
結論: 2026年9月7日、和歌山県の「企業の森」事業に和歌山ノーキョー食品工業株式会社(和歌山市)が参画し、県庁で協定の調印式が行われました。活動地は紀美野町福井の民有林・約0.7ヘクタール、期間は今後10年間、森の愛称は「和歌山ノーキョー食品めぐりの森」です。ここで中小事業者が注目すべきなのは企業名ではなく面積です。県の一覧では直近の協定が0.14〜1.18ヘクタールに収まっており、この制度は「広大な社有林を持つ大企業のもの」ではなくなっています。取引先から環境の取り組みを聞かれる立場なら、窓口は県の森林整備課ひとつで、確認は電話1本から始められます。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県内(田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊など南紀を含む)の中小事業者・法人経営者と、宿泊・観光・飲食・小売・農水産・建設の現場責任者。取引先や金融機関から「環境への取り組み」を尋ねられる場面がある方 読了後にできること: 「企業の森」に自社が関わるかどうかを判断し、県へ相談する前に社内で決めておくべき項目(誰が・何人で・年何回・いくらまで)を書き出した状態になる
「うちは環境の取り組みなんて、何も書けることがない」。
取引先から送られてくる調査票や、金融機関の面談資料に「サステナビリティに関する取り組み」という欄があり、空欄のまま提出した経験はないでしょうか。従業員10人の宿や店にとって、太陽光発電の導入も、専任担当者を置くことも現実的ではありません。かといって「ゴミの分別をしています」とだけ書くのも心もとない。
この空欄が埋まらない理由は、意欲の問題ではありません。中小企業が使える、公的で・第三者が確認できて・書類が残る枠組みを知らないという情報の問題です。和歌山県が2002年から続けている「企業の森」は、まさにその条件を満たす枠組みのひとつでした。ただし長らく「大企業のCSR」という印象が強く、地元の小さな会社の選択肢に入ってきませんでした。
今回のニュースは、その印象を見直す材料になります。県内の食品メーカーが0.7ヘクタールという小さな区画で、10年という長い期間の協定を結んだ——この規模感こそ、地域の事業者が自分ごととして読める数字だからです。
この記事では、テレビ和歌山が報じた協定の内容と、和歌山県・林野庁が公表している資料だけをもとに、確定している事実、南紀の事業者にとって何が変わるか、9月30日と10月に決めることを整理します。手元に、直近で取引先から届いた調査票と、自社の年間行事予定表を用意しながら読み進めてください。
目次
2026年9月7日の調印式で決まったこと|紀美野町福井0.7haで10年
まず、現時点で公表されている事実です。テレビ和歌山の報道(2026年9月7日)によると、県庁の知事室で、和歌山ノーキョー食品工業株式会社の竹中英起代表取締役社長、紀美野町の小川裕康町長、そして県の三者が協定書に署名しました。
| 項目 | 公表されている内容 | 自社に置き換えると |
|---|---|---|
| 参画企業 | 和歌山ノーキョー食品工業株式会社(和歌山市の飲料メーカー) | 県内企業でも参画できる |
| 活動地 | 紀美野町福井の民有林 | 自社所有の山でなくてよい |
| 面積 | 約0.7ヘクタール | 1ha未満の区画が現実的な単位 |
| 期間 | 今後10年間 | 単発イベントではなく長期の約束 |
| 森の愛称 | 和歌山ノーキョー食品めぐりの森 | 社名入りの名称を付けられる |
| 整備・管理 | 森林組合に委託 | 専門の作業は自社でやらない |
| 社員の活動 | 植栽や下草刈りなどを継続的に実施 | 年数回の現地活動を見込む |
| 参画の理由 | 豊かな水資源の保全には森林保全が重要との認識 | 自社の原料・商品と森のつながり |

ここで押さえたいのは、企業がやることと、専門家がやることがはっきり分かれている点です。木を伐る、道を付ける、下刈りの計画を立てるといった専門作業は森林組合に委託され、企業側は植栽や下草刈りといった社員参加型の活動を担う——報道されている内容はその構図です。チェーンソーを持つ社員を確保する必要はありません。
