
結論: 小さな飲食店のインバウンド集客は、外国語が話せるスタッフを雇うことではありません。「Googleマップ上の情報」「メニュー」「決済と入店のルール」の3つを、外国人が読める状態にすることから始まります。訪日客の店選びは、店の前に立つより先にスマホの中で終わっているからです。広告費も新しいシステムも要りません。今日動かせるのは、この3つの表示です。
この記事の要点 対象読者: 観光地・門前町・港町・温泉街などで店を営む個人店の店主で、街に外国人は歩いているのに自店には入ってこないと感じている方 読了後にできること: 自店のGoogleマップ・メニュー・決済表示を外国人客の目線で点検し、この記事の英語文例をそのままコピーして、今日中に少なくとも1か所を直せる状態になる
「店の前まで来て、スマホをのぞいて、そのまま隣の店に入っていきました。」
そんな場面を、この1年で何度か見た覚えはないでしょうか。通りには明らかに増えた外国人観光客。行列ができているのは大通り沿いのチェーン店ばかりで、路地に入った自分の店の暖簾の前では、誰もが一度足を止め、そして通り過ぎていく。
「英語ができないから仕方がない」と結論づけてしまいがちですが、原因はたいていそこではありません。彼らは店主の英語力を試しに来ているのではなく、「この店は自分が入っても大丈夫か」を確かめに来ています。今開いているのか、いくらくらいなのか、何が食べられるのか、支払いはどうするのか、どうやって注文するのか。この5つが分からないから、判断できずに離脱しているのです。
そして、この5つの答えはほぼすべて、店の外側で完結します。Googleマップの営業時間、写真、口コミ、メニューの表示、入口の掲示。つまりインバウンド集客とは「言葉の問題」ではなく、判断材料の置き場所の問題です。ここを整えるのに、英語の会話力は要りません。
この記事では、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組む立場から、小さな飲食店が今日から進められる7つの対応と、印刷してそのまま貼れる英語文例20本、自店用に作り替えるためのAIプロンプト8本、そして「外国人観光客が来る店・来ない店」を分けるチェックリストを公開します。スマホで自分の店の名前をGoogleマップで検索し、その画面を開いたまま読み進めてください。
目次
まず結論:小さな飲食店のインバウンド集客7ステップ(即効テンプレ)
最初に全体像です。上から順に進めれば、追加の設備投資をせずに「入っていい店」だと分かる状態が作れます。忙しい日のために、各ステップに5分で終わる版も入れました。
| ステップ | やること | 5分で終わる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. 地図の英語化 | Googleビジネスプロフィールを外国人が読める状態にする | 自店名を検索し、営業時間が今日の実態と合っているか直す |
| 2. メニュー | 写真・価格・ひとこと説明つきの多言語メニューを作る | 主力3品をスマホで撮り、価格と一緒に並べる |
| 3. 口コミ返信 | 英語の口コミに全件返信する | 未返信の外国語口コミを1件だけ返す |
| 4. 決済・Wi-Fi | 使える支払い方法とWi-Fiを入口と地図に明示する | 「CASH ONLY」または決済ロゴを入口に貼る |
| 5. 入店ルール | 注文方法・お通し・滞在時間を英語で掲示する | お通しの有無と金額を英語1行で貼る |
| 6. 食の制限 | 対応できる範囲だけを正直に表示する | 豚・アルコールを使う料理に印をつける |
| 7. 接客の型 | 翻訳アプリと決め台詞で運用を統一する | Google翻訳を入れ、店の共通アプリに決める |

ポイントは順番です。多くの店は「まず英語メニューを作らなければ」と考えますが、メニューは店に入った人しか見ません。先にステップ1で「地図の上の見え方」を直さないと、そもそも入口までたどり着いてもらえないのです。看板を磨く前に、地図に載る営業時間を直すイメージだと考えてください。
所要時間の目安は、ステップ1〜4が最初の1週間、ステップ5〜7が2週間目以降です。初回の作業は1ステップあたり30〜90分ですが、上の表の「5分で終わる版」だけなら、営業前の準備時間に1つずつ潰せます。特にステップ1〜4は一度直せば24時間働き続ける表示なので、忙しい日でも先に手をつける価値があります。
「うちの宿の場合はどうすればいい?」——そんな段階のご相談こそ歓迎です。
最大60分の無料ヒアリングで、貴施設の集客の現在地と次の一手を一緒に整理します。
※契約を前提とした営業は一切いたしません。30分の情報交換のみでも歓迎です。
飲食店の「インバウンド集客」とは|国内客の集客と何が違うのか
