
結論: 厚生労働省が2026年9月8日に公表した毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報によれば、事業所規模5人以上の現金給与総額は436,401円(前年同月比4.7%増)、実質賃金は2.4%増で7か月連続のプラスでした。ただしこれは全国・全産業の平均です。同じ統計の和歌山県分(地方調査)は6月分が最新で、現金給与総額は435,962円の0.1%減、総実労働時間は134.1時間の6.5%減。全国が伸びている月に、和歌山は横ばいから減少へ向いています。来期の賃上げ幅を決めるときに見るべきなのは、報道で流れる全国の伸び率ではなく、この2つのズレのほうです。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県、特に南紀(田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)で人を雇っている宿泊・観光・飲食・小売・農水産の事業者と、シフトと人件費を預かる現場責任者 読了後にできること: 7月速報のどの数字を自社の賃上げ判断に使い、どの数字は使ってはいけないかを区別し、10月3日の最低賃金発効までに時給・シフト・求人票の3点を決められる状態になる
「ニュースでは賃金が上がったと言っていますが、うちは去年と同じです」
白浜への移住準備で地域の事業者と話していると、賃金のニュースの話題はたいていこの一言に行き着きます。そして多くの場合、その感覚のほうが正しいのです。
理由は単純で、報道が伝えるのは全国・全産業・全規模を平均した数字だからです。7月の4.7%増という伸びには、建設業の13.5%増や運輸業・郵便業の8.3%増が含まれています。一方で飲食サービス業等の現金給与総額は158,523円(3.2%増)。同じ「賃金が上がった」でも、業種によって水準も伸び率もまったく違います。そこに和歌山という地域の事情が重なると、全国平均との距離はさらに開きます。
とはいえ、全国の数字を無視していいわけでもありません。人を採るとき、あなたの店が競っている相手は隣の店だけではないからです。応募者は求人サイトで全国の時給を見ています。自社の賃金を決めるには、全国の相場と地域の実態を両方見て、その差の理由を説明できる状態にしておく必要があります。
この記事では、白浜(和歌山)への移住準備を進めながら地域の事業者と話している立場から、①9月8日に公表された7月速報で何が分かったか ②和歌山県の数字はどう違うか ③10月3日の最低賃金発効までに決めること(時給・シフト・原資)とコピペで使えるプロンプト8本 ④読み違いで起きる4つの失敗 ⑤自社の確認8項目、の順に整理します。直近1か月の給与台帳とシフト表を手元に置いて、読み進めてください。
目次
9月8日公表の7月速報|現金給与総額43万6,401円、実質賃金は7か月連続プラス
まず事実の確認です。厚生労働省の毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報(公表日2026年9月8日/参照日2026-09-10)の主な数値は次のとおりです。すべて事業所規模5人以上、カッコ内は前年同月比です。
| 項目 | 2026年7月の水準 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 現金給与総額 | 436,401円 | 4.7%増(規模30人以上は501,717円・5.3%増) |
| きまって支給する給与 | 301,582円 | 4.1%増 |
| 所定内給与 | 280,797円 | 4.1%増 |
| 所定外給与 | 20,785円 | 3.1%増 |
| 特別に支払われた給与 | 134,819円 | 6.3%増 |
| パートの時間当たり給与 | 1,460円 | 5.7%増(61か月連続プラス) |
| 実質賃金指数(2020年平均=100) | 117.6 | 2.4%増(7か月連続プラス) |
| 総実労働時間 | 141.6時間 | 0.2%減(出勤日数18.3日・前年差0.1日減) |
| 常用雇用(労働者総数) | 52,273千人 | 0.8%増 |

実質賃金がプラスになった理由は、名目の伸び(4.7%)が物価の伸びを上回ったからです。実質化に使われた消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比は2.2%上昇でした。名目4.7%から物価2.2%を引くと、おおむね2.4%が残る——これが「実質賃金2.4%増」の中身です。