現時点で公表されているのはここまでです。協定に伴う企業側の費用負担額、活動地の選定経緯、年間の活動回数は報じられておらず、県の公開ページにも記載がありません。したがって本記事でも金額の目安は書きません。ここは後述のとおり、県の窓口に直接確認する項目です。
和歌山県「企業の森」とは|2002年開始、104企業・122か所という到達点
「企業の森」は、企業・団体がサステナビリティ活動や地域との交流活動の一環として、和歌山県内の森林環境の保全に取り組む県の事業です。和歌山県の「企業の森」公式ページによると、2002(平成14)年から実施されています。20年以上続く制度で、今回のように調印式が県庁で行われ、地元自治体の首長も同席する形が定着しています。
規模も公表されています。参加企業・団体の紹介ページには「2026(令和8)年8月現在、104の企業・団体が122箇所の活動地で『企業の森』に参画しています」と記載され、活動地ごとに企業・団体名、協定締結日、面積、協定・活動の内容が一覧で公開されています(参照日: 2026-09-10。今回の和歌山ノーキョー食品工業の協定は、この一覧にはまだ反映されていません)。
一覧の末尾5件、つまり直近の協定は次のとおりです。
- 活動地122: 株式会社紀陽銀行・コーナン商事株式会社「紀陽銀行・コーナン商事 共創の森」2026年8月・0.55ha
- 活動地121: ダイキン工業労働組合「ダイキン工業労働組合の森」2026年7月・0.78ha
- 活動地120: 日本製鉄株式会社 関西製鉄所「日本製鉄 和歌山の森」2026年3月・0.29ha
- 活動地119: 日本労働組合総連合会和歌山県連合会「連合和歌山の森」2025年10月・0.14ha
- 活動地118: 株式会社西尾家具工芸社「ニシオならのこの森」2025年7月・1.18ha
5件すべてが1.2ヘクタール以下、最小は0.14ヘクタール(1,400平方メートル)です。今回の0.7ヘクタールも、この流れのなかにあります。協定の単位が小さくなっているという事実は、社員数十人の会社が検討するうえで最も重要な情報です。

県が示す参加企業のメリットは、参加企業のメリットのページに4つ挙げられています。
- サステナビリティ活動への貢献: 事業活動とは別枠で、環境保全に直接関わる
- 実践によるPR・イメージアップ: 一覧ページや県の情報誌に社名と森の名称が載る
- 育てた森のCO2吸収量を認定: 県の認証事業により、吸収量を算定・評価してもらえる
- 社員の福利厚生: 家族参加の行事や社内行事として使える
このうち3番目は、書類が残るという点で特に実務的です。和歌山県森林による二酸化炭素の吸収等環境保全活動認証事業は「企業の森」参加企業・団体を対象に、森林整備活動と樹木が吸収した二酸化炭素の量を評価・認証する制度で、森林簿による土壌・立地条件の確認と現地調査を経て、認証書が交付されます。担当は森林整備課ではなく環境生活部 環境政策局 脱炭素政策課(電話073-441-2674)で、申請書の様式もページからダウンロードできます(参照日: 2026-09-10)。
南紀の事業者に効く3つの変化|小さな協定・認証書・11月の育樹祭
ニュースそのものは和歌山市の企業と紀美野町の話です。では、田辺・白浜・新宮といった南紀の事業者に何が関係するのか。3点に絞ります。
変化1: 「山を持っていないと参加できない」が過去の前提になった
参加企業・団体の一覧を見ると、協定の面積は0.14〜1.18ヘクタール台が直近の中心で、活動地は森林所有者から提供される民有林です。今回の和歌山ノーキョー食品工業も、自社の山ではなく紀美野町福井の民有林で活動します。つまり土地を買う話ではありません。
一方で、企業側の費用負担の内訳や、活動地をどう探すかの手順は、県の公開ページ上に文章として掲載されていません(該当ページの参加の流れは図で示されています)。ここは推測せず、窓口に聞くべき項目として後述します。
変化2: 取引先向けの調査票に「書ける行」が1行増える
中小事業者にとっての実利は、環境への貢献そのものより、第三者が確認できる形で残ることにあります。県の一覧ページに社名と活動地が公開され、協定書があり、条件を満たせばCO2吸収量の認証書が交付される。これは自社サイトに書いた宣言文とは重みが違います。
宿泊・飲食であれば、旅行会社や自治体の入札・登録、法人利用の契約更新で環境項目を問われる場面があります。食品・農水産であれば、量販店やECモールのバイヤー資料、産直サイトの生産者紹介欄がその出口です。商品ページに何をどう書くかは、和歌山の食品ECで売上を伸ばす7ステップ|梅・みかん通販の実務ガイド【2026年8月】で整理しています。