本記事で言うインバウンド集客とは、外国語で発信して遠くから客を呼ぶことではありません。すでに自店の半径500メートルを歩いている外国人観光客に、入店の判断材料を渡すことを指します。観光地の個人店にとって現実的なのは、この「取りこぼしを拾う」やり方です。
国内客の集客と構造的に違うのは、次の3点です。
- 入口が地図アプリに一本化されている: 日本人客は食べログ・人づて・看板から店を知りますが、外国人観光客の入口はほぼ地図アプリです。日本語の店名やキャッチコピーは読まれる前に飛ばされます
- その場で決まる: 予約して来るのではなく、歩きながら「今から入れる店」を探しています。営業時間の正確さが命綱になります
- 「入り方」が分からない: 券売機、お通し、座敷で靴を脱ぐ、口頭注文といった日本の飲食店の常識は、説明がないと通じません
そこで、冒頭に挙げた「外国人客が入店前に確認する5つ」を、それぞれどこに置けば読まれるかを対応させます。この5つが、この記事の作業リストの正体です。
- 今開いているか → Googleビジネスプロフィールの営業時間・臨時休業
- いくらか → 写真つきメニューと、入口に出す1人あたりの目安予算
- 何が食べられるか → 料理写真と、主な材料のひとこと表示
- 支払いはどうするか → 入口の掲示+Googleビジネスプロフィールの「支払い方法」属性
- どうやって入り、注文するか → 入口と卓上に貼る短い英文

これから紹介する7ステップは、この5つを、現場が回せる順番に並べ直したものです。
外国人観光客に選ばれる7つの対応(完全版)
ここからが本体です。各ステップには、印刷してそのまま貼れる英文と、自店用に作り替えるためのAIプロンプトを並べています。まず英文をそのまま使い、自店の事情に合わないところが出てきたらプロンプトで作り替える、という順番で読んでください。
プロンプトを使う場合の準備は3行で済みます。
- スマホのアプリストアで「ChatGPT」の公式アプリを入れる(無料版で十分です)
- メールアドレスで登録する(3分ほどで終わります)
- この記事のプロンプトをコピーし、( )の中を自分の店のことに書き換えて送信する
AIそのものの使い方に不安がある方は、ChatGPTを旅館・民宿で使う15の方法|コピペで使えるプロンプト集【2026年8月】の前半に、登録から最初の質問までの手順を書いています。
ステップ1: Googleビジネスプロフィールを「外国人が読める状態」にする
所要: 初回60分/その後は月10分。5分版: 営業時間だけ今日の実態に合わせる。
Googleマップで店名や「ramen near me」と検索したときに出てくる情報の枠が、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)です。登録も運用も無料で、外国人観光客が最初に、そしてほぼ必ず通る場所でもあります。Paykeが訪日客1,827人に行った調査では、日本滞在中にGoogleマップを使った人は99%、「Googleマップしか使っていない」と答えた人も65.90%にのぼりました(2025年6月調査)。ここが整っていない店は、存在していないのとほぼ同じ扱いになります。
まず、管理画面の開き方です。パソコンは不要で、スマホだけで完結します。
- Googleマップアプリ、またはGoogleの検索アプリで自分の店名を検索する
- オーナー確認が済んでいれば、店の情報の上に「プロフィールを編集」「写真を追加」などのメニューが出ます
- 「プロフィールを編集」をタップすると、営業時間・カテゴリ・説明文・支払い方法を1画面で直せます
- 写真は店の情報の「写真」→「+」から追加します
- メニューが出ない場合はオーナー確認が未完了です。「このビジネスのオーナーですか?」から手続きを始めてください。終わるまでは何も編集できません
※画面の名称はアプリの更新で変わります。文言が違うときは、表示されているものを優先してください。
やることは3つです。営業時間と定休日・臨時休業を正確にすること、写真を最低15枚(外観・入口・店内・主力料理3品以上・メニュー表・席の様子)載せること、説明文に英語を入れることです。カテゴリ(Ramen restaurant、Izakaya など)が実態と合っているかも、この機会に見直してください。
説明文について、先に1つ知っておくと迷いません。説明文の入力欄は1つだけで、言語ごとに分けて登録することはできません(2026年8月時点)。そのため実務的には、日本語の説明を書いたあとに英語の説明を続けて入れるか、日本語の文中に「Ramen」「Set meal」「Cash only」といった英単語を混ぜる形になります。
