
結論: テイクアウトの事前注文・事前決済は、専用機器を買わなくても始められます。Squareが2026年7月13日に更新した公式解説では、始め方は「注文フォームのURLを共有する」か「注文用のサイトを作る」かの2つだけです。費用は決済手数料のみで、オンライン決済は3.6%、対面は条件を満たせば2.5%〜。1件1,500円の弁当なら手数料は54円です。判断すべきは「システムを入れるかどうか」ではなく、電話1本の対応3分を54円で置き換えるかどうかです。
この記事の要点 対象読者: 南紀(田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)でテイクアウトや予約を扱う飲食店・惣菜店・菓子店の経営者と、ホールを仕切る現場責任者 読了後にできること: 自分の店に合う入り口(注文フォーム/注文サイト)を選び、出す商品・受け取り枠・返金ルール・通知の受け手を9月中に決めきれる状態になる
「すみません、いま手が離せなくて——」。昼の12時、フライヤーの前で鳴り続ける電話を、油の付いた手で取る。聞き取った注文を伝票の裏に書き、レジには会計待ちの列ができている。この光景に心当たりがあるなら、この記事はあなたのためのものです。
問題は電話そのものではありません。注文の受付・支払い・受け渡しという3つの作業が、ピークの同じ15分に集中していることです。事前注文・事前決済は、このうち「受付」と「支払い」をピークの外に押し出す仕組みです。受け取りの瞬間に残るのは、袋を渡す動作だけになります。
一方で、導入をためらう理由もはっきりしています。「初期費用がいくらかかるか分からない」「手数料が売上を削る」「使いこなせる自信がない」。ここは感覚ではなく、公表されている数字で判断すべき部分です。
この記事では、①Squareが公式に示した2つの始め方と手数料の実額、②南紀の飲食店のどこに効くのか、③9月中に決める4つのこと(コピペで使えるプロンプト8本つき)、④現場で起きやすい4つの誤解、⑤FAQ8問を、Square公式ページと経済産業省・消費者庁・国税庁の公表資料だけを根拠にまとめます。手元に、直近1か月のテイクアウトの件数と単価が分かるものを用意しながら読み進めてください。
目次
まず結論:注文フォームか注文サイトか、入り口は2つしかない
最初に全体像です。テイクアウトの事前注文を始める方法は、Squareの公式解説では2つに整理されています。どちらも無料アカウント1つで始められ、かかるのは決済手数料だけです。
| 入り口 | 向いている店 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 注文フォーム | 商品数が少なく、まず試したい店 | メニューを入力してURLを発行し、InstagramやLINEのプロフィールに貼る |
| Square オンラインビジネス(注文サイト) | 受け取り時間の管理や配送まで広げたい店 | 注文用サイトを作り、受け取り可能時間と1枠の上限数を設定する |
| 併用 | まず試して、手応えがあった店 | フォームで反応を見てから、サイトに商品を移す |

ポイントは、最初から作り込まないことです。注文フォームは、メニューなど必要項目を入力するだけで作成でき、自動で発行されたURLをSNSのプロフィール欄やメールで共有すれば、その日から注文を受けられます。反応が読めない段階で商品数を増やしたり、サイトのデザインに時間をかけたりする必要はありません。
もう1つのポイントは、事前決済まで一気にやることです。注文だけをオンラインで受けて支払いは店頭、という形にすると、レジの列は減りません。注文時にクレジットカードで支払ってもらえば、受け取りは商品を渡すだけで終わります。
何が公開されたか|Squareの2つの始め方と手数料の実額
ここからは事実関係です。日付と一次情報だけを並べます。
出典は2026年7月13日更新のSquare公式解説ページ
今回の起点は、Squareが運営するビジネスリソースセンターの【飲食店向け】スマホでの事前注文&決済です。2021年2月15日に公開され、2026年7月13日に更新されています。内容は、飲食店がテイクアウトの事前注文・事前決済を始める方法を「注文フォーム」と「Square オンラインビジネス」の2つに整理したものです。
制度改正の発表ではありません。既存の機能と料金が公式にまとめ直されたという位置づけです。ニュースとしての価値は新機能ではなく、「初期費用をかけずに始める具体的な選択肢が、提供元の公式情報として確認できる状態になった」ことにあります。
