
結論: 飲食店のメニュー多言語化は、翻訳をChatGPT、デザインをCanva、掲示をQRコードで済ませれば、外注費をかけずに作れます。実費は印刷代だけです。ただし出来を分けるのは翻訳の速さではありません。料理名を直訳せず「ローマ字+一文の説明+主な材料」の形に整えられているかどうかで決まります。
この記事の要点 対象読者: 観光地・港町・門前町などで外国人のお客様が増えている個人経営の飲食店で、英語メニューを作りたいが費用も時間もかけられない方 読了後にできること: 手元の日本語メニュー1枚を材料に、英語(必要なら中国語・韓国語も)のメニューPDFとQRコードを作り、その日のうちに店頭に出せる状態になる
「Do you have an English menu?」
そう聞かれて、首を横に振った経験はないでしょうか。指をさして注文してもらい、なんとか料理は出せた。けれど「これは何の魚?」「生ですか?」と聞かれるたびに手が止まり、後ろのお客様を待たせてしまう。忙しい時間帯ほど、外国のお客様の来店が少しだけ怖くなる——そんな状態が続いていないでしょうか。
インターネットで「多言語メニュー」と調べると、出てくるのは月額制のタブレット注文システムや翻訳会社の見積もりページばかりです。席数10席の店が、いきなり毎月数千円から数万円を払う判断はできません。かといって、無料の自動翻訳をそのまま貼っただけのメニューは、かえって誤解を生みます。
進まない原因は、あなたの英語力ではありません。「どの順番で、どこまでやればいいのか」が示されていないことにあります。翻訳・説明文・アレルギー表記・デザイン・掲示方法は、それぞれ別の作業です。ひとまとめに「英語メニューを作る」と考えるから、最初の一歩が重くなります。
この記事では、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組む立場から、多言語メニューを無料の道具だけで作る6ステップと、そのままコピペで使える8本のプロンプト、そして伝わるメニュー・伝わらないメニューを分けるチェックリストを公開します。手元に日本語のメニュー表を1枚用意して、読み進めてください。
目次
まず結論:多言語メニューを無料で作る6ステップ(即効テンプレ)
最初に全体像です。6つのステップを上から順に進めれば、翻訳会社にもシステム会社にも頼らずに、店頭に出せる多言語メニューが完成します。
| ステップ | やること | 今日できる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. 棚卸し | 訳す料理を絞り込む | 注文の多い料理を20品書き出す |
| 2. AI翻訳 | ローマ字+英語名+説明文にする | ChatGPTに1品だけ入れて試す |
| 3. 情報の追加 | アレルゲンと食べ方を書き足す | 使っている調味料を全部並べる |
| 4. デザイン | Canva無料版で1枚に組む | メニューのテンプレートを1つ選ぶ |
| 5. QR化 | 掲示用のQRコードを作る | 置き場所(卓上・入口)を決める |
| 6. 掲示・運用 | 店頭とオペレーションに組み込む | 入口のガラスに1枚貼る |

ポイントは、翻訳から始めないことです。多くの店がいきなり全メニューを翻訳しようとして、途中で力尽きます。先にステップ1で品数を絞れば、作業量は3分の1以下になります。外国のお客様が実際に注文する料理は、あなたが思っているよりずっと少ないからです。
所要時間の目安は、ステップ1〜3が合わせて2〜3時間、ステップ4〜6が1〜2時間です。半日あれば、英語版は完成します。中国語や韓国語を足す場合も、日本語の元データができていれば追加の手間はわずかです。使う道具は、いつものスマホかパソコン、無料のAI、そして無料のデザインツールだけです。
「うちの宿の場合はどうすればいい?」——そんな段階のご相談こそ歓迎です。
最大60分の無料ヒアリングで、貴施設の集客の現在地と次の一手を一緒に整理します。
※契約を前提とした営業は一切いたしません。30分の情報交換のみでも歓迎です。
「多言語メニュー」とは|3つの方式の違いと基本の考え方
本記事で言う多言語メニューとは、外国語に訳したメニュー表そのものだけを指すのではありません。お客様が「これは何の料理か」「食べられるか」「いくらか」を、店員に聞かずに判断できる状態を作ることを指します。この定義に立つと、方式の選び方が変わります。
飲食店が取りうる方式は、大きく次の3つに分かれます。