写真は、暗い店内をきれいに撮ろうとして手が止まりがちです。難しい技術は要りません。昼の窓際か、店の外に料理を持ち出して自然光で撮る。真上から1枚、斜め45度から1枚。フラッシュは使わない。この3つだけで、機械翻訳より雄弁な情報になります。
あなたは日本の小さな飲食店の英語紹介文が得意なライターです。以下の【材料】から、Googleビジネスプロフィールの説明文を日本語版(250字以内)と英語版(120 words以内)で作ってください。
【材料】
・店名と最寄りの観光地: (例: ○○食堂・△△神社から徒歩5分)
・業態と席数: (例: 定食屋・カウンター8席とテーブル2卓)
・看板メニューと価格帯: (例: 焼き魚定食1,200円、昼のみ)
・支払い方法: (現金/カード/QR決済のうち使えるものだけ)
・注文方法: (例: 券売機で食券を買う)
条件: 【材料】にない設備・言語対応は書かない。英語版は平易な単語で書く。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、営業時間の正確さに全力を注ぐことです。「地図では開いているのに閉まっていた」という体験は、そのまま低評価の口コミになります。臨時休業は当日でよいので必ず反映してください。
ステップ2: メニューを「写真・価格・ひとこと説明」の3点セットで多言語化する
所要: 主力10品で90分。5分版: 主力3品の写真と価格を並べた1枚を作る。
多言語メニューでつまずく店の多くは、料理名だけを訳しています。しかし「Nikujaga」と書かれても、初めての人には肉の種類も量も辛さも分かりません。外国人客が知りたいのは、写真・価格・原材料のひとことの3点です。この3点が揃っていれば、翻訳の文章力はさほど問われません。
作業は主力10品ほどから始めれば十分です。日本政策金融公庫の調査でも、取り組みを実施している企業(644社・複数回答)が挙げた効果のあった取り組みの2位は「メニューや施設内の案内等の工夫」(25.5%)でした。
あなたは訪日外国人向けの飲食店メニュー翻訳の専門家です。以下の【材料】の料理を、英語・繁体字中国語・韓国語のメニュー表記に変換してください。
【材料】
・料理名と価格: (例: 肉じゃが 680円)
・主な材料: (例: 牛肉、じゃがいも、玉ねぎ、醤油、みりん)
・辛さ・生食の有無: (例: 辛くない/生ものなし)
・分量の目安: (例: 小鉢1つ・軽め)
出力形式: 料理ごとに「①現地語の料理名 ②15語以内の説明 ③含まれる主な材料(豚・牛・鶏・魚介・卵・乳・小麦・アルコールのうち該当するもの)」の3行。【材料】にない食材は絶対に書かず、不明な点は「要確認」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
「繁体字や韓国語が正しいか、自分では確かめられない」——ここで手が止まる方が多いはずです。次の4つで、確認できない不安はほぼ消せます。
- 料理名のローマ字表記を必ず残す(Nikujaga / 肉じゃが と併記)。訳がぎこちなくても、客は指をさして注文できます
- 写真を必ず添える。写真がある限り、訳文の細かい誤りで注文を間違えることはまずありません
- 迷ったら書かない。誤訳より未記載のほうが安全です。材料は「要確認」のまま残すほうが信用を落としません
- 無料で人の目を借りる。近隣の宿のスタッフや観光案内所の職員に1度見てもらえば、致命的な誤りは見つかります
紙のメニューを刷り直す予算がなければ、QRコードから読む形にすれば1品ずつ差し替えられます。作り方をまとめた記事は近日公開します。注意点は、アレルギーや宗教上の禁忌に関わる部分をAIの出力のまま使わないことです。豚肉・アルコール・出汁の魚介は、必ず人の目で確認してください。
ステップ3: 英語の口コミに全件返信する
所要: 1件3分。5分版: 未返信の外国語口コミを1件だけ返す。
口コミの返信は、書いた本人よりも「これから入るかどうか迷っている人」が読みます。星4の口コミに丁寧な返事が並んでいる店は、それだけで「話が通じる店」に見えます。逆に、英語の口コミだけ何年も未返信の店は、外国人客から見ると「歓迎されていない店」に見えてしまいます。
読めない問題は、Googleマップ側でほぼ解決します。外国語の口コミは、端末の言語設定と違う言語で書かれていると自動的に翻訳されて表示されます。翻訳されていないときは、口コミ本文の下の「翻訳」をタップすると日本語になります。原文を確認したいときは「原文を表示」で戻せます。つまり、翻訳のために別のアプリを開く必要はありません。
返信はそのまま使える形で用意しました。( )を自店の言葉に置き換えるだけで送れます。
星5への返信
Thank you very much for visiting us and for your kind words.
