
結論: 2026年4月13日以降、外食業分野の特定技能1号は新規の受け入れが原則停止しています。ただし止まったのは「これから外食業の特定技能として新しく呼ぶ・切り替える」ルートだけです。いま雇っているスタッフの在留期間更新も、外食業内での転職も、留学生アルバイトも、旅館・ホテルが使う宿泊分野も止まっていません。まずやるべきは、自社の採用計画のどこが止まり、どこが生きているかを切り分けることです。
この記事の要点 対象読者: 南紀(田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)の飲食店・旅館・ホテル・小売・農水産で、採用と現場運営を担っている方 読了後にできること: 自社の採用計画のうち止まった部分と生きている部分を切り分け、代替の採用チャネルと省人化の一手を今週中に決められる状態になる
「来春には2人増える前提で、シフトも設備投資も組んでいた」——もし採用計画がこうなっているなら、その前提はすでに変わっています。
外食業分野の特定技能1号は、2026年4月13日以降に受理された在留資格認定証明書の交付申請が不交付とされ、他の在留資格からの変更も原則不許可となりました。理由は不祥事でも制度廃止でもなく、単純に「決められた人数の枠が埋まりかけたから」です。出入国在留管理庁が公表した令和8年6月末時点の速報値では、外食業分野の在留者数は49,060人。受入れ見込数50,000人に対して充足率98.1%と、枠がほぼ残っていません。
やっかいなのは、この話が「飲食店の問題」として語られがちなことです。実際には、宴会場と食事処を持つ旅館、道の駅の食堂、直売所の軽食コーナー、レストランを併設した観光施設など、南紀の観光事業者の多くが外食業分野と接点を持っています。一方で、旅館・ホテルの客室部門が使う宿泊分野は充足率17.3%で、枠はむしろ大きく余っています。同じ「外国人材」でも、分野が違えば状況は正反対なのです。
この記事では、ニュース解説の立場から、①何が起きたのか(一次情報と日付)、②和歌山の事業者への影響(誰に・どこが・いつから効くか)、③今週やる5つの手順とコピペで使えるプロンプト8本、④よくある4つの誤解、⑤FAQ8問を、出入国在留管理庁・農林水産省・厚生労働省の公表資料だけを根拠にまとめます。手元に、来年度の採用計画のメモを用意しながら読み進めてください。
目次
まず結論:何が止まり、何が止まっていないのか(即効の切り分け表)
最初に全体像です。「外食業の受け入れが止まった」と一括りにせず、申請の種類ごとに見ると、動いているものが半分以上あることが分かります。
| 申請の種類 | 2026年4月13日以降の扱い | あなたの現場での意味 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請(海外から呼ぶ) | 不交付 | 海外採用の新規ルートは閉じている |
| 他の在留資格からの変更許可申請 | 原則不許可 | 留学生の卒業後に外食業へ切り替える計画は不可 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更 | 原則不許可 | 「準備の在留資格でつなぐ」も使えない |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり審査 | いま働いている人はそのまま働ける |
| 外食業の特定技能1号どうしの転職 | 通常どおり審査 | 国内での中途採用は今も可能 |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)修了者の移行 | 見込数の範囲内で順次許可 | 該当者がいれば道が残る |

ポイントは、止まったのが「新しく外食業分野に入ってくる入口」だけで、「すでに中にいる人の出口と移動」は開いたままだということです。つまり、いま外国人スタッフを雇っている事業者にとっての最優先タスクは、新しい人を探すことではなく、いる人に辞められないようにすることになります。
もう1つのポイントは分野の違いです。特定技能は19分野(2026年1月の閣議決定で物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野が追加され、試験等の準備が整った分野から順次開始)に分かれ、受け入れの枠も分野ごとに設定されています。停止しているのは外食業分野だけで、宿泊分野・飲食料品製造業分野・農業分野・漁業分野は止まっていません。旅館の客室業務なら宿泊分野、水産加工なら飲食料品製造業分野というように、業務内容によって使える分野が変わります。