- 紙の翻訳メニュー: 印刷代だけで作れて、電波もスマホも不要。ただし価格改定や季節替わりのたびに刷り直しが必要
- 写真・イラスト中心のメニュー: 言語に依存せず伝わる。撮影の手間はかかるが、日本語しか読めない相手にも効く
- QRコードのデジタルメニュー: 更新が一瞬で、言語をいくつでも増やせる。紙の掲示スペースも取らない

結論から言えば、どれか1つを選ぶ必要はなく、おすすめは「紙1枚+QR」の併用です。紙は注文の主役として卓上に置き、QRは詳しい説明とアレルギー情報の受け皿にします。紙に載せきれない情報をQRの先に逃がせるので、1枚が読みやすくなるという副次的な効果もあります。
そのうえで、伝わる多言語メニューは次の6つの要素で成り立ちます。
- 料理名: ローマ字表記と英語名を並べ、音でも意味でも指せるようにする
- 説明文: 主な材料と調理法を1文で書き、想像できる状態にする
- アレルゲン・食の制限: 何が入っているかを、記号か短い文で示す
- 価格: 税込かどうか、サービス料や席料の有無まで書く
- 写真: 文字を読まなくても選べる保険として添える
- 注文と会計の方法: 券売機・卓上ボタン・後会計などの手順を書く
6番目は見落とされがちですが、券売機の店では特に重要です。料理名だけ訳しても、買い方が分からなければ入口で引き返されます。以降の6ステップは、この6要素を無理のない順番に並べ直したものです。
Canva+QRで多言語メニューを作る6ステップ(完全版)
ここからが本体で、各ステップのプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。初めての方も、始め方は次の3行だけです。
- スマホかパソコンで「ChatGPT」の公式アプリまたは公式サイトを開く(無料版で足ります)
- メールアドレスで登録する(3分ほどで終わります)
- この記事のプロンプトをコピーして貼り付け、( )の中を自分の店のことに書き換えて送信する
ChatGPTそのものの始め方や、接客・事務での使いどころをもう少し広く知りたい場合は、ChatGPTを旅館で使う15の方法|宿の業務が変わる実例集【2026年8月】で基本操作から解説しています。
ステップ1: 訳す料理を絞る(メニューの棚卸し)
最初にやるべきは翻訳ではなく選別で、50品あるメニューを全部訳そうとすると、それだけで丸1日が消えます。実際に外国のお客様が注文するのは、注文数の多い定番と、その店らしさが分かる数品に集中します。まずは注文の多い順に20品を書き出してください。伝票かレジの売上データを1か月分見れば、感覚ではなく数字で並べられます。
あなたは飲食店のメニュー設計に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、多言語化する料理の優先順位を整理してください。
【材料】
・店の業態と場所: (例: 白浜の海鮮居酒屋・カウンター10席)
・メニュー総数: (例: 48品)
・注文の多い料理トップ10: (わかる範囲で)
・外国のお客様によく出る料理: (例: 刺身盛り、から揚げ)
・季節限定や売り切れやすい料理:
出力: ①最初に多言語化すべき20品のリスト ②後回しでよい料理とその理由 ③1枚に収めるためのカテゴリ分け案。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、看板料理を外さないことです。注文数だけで選ぶと、単価が高く注文数の少ない一皿が漏れます。その店を選ぶ理由になっている料理は、数が出ていなくても必ず入れてください。
ステップ2: ChatGPTで英語メニューに訳す(直訳事故を防ぐ)
料理名の翻訳で最も多い失敗が、そのままの直訳です。「親子丼」を親と子の丼と訳しても相手には料理が浮かばず、伝わるのは「鶏肉と卵のご飯もの」という中身の情報だけです。日本料理の名前は、ローマ字表記を残しつつ、英語の説明を添える形が読みやすくなります。「Oyakodon」と書いておけば、店員に伝えるときの発音も共有できるからです。
あなたは日本の飲食店の英語メニューを作る翻訳者です。以下の料理を、訪日外国人が読んで注文できる英語メニューにしてください。
【材料】
・料理名と主な材料: (例: 親子丼/鶏もも肉・卵・玉ねぎ・だし・ご飯)
・調理法: (例: 煮る、焼く、揚げる)
・価格(税込):
出力形式: ①ローマ字表記の料理名 ②英語の料理名 ③15語以内の英語説明文 ④価格
条件: 直訳を避け、材料と調理法が分かる表現にする/海外でも通じる語(Ramen、Miso等)はそのまま残す/【材料】にない食材を足さない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