方法1: 注文フォーム(URLを共有するだけ)
注文フォームは、メニューなどの必要項目を入力するだけで作成でき、自動で発行されるURLを共有して注文を受け付ける仕組みです。SNSのプロフィール欄に載せる、常連のお客様にメールで送る、といった使い方が公式ページで示されています。
注文が入ると、iPadアプリまたは指定したメールアドレスに通知が届きます。ここが電話との決定的な違いです。電話は「鳴った瞬間に手を止めなければならない」のに対し、通知は手が空いたときに確認できます。
方法2: Square オンラインビジネス(注文用サイト)
もう一方は、テイクアウト・デリバリー・全国への配送まで対応できる注文用サイトを作る方法です。店頭での受け取り、配達、配送を選べるほか、注文数の上限・準備時間の目安・受け取り可能な時間帯を設定できます。オンラインと店頭の売上が1つのアカウントにまとまるため、締めの集計を二重にやる必要もありません。
つまり「昼の11時30分から13時は5分刻みで各2件まで」といった、厨房が回る範囲の枠を最初から決めておけるということです。人手が限られる店ほど、この上限設定が効きます。

費用: 決済手数料以外はかからない(オンライン3.6%・対面2.5%〜)
金額の話です。Squareの料金体系のページには、決済手数料以外の費用は一切かからないと明記されています。手数料は決済の種類で分かれます。
| 決済の種類 | 手数料 | 1,500円の注文なら |
|---|---|---|
| オンライン決済(Square オンラインビジネス、Squareリンク決済など) | 3.6% | 54円 |
| 対面決済(主要カードブランド) | 2.5%〜 | 37円 |
| カード情報の手入力・保存済みカード | 3.75% | 56円 |
| Square 請求書 | 3.25% | 49円 |
対面決済の2.5%は、年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満で、主要カードブランドの対面決済である場合の料率です。それ以外は3.25%〜またはカスタム手数料となります。入金は、三井住友銀行またはみずほ銀行の口座なら決済日の翌営業日、その他の金融機関なら毎週金曜日で、振込手数料は無料と案内されています。

現時点で公表されているのはここまで
料金改定の予定、機能追加の時期、他社サービスとの比較優位について、本記事の執筆時点(2026年9月10日)で公式に確認できる情報はありません。手数料率と入金サイクルは変更されることがあるため、契約前には必ずSquareの料金ページで最新の数字を確認してください。この記事も、あくまで参照日時点の公表内容に基づく解説です。
南紀の飲食店に効くのはどこか|昼のピーク・観光期・無断キャンセル
では、南紀の現場のどこに効くのか。推測を混ぜず、効き方を3つに分けて整理します。
効くのは「注文を取る時間」と「会計の列」
いちばん直接的に変わるのは、昼と夕方のピークです。仮に電話1本の対応に3分かかり、1日20本受けているとすれば、それだけで1日60分。ここが通知の確認に置き換われば、手を止める回数そのものが減ります。
手数料は、この時間と引き換えに払うコストです。1件1,500円・オンライン決済3.6%なら1件54円、1日20件で1,080円、月25営業日で27,000円。この数字を高いと見るか、ピーク時の1時間分の人手と比べて安いと見るかが判断の分かれ目です。人手が採りにくい状況は特定技能「外食業」受け入れ停止で何が変わるか|南紀の宿・飲食が今週打つ手【2026年9月】でも整理したとおりで、「人を増やして電話を取る」という選択肢が取りづらい店ほど、置き換えの効果は大きくなります。
観光期の来店客は、すでにキャッシュレスで払っている
経済産業省が2026年3月31日に公表した2025年のキャッシュレス決済比率によると、2025年のキャッシュレス決済比率は国内指標で58.0%、決済額は162.7兆円でした。政府は2030年に65%という中間目標を掲げています。
南紀の現場感覚に引き直すと、白浜や那智勝浦の観光シーズンに並ぶ列の半分以上は、財布ではなくスマホを出す人たちだということです。同じ流れは公共交通にも及んでいて、熊野古道の龍神バスがクレカのタッチ決済対応|沿線事業者が今週やる7ステップ【2026年9月】で扱ったとおり、バス車内でもタッチ決済が使えるようになりました。バスを降りた人が現金しか使えない店に入るとき、そこだけ手順が1つ増えます。
無断キャンセルは「請求できるか」より「先に受け取れるか」