何が起きたか|2026年4月13日からの受入れ停止措置
ここからは事実関係です。日付と一次情報だけを並べます。
停止の中身: 認定証明書は不交付、変更は原則不許可
出入国在留管理庁は2026年3月27日、特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用についてを公表しました。外食業分野の特定技能1号の在留者数が令和8年2月末現在で約4万6千人(速報値)となり、受入れ見込数である5万人を同年5月頃に超える見込みだ、という内容です。
これを受けて同庁は2026年4月13日、特定技能「外食業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置についてを掲載し、当日以降に受理した外食業分野の在留資格認定証明書交付申請を不交付とすることを明らかにしました。根拠は入管法第7条の2第4項で、農林水産大臣からの令和8年4月3日付けの要請に基づく措置とされています。制度上あらかじめ用意されていた「枠が埋まったら止める」仕組みが、実際に発動したということです。
止まっていないもの: 更新・同分野内の転職・一部の移行
同じ3月27日の資料には、例外として審査が続くケースも明記されています。①外食業分野の特定技能1号として在留している人からの申請(転職などに伴うもの)は通常どおり審査、②技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了して特定技能1号に移行する人、③すでに特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けている人は、受入れ見込数の範囲内で順次許可、④在留期間更新許可申請は通常どおり審査、の4つです。
実務上どこまで進んでいるかは、特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況で確認できます。2026年8月10日掲載時点では、在留資格認定証明書交付申請は令和8年1月5日までに受け付けた分を、その他の在留資格からの変更許可申請は令和8年4月12日までに受け付けた分を審査中と示されています。停止前に出した申請がまだ列に並んでいる状態です。
試験も止まった: 外食業特定技能1号評価試験は当面実施しない
見落とされやすいのが試験です。農林水産省の外食業分野における外国人材の受入れについてには、「外食業分野における1号特定技能外国人の受入れ停止措置に伴い、外食業特定技能1号評価試験は、当面の間、国内外ともに実施しません」と明記されています。試験を実施する一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)のサイトでも、外食業1号試験は停止中として案内されています。
これは「いま働いている留学生アルバイトに、卒業までに試験を取らせて特定技能に切り替える」という定番の内部育成ルートが、入口の申請だけでなく、その手前の試験段階から使えなくなったことを意味します。なお、飲食料品製造業分野の試験は同機構で引き続き実施されています。
現時点で公表されているのはここまで
いつ再開するのか、枠が増えるのかについては、本記事の執筆時点(2026年9月8日)で公的な発表が確認できません。現在の受入れ見込数は2026年1月23日の閣議決定によるもので、令和11年3月までの数として設定されています。したがって「来年になれば自動的に枠が空く」と考えるのは危険です。再開の見込みや条件について断定的に説明する情報を見かけたら、必ず出入国在留管理庁の公表資料に当たって裏を取ってください。
なぜ止まったか|数字で見る「外食98.1%・宿泊17.3%」
停止の理由は、感情論でも政策転換でもなく、単なる残枠の問題です。出入国在留管理庁が公表した「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値)」から、南紀の事業者に関係の深い分野を抜き出します。
| 分野 | 受入れ見込数/在留者数 | 充足率と年間増加数 |
|---|---|---|
| 外食業 | 50,000人/49,060人 | 98.1%(年間13,289人増) |
| 飲食料品製造業 | 133,500人/100,769人 | 75.5%(年間16,698人増) |
| 宿泊 | 14,800人/2,556人 | 17.3%(年間1,291人増) |
| 農業 | 73,300人/44,050人 | 60.1%(年間9,115人増) |
| 漁業 | 14,800人/4,912人 | 33.2%(年間1,070人増) |