英語版ができたら、中国語や韓国語は同じプロンプトの「英語」を「繁体字中国語」「韓国語」に書き換えて流し直すだけで増やせます。ゼロから作り直す必要はありません。ただし増やした言語も、次の訳し戻しの検算は同じように行ってください。
出力をそのまま採用せず、必ず自分で1度検算してください。方法は簡単で、できあがった英語を別の会話に貼り付け、日本語に訳し戻させるだけです。訳し戻した文が元の料理とずれていれば、その料理名は伝わっていません。
あなたは英語ネイティブの飲食店スタッフです。以下の英語メニューを、書き手の意図を知らない前提で読み、日本語に訳し戻してください。
【材料】
・英語メニュー本文: (そのまま貼り付け)
出力: ①訳し戻した日本語 ②元の日本語と意味がずれている箇所 ③誤解されうる表現(不快・不衛生・宗教上の懸念を含む語)④修正案
条件: 意味が通っていても英語として不自然なら指摘する。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます

観光庁が公表した多言語表示・コミュニケーションの調査では、飲食店で困った場面の第1位が「料理を選ぶ・注文する際」で65.8%でした。訳す目的は英語の正しさではなく、選べる状態を作ることだと考えると、力を入れる場所が変わります。
ステップ3: 説明文とアレルギー情報を足す
料理名と価格だけのメニューは、実は情報が足りていません。生ものかどうか、辛いかどうか、量はどれくらいか——日本人なら暗黙に分かることが、初めて来た人にはまったく分かりません。説明文は長くする必要はなく、日本語60字・英語25語ほどで十分です。
あなたは飲食店のメニュー説明文のライターです。以下のひな形を【材料】で書き換え、料理説明文を日本語60字以内・英語25語以内で作ってください。
ひな形: 「〇〇(ローマ字の料理名) — △△(主な材料)を□□(調理法)した、◇◇(地域や季節)の料理です。(辛さ・量・食べ方のうち一言)」
【材料】
・料理名と主な材料:
・調理法と味の特徴:
・地域性や季節: (あれば)
・食べ方の注意: (例: 生食、薬味を溶いて食べる)
【材料】にない産地・受賞歴・健康効果は書かないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あわせて整理したいのがアレルギー情報です。消費者庁によると、表示が義務づけられている特定原材料は、2026年4月1日の食品表示基準改正でカシューナッツが加わり、えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生の9品目になりました(カシューナッツには2028年3月31日までの経過措置期間があります)。この義務は容器包装された加工食品などが対象で、外食や中食は表示義務の対象外とされています。ただし対象外であることと、書かなくてよいことは同じではありません。消費者庁は、外食・中食における食物アレルギーの情報提供がより一層推進されることを目指し、事業者向けの教材やパンフレットを公開しています。
あなたは飲食店の食物アレルギー情報の整理を手伝う担当者です。以下の材料から、メニューに載せるアレルゲン表記と注意書きを作ってください。
【材料】
・料理名と全材料(調味料・だし・揚げ油を含む):
・共通の調理器具や揚げ油を使う料理: (例: 同じフライヤーでえびと鶏を揚げる)
出力: ①料理ごとに該当する特定原材料9品目(えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生)の一覧 ②アイコン表記案 ③日本語と英語の注意書き(同一の調理器具を使う可能性を含む)
条件: 材料に書かれていない食材の有無は断定せず「要確認」と出力する。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は2つあります。1つ目は、AIの出力を鵜呑みにしないことです。だし・たれ・揚げ油に何が入っているかはあなたにしか分からないため、市販の調味料は必ず容器の原材料表示を見ながら埋めてください。2つ目は、断定しすぎないことです。「入っていません」と書くには根拠が要るので、共用の調理器具を使うなら、その事実を正直に添えるほうが安全です。
ステップ4: Canva無料版でメニューをデザインする