変化3: 2026年11月7日・8日、田辺市と白浜町で全国育樹祭が開かれる
南紀の事業者にとって、今年の秋は森林が地域の話題の中心になります。和歌山県 全国育樹祭推進室のページによると、第49回全国育樹祭は令和8年11月7日(土)にお手入れ行事を新庄総合公園(田辺市)で、11月8日(日)に式典行事を白浜会館(白浜町)で開催します。協賛のご案内には参加者数を約8千人と見込む旨が示されています。
つまり11月上旬、田辺・白浜には全国から森林関係者と来訪者が集まります。宿・飲食・小売にとっては需要期であり、同時に「この地域は森でつながっている」という文脈が最も伝わりやすい2日間でもあります。南紀の宿がこうした地域行事を予約導線にどう載せるかは、南紀の宿が直予約を増やす方法|白浜・田辺・串本の受入条件と7つの実務【2026年】が参考になります。
なお、育樹祭の金銭協賛の募集期間は令和6年9月1日から令和8年5月31日までと公表されており、この記事の公開時点(2026年9月10日)ではすでに終了しています。「まだ間に合う」と誤解しないでください。
9月30日までに決めること、10月に動かすこと
ここからが実務です。9月中に締切が来るものが1つ、10月以降に自分のペースで進めるものが5つあります。

9月30日締切: 育林交流集会に申し込むか、今週決める
全国育樹祭の関連行事として、育林交流集会の参加者が募集されています。県の募集ページによると、開催は令和8年11月7日(土)13時30分〜16時30分(開場12時30分)、会場は南紀の台ホール(上富田町南紀の台63-3)、テーマは「つなげていく これからの森づくりと木づかい」で、取組事例の発表とパネルディスカッションが行われます。申込は郵送・FAX(073-452-7380)またはオンライン応募フォームで、受付は令和8年8月1日から9月30日(水)までです(参照日: 2026-09-10)。
上富田町は田辺市の隣で、南紀の事業者にとっては車で行ける距離です。参画を検討する会社にとって、先に活動している企業の話を聞ける場は貴重です。判断材料の整理は、次のプロンプトでAIに手伝ってもらえます。
あなたは中小企業の総務・経営企画の実務に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、11月7日の地域行事に自社から参加すべきかどうかを判断する材料を整理してください。
【材料】
・業種と従業員数: (例: 旅館・従業員12名)
・所在地: (例: 田辺市)
・11月7日の営業状況: (例: 土曜・繁忙)
・環境の取り組みで今困っていること: (例: 取引先の調査票が空欄)
・参加できそうな人と役職: (例: 専務と総務1名)
出力: ①参加する場合の得られるもの3つ ②参加しない場合の代替案2つ ③申込前に社内で確認すべきこと3つ。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
10月に決めること1: 誰が・何人で・年何回動けるか
今回報じられた協定期間は「今後10年間」でした。自社の期間が何年になるかは相談してみないと分かりませんが、単発の行事ではなく数年単位の約束になる前提で、社内の数字を先に確定させてください。ここが曖昧なまま相談に行くと、話が前に進みません。
あなたは中小企業の年間計画づくりを支援するアドバイザーです。以下の材料から、森林保全活動の年間参加計画のたたき台を作ってください。
【材料】
・業種と繁忙期・閑散期: (例: 宿泊業・繁忙=夏と年末年始/閑散=6月と12月上旬)
・従業員数と、現地に行ける人数の上限: (例: 全12名中、最大5名)
・定休日または休業日: (例: 火曜)
・現地までの片道所要時間: (例: 車で1時間20分)
・家族の同伴を認めるか: (例: 認めたい)
出力: ①年間の活動回数の案(無理のない回数と、その理由) ②実施しやすい月と避けるべき月 ③1回あたりの所要時間と人員配置。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
10月に決めること2: 県への相談メールの文面を用意する