| 全分野合計 | 805,700人/425,961人 | 52.9%(年間92,838人増) |

外食業は年間13,289人のペースで増えており、残枠は940人しかありませんでした。1か月分にも満たない量です。一方の宿泊分野は、増加ペースが年間1,291人に対して残枠が12,244人あります。同じペースが続くと仮定した単純計算で、9年分を超える余裕があるということです。
この差は「宿泊業は人手が足りているから」ではありません。むしろ逆で、宿泊分野は制度が始まってから一貫して充足率が低く、枠が使い切れていない分野です。旅館・ホテル側が特定技能という選択肢を十分に使えていない、という読み方のほうが実態に近いでしょう。人手不足をAIや業務設計でどこまで減らせるかは、旅館・ホテルの人手不足はAIでどこまで減らせるか|7業務の適用マップ【2026年8月】で業務単位に分解しています。
和歌山の事業者への影響|誰に・どこが・いつから効くか
では、南紀の現場には具体的にどう効くのか。ここは推測を混ぜず、影響の当たり方を3つに分けて整理します。
すぐ効くのは「これから海外から呼ぶ」計画だった飲食店
いちばん直接的に影響を受けるのは、2026年度中に海外から外食業の特定技能1号を迎える前提で動いていた事業者です。送り出し機関や登録支援機関と話を進めていても、4月13日以降に受理された認定証明書交付申請は不交付になります。国内の留学生を卒業後に外食業の特定技能へ切り替える計画も、変更許可申請が原則不許可となるため同様です。
この層にとっては「いつから効くか」ではなく、すでに効いています。年末年始・春の繁忙期の人員計画を、外国人材の新規流入なしで組み直す必要があります。
旅館・ホテルの客室業務は停止対象外
宴会・レストランを持つ旅館でも、フロント・接客・企画広報・レストランサービスといった宿泊分野の業務であれば、宿泊分野の特定技能として受け入れる道は開いています。宿泊分野は停止措置の対象外で、一般社団法人宿泊業技能試験センターによる宿泊分野特定技能1号評価試験も継続して実施されています。
ただし、業務の内容が宿泊分野の運用要領に沿っているかどうかが要件になります。「実態は外食業なのに宿泊分野で申請する」といった運用はできません。どの分野に当てはまるかの判断は、必ず地方出入国在留管理局または行政書士など有資格の専門家に確認してください。
県内の実数: 外国人労働者6,808人、うち宿泊・飲食は637人
規模感も押さえておきましょう。厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)によると、和歌山県の外国人労働者数は6,808人、外国人を雇用する事業所は1,264か所です。産業別では製造業2,509人(36.9%)が最多で、宿泊業・飲食サービス業は637人(9.4%)、医療・福祉が1,055人(15.5%)と続きます。
全国では外国人労働者が2,571,037人と届出義務化以降で過去最多を更新しており、宿泊業・飲食サービス業は319,999人(うち宿泊業47,007人、飲食店268,769人)です。ここで重要なのは在留資格の内訳で、宿泊業・飲食サービス業で最も多いのは「資格外活動」の146,336人(32.6%、うち留学122,945人)。特定技能を含む専門的・技術的分野の在留資格は87,380人で、そのうち特定技能は31,073人にとどまります。
つまり全国で見ても、飲食・宿泊の現場を支えている外国人の最大勢力は特定技能ではなく、留学生を中心とした資格外活動許可のアルバイトです。今回止まったのは、その最大勢力ではありません。和歌山県内の届出手続きやハローワークの管轄は、和歌山で外国人を雇う手続き|届出7ステップと県内ハローワーク管轄表【2026年9月】に整理しています。
今週やる5つの手順(プロンプト付き)
ここからが本体です。各手順のプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。初めての方は、スマホに公式アプリを入れてメールアドレスで登録し、以下の文をコピーして( )を自社の情報に書き換えるだけです。なお、AIの出力は下書きであり、在留資格の可否判断そのものには使えません。最終的な確認は必ず一次情報と専門家で行ってください。
手順1: 採用計画の「在留資格の棚卸し」を30分で行う
最初にやるのは求人でも省人化でもなく、現状の把握です。いま在籍している外国人スタッフが、どの在留資格で、いつまで働けるのか。それが1枚に書けていない事業者は少なくありません。在留カードの「在留資格」「在留期間の満了日」「就労制限の有無」、裏面の「資格外活動許可欄」を全員分書き写すところから始めます。