コース予約や大口のテイクアウトを扱う店にとっては、無断キャンセル対策の面が大きいはずです。経済産業省・農林水産省・消費者庁と業界団体・弁護士がまとめたNo show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート(2018年11月1日公表)では、無断キャンセルは予約全体の約1%を占め、年間被害額は約2,000億円と推計されました。同レポートはキャンセル料の目安として、コース料理は全額、席のみの予約は平均客単価の5割という考え方を示しています。
ただし、目安が示されても、後から請求する手間と気まずさは残ります。事前決済は、この問題を「請求できるかどうか」から「そもそも請求しなくて済むかどうか」に変える手段です。Squareの事前決済に関する解説ページ(2022年3月2日公開・2026年6月8日更新)でも、事前決済の利点として無断キャンセルや直前キャンセルの抑止、レジ混雑と現金管理の負担軽減が挙げられています。なお、実際にどれだけ減るかは店の予約構成によって変わるため、本記事では削減率の数値を断定しません。
9月中に決める4つのこと|商品・受け取り枠・返金ルール・通知先
ここからが本体です。導入でつまずく原因は、機能の複雑さではなく「決めていないこと」が残ったまま公開してしまう点にあります。次の4つを決めれば、あとは入力作業です。
各プロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。初めての方は、スマホに公式アプリを入れてメールアドレスで登録し、以下の文をコピーして( )を自店の情報に書き換えるだけです。出力はあくまで下書きで、価格・表示・法令に関わる最終判断はあなたと専門家が行ってください。
決めること1: 事前注文に出す商品を5品に絞る
全メニューを載せてはいけません。事前決済に向くのは、①作り置きや仕込みが効く、②持ち帰っても品質が落ちにくい、③受け取り時間が読める、の3条件を満たす商品です。刺身の盛り合わせのように受け渡し時刻に品質が左右されるものは、最初の5品から外すのが無難です。
あなたは小規模飲食店の商品設計に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、テイクアウトの事前注文に出す商品を5品選んでください。
【材料】
・店の業態と場所: (例: 和歌山県田辺市の定食屋。席数20席)
・現在のテイクアウト商品と価格: (分かる範囲で全部)
・1日の販売数が多い順のメニュー3つ:
・厨房の人数とピーク時間: (例: 2人・11時30分〜13時)
・持ち帰りで品質が落ちやすい商品: (例: 天ぷら、刺身)
出力: ①事前注文に出す5品と、その理由 ②外すべき商品と理由 ③各商品の推奨する受け取り所要時間の目安。
制約: 【材料】にない商品を作らないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは飲食店のメニュー説明文を書くライターです。以下の材料から、オンライン注文ページ用の商品説明文を作ってください。
【材料】
・商品名と価格(税込か税別かも記載):
・主な食材と産地: (分かるものだけ)
・分量の目安: (例: ごはん200g、おかず4種)
・アレルギー特定原材料の使用状況: (分かる範囲で。不明なものは「不明」と書く)
・受け取りの目安時間:
出力: 商品ごとに、①80字以内の説明文 ②注意書き1行(保存方法や消費目安)。
制約: 【材料】にない食材・産地・効能を書かないでください。アレルギー情報は「不明」を勝手に埋めないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
決めること2: 受け取り時間の枠と1枠あたりの上限数
Square オンラインビジネスでは、注文数の上限・準備時間の目安・受け取り可能な時間帯を設定できます。つまり、厨房が回らない量の注文は最初から入らないようにできるということです。ここを設定しないまま公開すると、ピークに注文が集中して現場が壊れます。
決め方は単純で、「ピークの15分間に、通常営業と別に何食作れるか」を実測することです。頭で考えず、来週の混雑した日に1回だけ計ってください。
あなたは飲食店のオペレーション設計に詳しいコンサルタントです。以下の材料から、テイクアウト事前注文の受け取り枠の設計案を作ってください。
【材料】
・営業時間と一番混む時間帯: (例: 11時〜14時/12時〜12時45分)
・ピーク15分間に通常営業とは別に作れる数: (実測値。例: 4食)