窓口は和歌山県農林水産部森林林業局森林整備課です。「企業の森」ページに電話073-441-2970が掲載されています(参照日: 2026-09-10)。電話が最短ですが、社内で共有できる記録を残したい場合はメールを併用してください。文面は次のように作れます。
あなたは行政あての問い合わせ文が得意なライターです。以下の材料から、県の担当課あてに送る「企業の森」参画の相談メールを300字以内で作ってください。
【材料】
・会社名・所在地・業種・従業員数:
・参画を検討する理由: (例: 取引先から環境の取り組みを求められている)
・現地に出せる人数と年間回数の想定:
・希望する地域: (例: 田辺市周辺/特にこだわらない)
・確認したいこと: (例: 費用の負担範囲、活動地の探し方、協定までの期間、必要書類)
条件: 敬体で簡潔に/確認したいことは箇条書き/こちらの前提を先に書く。分からない項目は「未定」と書き、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
聞くべきことは決まっています。費用の負担範囲、活動地の紹介の受け方、協定までにかかる期間、必要書類、社員の現地活動がどの程度求められるかの5点です。この5点は公開ページに文章として書かれていないため、確認しないまま社内で議論しても答えは出ません。
10月に決めること3: 社内稟議のたたき台を先に作る
「県に聞いてから考える」では、担当者の熱が冷めた時点で止まります。相談と並行して、稟議のたたき台を用意してください。
あなたは中小企業の稟議書作成を支援するアドバイザーです。以下の材料から、社内稟議のたたき台を作ってください。
【材料】
・件名: 和歌山県「企業の森」への参画検討
・背景: (例: 取引先の環境調査票、金融機関からの照会)
・想定する活動: (例: 年2回・社員5名・下草刈りと植栽)
・未確定な事項: (例: 費用、活動地、協定期間)
・決裁者が気にする点: (例: 10年間の負担、繁忙期の人繰り)
出力: ①目的 ②検討の経緯 ③実施案 ④未確定事項と確認先 ⑤判断を求める事項。未確定の項目は必ず「未確定」と明記し、金額を推測で書かないでください。
※そのままコピーして使えます
金額を推測で埋めないことが最大の注意点です。公表されていない数字を稟議書に書くと、後で実額が違ったときに社内の信頼を失います。空欄のまま「確認中」と出すほうが健全です。
10月に決めること4: 公表の仕方を、始める前に決める
参画が決まってから慌てて広報を考えると、事実と違う表現が混ざります。順序は逆で、書ける事実の範囲を先に決めてから活動を始めるのが安全です。
あなたは企業の広報文を書くライターです。以下の材料だけを使い、自社サイトに掲載する「森林保全の取り組み」の紹介文を400字以内で作ってください。
【材料】
・制度名と実施主体: (例: 和歌山県「企業の森」)
・協定の内容: (場所・面積・期間。確定しているものだけ)
・自社が行う活動: (例: 年2回の下草刈り)
・参画の理由: (自社の事業と森のつながり)
条件: 効果や吸収量の数値は、公的な認証を受けたものだけ書く/「環境に優しい」等の評価語は使わず事実を書く/未確定の予定は「検討中」と明記する。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたはSNS投稿の文章が得意な編集者です。以下の材料から、活動当日の投稿文を3案(各120字以内)作ってください。
【材料】
・活動内容と場所: (例: 紀美野町の山林で下草刈り)
・参加人数と顔ぶれ: (例: 社員5名と家族2名)
・当日の様子: (例: 雨上がりで足元が悪かった)
・伝えたいこと: (例: 10年続ける約束をしたこと)
条件: 誇張しない/写真の内容と矛盾しない/社名と制度名を正確に書く。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
掲載先を持っていない場合は、そこから整えることになります。自社サイトに何を載せるかは、田辺市の飲食店のホームページ制作|載せる6項目と作る7ステップ【2026年9月】で扱った「載せる項目」の考え方がそのまま応用できます。
10月に決めること5: 取引先に渡す1枚と、社内の想定問答を作る
そもそもの出発点は、取引先や金融機関の「環境への取り組みは?」という質問でした。参画が決まってから資料を作るのではなく、渡す1枚の形を先に決めておくと、協定後すぐに使えます。