現金給与総額が3%以上の伸びを6か月連続で記録したのは34年4か月ぶり、と資料には注記されています。数字そのものは、たしかに歴史的な水準です。
ただし速報値には2つの但し書きがあります。1つ目は、速報値は確報で改訂される場合があること。実際、2026年6月分の数値は改訂済みの値として掲載されています。2つ目は、2026年1月に調査対象事業所の部分入替えが行われ、新旧の結果を比較すると現金給与総額で-1,582円(-0.5%)の断層が生じている点です。前年同月比を見るときは、この0.5%程度のブレを頭の片隅に置いてください。
「賃金が上がった」の中身|現金給与総額・所定内給与・実質賃金の違い
数字を自社の判断に使う前に、用語を3つだけ整理します。ここを混ぜると判断を誤ります。
現金給与総額とは、賃金・給与・手当・賞与その他の名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に通貨で支払うもので、所得税・社会保険料・組合費等を差し引く前の金額です。これは「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の合計にあたります。
- きまって支給する給与(定期給与): 労働協約や就業規則であらかじめ支給条件・算定方法が定められている給与。基本給・職務手当・地域手当・家族手当などの所定内給与と、時間外手当・休日手当・深夜手当などの所定外給与に分かれます
- 特別に支払われた給与(特別給与): 夏冬の賞与、期末手当等の一時金など。7月は夏季賞与の支給月にあたるため、この項目が大きく膨らみます
- 実質賃金: 名目賃金指数を消費者物価指数で割ったもの。「もらった金額」ではなく「その金額で買える量」を示します

この区別が実務でなぜ大事か。7月の4.7%増という数字には、賞与の6.3%増が含まれているからです。毎月の固定的な人件費に効いてくるのは、きまって支給する給与の4.1%増、さらにその中の所定内給与の4.1%増のほうです。「4.7%上がったのだからうちも4.7%」と考えると、賞与の伸びを毎月の固定費に転嫁してしまうことになります。
もう一つ、統計には共通事業所という参考値があります。前年と今年の両方で回答した同じ事業所だけを比べた数値で、7月の就業形態計は現金給与総額2.8%増、所定内給与3.0%増でした。全体の4.7%より低く出ます。「同じ会社が去年と比べていくら上げたか」に近いのは、こちらの数字です。自社の賃上げ幅を他社と比べたいなら、共通事業所の2.8〜3.0%を目安にするほうが実態に合います。
和歌山県は6月時点で0.1%減|全国と逆を向いている数字
ここからが本題です。同じ毎月勤労統計には都道府県別の地方調査があり、和歌山県分は和歌山県企画部企画政策局調査統計課の調査結果速報で公表されています。参照日(2026-09-10)時点で公表されている最新は令和8年6月分で、7月分はまだ出ていません。現時点で確認できるのは、ここまでです。
その6月分速報(事業所規模5人以上、前年同月比)の数字は次のとおりです。
| 項目 | 和歌山県 2026年6月 | 全国 2026年6月 |
|---|---|---|
| 現金給与総額 | 435,962円・0.1%減(増加から減少へ) | 4.0%増 |
| きまって支給する給与 | 257,002円・1.6%減(5か月連続の減少) | 3.4%増 |
| 総実労働時間 | 134.1時間・6.5%減(12か月連続の減少) | 0.2%減 |
| 所定外労働時間 | 8.0時間・19.2%減(6か月連続の減少) | 0.4%増 |
| 常用労働者数 | 297,507人・0.7%増(2か月連続の増加) | 0.8%増 |
| パートタイム労働者比率 | 38.7%・4.1ポイント上昇(12か月連続の上昇) | 0.12ポイント上昇 |

この4つの数字を並べると、和歌山で起きていることが1つの筋で読めます。人は増えているが(常用労働者数0.7%増)、1人あたりの労働時間が大きく減り(総実労働時間6.5%減、所定外19.2%減)、その減った分をパートタイムが埋めている(パート比率が1年で4.1ポイント上昇)。結果として、1人あたりの月額給与は横ばいから微減になっている、という構図です。