We are so glad you enjoyed the (grilled fish set).
Our staff was very happy to read your review.
Please come and see us again when you are in (town name).
※そのままコピーして使えます
星3への返信(待ち時間などの指摘つき)
Thank you for taking the time to write.
We are sorry that you had to wait at the entrance for a long time.
We only have (8) seats, so we have started taking reservations by phone.
We hope to serve you more comfortably next time.
※そのままコピーして使えます
星1への返信(お通しなどのトラブル)
Thank you for telling us about this.
We are very sorry that the table charge was not explained before you sat down.
It is (¥300) per person for a small appetizer.
We have now put a sign in English at the entrance and on every table.
We are sorry for your experience, and we will keep improving.
※そのままコピーして使えます
自店の事情に合う文がなければ、次のプロンプトで作り替えてください。
あなたは日本の家族経営の飲食店の店主です。以下の口コミに、店主らしい温かく簡潔な返信を英語で60 words以内、あわせて同じ内容の日本語訳も書いてください。
【材料】
・口コミ本文: (そのまま貼り付け)
・評価: (例: 星3)
・来店状況: (例: 平日夜・2名・混雑時)
・返信で伝えたい事実: (例: 指摘された待ち時間は席数の都合。予約を受け付け始めた)
条件: 言い訳をしない/褒められた点は具体的に感謝する/指摘には感謝と改善策を1つ添える/最後に再訪を軽く誘う。【材料】にない事実は書かず、推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
低い評価がついたときほど、返信の価値は上がります。これから来る人は「悪い口コミがあるか」ではなく「店がどう応えたか」を見ているからです。星の数・指摘内容別の英文をもっと見たい方は、英語の口コミ返信 例文30選|ホテル・民宿・飲食店でそのまま使える【2026年8月】からそのまま選べます。
ステップ4: 支払い方法とWi-Fiを「入口」と「地図」の両方に明示する
所要: 掲示の印刷まで40分。5分版: 下の英文1枚を印刷して入口に貼る。
日本政策金融公庫が2025年6月に生活衛生関係営業3,141企業へ行った調査で、取り組みを実施している企業(644社・複数回答)が挙げた効果のあった取り組みの1位は「キャッシュレス決済の導入」(45.0%)、3位は「Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備」(23.0%)でした。ただし小さな店にとって重要なのは、導入そのものよりも「使えるか使えないかを、店に入る前に分かるようにすること」です。
現金のみの店が不利になるのは、現金が嫌われているからではありません。「入ってから困るかもしれない」という不確実性が敬遠されるからです。ならば、はっきり書けば解決します。次の4枚を印刷して貼るところから始めてください。( )は自店の数字に置き換えます。
① 現金のみの店(入口)
CASH ONLY -- no cards, no QR payment
ATM: convenience store, (200) m →
About ¥(1,000-1,500) per person
※そのままコピーして使えます
② カード・QR決済が使える店(入口)
Cards & QR payment OK (¥(1,000) and over)
Visa / Mastercard / JCB / Alipay / WeChat Pay / IC cards
Under ¥(1,000): cash, please.
※そのままコピーして使えます
③ お通しがある店(入口・卓上の両方)
Table charge: ¥(300) per person
A small appetizer is served automatically. It is not free.
(Please tell us if you do not want it.)
※そのままコピーして使えます
④ 営業時間と最終入店(入口)
Open (11:00-14:00) / (17:00-21:00) Closed: (Wednesday)
Last order (20:30). Last entry (20:00).
Sorry, we are closed between (14:00) and (17:00).