あなたは中小企業の営業資料を作る編集者です。以下の材料から、取引先に渡すA4片面1枚の構成案と、各項目に入れる文章(合計600字以内)を作ってください。
【材料】
・会社名・業種・所在地:
・取り組みの内容: (制度名/活動地/面積/期間/年間の活動回数。確定しているものだけ)
・取り組みを始めた理由: (自社の事業と森のつながり)
・写真として用意できるもの: (例: 活動日の集合写真、活動地の遠景)
・相手が知りたいこと: (例: 継続性、第三者の裏づけ)
条件: 見出しは5つ以内/数値は確定したものだけ/未確定は「今後確認」と書く。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは社内研修の資料を作る講師です。以下の材料から、社員が取引先やお客様に説明するときの想定問答を8問作ってください。
【材料】
・取り組みの内容: (制度名/活動地/面積/期間)
・自社が担う作業と、専門業者が担う作業:
・費用について社外に言えること: (例: 金額は非公表)
・認証の有無: (例: CO2吸収量の認証は未申請)
条件: 回答は各2文以内/分からない質問には「確認してお答えします」と答える型を用意する/実績を誇張しない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
想定問答で最も大事なのは、「分かりません」と答えてよい質問を決めておくことです。費用や吸収量を聞かれたとき、その場で概算を口にしてしまうと、後から訂正が効きません。
業種別に見た「企業の森」の使いどころ
同じ制度でも、自社の商売のどこに効くかは業種で変わります。近い行から読んでください。
| 業種 | 企業の森の使いどころ | 取引先・お客様に見せる場所 |
|---|---|---|
| 宿泊(旅館・民宿・ヴィラ) | 社員と家族の年数回の活動、地域行事との連動 | 予約サイトの施設紹介、法人契約の資料、館内掲示 |
| 飲食・小売 | 少人数で通える近距離の活動地 | 店頭掲示、メニュー裏、自治体の登録・入札書類 |
| 食品製造・農水産 | 原料と水源のつながりを説明できる活動地 | 商品ページ、バイヤー向け資料、産直サイトの生産者欄 |
| 建設・製造・運輸 | 従業員の福利厚生と安全衛生行事への組み込み | 元請への提出資料、採用ページ、金融機関への説明 |

共通するのは、活動そのものより「見せる場所」を先に決めた会社が続くという点です。見せる場所がないと、年2回の作業は総務の負担としてだけ残り、3年目に止まります。海外からのお客様に地域の自然との関わりを伝える場面が多い事業者は、熊野古道のインバウンド対応|沿線事業者の予約・食事・荷物を整える7つの実務【2026年】で整理した「地域の文脈を伝える」考え方と組み合わせると、説明が一貫します。
【要注意】この制度で誤解されやすい4つのこと
誤解1: 大企業のCSRだから、うちには関係ない
❌ よくある間違い: 参加企業の一覧に大手の名前が並んでいるのを見て、検討の対象から外す。
⭕ 正しいアプローチ: 面積で見る。直近5件の協定は0.14〜1.18ヘクタールで、今回の飲料メーカーも約0.7ヘクタールです。県内企業・県内労働組合の参画も一覧に含まれています。
なぜ重要か: 「大企業のもの」という思い込みは、数字を見れば1分で解けるからです。判断を早く済ませられれば、それだけ他の施策に時間を回せます。
誤解2: 森を買う、あるいは自社の山が必要だ
❌ よくある間違い: 山林の購入費用を試算し始めて、そこで検討が止まる。
⭕ 正しいアプローチ: 今回の活動地は紀美野町福井の民有林であり、企業が土地を取得したとは報じられていません。県の一覧に並ぶ活動地も、企業名ではなく活動地番号と面積で管理されています。
なぜ重要か: 前提が違うと、稟議に載る金額の桁が変わってしまうからです。ただし、契約の形式や費用の負担範囲は公開ページに文章として示されていないため、必ず森林整備課に確認してください。この記事でも推測は書きません。
誤解3: 育樹祭の協賛にまだ申し込める
❌ よくある間違い: 11月の全国育樹祭に合わせて、9月や10月に協賛を申し込もうとする。
⭕ 正しいアプローチ: 金銭協賛の募集期間は令和6年9月1日〜令和8年5月31日と公表済みで、すでに締め切られています。いま申込が開いているのは、9月30日締切の育林交流集会など個別行事の参加募集です。