現場の実感に引き直すと、こうなります。時給を上げても、月のシフトが減っていれば、スタッフの手取りは増えません。逆に事業者から見れば、「時給を上げたのに人件費の総額はさほど増えていない」ように見えます。どちらも同じ現象の裏表で、増えた時給が減った時間で相殺されているだけです。このとき起きるのは、賃上げをしたのに感謝もされず定着もしない、という一番割に合わない状態です。
もう一点、注意書きを添えます。上の表は同じ2026年6月同士の比較です。全国の7月分(4.7%増)と和歌山の6月分(0.1%減)を直接並べて「7.6ポイントの差」と読むのは誤りで、月が違えば賞与の支給時期の影響も違います。和歌山県分の7月の数字が出るまで、7月時点の県内の伸びは分かりません。
なお、少ない人数で現場を回す前提の組み立て方は、和歌山の中小企業の人手不足対策|採用が難しい前提で回す7ステップに整理しています。労働時間が減り続けている地域では、時給の議論より先に、こちらの設計が効いてきます。
南紀の宿・飲食・小売でいま人を雇うといくらか|業種別の水準
「うちの業種ではどうなのか」に答える数字も、同じ速報の統計表から取れます。2026年7月速報・事業所規模5人以上の業種別は次のとおりです(全国平均)。
| 業種 | 現金給与総額 | パートの所定内給与 | パートの所定内労働時間 |
|---|---|---|---|
| 調査産業計 | 436,401円(4.7%増) | 113,843円(4.8%増) | 78.0時間(0.9%減) |
| 飲食サービス業等 | 158,523円(3.2%増) | 82,738円(5.4%増) | 62.8時間(0.5%増) |
| 卸売業・小売業 | 421,767円(5.5%増) | 111,773円(5.4%増) | 83.3時間(0.3%増) |
| 生活関連サービス等 | 276,960円(3.0%増) | 104,150円(4.4%増) | 75.7時間(1.2%減) |
毎月勤労統計では、パートの時間当たり給与を「パートタイム労働者の所定内給与÷パートタイム労働者の所定内労働時間」で算出しています。調査産業計の公式値は1,460円(5.7%増)です。同じ定義で上の表から当欄が計算すると、参考値は次のようになります。
- 飲食サービス業等: 82,738円 ÷ 62.8時間 = 約1,318円
- 卸売業・小売業: 111,773円 ÷ 83.3時間 = 約1,342円
- 生活関連サービス等: 104,150円 ÷ 75.7時間 = 約1,376円
これらは全国平均から機械的に割り戻した参考値であり、募集時の提示時給そのものではありません。地域差・職種差があり、和歌山の実勢がこの水準だと言っているわけでもありません。それでも、比較の起点にはなります。
一方、和歌山県の最低賃金は和歌山労働局の告知によれば、2026年10月3日から時間額1,101円に改定されます(現行1,045円から56円の引上げ、参照日2026-09-10)。飲食サービス業等の参考値1,318円との差は約217円です。

雇用の動きも見ておきます。飲食サービス業等の労働者総数は4,710千人で3.3%増、パートタイム労働者比率は77.73%(前年同月差0.48ポイント低下)、入職率4.25%(0.44ポイント上昇)、離職率2.85%(0.30ポイント低下)でした。毎月、在籍者の4%強が入り、2.9%が抜けている業種ということです。この回転率を前提にすると、採用単価は「1人採るのにいくら」ではなく「毎月何人採り続けるのにいくら」で考える必要があります。求人票の書き方と出し方は、ハローワーク新宮への求人の出し方|事業所登録から公開まで7ステップにまとめています。
10月3日の発効までに決めること|時給・シフト・原資
ここからが実務です。以下のプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。初めての方は、スマホのアプリストアで公式アプリを入れ、メールアドレスで登録し(3分ほどで終わります)、文例をコピーして( )の中を自社の情報に書き換えて送信するだけです。
なお、最低賃金そのものへの対応手順(対象になる賃金の抜き出し、時間額への換算、契約書・賃金台帳の書き換え)は、和歌山の最低賃金1,101円|いつからと事業者の実務7ステップに分けて書いています。この記事で扱うのは、その一段上——「最低賃金を満たしたうえで、どこまで上げるか」の判断材料です。
1. 自社の「1時間あたり人件費」を出す