・厨房の人数と受け渡し担当の有無:
・想定する1日の事前注文の目標件数: (例: 10件)
出力: ①時間帯ごとの枠割り(何分刻み・1枠あたり何件)②ピークを避けてもらうための工夫3つ ③受け取り枠が埋まったときの店頭掲示文。
制約: 実測値を超える処理能力を前提にしないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは飲食店の現場マニュアルの作成者です。以下の材料から、事前注文が入ってから受け渡すまでの作業手順書を作ってください。
【材料】
・通知の受け取り方法: (例: レジのiPadと店長のスマホのメール)
・調理開始のタイミング: (例: 受け取り時刻の15分前)
・袋詰めと保温の方法:
・受け渡し場所: (例: レジ横のカウンター)
・確認する項目: (例: 注文番号、氏名、点数)
出力: ①1文20字以内の短い手順書 ②アルバイトが初日でも読める注意点3つ ③受け取りに来られなかった場合の対応手順。
制約: 【材料】にない手順を追加しないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
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決めること3: キャンセル・返金のルールと、表示すべき項目
事前にお金を預かる以上、キャンセルと返金の扱いを先に決めておく必要があります。Squareの事前決済の解説ページでも、キャンセルポリシーを具体的に定め、返金の期限まで明示することが注意点として挙げられています。
あわせて確認したいのが表示です。消費者庁の特定商取引法ガイド(通信販売広告について)では、通信販売の広告における必要表示事項として、販売価格、送料、その他負担すべき金銭、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの撤回・解除に関する事項、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号、代表者または責任者の氏名などが挙げられています。オンラインで注文を受けて販売する形態が通信販売に当たるかどうかは個別の判断になるため、自店の売り方に当てはめた確認は所管窓口や専門家に相談してください。
あなたは飲食店の店内掲示・オンライン表示の文案を作る担当者です。以下の材料から、テイクアウト事前注文のキャンセル・返金ルールの案を作ってください。法的な可否の判断はしないでください。
【材料】
・調理を開始するタイミング: (例: 受け取り時刻の15分前)
・返金の可否をどこで線引きしたいか: (例: 調理開始前は全額返金)
・受け取りに来られなかった場合の希望する扱い:
・連絡先と受付時間: (電話番号・営業時間)
出力: ①お客様向けの表示文(200字以内・やさしい言葉)②スタッフ向けの判断フロー(3分岐まで)③お客様から出そうな質問と回答3組。
制約: 【材料】にない条件を足さないでください。法令の解釈が必要な箇所は「要確認」と明記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
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あなたはオンライン販売の表示項目を整理する担当者です。以下の材料をもとに、注文ページに掲載する項目の抜け漏れチェック表を作ってください。可否の法的判断はしないでください。
【材料】
・掲載予定の項目: (例: 商品名、税込価格、受け取り時間、店名、電話番号)
・販売形態: (例: 店頭受け取りのみ/配送あり)
・事業形態: (例: 個人事業/法人)
・取り扱う商品に酒類が含まれるか:
出力: ①掲載済みの項目 ②掲載されていない可能性がある項目 ③専門家または所管窓口に確認すべき質問リスト5件。
制約: 「掲載すれば適法」といった断定をしないでください。判断が必要な箇所はすべて「要確認」と書いてください。
※そのままコピーして使えます
決めること4: 通知を受ける人と、注文ページへの導線
最後は運用です。通知の宛先が「みんなのスマホ」だと、誰も見ません。iPadアプリを見る人、メールを見る人を1人ずつ決めてください。もう1つは導線で、URLを作っただけでは誰も来ません。置く場所は次の4つです。
- Googleビジネスプロフィール(検索と地図から直接)
- Instagram・LINEのプロフィール欄
- 店頭のPOPとレジ横(次回の来店で使ってもらう)
- 公式サイトのトップページ