なぜ重要か: 締切が過ぎた枠を追いかけると、間に合う枠を逃すからです。行事は名称が似ていても、募集主体も締切も別々に設定されています。
誤解4: CO2吸収量の認証は自動でついてくる
❌ よくある間違い: 協定を結べば吸収量の証明書が毎年届くと考える。
⭕ 正しいアプローチ: 認証は別制度・別窓口です。担当は脱炭素政策課で、認証申請書の提出、森林簿による土壌・立地条件の確認、現地調査を経て認証書が交付されます。申請期限は公開ページに明記されていないため、時期は窓口確認が必要です。
なぜ重要か: 「認証を取る前提で対外資料を作る」と、交付前に実績として書いてしまう事故が起きるからです。書けるのは、交付された事実だけです。
ここまで、公表されている事実と、公表されていない項目を分けて書いてきました。白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中でも、制度そのものより「誰に何を聞けばいいのか分からない」ところで止まっているという声を聞くことがあります。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応)。無料ヒアリングは最大60分、提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎で、契約前提の営業はいたしません。
県に相談する前のチェックリスト(8項目)
電話をかける前に、手元で埋めておくと話が1回で進みます。
- □ 参画したい理由を1文で言える(取引先の要請/採用/地域との関係など)
- □ 現地活動に出せる人数の上限が決まっている
- □ 年間の活動回数の希望が決まっている(例: 年2回)
- □ 繁忙期と定休日を答えられる
- □ 希望する活動地の地域と、片道の許容時間が決まっている
- □ 社内の決裁者と、決裁に必要な書類の形式を把握している
- □ 費用が未確定でも検討を進められる範囲(上限の考え方)を役員と共有している
- □ 取り組みを掲載する場所(自社サイト・店頭・提出資料)が決まっている

特に見落とされやすいのが、最後の「掲載する場所」です。ここが決まっていない会社は、参画しても社内向けの行事で終わります。チェックが3つ未満なら、電話の前に30分の社内打ち合わせを1回入れてください。
数字で見る背景|森林率77%の県で、参画は104企業
「和歌山で森林保全に関わる意味」は、感覚ではなく数字で確認できます。
林野庁の都道府県別森林率・人工林率(令和4年3月31日現在)によると、和歌山県の森林面積は361,538ヘクタール、森林率は77%、人工林面積は218,643ヘクタールで人工林率は60%です。全国平均は森林率67%・人工林率40%ですから、和歌山は森林の割合も、人の手を入れて育てられた森の割合も全国平均を上回っています。人工林は植栽や下刈り・間伐といった手入れを前提に育てられた森ですから、和歌山は手入れの担い手を必要とする森が多い県だということです。
一方、企業側の参画は2026年8月現在で104企業・団体、122か所。県内には多数の事業者がいることを考えれば、参画は今も少数派です。ここに、中小事業者にとっての意味があります。同業他社の資料に並ぶ「環境への取り組み」の欄で、公的な協定と活動地の名前を書ける会社は、まだ多くありません。
そのうえで、2026年11月7日・8日には第49回全国育樹祭が田辺市と白浜町で開かれ、約8千人の参加が見込まれています。県内の森林への注目が最も高まる時期に、自社の取り組みを説明できる状態にしておけるかどうか。判断の期限は、制度側ではなく自社側にあります。
よくある質問
Q. 和歌山「企業の森」に参画するには、どこに相談すればいいですか?
和歌山県農林水産部森林林業局森林整備課が窓口です。「企業の森」の公式ページに電話073-441-2970が掲載されています(参照日: 2026-09-10)。参加までの流れは同ページ内で図として示されているため、費用や必要書類などの細目は電話またはメールで確認するのが確実です。
Q. 中小企業でも参加できますか?
県は参加者を「企業・団体」と広く示しており、直近の協定には県内企業や労働組合が含まれています。面積も0.14〜1.18ヘクタールの区画が並んでいます。ただし応募要件の詳細は公開ページに文章として掲載されていないため、自社が対象になるかは窓口での確認が必要です。