最初にやるのは統計の読み込みではなく、自社の数字を1つ作ることです。直近1か月の人件費総額を、同じ月の総労働時間で割ります。この1つの数字がないと、統計のどの伸び率も自社に翻訳できません。
あなたは小規模事業者の人件費を整理するアドバイザーです。以下の材料から、1時間あたり人件費と、賃上げ余力の現在地を整理してください。
【材料】
・業種と規模: (例: 白浜の民宿・客室8室・従業員6名)
・直近1か月の人件費総額: (給与・賞与・社会保険の事業主負担を分けて。分かる範囲で)
・同じ月の総労働時間: (全員分の合計。タイムカードの合計でよい)
・そのうち所定外(残業・休日・深夜)の時間:
・同じ月の売上高:
出力: ①1時間あたり人件費 ②売上高に対する人件費比率 ③所定外が人件費に占める割合 ④次に確認すべき数字を3つ。
条件: 計算に使った式を必ず併記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、社会保険の事業主負担を忘れないことです。時給を上げれば、この負担も連動して増えます。ここを外した試算は、必ず後から足りなくなります。
2. 全国の伸び率を、自社の賃上げ幅に翻訳する
次に、統計の伸び率を自社の判断材料に変換します。使う数字は3つ。全体の4.7%ではなく、所定内給与の4.1%、共通事業所の2.8〜3.0%、そして自社が属する業種の水準です。
あなたは賃金統計を実務に翻訳するアドバイザーです。以下の公表数値と自社の数字から、来期の賃上げ幅の検討材料を整理してください。断定はせず、判断の分岐を示してください。
【公表数値】毎月勤労統計2026年7月分速報(規模5人以上・全国)
・現金給与総額 436,401円(4.7%増)/きまって支給する給与 301,582円(4.1%増)/所定内給与 280,797円(4.1%増)/特別に支払われた給与 134,819円(6.3%増)
・共通事業所ベース: 現金給与総額2.8%増、所定内給与3.0%増
・パートの時間当たり給与 1,460円(5.7%増)
・和歌山県の地方調査(2026年6月分): 現金給与総額0.1%減、総実労働時間6.5%減、パート比率38.7%(4.1ポイント上昇)
【自社の材料】
・業種と所在地:
・現在の時給レンジと月給レンジ:
・1時間あたり人件費: (プロンプト1の結果)
・和歌山県最低賃金: 2026年10月3日から1,101円
出力: ①どの公表数値を自社の判断に使うべきかと、その理由 ②使ってはいけない数値と理由 ③賃上げ幅の選択肢を3案(据え置き・最低賃金準拠・業種水準寄せ)と、それぞれの月間人件費への影響 ④判断の前に社労士に確認すべき論点。
条件: 適法性・税務の可否は断定しないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
3. 決めた根拠を、スタッフに説明できる形にする
賃上げで一番もったいないのは、上げたのに伝わらないことです。和歌山の数字が示すとおり、月の労働時間が減れば時給を上げても手取りは増えません。「時給はいくら上がり、月の想定シフトは何時間で、手取りはこう変わる」までを1枚にして渡してください。
あなたは小規模事業所の店長です。以下の材料から、スタッフに配る賃金改定のお知らせ文(300字以内)と、個別面談で使う説明メモを作ってください。
【材料】
・改定内容: (例: 時給1,060円→1,110円、2026年10月3日から)
・想定する月のシフト時間: (例: 月80〜90時間)
・変わらないもの: (例: 交通費の支給、まかないの有無)
・会社として伝えたい事実: (例: 和歌山県の最低賃金が1,101円になること)
出力: ①掲示・配布用のお知らせ文 ②面談用に、月の想定シフト別の手取りの変化を示す表の項目 ③よくある質問への答え方3つ。
条件: 将来の昇給や賞与を約束する表現を使わないこと。手取り額は社会保険料・税により変わる旨を必ず添えること。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
4. 所定外の使い方を決め直す
7月の全国の所定外労働時間は1.0%増、飲食サービス業等では11.8%増でした。一方、和歌山県は6月時点で19.2%減です。所定外は、賃金の中で唯一シフトの組み方だけで動かせる項目です。割増賃金がかかる分、同じ人件費でも本来より高くつきます。
