具と公開情報だけで完結できます。それでも「判断基準を決める時間がない」「就業規則を見直す手が足りない」という事業所があるのも事実です。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、県内の事業者の対面DX・AI伴走支援に取り組んでいます。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは直近の給与明細1枚と過去の台風休業の記憶だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。

台風の週に揉める事業所・揉めない事業所の違い(チェックリスト)

現在地の確認に使ってください。就業規則と前回の台風の記録を見ながら、当てはまるものにチェックを入れます。

  • □ 休業・時短を判断する情報名と段階が1行で書いてある
  • □ 判断する人と時刻(前日◯時・当日◯時)が決まっている
  • □ 「不可抗力の日」と「会社判断の日」を分ける基準を従業員に説明できる
  • □ パート・アルバイトの平均賃金の計算式(最低保障を含む)を持っている
  • □ 休業手当の額を「通常賃金の◯%」ではなく平均賃金から出している
  • □ 有給休暇は本人の希望を確認してから処理している
  • □ 判断日時・根拠・連絡先・時刻を1行で記録する型がある
  • □ 就業規則に天災時の休業と休業手当の条文がある
台風休業の給与と営業判断のチェックリスト図解

特に見落とされやすいのが4つ目と5つ目で、「6割」という数字だけを覚えていて、何の6割かを計算したことがない事業所がほとんどです。チェックが3つ未満でも心配はいりません。この記事の5ステップは、上から順に進めればチェックが1つずつ埋まる構成になっています。

和歌山は台風上陸数が全国2位タイ|備えている中小企業はまだ2割弱

「うちのような小さな店が、そこまで決めておく必要があるのか」と感じるかもしれません。データは、和歌山ほど「決めておく価値」が高い地域は少ないことを示しています。

まず頻度です。気象庁の都道府県別の統計では、1951年から2026年の台風第8号までの上陸数は、鹿児島県45回、高知県26回、和歌山県26回、静岡県22回、長崎県18回の順で、和歌山県は高知県と並ぶ全国2位タイです(気象庁「台風の上陸数 都道府県別ランキング」、参照日: 2026-09-29)。日本全体の上陸数も、2021年3個、2022年3個、2023年2個、2024年2個、2025年3個、2026年は9月29日時点の速報値で3個と、毎年途切れていません(気象庁「台風の上陸数」、参照日: 2026-09-29)。

次に、周りの事業者の備えです。帝国データバンクが2026年5月18日から31日に全国2万2,749社を対象に行った調査(有効回答1万521社)では、事業継続計画(BCP)を策定している企業は21.4%で、大企業39.9%に対し中小企業は18.3%にとどまります。想定するリスクの1位は「自然災害」で67.8%でした(帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2026年)」、参照日: 2026-09-29)。台風の上陸数が全国2位タイの和歌山でも、休業の判断基準と給与の扱いまで文書にしている中小企業は少数派だと考えるのが自然で、この記事の5ステップを済ませるだけで同業の中では備えている側に回れます。

受け皿は県内にすでにあります。和歌山県は、小規模事業者の事業継続力強化計画づくりを市町村と商工会・商工会議所が支援する「事業継続力強化支援計画」を認定しており、認定一覧には田辺商工会議所、白浜町商工会、新宮商工会議所、串本町商工会、みなべ町商工会、すさみ町商工会、上富田町商工会、御坊商工会議所、那智勝浦町の南紀くろしお商工会など、南紀の商工会・商工会議所がそろって載っています(和歌山県「事業継続力強化支援計画の認定一覧」、参照日: 2026-09-29)。判断基準と給与の扱いを決めたら、その紙を最寄りの商工会に持ち込み、事業継続力強化計画に組み込む相談をするのが次の一手です。被災後に動く融資や相談窓口の仕組みは、屋久島町に災害救助法適用|被災中小企業に動いた制度と南紀の備え【2026年9月】で整理しました。

よくある質問

Q. 台風で休業した日の給与は、必ず払わなければいけませんか?

いいえ、必ずではありません。建物の被害や交通機関の運休で物理的に働けなかった日は不可抗力として原則不要、営業できる状態で会社の判断で休んだ日は原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。厚生労働省のQ&Aが示す「不可抗力の2要件」に当てはめて日ごとに判断し、その根拠を記録に残してください。