Q. 費用はいくらかかりますか?
公表されていません。今回の協定でも金額は報じられておらず、県のページにも記載がないため、本記事では目安を書きません。費用の負担範囲は、相談時に必ず確認すべき5項目の1つです。
Q. 森林を自社で購入する必要がありますか?
今回の活動地は紀美野町福井の民有林で、企業が土地を取得したとは報じられていません。少なくとも今回の事例では、自社で山を買う話ではありませんでした。土地や契約の形式がどうなるかは県の公開ページに文章としての説明がないため、窓口で確認してください。
Q. 協定期間はどれくらいですか?
今回の事例は「今後10年間」と報じられています。県の一覧には活動地ごとの協定締結日が載っており、2002年の制度開始から現在まで122の活動地が積み上がっています。期間の選択肢が複数あるかどうかは公表されていないため、相談時の確認事項です。
Q. CO2吸収量の認証書はどこに申請しますか?
和歌山県の「森林による二酸化炭素の吸収等環境保全活動認証事業」で、担当は環境生活部 環境政策局脱炭素政策課(電話073-441-2674)です。対象は「企業の森」参加企業・団体で、申請書の提出後、森林簿による確認と現地調査を経て認証書が交付されます。森林整備課とは別窓口である点に注意してください。
Q. 全国育樹祭の協賛には、今からでも申し込めますか?
金銭協賛の募集期間は令和6年9月1日から令和8年5月31日までと公表されており、2026年9月時点では終了しています。現在申込が開いているのは、11月7日の育林交流集会など個別行事の参加募集(9月30日締切)です。
Q. 社員が現地作業に行けない場合でも参画できますか?
今回の事例では整備・管理を森林組合に委託し、社員は植栽や下草刈りを継続的に実施すると報じられています。社員の現地活動がどの程度必要かは制度として公表されていないため、「作業には行けないが参画したい」という条件で可能かは、県への相談時に率直に伝えて確認してください。可否をこの記事で断定することはできません。
まとめ:今日・今週・今月にやること
- 今日やること: 直近で受け取った取引先の調査票を開き、環境の欄に今書ける事実を書き出す
- 9月30日までにやること: 11月7日の育林交流集会に参加するかを決め、参加するなら申込書またはオンライン応募フォームから申し込む
- 10月中にやること: 現地に出せる人数・年間回数・掲載場所の3点を社内で決め、森林整備課に費用の負担範囲と活動地の探し方を確認する
10年の協定を今月決める必要はありません。決めるべきは、確認の電話を誰がいつかけるかだけです。
参考・出典
- テレビ和歌山 WTVニュース「県企業の森に飲料メーカー参画」(2026年9月7日):協定の場所・面積・期間・活動内容の出典(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「企業の森」(森林整備課):制度概要・2002年からの実施・問い合わせ先(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「企業の森」参加企業・団体の紹介:2026年8月現在104企業・団体/122箇所、活動地別の面積と協定締結日(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「参加企業のメリット」:県が示す4つのメリット(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県森林による二酸化炭素の吸収等環境保全活動認証事業(脱炭素政策課):認証の対象・申請書・現地調査・認証書の交付(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県 全国育樹祭推進室:第49回全国育樹祭 令和8年11月7日・8日/田辺市・白浜町(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「育林交流集会の参加者募集」:令和8年11月7日13時30分〜16時30分/南紀の台ホール/9月30日締切(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「協賛のご案内(第49回全国育樹祭)」:金銭協賛の募集期間 令和6年9月1日〜令和8年5月31日、参加者約8千人の見込み(参照日: 2026-09-10)
- 林野庁「都道府県別森林率・人工林率(令和4年3月31日現在)」:和歌山県 森林面積361,538ha・森林率77%・人工林率60%、全国平均67%・40%(参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「企業の森」情報誌:参画企業の活動紹介(参照日: 2026-09-10)
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※本記事は2026年9月10日時点で公表されている情報に基づきます。費用・契約形式・応募要件など公表されていない事項は推測せず、窓口での確認を前提に記載しています。制度の運用や日程は変更される場合があるため、申込前に必ず各公式ページで最新情報をご確認ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。