あなたはシフト設計を支援するアドバイザーです。以下の材料から、所定外労働を減らしながら現場を回す組み替え案を作ってください。
【材料】
・業種と営業時間: (例: 田辺の飲食店・11時〜22時・週1休)
・従業員構成: (例: 正社員2名、パート6名)
・直近1か月の所定外時間と、その発生日・時間帯:
・繁忙が読める曜日・時間帯:
・減らせない業務: (例: 仕込み、締め作業)
出力: ①所定外が発生している原因の分類(人手不足型/段取り型/突発型) ②原因別の打ち手 ③組み替え後の月間労働時間の試算 ④実行する順番。
条件: 労働時間の上限規制や割増賃金の適法性は断定せず、確認先を併記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
事務作業そのものを減らして総労働時間を下げる方法は、ChatGPTを旅館・民宿で使う15の方法|コピペで使えるプロンプト集に具体例を並べています。所定外の削減は、シフトの組み替えだけでは限界が来ます。
あなたは業務の棚卸しを支援するアシスタントです。以下の材料から、所定外労働の原因になっている事務作業のうち、AIや無料ツールで置き換えられるものを洗い出してください。
【材料】
・営業時間外にやっている作業と、その所要時間: (例: 予約サイトの手配 毎日30分、口コミ返信 週2時間)
・担当している人:
・使っている道具: (例: 紙の台帳、Excel、予約サイトの管理画面)
・変えたくないこと:
出力: ①作業ごとの月間所要時間の合計 ②置き換え候補と、置き換えた場合の削減見込み時間 ③置き換えてはいけない作業と理由 ④最初に取り組む1つ。
条件: 削減時間は前提を明示した試算として示し、断定しないこと。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
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5. 求人票の時給を、相場と説明できる差で決める
求人を出しているなら、10月3日までに時給欄を見直す必要があります。応募が来ない理由が金額なのか、書き方なのかを分けて考えてください。
あなたは求人票を点検する編集者です。以下の材料から、時給の見せ方と記載内容を点検してください。
【材料】
・現在の求人票の時給と職種: (例: ホールスタッフ 時給1,050円)
・改定後に予定している時給:
・月の想定シフト時間と、シフトの融通の実際:
・時給以外に提示できる事実: (例: 交通費実費、まかない、制服貸与、勤務地固定)
・参考: 和歌山県最低賃金は2026年10月3日から1,101円
出力: ①時給欄で誤解を招きうる記載 ②時給以外に書けていない事実の一覧 ③応募者が知りたい順に並べ替えた求人票の項目順 ④書き換え案(そのまま貼れる文面)。
条件: 支給を約束できない項目を確定表現で書かないこと。「必ず」「全員」を使わないこと。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
自社の採用ページ側に同じ情報をそろえておく作り方は、田辺市の採用サイト制作|載せる7項目と自社で作る7ステップを参考にしてください。求人媒体で見た人が最後に確認しに来る場所で情報が食い違うと、応募は落ちます。
6. 上がった人件費を、単価か手数料のどちらで吸収するか決める
賃上げの原資は、売上を増やすか、外に出ているお金を減らすかのどちらかからしか出ません。宿泊業なら、予約サイトの手数料は後者の代表格です。
あなたは小規模事業者の収支を整理するアドバイザーです。以下の材料から、賃上げ分の原資をどこから作るかの選択肢を整理してください。
【材料】
・賃上げによる月間人件費の増加見込み: (プロンプト2の結果。社会保険の事業主負担を含む)
・直近1か月の売上高と客数(または組数):
・予約サイト・決済などに支払っている手数料の月額: (分かる範囲で)
・値上げしたときに失う可能性がある客層:
出力: ①単価を上げて吸収する場合に必要な値上げ幅 ②手数料・外注費を削って吸収する場合の削減必要額 ③客数が減った場合の損益分岐 ④最初に手をつける順番と理由。
条件: 値上げによる客数の変化は仮定であることを明示し、複数の前提で示してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