在留カードが有効なものかどうかは、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」で番号と有効期間を入力して確認できます。コピーを取るだけで確認した気にならないでください。
あなたは外国人雇用の実務に詳しい人事担当者です。以下の材料から、当社の外国人スタッフの在留資格の棚卸し表を作ってください。
【材料】
・事業所の業態: (例: 和歌山県白浜町の旅館。客室12室、食事処と宴会場あり)
・スタッフごとの情報: (氏名の頭文字/在留資格/在留期間の満了日/担当業務/就労制限の有無)
・今後6か月の繁忙期: (例: 12月〜1月、3月末〜5月)
出力: ①在留資格別の人数と満了日の一覧表 ②満了日が近い順の対応期限リスト ③今回の外食業分野の受入れ停止措置の影響を受ける可能性がある人の抽出理由。
制約: 在留資格の可否を断定せず、判断が必要な箇所は「要確認」と明記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
この棚卸しで見つかりやすいのが、在留期間の満了日が同じ月に集中しているケースです。更新は止まっていないとはいえ、手続きが遅れれば現場には同じように穴が開きます。
棚卸しが終わったら、その内容をスタッフ本人に説明してください。制度の話は本人の生活に直結するため、事業者が黙っていると、本人は不正確な情報を外から受け取ります。説明文はやさしい日本語で用意します。
あなたは、やさしい日本語で社内文書を書く担当者です。以下の材料から、外国人スタッフ向けの説明文を作ってください。
【材料】
・伝えたい事実: 2026年4月13日から、外食業分野の特定技能1号は「新しく日本に来る人」「他の在留資格から変える人」の申請が原則止まっている。在留期間の更新と、外食業の特定技能1号どうしの転職は、通常どおり審査される
・スタッフの在留資格: (例: 特定技能1号・外食業)
・会社としての方針: (例: 更新の手続きは会社が一緒に進める。担当は〇〇)
・相談窓口: (社内の担当者名と連絡方法)
出力: ①やさしい日本語版(1文20字以内、漢字にはふりがなの指示を付ける)②英語版 ③本人から出そうな質問と回答3組。
制約: 【材料】にない制度の説明を足さないでください。将来の再開時期など、公表されていないことは「まだ決まっていません」と書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
手順2: いま雇っている人が辞めない条件を洗い出す
新規の入口が閉じている以上、外食業の特定技能1号は国内での争奪戦になります。停止措置の例外として、外食業分野内での転職は通常どおり審査されるからです。裏を返せば、あなたの店のスタッフも他社から声をかけられうるということです。
引き止めのために使えるのは、賃金だけではありません。住居、通勤手段、日本語学習の支援、シフトの読みやすさ、家族の来日といった生活面の条件が効きます。和歌山県の最低賃金は2026年10月3日から時間額1,101円に改定されるため、賃金の見直しはいずれにせよ必要です(和歌山の最低賃金10月3日発効|9月中に終える賃金・シフト・価格【2026年9月】)。
あなたは地方の宿泊・飲食業の人事コンサルタントです。以下の材料から、外国人スタッフの定着策の案を作ってください。
【材料】
・所在地と業態: (例: 和歌山県田辺市の飲食店。客席30席)
・スタッフの構成: (国籍/在留資格/勤続年数/住まいの状況)
・現在提供している待遇: (時給、寮の有無、送迎、日本語学習の支援など)
・使える予算の上限: (例: 1人あたり月5,000円まで)
出力: ①費用がかからない施策 ②月5,000円以内でできる施策 ③1年かけて整える施策 の3段階で、それぞれ3件ずつ。各施策に想定コストと最初の一歩を添えてください。
制約: 【材料】にない待遇は書かないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
手順3: 止まっていない採用チャネルに募集を差し替える
外食業の特定技能が使えないだけで、外国人採用そのものが禁止されたわけではありません。飲食の現場で現に多く働いているのは、次の4つのルートです。
- 身分に基づく在留資格(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者): 就労制限がなく、業務内容の縛りもない
- 資格外活動許可を受けた留学生・家族滞在: 包括許可は出入国在留管理庁の資格外活動の許可の説明のとおり原則1週28時間以内、かつ風俗営業等が営まれていない場所であることが条件