翻訳と情報が揃ったら、いよいよ形にします。Canvaは無料アカウントで使えるデザインツールで、メニュー用のテンプレートが多数用意されています。作ったメニューは画像やPDFとして書き出せます。Canva公式のヘルプセンターでは、印刷して使う素材はぼやけないよう、高解像度のPNGまたはPDFで書き出すことが案内されています。印刷に回すならPDF、スマホで見せるだけならPNGを選べば十分です。
作業自体は、次の4つだけです。
- Canvaにメールアドレスで登録する(無料アカウントで進められます)
- テンプレートを「メニュー」で検索し、店の雰囲気に近いものを1つ選ぶ
- 文字を自分の店の内容に入れ替え、色を看板や内装に合わせる
- PDF(印刷用)とPNG(画面表示用)の両方で書き出しておく
デザインの経験は要らず、難しいのは見た目ではなく、1枚に何をどこまで載せるかという判断のほうです。ここもAIに整理させましょう。
あなたはメニュー表のレイアウト設計者です。以下の内容を、A4片面1枚に収まる文字量に整えてください。
【材料】
・掲載する料理数: (例: 20品)
・1品あたりの情報: (例: ローマ字名・英語名・説明・価格・アレルゲン記号)
・入れたい店舗情報: (例: 営業時間、Wi-Fi、支払い方法)
出力: ①カテゴリ分け(3〜5グループ)と並び順 ②1品あたりの推奨文字数 ③削るべき情報の優先順位 ④紙面の上部と下部に置く要素
条件: 説明文は短くしても、材料とアレルゲンの記載は削らない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
印刷は、書き出したPDFをコンビニのマルチコピー機で出しても、自宅やお店のプリンタで刷っても構いません。最初からラミネート加工や大量印刷に進む必要はなく、まずはA4で数枚だけ刷って卓上と入口に置き、お客様の反応を見てから枚数と仕上げを決めれば十分です。
注意点は、日本語版と外国語版を1枚に詰め込みすぎないことです。2言語までなら併記でも読めますが、3言語を超えると文字が小さくなり、どちらの読者にとっても読みにくくなります。3言語以上を出すなら、紙は日本語+英語に留め、残りは次のステップのQRに逃がしてください。なお、Canvaの機能や無料プランの範囲、画面上の表記は変更されることがあります。作業前にCanva公式サイトで現在の内容を確認してください。
ステップ5: QRコードにして「増やせるメニュー」にする
QRコードは、紙面の限界を超えるための道具です。Canva公式のヘルプセンターによると、QRコードはエディター画面の「アプリ」からQRコードのアプリを開き、リンク先のURLを入力して生成します。QRコードが対応するのはURLで、ファイルそのものを直接読み込ませる使い方ではない点に注意してください。同ヘルプでは、印刷時にぼやけないよう高解像度のPNGまたはPDFで書き出すことも案内されています。
肝心のリンク先も無料の道具で用意できます。GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートで1ページ作り、共有設定を「リンクを知っている全員」に変え、権限を「閲覧者」にすれば、そのURLがそのまま公開ページとして使えます。ここで権限を「編集者」のまま共有しないことだけ気をつけてください。無料のホームページ作成サービスで1ページ作る方法でも構いません。中身の原稿は次のプロンプトで作れます。
あなたは飲食店のデジタルメニューの構成を作る担当者です。QRコードから開くページ用の原稿を作ってください。
【材料】
・掲載言語: (例: 英語・繁体字中国語)
・料理データ: (ステップ2〜3で作った内容を貼り付け)
・店の基本情報: (営業時間・支払い方法・喫煙可否・写真撮影の可否)
出力: ①言語切替の見出し ②カテゴリ順の料理一覧 ③ページ冒頭に置く1文の店紹介 ④「品切れの場合があります」等の注意書き(各言語)
条件: 価格は税込で統一し、【材料】にない情報は書かない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
作ったQRコードは、印刷や掲示の前に必ず自分のスマホで読み取って確認してください。確認する点は3つあります。リンクが正しく開くか、スマホの画面で文字が読める大きさか、そして通信が不安定でも表示されるか。店内の電波が弱い場合は、紙のメニューを主役に据えるほうが親切です。
ステップ6: 店頭に掲示し、注文の流れに組み込む
メニューは作って終わりではなく、外国のお客様は入口の時点で「この店に入れるかどうか」を判断しています。英語メニューがある事実は、入口のガラス面に1枚貼るだけで伝わります。QRコードと並べておけば、入店前に中身まで確認してもらえます。掲示に使う文は、次のような短いもので足ります。