手数料の実額の出し方と直販への切り替え方は、OTA手数料一覧と実質負担の計算式|旅館・民宿の直販比率の上げ方に計算式つきで書いています。1予約あたり2,000円の手数料が月30組なら月6万円。時給を50円上げて月400時間分なら月2万円です。どちらを先に動かすかは、計算すれば答えが出ます。
あなたは値上げの案内文を整える編集者です。以下の材料から、価格改定のお知らせ文を2種類(掲示用200字以内・予約者向けメール用300字以内)作ってください。
【材料】
・改定する商品・サービスと、改定前後の価格:
・改定日:
・改定の理由として事実として言えること: (例: 人件費・仕入価格の上昇)
・据え置くもの: (例: 常連向けの平日プラン)
出力: ①掲示用の文面 ②予約者向けメールの文面 ③問い合わせがあったときの答え方。
条件: 統計や他社の状況を根拠として断定しないこと。謝罪一辺倒にせず、変えないものを必ず書くこと。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
【要注意】7月の数字の読み違いで起きる4つの失敗
誤解1: 「4.7%上がったのだから、うちも4.7%上げる」
❌ よくある間違い: 報道の見出しにある現金給与総額の伸び率を、そのまま自社の月給・時給の引上げ幅に当てはめる。
⭕ 正しい理解: 7月の4.7%には、特別に支払われた給与(夏季賞与など)の6.3%増が含まれています。毎月の固定的な人件費に対応するのは、きまって支給する給与の4.1%増と、所定内給与の4.1%増です。さらに「同じ事業所同士」で比べた共通事業所ベースでは2.8〜3.0%増です。
なぜ重要か: 賞与の伸びを毎月の固定費に転嫁すると、翌年の賞与原資が消えるからです。賞与は業績に応じて動かせますが、基本給・時給は一度上げると下げられません。同じ「4.7%」でも、固定費に載せるか変動費に載せるかで、来期の身動きの取りやすさがまったく変わります。
誤解2: 「実質賃金がプラスなら、お客さんの財布も緩む」
❌ よくある間違い: 実質賃金7か月連続プラスというニュースを、そのまま「消費が戻る」と読み替えて強気の単価設定をする。
⭕ 正しい理解: 実質賃金は名目賃金指数を消費者物価指数で割った指数であり、全国・全産業の平均です。和歌山県の6月分では、名目の現金給与総額そのものが0.1%減、きまって支給する給与は1.6%減で5か月連続の減少でした。県内在住のお客様に関する限り、全国平均の実質賃金プラスが当てはまる保証はありません。
なぜ重要か: 単価を上げる根拠に統計を使う場合、その統計が誰の話なのかを確認しないと判断を誤るからです。県外・都市部からの観光客が主なら全国の数字が効きますが、地元客が中心の店なら県の数字のほうが近い。客層によって、見るべき統計が違います。
誤解3: 「時給を上げたのだから、スタッフは満足しているはずだ」
❌ よくある間違い: 最低賃金の引上げに合わせて時給を上げ、それで待遇改善は済んだと考える。
⭕ 正しい理解: 和歌山県の総実労働時間は12か月連続の減少で、6月は6.5%減、所定外労働時間は19.2%減でした。時給が5%上がっても、月の労働時間が6.5%減れば月収は減ります。手取りで見れば「上がっていない」というスタッフの実感のほうが事実に近い、という状況が起こりえます。
なぜ重要か: 賃上げの効果は金額そのものではなく、受け取る側の月収がどう変わるかで決まるからです。時給とシフト時間はセットで設計してください。伝えるときも、時給の金額だけでなく「月の想定シフト時間」を必ず添えます。
誤解4: 「最低賃金を満たしていれば、募集の時給としても十分だ」
❌ よくある間違い: 10月3日から1,101円になるので、募集時給を1,101円にして求人を出し直す。
⭕ 正しい理解: 最低賃金は下限であって相場ではありません。毎月勤労統計の定義(パートの所定内給与÷パートの所定内労働時間)で計算すると、全国の飲食サービス業等は約1,318円、卸売業・小売業は約1,342円という参考値になります。地域差はありますが、応募者は求人サイトで他地域の金額も見ています。
なぜ重要か: 飲食サービス業等では毎月、在籍者の4.25%が入職し2.85%が離職しています。採用は年に一度の行事ではなく毎月続く費用です。下限に張りついた時給で募集を続けると、採用と教育の費用が毎月発生し続けます。時給の差額より、採り直しの費用のほうが高くつく場面は珍しくありません。