- 特定活動(ワーキング・ホリデーなど): 個々に指定される活動内容の範囲で就労可能
- 技能実習: 外食に対応する職種は医療・福祉施設給食製造作業など限られており、2027年4月1日からは育成就労制度へ移行します

求人票の書き方も変える必要があります。「特定技能歓迎」ではなく「就労制限のない在留資格の方」「資格外活動許可のある留学生の方(週28時間以内)」のように、応募できる人が自分で判断できる表現にしてください。ハローワークへの出し方は、ハローワーク田辺への求人の出し方|事業所登録から公開まで7ステップ【2026年9月】にまとめています。
あなたは地方の飲食・宿泊業に詳しい求人ライターです。以下の材料から、求人票の本文案を3パターン作ってください。
【材料】
・募集職種と勤務地: (例: ホールスタッフ/和歌山県白浜町)
・雇用形態と時給: (例: アルバイト/時給1,150円)
・シフトの実際: (例: 週3日〜、17時〜22時中心)
・受け入れられる在留資格: (例: 就労制限のない方、資格外活動許可のある留学生)
・現場の日本語レベルの目安: (例: 注文の聞き取りができれば可)
出力: ①日本人・在住外国人の両方に届く汎用版 ②留学生アルバイト向け(週28時間の上限に触れる)③経験者の中途採用向け。各300字以内。
制約: 在留資格に関する断定的な可否説明は書かず、「在留カードで確認します」という表現に留めてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
手順4: 宿泊分野・飲食料品製造業分野という別ルートを検討する
旅館・ホテル、水産加工、梅加工といった事業者には、そもそも外食業以外の分野が用意されています。宿泊分野は充足率17.3%、飲食料品製造業分野は75.5%で、いずれも停止していません。試験も継続して実施されています。
注意点は、分野は「会社の業種」ではなく「本人が従事する業務」で決まることです。宿泊施設であっても、実態がレストランのホール専任であれば宿泊分野には当てはまりません。ここは自己判断が最も危険な箇所なので、業務内容を書き出したうえで専門家に持ち込む形にしてください。
あなたは特定技能制度に詳しい社内の整理役です。以下の材料から、専門家に相談するための業務内容メモを作ってください。制度の可否判断はしないでください。
【材料】
・施設の種類: (例: 客室14室の旅館。夕食は部屋出し、朝食は食事処)
・採用したいポジションの1日の業務: (時間帯ごとに具体的に)
・その業務の割合: (例: 客室清掃40%、朝夕の配膳30%、フロント20%、その他10%)
・現在の従業員数と国籍構成:
出力: ①業務を時間帯別に整理した表 ②「宿泊分野に該当しそうな業務」「外食業分野に該当しそうな業務」「判断が難しい業務」の3分類 ③専門家に確認すべき質問リスト5件。
制約: どの分野に該当するかを断定せず、必ず「要確認」と書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
手順5: 「採れない前提」の省人化を1つだけ決める
採用チャネルを広げても、南紀のような人口減少地域では、募集すれば埋まる時代ではありません。今回の停止措置は「外国人材で埋める前提の計画にはリスクがある」という警告でもあります。だからこそ、採用と並行して、1つだけ省人化を決めてください。
中小企業向けには、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)が随時公募で受け付けられています。補助率は1/2以下で、補助上限は従業員5名以下で200万円(賃上げ要件を満たす場合300万円)、6〜20名で500万円(同750万円)、21名以上で1,000万円(同1,500万円)です。カタログに掲載された製品が対象という仕組みのため、まずカタログを見て「自社に当てはまるものがあるか」を確認するのが早道です。採択や補助金の受給を保証するものではないため、申請の可否は必ず公募要領で確認してください。
あなたは地方の小規模事業者の業務改善に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、人手を1人分減らすための省人化候補を洗い出してください。
【材料】
・業態と規模: (例: 客席30席の食堂。従業員4名)
・1日でいちばん人手が要る時間帯と作業: (例: 11時30分〜13時の会計と配膳)
・すでに導入済みの機器・システム:
・投資に出せる上限額: (例: 50万円)