- English menu available(英語メニューあります)
- Scan here for the full menu(全メニューはこちらを読み取ってください)
- Other menus available. Please ask us.(他のメニューもあります。お尋ねください)
- Card / QR payment OK(カード・QR決済が使えます)※実際に使える決済手段だけを書いてください
同時に、注文時のやり取りも用意しておくと安心です。メニューが読めても、満席の説明や支払い方法の案内は口頭になるからです。スタッフ全員が英語を話す必要はなく、指さしで使える表を1枚レジ横に置くだけで、現場は驚くほど楽になります。
あなたは飲食店の接客英語に詳しい講師です。以下の材料から、指さしで使える接客フレーズ表を作ってください。
【材料】
・業態と席数:
・よくある場面: (例: 満席、相席のお願い、生ものの説明、支払い方法)
・使える決済手段: (例: 現金、クレジットカード、QR決済)
・スタッフの英語レベル: (例: 単語のみ)
出力: 日本語/英語/読み仮名の3列表で20フレーズ。中学英語の範囲に収め、1フレーズ8語以内にしてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
掲示まで終えたら、Googleビジネスプロフィールの情報も更新しておきましょう。検索や地図で店を探している人に、多言語対応の事実が届きます。地図での見え方の整え方は、飲食店のMEO対策を自分でやる方法|Googleマップ集客の7ステップ【2026年8月】で詳しく解説します。
店タイプ別|どこまで多言語化すればいいか
同じ飲食店でも業態によって力を入れる場所は変わるため、自分の店に近い行から着手してください。
| 店タイプ | 最初に訳す範囲 | 特に丁寧に書く情報 |
|---|---|---|
| 居酒屋・大衆酒場 | 注文の多い20品+飲み物 | お通しの有無と料金、注文の単位(1人前か大皿か) |
| ラーメン・定食店 | 券売機の表示+看板の5〜10品 | 買い方の手順、麺の量、豚骨などの出汁の材料 |
| カフェ・喫茶 | ドリンク全種+軽食10品 | 席の利用時間、Wi-Fi、テイクアウト可否 |
| 寿司・和食 | コースと単品の主要20品 | 生食であること、わさびの有無、席料・サービス料 |

共通するのは、料理そのもの以外の情報でつまずく人が多いという点です。お通し、席料、現金のみ、そして注文の単位。日本人なら説明されなくても分かる慣習ほど、書いておく価値があります。
複数のタイプを兼ねている場合は、客単価の高い時間帯の使われ方で判断してください。迷うときは、外国のお客様から実際に聞かれた質問を書き出すのが確実です。同じ質問が3回出ていれば、それはメニューに載せるべき情報です。
なお、言語の優先順位は立地で決まります。日本政府観光局の統計では、2025年の訪日外国人旅行者数は上位から韓国・中国・台湾・米国・香港の順でした。まずは英語を作り、次に自分の店で実際に多い国の言語を1つ足す——この順番なら、作業量を抑えたまま実用に足ります。
【要注意】多言語メニューでよくある4つの失敗パターン
手順どおり作っても、次の4つのどれかに当てはまると効果が出ません。順に確認してください。
失敗1: 自動翻訳の出力をそのまま貼る
❌ よくある間違い: 翻訳サイトに料理名だけを入れ、出てきた英語をそのままメニューに載せる。
⭕ 正しいアプローチ: 料理名は「ローマ字+英語名+主な材料と調理法の一文」の3点セットで書く。訳し終えたら、必ず日本語へ訳し戻して意味のずれを確認する。
なぜ重要か: 料理名だけの直訳は、単語としては正しくても料理として想像できないからです。とくに日本料理は、名前に材料が入っていないものが少なくありません。読み手が判断できない以上、書いていないのとほとんど変わりません。
失敗2: 全メニューを完璧に訳そうとして終わらない
❌ よくある間違い: 50品すべてを訳す計画を立て、20品目あたりで手が止まり、半年たっても公開できていない。
⭕ 正しいアプローチ: 注文の多い20品だけを完成させ、先に店頭に出す。残りは「Other menus available. Please ask us.(他のメニューもあります。お尋ねください)」の一文でつなぐ。