※そのままコピーして使えます
③の3行目は、お通しを断れる店だけ残してください。断れない店は消したほうが安全です。
決済の種類は、ひとくくりに「QR決済」と書かないことをおすすめします。中華圏からの客が多い店では、Alipay・WeChat Payに対応しているかどうかが具体的に見られます。まとめて扱える決済サービスを使っているなら、その中に含まれるブランドのロゴを入口に並べてください。交通系ICも同様で、使えるなら書いたほうが得です。
Wi-Fiは、あるなら卓上に1枚置くだけで効きます。掲示は英語1行で足ります。
Free Wi-Fi
Network: (SHOP_WIFI) Password: (12345678)
※そのままコピーして使えます
Googleビジネスプロフィール側の「支払い方法」属性と「Wi-Fi」属性も、忘れずに設定してください。地図の画面上で、入る前に確認されます。
あなたは訪日外国人向けの店頭サインを作る編集者です。以下の【材料】から、A5サイズで入口に貼る掲示文を日本語・英語・繁体字中国語・韓国語で作ってください。
【材料】
・使える支払い方法: (現金/クレジットカード/交通系IC/QR決済のうち、実際に使えるものだけ)
・使えないもの: (例: 海外発行のデビットカード)
・最寄りのATM: (例: 徒歩2分のコンビニ)
・1人あたりの目安予算: (例: 昼1,000〜1,500円)
・Wi-Fiの有無: (例: あり・パスワードは卓上に表示)
条件: 1言語あたり40字以内。否定形ではなく事実として書く。【材料】にない決済手段は絶対に書かないでください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、掲示と実態を必ず一致させることです。「カード可」と書いて少額は現金のみにしている店は、会計時のトラブルで低評価の口コミにつながります。条件がある場合は「Card OK (¥1,000 and over)」のように、条件ごと書いてください。
ステップ5: 「入り方」のルールを先に伝える
所要: 卓上カードの作成30分。5分版: 注文方法の1枚だけ卓上に置く。
日本の飲食店には、説明がないと分からない作法がたくさんあります。券売機で先に食券を買う、席は店員が案内する、座敷では靴を脱ぐ、お通しが自動で出て有料である、席数の都合で相席になる、といったものです。これらは失礼な扱いではないのに、説明がないまま起こると「勝手に料理が出てきて課金された」と受け取られ、口コミに書かれます。
対策は簡単で、入口と卓上に短い英文を貼るだけです。次の3枚がそのまま使えます。
⑤ 注文方法(券売機の店)
How to order
1. Buy a meal ticket from the machine near the door.
2. Hand the ticket to our staff.
3. The machine takes (cash only).
※そのままコピーして使えます
⑥ 席のルール・相席
Seating
Our staff will show you to a seat. Please wait at the entrance.
When we are busy, you may share a table with other guests.
(Please take off your shoes at the tatami seats.)
※そのままコピーして使えます
⑦ 滞在時間の目安
When other guests are waiting, we ask for (90) minutes per table.
Thank you for your understanding.
※そのままコピーして使えます
自店の作法がこれと違う場合は、次のプロンプトで作り替えてください。
あなたは訪日外国人向けの店内案内を作る編集者です。以下の【材料】から、卓上に置くA6サイズの案内文を英語・繁体字中国語・韓国語で作ってください。
【材料】
・注文方法: (例: 券売機で食券を購入/口頭で注文)
・席のルール: (例: 店員が案内、相席あり、座敷は靴を脱ぐ)
・お通しの有無と金額: (例: あり・1人300円)
・滞在時間の目安: (例: 混雑時は90分)
・写真撮影の可否: (例: 料理のみ可)
条件: 各項目1文・命令口調にしない・歓迎の1文で締める。【材料】にないルールは書かないでください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、ルールを増やしすぎないことです。掲示が5項目を超えると読まれません。「これを知らないと必ずもめる」ものだけに絞ってください。多くの店では、注文方法・お通し・支払い方法の3つで足ります。
ステップ6: 食べられないものへの対応を「できる範囲だけ」正直に書く
所要: 主力メニューの棚卸し45分。5分版: 豚とアルコールを使う料理に印をつける。
ベジタリアン、ヴィーガン、ハラール、アレルギー。すべてに対応する必要はまったくありません。小さな店に求められているのは、対応することではなく、判断できる情報を出すことです。「うちは全部の料理に豚か鰹出汁を使っています」と書いてあれば、必要な人は自分で店を選べます。それは不親切ではなく、誠実な情報提供です。
無理に「ヴィーガン対応」と掲げると、出汁や調味料の確認が追いつかず、かえって深刻なトラブルを招きます。まずは主力メニューの一覧に、豚・牛・鶏・魚介・卵・乳・小麦・アルコールの印をつけるところから始めてください。
あなたは飲食店の食物アレルギー・宗教的食事制限の表示を整理する専門家です。以下の【材料】から、メニュー一覧に添える「含有材料の記号表」を日本語と英語で作ってください。
【材料】
・料理名と使用材料(調味料・出汁を含む): (例: ラーメン=豚骨スープ、豚チャーシュー、小麦麺、卵)
・共有の調理器具の有無: (例: 同じ鍋・同じ油を使用)
・対応できないこと: (例: 別鍋対応は不可)
条件: 断定できない材料は「要確認」と表記する。対応可能と書いてよいのは【材料】に明記された範囲のみ。誇張・推測は禁止です。
※そのままコピーして使えます
注意点は、共有の調理器具について必ず一言添えることです。「同じ鍋・同じ油を使用しています」という1行があるかないかで、重いアレルギーを持つ人の判断はまったく変わります。英語では次の1行を添えれば足ります。
We cook all dishes in the same pots and the same oil.