ここまでの作業は、すべて無料の道具だけで完結します。それでも「数字を整理する時間が取れない」「求人票まで手が回らない」という事業者があるのも事実です。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、地域の中小企業のデジタル面の支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応)。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは直近1か月の給与台帳とシフト表だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
賃金統計を人件費の判断に使えているかの確認8項目
給与台帳とシフト表を横に置いて、当てはまるものにチェックを入れてください。
- □ 自社の「1時間あたり人件費」を、社会保険の事業主負担を含めて計算したことがある
- □ 現金給与総額と所定内給与の違いを説明でき、どちらを賃上げの目安に使うか決めている
- □ 全国の数字と和歌山県の数字を、同じ月同士で比べている
- □ 自社が属する業種の水準(飲食サービス業等・卸売業小売業など)を確認している
- □ 2026年10月3日に時間額が1,101円を下回る人がいないか、洗い出しが済んでいる
- □ 時給とあわせて「月の想定シフト時間」をスタッフに伝えている
- □ 所定外労働の発生原因を、人手不足型・段取り型・突発型に分けて把握している
- □ 賃上げ分の原資を、単価と手数料のどちらから作るか決めている

特に見落とされやすいのが、6番目の「月の想定シフト時間」です。ここを伝えていないと、時給を上げても定着にはつながりません。チェックが半分以下でも問題ありません。1〜4は統計を開けば1時間で終わり、5〜8も半日あれば形になります。
よくある質問
Q. 毎月勤労統計の2026年7月分速報は、いつ公表されましたか?
2026年9月8日です。厚生労働省の毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報のページに、報道発表資料と統計表が掲載されています。次回以降の公表日は、政府統計の総合窓口(e-Stat)の公表予定一覧で確認できます。
Q. 現金給与総額と実質賃金は、どちらを見ればいいですか?
目的で分かれます。自社の人件費を考えるなら現金給与総額、なかでも毎月固定的にかかる「きまって支給する給与」(7月は301,582円・4.1%増)です。お客様の購買力や従業員の生活実感を考えるなら実質賃金(7月は2.4%増)です。実質賃金は名目賃金指数を消費者物価指数で割った指数なので、金額そのものではありません。
Q. 実質賃金が7か月連続プラスなのに、和歌山では実感がないのはなぜですか?
公表されている数字の上でも、実際にズレがあるからです。和歌山県の地方調査(2026年6月分速報)では、現金給与総額が0.1%減、きまって支給する給与が1.6%減で5か月連続の減少、総実労働時間は6.5%減でした。全国平均が上がっている月に、和歌山では1人あたりの給与と労働時間が減っています。
Q. 和歌山県の7月分の数字はどこで見られますか?
参照日(2026-09-10)時点では、まだ公表されていません。和歌山県 毎月勤労統計調査 結果速報で公表されている最新は令和8年6月分です。全国分より遅れて公表されるため、7月分が出るまでは6月分で判断することになります。公表されたら、本記事も更新します。
Q. 賃上げ幅の目安として、どの数字を使うのが妥当ですか?
用途によりますが、他社との比較なら共通事業所ベースの数字が実態に近いと考えられます。7月速報では就業形態計で現金給与総額2.8%増、所定内給与3.0%増です。これは前年と今年の両方で回答した同じ事業所だけを集計した参考値で、「同じ会社が去年からいくら上げたか」に近い数値になります。ただし業種・規模・地域で差が出るため、自社の1時間あたり人件費と突き合わせて判断してください。
Q. パートの時給は、全国平均でいくらですか?
2026年7月速報では、パートタイム労働者の時間当たり給与(所定内給与)は1,460円で5.7%増、61か月連続のプラスです。これは全産業の全国平均です。業種別の公表値はありませんが、同じ定義(所定内給与÷所定内労働時間)で当欄が計算すると、飲食サービス業等は約1,318円、卸売業・小売業は約1,342円という参考値になります。募集時の提示時給とは一致しません。