なぜ重要か: 未完成のまま手元にあるメニューは、1円の売上も生まないからです。20品が読める店と、0品しか読めない店の差は、50品と20品の差よりはるかに大きいと言えます。
失敗3: アレルギーや生食の情報を省く
❌ よくある間違い: 紙面が窮屈になるからと、アレルゲン表記や「生の魚です」という注意書きを落としてしまう。
⭕ 正しいアプローチ: 紙面に入らない情報こそQRの先に置く。共用の揚げ油や調理器具を使う場合は、その事実も正直に書く。
なぜ重要か: 食べられるかどうかは、おいしそうかどうかより優先される情報だからです。宗教上の理由や体質で食べられないものがある人にとって、情報がないことは「食べられない」と同義になります。外食は法律上の表示義務の対象外ですが、消費者庁も外食・中食での情報提供の推進を目指して事業者向けの教材を公開しています。
失敗4: 作りっぱなしで更新されない
❌ よくある間違い: 半年前に作った英語メニューが、値上げにも季節替わりにも追いつかず、価格が違ったまま卓上に残っている。
⭕ 正しいアプローチ: 価格や季節メニューはQRの先のページに置き、紙には変わらない情報だけを載せる。更新は日本語の元データを直し、翻訳プロンプトに再度かける。
なぜ重要か: 表示と実際の価格が食い違うのは、集客以前の信用問題だからです。SNSの企画・運用の現場でも実感しますが、情報が古いまま放置された発信は、それ自体が「今は力を入れていない店」というメッセージになります。
ここまでの内容は、すべて無料の道具だけで完結できます。それでも、翻訳までは進んだのにデザインで止まる、更新まで手が回らない——このあたりは、通常営業を回しながらだとつまずきやすいところだと思います。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応します)。現地で手を動かしながら進める対面特化のデジタル顧問という形もご用意しています(※当コラムの運営元です)。無料ヒアリングは最大60分で、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
「うちの宿の場合はどうすればいい?」——そんな段階のご相談こそ歓迎です。
最大60分の無料ヒアリングで、貴施設の集客の現在地と次の一手を一緒に整理します。
※契約を前提とした営業は一切いたしません。30分の情報交換のみでも歓迎です。
伝わる多言語メニュー・伝わらないメニューの違い(チェックリスト)
現在地の確認に使ってください。作ったメニューを手元に置きながら、当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 料理名にローマ字表記があり、口頭でも指せる
- □ 主な材料と調理法が、1文で書かれている
- □ 生食・辛さ・量の注意が必要な料理に、そのことが書いてある
- □ 特定原材料9品目のうち何が入るかを、記号か文で示している
- □ 価格が税込で統一され、お通しや席料の有無まで書いてある
- □ 注文と会計の方法(券売機・卓上ボタン・前会計など)が分かる
- □ QRコードを自分のスマホで読み取り、表示を確認した
- □ 店頭の外から「英語メニューがある」と分かる掲示がある

特に見落とされやすいのが、下から3つ目の「注文と会計の方法」です。料理が選べても、買い方が分からなければ注文には至りません。チェックが3つ未満でも心配はいらず、この記事の6ステップは、上から順に進めればチェックが1つずつ埋まる構成になっています。
飲食店は「困った場所」の1位|今メニューを直せば差がつく理由
「うちのような小さな店が、今から英語メニューを作っても意味があるのか」と感じるかもしれません。公的な調査は、むしろ逆を示しています。
まず市場です。日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万3,600人で、前年比15.8%増、初めて年間4,000万人を超えて過去最高となりました。観光庁のインバウンド消費動向調査でも、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円で前年比16.4%増、1人当たり旅行支出は22.9万円と、いずれも高い水準です。人数も使う金額も、すでに戻ったのではなく増えています。