出力: ①作業を「機械に置き換えられる/段取りで減らせる/人にしかできない」の3分類 ②投資額の小さい順に候補を5件(想定費用と削減できる時間の目安つき)③今週試せる、費用ゼロの改善1件。
制約: 効果の数値は「目安」と明記し、断定しないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは飲食・宿泊の現場マニュアルの作成者です。以下の材料から、日本語が母語でないスタッフでも読める作業手順書を作ってください。
【材料】
・対象の作業: (例: 開店前の準備、テーブルセット)
・手順: (箇条書きで、思い出せる範囲で)
・使う道具と置き場所:
・間違えると困ること: (例: アレルギー表示の確認)
出力: ①短い文(1文20字以内)とやさしい日本語による手順書 ②手順ごとにイラストや写真を貼る位置の指示 ③英語併記版。
制約: 【材料】にない手順は追加しないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは採用計画のレビュアーです。以下の材料をもとに、2027年3月末までの人員計画のリスクを洗い出してください。
【材料】
・現在の人員と雇用形態: (日本人/外国人の別、在留資格)
・繁忙期の必要人数:
・今回の外食業分野の受入れ停止措置で計画が崩れた部分:
・使える代替チャネル: (手順3で洗い出したもの)
出力: ①月別の必要人数と現在の見込みのギャップ表 ②ギャップが最大になる月と、その月に間に合わせるための逆算スケジュール ③人員が埋まらなかった場合に真っ先に縮小する営業内容の候補3件。
制約: 制度の再開時期を前提にした計画は作らないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
業態別の打ち手(南紀の事業者向け)
同じ「宿泊・飲食」でも、影響の当たり方と最初の一手は変わります。自社に近い行から着手してください。
| 業態 | 今回の停止措置の影響 | 今週の最初の一手 |
|---|---|---|
| 飲食店・食堂(田辺・白浜の市街地) | 直撃。海外採用も留学生からの切替も不可 | 在籍者の在留期限を一覧化し、資格外活動の求人に差し替える |
| 旅館・ホテル(白浜・那智勝浦・龍神) | 客室業務は影響なし。料飲部門は要確認 | 業務内容を時間帯別に書き出し、宿泊分野の可否を専門家に確認 |
| 水産加工・梅加工(みなべ・串本・すさみ) | 飲食料品製造業分野は停止していない | 該当分野で受け入れ可能か、業務の分類を確認する |
| 道の駅・直売所の食堂(御坊・古座川) | 併設飲食部門は外食業分野に当たる可能性 | 食堂と物販の作業を分け、省人化できる作業を1つ選ぶ |
共通するのは、どの業態でも最初にやることが「新しい人を探すこと」ではなく「いまの状況を書き出すこと」だという点です。書き出さないと、専門家に相談することも、代替案を選ぶこともできません。
なお、人手が足りない時期に無理な稼働を続けるより、閑散期の商品設計と直予約で収益の質を上げるほうが効くケースもあります。南紀の宿の需要構造は南紀の宿が直予約を増やす方法|白浜・田辺・串本の実情に合わせた7ステップ【2026年8月】で分解しています。
【要注意】よくある4つの誤解
ニュースが広まる過程で、事実と違う理解が現場に定着しがちです。特に多い4つを挙げます。
誤解1: 今いる外国人スタッフも働けなくなる
❌ よくある間違い: 「受け入れ停止」と聞いて、雇用中の特定技能スタッフの契約を見直そうとする。
⭕ 正しい理解: 在留期間更新許可申請は通常どおり審査されます。止まったのは新規の入口だけで、いま働いている人の在留や就労が取り消される措置ではありません。
なぜ重要か: 誤った説明をスタッフにしてしまうと、本人が不安になって自ら離職を選ぶ可能性があるからです。外食業分野内の転職は今も可能なので、不安を与えた側が人を失います。
誤解2: 旅館の飲食部門も全部止まる
❌ よくある間違い: 食事処がある旅館だから、うちは全部だめだと決めつける。
⭕ 正しい理解: 停止しているのは外食業分野です。宿泊分野は充足率17.3%で枠が残っており、試験も継続しています。どの分野に当てはまるかは業務内容で判断されます。
なぜ重要か: 使える選択肢を自分で捨ててしまうのが、いちばん高くつく判断だからです。ただし分野の判断は自己流でやらず、業務内容を書き出して専門家に持ち込んでください。
誤解3: 試験さえ受けさせれば来年には呼べる
❌ よくある間違い: 停止中でも試験だけ受けさせて準備しておこうと考える。
⭕ 正しい理解: 農林水産省の発表のとおり、外食業特定技能1号評価試験は当面の間、国内外ともに実施されません。準備しようにも受験機会そのものがありません。