Q. 和歌山県の最低賃金はいつからいくらになりますか?
和歌山労働局の告知によれば、2026年10月3日から時間額1,101円です(現行1,045円から56円の引上げ)。対象になる賃金の範囲や時間額への換算方法など、発効までの実務は和歌山の最低賃金1,101円|いつからと事業者の実務7ステップにまとめています。総支給額ではなく、対象になる賃金だけを時間額に直して判定する点に注意してください。
Q. 速報値は、あとから変わることがありますか?
あります。資料に「速報値は、確報で改訂される場合がある」と明記されており、実際に2026年6月分の数値は改訂済みの値として掲載されています。また2026年1月に調査対象事業所の部分入替えが行われ、新旧比較で現金給与総額に-1,582円(-0.5%)の断層が生じている点も注記されています。0.5%程度の差で結論が変わる判断には使わないでください。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 直近1か月の人件費総額(社会保険の事業主負担込み)を総労働時間で割り、自社の「1時間あたり人件費」を1つの数字にする
- 今週中にやること: 2026年10月3日に時間額が1,101円を下回る人がいないかを洗い出し、時給と「月の想定シフト時間」をセットで決める
- 今月中にやること: 決めた賃上げ分の原資を、単価と手数料のどちらから作るかを試算し、求人票の時給欄を書き換える
10月3日まで、この記事の公開時点で3週間あまりです。1時間あたり人件費の計算だけなら、今日30分で終わります。
あわせて確認: 和歌山県の令和8年7月分(地方調査)は参照日時点で未公表です。公表され次第、本記事の和歌山県の数値を差し替えます。
参考・出典
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報」(2026年9月8日公表。事業所規模5人以上、現金給与総額436,401円・4.7%増、きまって支給する給与301,582円・4.1%増、所定内給与280,797円・4.1%増、所定外給与20,785円・3.1%増、特別に支払われた給与134,819円・6.3%増、パートの時間当たり給与1,460円・5.7%増、実質賃金指数117.6・2.4%増、総実労働時間141.6時間・0.2%減、常用雇用52,273千人・0.8%増、共通事業所ベース現金給与総額2.8%増。集計事業所33,049、回答22,666、回答率68.6%) 毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報 (参照日: 2026-09-10)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報を公表します」(報道発表資料。34年4か月ぶりの記録、2026年1月の部分入替えによる断層-1,582円・-0.5%の注記を含む) 報道発表資料(PDF) / 結果の概況(PDF・統計表第1表〜第3表) (参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県企画部企画政策局調査統計課「毎月勤労統計調査【令和8年6月】和歌山県の調査結果速報」(事業所規模5人以上、現金給与総額435,962円・0.1%減、きまって支給する給与257,002円・1.6%減、総実労働時間134.1時間・6.5%減、所定外労働時間8.0時間・19.2%減、常用労働者数297,507人・0.7%増、パートタイム労働者比率38.7%・4.1ポイント上昇) 和歌山県 毎月勤労統計調査 調査結果速報 / 毎月勤労統計調査について(和歌山県) (参照日: 2026-09-10)
- 和歌山労働局「和歌山県最低賃金が10月3日から時間額1,101円に改定されます」(現行1,045円から56円の引上げ) 和歌山労働局 (参照日: 2026-09-10)
- 総務省統計局ほか「政府統計の総合窓口(e-Stat)公表予定一覧」(毎月勤労統計を含む政府統計の公表予定日) 公表予定一覧 (参照日: 2026-09-10)
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※本記事は2026年9月10日時点で厚生労働省・和歌山県・和歌山労働局が公表している資料に基づく整理であり、個別の賃金・契約の適法性や、税務・労務上の判断を示すものではありません。毎月勤労統計の速報値は確報で改訂される場合があります。業種別の時間当たり給与として示した約1,318円・約1,342円・約1,376円は、公表された所定内給与を所定内労働時間で除して当欄が算出した全国平均の参考値であり、和歌山県内の実勢や募集時給を示すものではありません。賃金制度の変更、割増賃金や労働時間の取り扱いについては、社会保険労務士にご確認ください。当社は賃金制度の設計・申請の代行を行っておらず、専門的な判断が必要な場合は提携する専門家をご紹介します。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。