では、その人たちは日本のどこでつまずいているのか。観光庁が2018年に公表した多言語表示・コミュニケーションに関するアンケート調査(6空港で回答3,225件)では、旅行中に訪れた鉄道駅・宿泊施設・城郭や神社仏閣・飲食店・小売店の5種類の施設のうち、多言語表示やコミュニケーションで困った場所の第1位が飲食店で28.5%でした。鉄道駅の17.4%、小売店の16.2%を大きく上回っています。さらに、飲食店で困った場面の第1位は「料理を選ぶ・注文する際」で65.8%。困ったときの解決方法は「自分のスマートフォンやタブレットの翻訳アプリ」が44.7%と最多でした。
より新しい調査でも傾向は変わりません。観光庁が2024年に公表した訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査(2023年11月〜2024年2月・回答4,012件)では、旅行中に困ったこととして「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」が22.5%で上位に挙がりました。
行政も動いており、東京都では公益財団法人東京観光財団が管理受託者となって、多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT東京」を無料で提供しています。都内に住所のある飲食店であれば、12種類の言語からメニューを作成でき、1つのメニューにつき最大5言語まで掲載して印刷用のデータを出力できます。裏を返せば、都外の店にはこうした公的な受け皿が常にあるわけではありません。この記事の手順は、その差を自力で埋めるためのものです。
数字にすると分かりやすくなります。客単価3,000円の店で、言葉の壁を理由に1日2組・4名を取り逃していたと仮定すると、3,000円×4名×30日で月36万円です。この試算はあくまで仮定ですが、メニューの作成にかかるのは半日と印刷代だけだと考えると、優先順位は明らかです。
訪日客は過去最多、困っている場所の1位は飲食店、そして解決の主役はお客様のスマートフォン。QRコードで多言語メニューを渡す準備をした店から、選ばれる側に回ります。
よくある質問
Q. 英語メニューの作り方は、何から始めればいいですか?
翻訳ではなく、訳す料理を20品に絞る作業からです。注文の多い順に並べたうえで、数が出ていなくても看板料理は必ず加えてください。品数が決まれば、この記事のステップ2のプロンプトで1品あたり1分ほどで訳せます。AIそのものの操作に不安がある場合は、ChatGPTを旅館で使う15の方法|宿の業務が変わる実例集【2026年8月】で登録から使い方までを確認してから戻ってきてください。
Q. メニューの翻訳を無料で済ませる方法はありますか?
あります。ChatGPTの無料版でも、ローマ字表記・英語名・説明文の3点セットは作れます。重要なのは、出力をそのまま使わず、必ず日本語に訳し戻して意味のずれを検算することです。都内に店舗がある場合は、東京都の「EAT東京」という無料の多言語メニュー作成支援サイトも選択肢になります。
Q. QRコードのメニューはどうやって作りますか?
先に表示するページを用意し、そのURLをQRコードに変換します。ページはGoogleドキュメントの共有設定を「リンクを知っている全員」かつ権限「閲覧者」にするだけでも作れます。QRコードはCanvaのエディター内にあるQRコードのアプリでURLから生成でき、印刷時にぼやけないよう高解像度のPNGかPDFで書き出します。
Q. 何か国語まで用意すればいいですか?
まずは英語1言語で構いません。英語は、母国語が異なる旅行者どうしでも共通の第2言語として機能するからです。そのうえで、自分の店に実際に多い国の言語を1つ足すのが現実的です。紙に載せるのは2言語までに留め、3言語目以降はQRの先に置くと読みやすさを保てます。
Q. 機械翻訳のままではいけませんか?
料理名だけの直訳は避けてください。単語としては正しくても、何が入った料理かが伝わらないためです。観光庁の調査でも、飲食店で困った場面の第1位は「料理を選ぶ・注文する際」で65.8%でした。訳す目的は英語の正しさではなく、選べる状態を作ることだと考えると判断しやすくなります。
Q. アレルギー表示は法律上必要ですか?
消費者庁によると、特定原材料は2026年4月1日の食品表示基準改正でカシューナッツが加わり9品目(えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生)となりましたが、この表示義務は容器包装された加工食品などが対象で、外食や中食は対象外とされています。ただし消費者庁は、外食・中食での食物アレルギー情報提供の一層の推進を目指して事業者向け教材を公開しています。分かる範囲で書き、断定できない部分は「要確認」と示すのが安全です。