LINE公式アカウントを持っている店なら、既存の登録者に一斉配信するのが最短です。設計は白浜のLINE公式アカウント構築|観光客309万人を再訪につなぐ6ステップ【2026年8月】にまとめています。サイト側の受け皿づくりは田辺市の飲食店のホームページ制作|載せる6項目と作る7ステップ【2026年9月】が参考になります。
あなたは小規模飲食店の販促担当者です。以下の材料から、事前注文の告知文を4パターン作ってください。
【材料】
・店名と場所:
・事前注文できる商品と価格:
・受け取りできる時間帯:
・注文ページのURL: (例: 実際のURLを貼る)
・電話注文も続けるかどうか:
出力: ①店頭POP用(30字以内の見出し+本文60字)②LINE一斉配信用(150字以内)③Instagram投稿用(200字以内・ハッシュタグ5個)④Googleビジネスプロフィールの最新情報用(150字以内)。
制約: 【材料】にない特典・割引を書かないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは飲食店の業務改善に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、事前注文を始めた最初の1か月の振り返り表を設計してください。
【材料】
・現在の1日あたりの電話注文件数と平均単価:
・事前注文の目標件数:
・記録できる項目: (例: 注文件数、受け取り時刻の遅れ、キャンセル数)
・現場で困っていること:
出力: ①毎日1分で記録できる項目5つ ②1か月後に見る指標3つ(手数料の実額を含む)③数字が伸びなかった場合に最初に見直す箇所の順番。
制約: 効果の数値は「目安」と明記し、断定しないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
業態別の入り口の作り方(南紀の事業者向け)
同じ「テイクアウトがある店」でも、効く場面と最初に出す商品は変わります。自店に近い行から着手してください。
| 業態 | 事前決済がいちばん効く場面 | 最初に出す商品 |
|---|---|---|
| 弁当・惣菜(田辺・御坊の市街地) | 11時台に集中する電話注文と、職場へのまとめ注文 | 定番弁当2種と、5個以上のまとめ注文枠 |
| 観光地の食事処・海鮮(白浜・那智勝浦・串本) | 行列の会計待ちと、繁忙期の受け渡し | 持ち帰り丼・浜焼きセットなど時間の読める商品 |
| パン・菓子・カフェ(みなべ・新宮) | 焼き上がり時刻に合わせた取り置きと贈答需要 | 予約限定の詰め合わせと季節商品 |
| 居酒屋・料理店(コース中心) | 宴会コースの無断キャンセルと、直前の人数変更 | コースの内金または全額前払いプラン |

共通するのは、最初に出すのが「一番人気の商品」ではなく「時間の読める商品」だという点です。事前注文の失敗は、たいてい味ではなく受け渡し時刻のずれで起きます。
【要注意】事前決済で起きやすい4つの誤解
導入前後で行き違いが起きやすい点を4つ挙げます。
誤解1: 事前決済にすればレジは要らなくなる
❌ よくある間違い: オンラインで支払ってもらえるのだから、店頭の決済端末は不要になると考える。
⭕ 正しい理解: 事前注文を使うのは来店客の一部です。店頭のカード・電子マネー・コード決済は今までどおり必要で、料率も別です(対面は条件を満たせば2.5%〜、オンラインは3.6%)。
なぜ重要か: 事前決済は現場の作業を「ゼロにする」ものではなく、ピークの外に「ずらす」ものだからです。全部を置き換える前提で計画すると、必ず落胆します。
誤解2: 手数料3.6%は高いので現金のほうが得
❌ よくある間違い: 手数料率だけを見て、現金なら0円だから損だと判断する。
⭕ 正しい理解: 比べるべきは率ではなく、1件あたりの実額と、その裏で減る作業です。1,500円なら54円。この54円で、電話対応・釣り銭の受け渡し・レジ締めの現金勘定が減ります。ただし原価率の高い商品や単価の低い商品では、率の影響が相対的に大きくなるため、出す商品を選ぶ判断は必要です。
なぜ重要か: 「手数料がもったいない」で止まると、比較すべき人件費と機会損失が一度も計算されないまま終わるからです。まず自店の平均単価に率を掛けて、実額を出してください。
誤解3: ページを作れば注文が入る
❌ よくある間違い: 注文フォームのURLを発行しただけで放置し、「反応がなかった」と結論づける。