なぜ重要か: 「試験を受けさせます」と持ちかける情報を鵜呑みにすると、時間も費用も無駄になるからです。試験の実施状況は必ずOTAFFの公式サイトで確認してください。
誤解4: 育成就労が始まれば自動的に埋まる
❌ よくある間違い: 2027年4月から育成就労が始まるから、それまで待てばいいと考える。
⭕ 正しい理解: 育成就労制度は2027年4月1日施行で、外食業分野も対象分野に含まれます。ただし本記事の執筆時点で、外食業分野の受け入れ停止がいつ・どのような条件で解除されるかは公表されていません。
なぜ重要か: 「待てば解決する」という前提で計画を組むと、解除されなかった場合に打つ手がなくなるからです。制度の変化を待つのではなく、待たなくても回る体制を1年かけて作るほうが安全です。
白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中でも、人手の話は必ず出ます。ただ、外国人材の議論に入る前に、そもそも作業手順が口伝えのままだったり、予約対応が特定の人しかできなかったりする状態が残っていることも珍しくありません。採用の前に、誰でも回せる状態を作るほうが早いこともあります。
今週のチェックリスト(8項目)
現在地の確認に使ってください。在留カードと来年度の採用計画を手元に置きながら、当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 在籍している外国人スタッフの在留資格と在留期間の満了日を、全員分1枚にまとめてある
- □ そのうち外食業分野の特定技能1号が何人いるかを即答できる
- □ 停止措置の対象が「新規の入口」だけであることをスタッフに正しく説明した
- □ 2026年度中に予定していた新規受け入れが、実行可能かどうかを確認した
- □ 求人票の応募条件を「特定技能」以外の在留資格でも応募できる書き方に直した
- □ 自社の業務が宿泊分野・飲食料品製造業分野に当たる可能性を専門家に確認した
- □ 在留期間の満了日が集中している月を把握し、更新手続きの逆算日をカレンダーに入れた
- □ 採用が埋まらない前提で、省人化または縮小する営業内容を1つ決めた


特に見落とされやすいのが、7つ目の「更新手続きの逆算日」です。新規の入口が閉じている状況では、更新を1件落とすことの重みが以前より大きくなります。チェックが2つ以下でも問題ありません。この記事の5つの手順を上から進めれば、1つずつ埋まる構成にしてあります。
よくある質問
Q. 特定技能「外食業」の受け入れ停止はいつからですか?
2026年4月13日以降に受理された申請が対象です。出入国在留管理庁が同日付で公表した一時停止措置により、外食業分野の在留資格認定証明書交付申請は不交付とされ、他の在留資格からの変更許可申請も原則不許可となりました。方針自体は同年3月27日に公表されています。
Q. 停止はいつまで続きますか。再開の見通しは?
本記事の執筆時点(2026年9月8日)で、解除の時期や条件について公的な発表は確認できません。現在の受入れ見込数は2026年1月23日の閣議決定によるもので、令和11年3月までの数として設定されています。再開を前提にした採用計画は組まないほうが安全です。最新状況は出入国在留管理庁の外食業分野のページで確認してください。
Q. いま雇っている特定技能の外国人スタッフはどうなりますか?
在留期間更新許可申請は通常どおり審査されます。また、外食業分野の特定技能1号として在留している人からの申請(転職などに伴うもの)も通常どおり審査されるとされています。いま働いている人の就労が停止措置によって直ちに失われるわけではありません。
Q. 飲食店で外国人を採用する方法は、もう残っていないのですか?
残っています。全国の宿泊業・飲食サービス業で働く外国人のうち最も多いのは資格外活動の146,336人(32.6%)で、特定技能は31,073人です。就労制限のない身分に基づく在留資格の方や、資格外活動許可を持つ留学生(原則1週28時間以内)は、今回の停止措置の対象外です。手続きは和歌山で外国人を雇う手続き|届出7ステップと県内ハローワーク管轄表【2026年9月】を参照してください。
Q. 旅館・ホテルも受け入れ停止の対象ですか?
宿泊分野は停止措置の対象ではありません。令和8年6月末時点の充足率は17.3%で、受入れ見込数14,800人に対して在留者数は2,556人です。ただし、本人が従事する業務が宿泊分野の範囲に当たるかどうかで判断されるため、料飲部門中心の配置を考えている場合は事前に専門家へ確認してください。