Q. Canvaの無料版だけで印刷まで終わりますか?
デザインからPDFの書き出しまでは無料アカウントで進められ、印刷はコンビニのマルチコピー機でも自宅のプリンタでも構いません。ただしCanvaの機能や無料プランの範囲は変更されることがあるため、作業前に公式サイトで現在の内容を確認してください。
Q. メニュー以外に、先にやるべきことはありますか?
Googleビジネスプロフィールの整備と口コミへの返信です。メニューを訳しても、そもそも地図やスマホの検索で店が見つからなければ来店にはつながりません。英語の口コミ返信は、英語の口コミ返信 例文30選|ホテル・民宿・飲食店でそのまま使える【2026年8月】にそのまま使える文例をまとめています。全体像は小さな飲食店のインバウンド集客ガイド|今日からできる7つの準備【2026年8月】で解説します。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 注文の多い料理を20品書き出し、ステップ1のプロンプトで優先順位を確定させる
- 今週中にやること: ステップ2〜3のプロンプトで英語メニューを作り、訳し戻しで検算したうえでアレルゲン情報を足す
- 今月中にやること: Canvaで1枚に組み、QRコードを作って卓上と入口に掲示する
6つすべてを一気に終える必要はありません。20品の英語メニューが1枚あるだけで、入口で引き返されていたお客様が席に着きます。
次回予告: メニューを訳した次にやるべき、地図での見つけられ方の整え方を飲食店のMEO対策を自分でやる方法|Googleマップ集客の7ステップ【2026年8月】で公開しました。
集客の実務、まるごと任せることもできます。
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参考・出典
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」2026年1月21日発表(2025年の訪日外国人旅行者数4,268万3,600人・前年比15.8%増で初の年間4,000万人超。市場別は韓国・中国・台湾・米国・香港の順) https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html /市場別内訳PDF: https://www.jnto.go.jp/statistics/data/_files/20260121_1615-4.pdf (参照日: 2026-08-16)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(速報)及び10-12月期(1次速報)の結果について」2026年1月21日公表(訪日外国人旅行消費額9兆4,559億円・1人当たり旅行支出22.9万円) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00071.html (参照日: 2026-08-16)
- 観光庁「旅行の場面ごとの多言語表示・コミュニケーションの課題が明らかになりました」2018年3月20日公表(調査期間2017年9〜10月・成田/羽田/関西/新千歳/福岡/那覇の6空港・回答3,225件。調査対象は鉄道駅・宿泊施設・城郭や神社仏閣・飲食店・小売店の5施設種。困った場所1位=飲食店28.5%、飲食店で困った場面1位=料理を選ぶ・注文する際65.8%、解決方法1位=自分のスマートフォンやタブレットの翻訳アプリ44.7%) 結果資料PDF: https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/810003475.pdf /報道発表ページのアーカイブ: https://web.archive.org/web/20180408180041/http://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000239.html (参照日: 2026-08-16)
- 観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施しました」2024年6月28日公表(調査期間2023年11月〜2024年2月・回答4,012件。「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」22.5%) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_00004.html (参照日: 2026-08-16)
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」(特定原材料は2026年4月1日施行の食品表示基準改正でカシューナッツが追加され9品目/表示義務の対象は容器包装された加工食品等/カシューナッツの経過措置期間は2028年3月31日まで) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/ (参照日: 2026-08-16)
- 消費者庁「外食・中食における食物アレルギーへの対応」(外食・中食は表示義務の対象外/事業者向けの教材・パンフレットで情報提供の推進を図る) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/efforts (参照日: 2026-08-16)
- EAT東京(多言語メニュー作成支援ウェブサイト・管理受託者: 公益財団法人東京観光財団)「EAT東京とは/よくある質問」(都内店舗限定・無料・12言語・1メニュー最大5言語・印刷用データの出力に対応) https://www.menu-tokyo.jp/menu/about/ (参照日: 2026-08-16)
- Canvaヘルプセンター「QRコードを作成する」(エディターの「アプリ」からQRコードを生成/対応するのはURL/印刷時は高解像度のPNGまたはPDFで書き出す) https://www.canva.com/ja_jp/help/create-qr-code/ /ヘルプセンター トップ: https://www.canva.com/ja_jp/help/ (参照日: 2026-08-16。ヘルプ記事のURLは再編されることがあります)
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