Q. 中小企業や個人事業主でも、パート・アルバイトに休業手当は必要ですか?

必要です。労働基準法第26条は事業の規模や雇用形態で区別しておらず、パート・アルバイトも対象です。むしろ時給制の従業員は平均賃金の最低保障が関係するため、ステップ3の計算式で1人ずつ額を出しておくと、給与日に慌てません。

Q. 和歌山で台風の営業判断は、いつ・何を見て決めればいいですか?

前日の決まった時刻に、気象庁の警報、市町村の避難情報(警戒レベル)、JRきのくに線などの計画運休の3つを見て決めるのが基本です。「暴風警報で休業」「警戒レベル4で従業員を帰す」のように情報名と段階を1行で決めておくと、判断も給与の説明も一貫します。当日の朝に再確認する時刻もあわせて決めてください。

Q. 休業の日に従業員に有給休暇を使ってもらってもいいですか?

本人が希望すれば構いません。会社の側から有給を充てることはできず、希望を確認してから処理する順番を守ってください。希望しない従業員には、その日の扱い(休業手当か無給か)と理由を伝えます。

Q. 計画運休で電車通勤の従業員だけ出勤できない場合はどうなりますか?

その従業員が働けなかった時間は、労働者側の事情として賃金を払う義務はないのが原則です。ただし店を開けているのに「今日は来なくていい」と会社から指示した場合は、会社判断の休業として休業手当の対象になり得ます。どちらの指示を出したかを、記録に残しておいてください。

Q. 会社の指示で早退させた場合の給与はどうなりますか?

働いた時間の賃金は通常どおり払います。そのうえで、その日に払う賃金が平均賃金の60%に届かないときは、差額を休業手当として払うのが行政解釈です。従業員が自分の判断で早めに帰った場合は、帰った後の時間は欠勤扱いで構いません。

Q. 台風で売上が落ちたら、雇用調整助成金は使えますか?

台風で1日休んだだけでは要件に届きません。厚生労働省の制度ページでは、売上高などの最近3か月間の月平均値が前年同期比で10%以上減少していることが要件の1つで、中小企業の助成率は3分の2です。要件に近い場合は、月次売上を前年同月と並べたうえで、和歌山労働局か提携の社会保険労務士に相談してください。最新の要件と上限額は公式ページで確認が必要です。

Q. 就業規則には何を書いておけばいいですか?

天災時に休業することがある旨と、その日の休業手当の扱い、有給休暇は本人の希望で使える旨の3点です。条文を足すだけでなく、ステップ1で決めた判断基準を別紙として従業員に配ることで、規則が「動く紙」になります。変更後は社会保険労務士の確認を受け、必要な届出を行ってください。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: 休業・時短の判断基準を「情報名と段階」で1行書き、判断する人と時刻を決める
  2. 今週中にやること: 直近3か月の賃金台帳からパート・アルバイトの平均賃金と休業手当の額をステップ3の式で出す
  3. 今月中にやること: 従業員への連絡文と記録の型を用意し、就業規則に天災時の条文を足して社会保険労務士に確認する

5つすべてを一気にやる必要はありませんが、判断基準の1行だけは次の台風が来る前に書いてください。それがあるだけで、当日の給与の扱いは仕分け表に当てはめる作業に変わります。

次回予告: お客様側のキャンセル規定と告知の順番は、台風・大雨のキャンセル対応|宿泊・飲食が今週決める規定と告知の順番【2026年9月】で公開済みです。従業員側の本記事とあわせて、台風の週の判断を表裏で揃えてください。

参考・出典

本記事は公開されている法令・行政の一次情報を整理したもので、個別の賃金処理や就業規則の適法性は社会保険労務士または労働基準監督署にご確認ください。

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※本記事の計算例は制度の理解を助けるための仮の数値です。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。

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河原 将太株式会社Tip 代表取締役社長

東京都立大学在学中に事業を開始し法人化。大手エネルギー関連企業へのAIコンサルティング、上場企業を含む20社以上へのコンサルティング提供、1投稿で1億回以上再生されたSNSコンテンツの企画に携わる(実績は代表およびメンバー個人としての活動を含む)。現在は和歌山の企業・観光事業者へのSNS・AI・DX支援と、県内のホテル・リゾート開発構想に取り組む。詳しいプロフィール

本記事は、株式会社Tipが公開情報・一次情報・実務での検証結果をもとに作成し、必要に応じて更新しています。掲載内容は最終更新日時点の情報です。

公開日: 2026.10.02