Q. 外食業の技能測定試験は受けられますか?
受けられません。農林水産省は、受け入れ停止措置に伴い外食業特定技能1号評価試験を当面の間、国内外ともに実施しないと公表しています。試験を実施するOTAFFのサイトでも停止中と案内されています。なお、飲食料品製造業分野の試験は引き続き実施されています。
Q. 育成就労が始まれば人手不足は解消しますか?
育成就労制度は2027年4月1日施行で、外食業分野も対象に含まれます。ただし現時点では、外食業分野の受け入れ停止がどう扱われるかを含め、断定できる情報は公表されていません。制度の開始を当て込むのではなく、いまの人員で回る運用に近づけておくことをおすすめします。
Q. 人が採れない前提で、まず何を変えればいいですか?
営業時間・提供メニュー・受付方法のうち、いちばん人手を食っている1つを選んで削るか自動化することです。省力化投資補助金のカタログ注文型は随時公募で受け付けられており、対象製品が決まっている分、検討が早く進みます。机上業務の削り方は旅館・ホテルの人手不足はAIでどこまで減らせるか|7業務の適用マップ【2026年8月】に業務単位でまとめています。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 在籍している外国人スタッフの在留資格と在留期間の満了日を全員分1枚に書き出し、外食業分野の特定技能1号が何人いるかを確定させる
- 今週中にやること: 求人票の応募条件を「特定技能」以外でも応募できる表現に直し、自社の業務が宿泊分野・飲食料品製造業分野に当たる可能性を専門家に相談する予約を取る
- 今月中にやること: 採用が埋まらない前提で、省人化するか縮小する営業内容を1つ決め、10月3日発効の最低賃金改定とあわせてシフトと価格を組み直す
制度の再開を待つ計画ではなく、待たなくても回る計画に切り替えることが、今回のニュースへの最も確実な対応です。
あわせて確認: 10月3日発効の最低賃金への実務対応は和歌山の最低賃金10月3日発効|9月中に終える賃金・シフト・価格【2026年9月】にまとめています。
参考・出典
- 出入国在留管理庁「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について」(令和8年3月27日公表。令和8年2月末現在の在留者数約4万6千人〔速報値〕、受入れ見込数5万人、令和8年4月13日以降の申請の取扱い)(参照日: 2026-09-08)
- 出入国在留管理庁「特定技能「外食業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」(令和8年4月13日掲載。入管法第7条の2第4項に基づく措置、農林水産大臣の令和8年4月3日付け要請)(参照日: 2026-09-08)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年8月10日掲載)(参照日: 2026-09-08)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」掲載資料「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値)」(外食業50,000人/49,060人・98.1%、宿泊14,800人/2,556人・17.3%、飲食料品製造業133,500人/100,769人・75.5%、合計805,700人/425,961人・52.9%。現在の受入れ見込数は令和8年1月23日閣議決定)(参照日: 2026-09-08)
- 出入国在留管理庁「資格外活動の許可(入管法第19条)」(包括許可は原則1週28時間以内、風俗営業等が営まれていないことが条件)(参照日: 2026-09-08)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」(令和9年4月1日施行)(参照日: 2026-09-08)
- 農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて」(外食業特定技能1号評価試験を当面の間、国内外ともに実施しない旨の記載)(参照日: 2026-09-08)
- 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)「特定技能1号技能測定試験」(外食業1号試験の停止、飲食料品製造業分野の試験は実施)(参照日: 2026-09-08)
- 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(令和8年1月30日公表。全国2,571,037人・371,215事業所、和歌山県6,808人・1,264事業所、和歌山県の宿泊業・飲食サービス業637人、全国の宿泊業・飲食サービス業319,999人)(参照日: 2026-09-08)
- 一般社団法人宿泊業技能試験センター「公式サイト」(宿泊分野特定技能1号評価試験の実施状況)(参照日: 2026-09-08)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」(随時公募、補助率1/2以下、補助上限200万〜1,000万円〔賃上げ要件達成時300万〜1,500万円〕)(参照日: 2026-09-08)
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※本記事は2026年9月8日時点で公表されている一次情報に基づく解説です。在留資格の該当性・申請の可否・補助金の採択は個別の事情によって判断が異なります。実際の手続きは、地方出入国在留管理局または行政書士などの有資格の専門家にご確認ください。本記事は法務・税務・投資に関する助言ではありません。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。