⭕ 正しい理解: 導線を4か所(Googleビジネスプロフィール・SNSのプロフィール・店頭POP・公式サイト)に置いて初めて使われます。特に効くのは店頭POPで、いま来ている常連のお客様が次回から使ってくれます。
なぜ重要か: 事前注文はオンラインの集客施策ではなく、既存客の受け付け方を変える施策だからです。新規のアクセスを待つ設計にすると成果が出ません。
誤解4: オンラインで売るのに特別な手続きは要らない
❌ よくある間違い: 店で売っているものだから、そのままネットに載せて売れると考える。
⭕ 正しい理解: 表示と許認可の確認が要ります。表示については消費者庁の特定商取引法ガイドに必要表示事項が示されています。酒類は特に注意が必要で、国税庁の酒税法基本通達 第9条(酒類の販売業免許)では、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象にカタログやインターネットで申込みを受けて販売する形態が通信販売として整理され、通信販売酒類小売業免許の区分が定められています。
なぜ重要か: 後から表示や免許の不足が分かると、公開したページを止めることになるからです。営業許可そのものの範囲を含め、迷う点は所管の窓口に確認してください。和歌山県内の窓口と手続きは和歌山の飲食店営業許可の取り方|田辺・新宮保健所の7ステップと手数料【2026年9月】にまとめています。なお、本記事は法務・税務に関する助言ではありません。
白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中でも、「ネットの仕組みは分かるが、決める人と決める時間がない」という声はよく耳にします。ここまでの4つの決めごとは、合計で2時間もあれば終わります。難しいのは技術ではなく、その2時間を取ることのほうです。
導入前チェックリスト(8項目)
現在地の確認に使ってください。直近1か月のテイクアウトの件数と単価を手元に置きながら、当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 直近1か月のテイクアウト件数と平均単価を数字で言える
- □ 1日に受けている電話注文の本数と、1本あたりの対応時間を把握している
- □ 平均単価に3.6%を掛けた「1件あたりの手数料の実額」を計算した
- □ 事前注文に出す商品を5品以内に絞った
- □ ピーク15分間に通常営業とは別に作れる数を実測した
- □ キャンセル・返金のルールを文章にして表示した
- □ 通知を受け取る担当者を1人決めた(iPadアプリまたはメール)
- □ 注文ページのURLを4か所(Google・SNS・店頭POP・自社サイト)に置いた

特に見落とされやすいのが、5つ目の「実測」です。作れる数を感覚で決めた店は、最初の週末に必ず溢れます。チェックが2つ以下でも問題ありません。この記事の4つの決めごとを上から進めれば、1つずつ埋まる構成にしてあります。
よくある質問
Q. テイクアウトの事前決済にかかる手数料はいくらですか?
Squareの料金ページによると、Square オンラインビジネスなどのオンライン決済は3.6%です。対面決済は、年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満で主要カードブランドの対面決済である場合は2.5%〜、それ以外は3.25%〜またはカスタム手数料となります。1,500円の注文ならオンラインで54円です。
Q. 初期費用や月額費用はかかりますか?
Squareの料金ページには、決済手数料以外の費用は一切かからないと記載されています。公式の解説ページでも、無料アカウント1つで始められると案内されています。ただし料金体系は変更されることがあるため、申し込み前に最新の料金ページで確認してください。
Q. 注文フォームと注文サイト、どちらを選べばいいですか?
商品数が少なく、まず反応を見たい段階なら注文フォームです。メニューを入力してURLを発行し、共有するだけで始められます。受け取り時間の枠管理や配送まで広げたいなら、Square オンラインビジネスで注文用サイトを作る方法が向いています。フォームで試してからサイトに移すこともできます。
Q. 事前決済にすれば無断キャンセルは本当に減りますか?
先にお金を預かる仕組みなので、来店を後押しする力は働きます。Squareの事前決済の解説ページでも、無断キャンセルや直前キャンセルを防ぎやすくなる点が利点として挙げられています。ただし削減率は予約構成によって変わるため、本記事では数値を断定しません。キャンセル料の考え方は、経済産業省などのNo show対策レポートに目安が示されています。
Q. 入金はいつになりますか?
Squareの料金ページによると、三井住友銀行またはみずほ銀行の口座なら決済日の翌営業日、その他の金融機関なら毎週金曜日の入金で、振込手数料は無料と案内されています。現金商売に慣れた店ほど、この入金サイクルを最初に確認しておくと資金繰りの見通しが立てやすくなります。
Q. 現金で払いたいお客様はどうなりますか?
事前注文は選択肢を1つ増やすもので、既存の受け付け方をなくす必要はありません。電話注文と店頭注文はそのまま残し、事前注文を使いたい人だけが使う形で構いません。むしろ最初の1か月は、両方を並行させて比較したほうが判断材料が増えます。
Q. お酒もオンラインで売れますか?
酒類には免許の区分があります。国税庁の酒税法基本通達では、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象にインターネット等で申込みを受けて販売する形態について、通信販売酒類小売業免許が定められています。自店の売り方がどの区分に当たるかは個別判断になるため、所轄の税務署または専門家に確認してください。
Q. ホームページがありません。何から始めればいいですか?
注文フォームなら、自社サイトがなくても発行されたURLをSNSのプロフィール欄やLINEで共有するだけで始められます。サイトを作る場合の掲載項目と手順は田辺市の飲食店のホームページ制作|載せる6項目と作る7ステップ【2026年9月】にまとめているので、事前注文の反応を見てから着手しても遅くありません。
まとめ:今日・今週・今月に片づける順番
- 今日やること: 直近1か月のテイクアウト件数と平均単価を書き出し、平均単価に3.6%を掛けて1件あたりの手数料の実額を出す
- 今週中にやること: 事前注文に出す商品を5品に絞り、ピーク15分間に通常営業とは別に作れる数を1回実測する
- 今月中にやること: キャンセル・返金のルールを表示し、通知の担当者を決めたうえで、注文ページのURLを4か所に置く
制度の締切があるニュースではないため、締切は自分で作るしかありません。9月中に4つを決めきれば、年末年始の繁忙期には仕組みが回っている状態になります。
あわせて確認: 南紀のキャッシュレス対応の現在地は熊野古道の龍神バスがクレカのタッチ決済対応|沿線事業者が今週やる7ステップ【2026年9月】に整理しています。
参考・出典
- Square「【飲食店向け】スマホでの事前注文&決済」(2021年2月15日公開・2026年7月13日更新。注文フォームとSquare オンラインビジネスの2つの方法、iPadアプリ・メールへの通知、注文数の上限・準備時間・受け取り時間の設定、無料アカウントで開始できる旨)(参照日: 2026-09-10)
- Square「Squareの料金体系」(対面2.5%〜〔年間キャッシュレス決済額3,000万円未満・主要カードブランドの対面決済の場合〕、オンライン3.6%、カード情報の手入力3.75%、Square請求書3.25%、決済手数料以外の費用なし、入金は三井住友・みずほなら翌営業日/その他は毎週金曜・振込手数料無料)(参照日: 2026-09-10)
- Square「事前決済とは?導入のメリットや選び方、トラブルの防ぎ方を解説」(2022年3月2日公開・2026年6月8日更新。無断キャンセル抑止・レジ混雑と現金管理の軽減、キャンセルポリシーと返金期限の明示などの注意点)(参照日: 2026-09-10)
- Square「モバイルオーダーとは?仕組み・導入メリット・お勧めシステムを比較」(2020年3月10日公開・2026年5月11日一部更新。イートイン型・テイクアウト型・キャッシュオン型の分類)(参照日: 2026-09-10)
- 経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日公表。2025年のキャッシュレス決済比率は国内指標58.0%、決済額162.7兆円、2030年に65%の中間目標)(参照日: 2026-09-10)
- 経済産業省「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年11月1日公表。無断キャンセルは予約全体の約1%、年間被害額は約2,000億円と推計、キャンセル料の目安はコース料理全額・席のみ予約は平均客単価の5割)(参照日: 2026-09-10)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売広告について」(通信販売の広告における必要表示事項)(参照日: 2026-09-10)
- 国税庁「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達 第9条 酒類の販売業免許」(通信販売酒類小売業免許および通信販売の定義)(参照日: 2026-09-10)
あわせて読みたい
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