We cannot prepare separate cookware.
※そのままコピーして使えます
ステップ7: 翻訳アプリと「決め台詞」で、接客の型を作る
所要: 10フレーズの貼り出しまで30分。5分版: Google翻訳を入れて、店の共通アプリに決める。
観光庁が2024年12月から2025年1月に4,189件の訪日客へ行った調査では、旅行中に困ったこととして「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じないなど)」を挙げた人は15.2%でした。そして、そのコミュニケーションで困った場所として最も多かったのが飲食店で、都市部・地方部ともに約50%を占めています。一方で、困ったときの対応は「ICTツール(自動翻訳システムや翻訳アプリケーション等)を活用して対応した」が都市部・地方部とも70%以上でした。
つまり、現場の答えはすでに出ています。翻訳アプリを堂々と使えばよいのです。
どれを使うか迷うなら、Google翻訳を推奨します。理由は3つあります。無料で使えること、カメラを紙のメニューにかざすとその場に訳が重なって表示されること、そして言語パックをダウンロードしておけば通信が弱い日でも動くことです。iPhoneをお使いなら標準の「翻訳」アプリでも構いません。大事なのは性能差ではなく、店として1つに決めて、全員が同じ画面を出せることです。
そのうえで、頻出の10フレーズを紙にして貼っておきます。カタカナ読みは、そのまま声に出せば通じます。
| 場面 | 英語 | カタカナ読み |
|---|---|---|
| 人数を聞く | How many people? | ハウ メニー ピープル? |
| 満席 | Sorry, we are full right now. | ソーリー、ウィー アー フル ライト ナウ |
| 待ち時間 | About 20 minutes. Would you like to wait? | アバウト トゥエンティ ミニッツ。ウッジュー ライク トゥ ウェイト? |
| 入口で待ってもらう | Please wait here. I will call you. | プリーズ ウェイト ヒア。アイ ウィル コール ユー |
| 券売機の案内 | Please buy a ticket from that machine. | プリーズ バイ ア チケット フロム ザット マシーン |
| お通しの説明 | This is a table charge, 300 yen per person. | ディス イズ ア テーブル チャージ、300円 パー パーソン |
| 品切れ | Sorry, that is sold out today. | ソーリー、ザット イズ ソールドアウト トゥデイ |
| 材料を変えられない | Sorry, we cannot change the ingredients. | ソーリー、ウィー キャンノット チェンジ ジ イングリーディエンツ |
| 会計 | Cash only, sorry. The total is 2,400 yen. | キャッシュ オンリー、ソーリー。ザ トータル イズ 2,400円 |
| 見送り | Thank you. Please come again. | サンキュー。プリーズ カム アゲイン |
自店の業態に合う10本に差し替えたい場合は、次のプロンプトを使ってください。
あなたは飲食店スタッフ向けの英会話教材を作る講師です。以下の【材料】から、外国人客の来店から会計までで必ず使う英語フレーズを10本、「①場面 ②英語 ③カタカナ読み ④日本語の意味」の表形式で作ってください。
【材料】
・業態と提供スタイル: (例: 定食屋・カウンター中心・回転が速い)
・想定する場面: (例: 満席の案内、待ち時間、券売機の使い方、お通しの説明、会計)
・避けたい誤解: (例: お通しが無料だと思われる)
条件: 中学英語の範囲・1文は10語以内・命令口調にしない。【材料】にない設備やサービスは登場させないでください。
※そのままコピーして使えます
あなたは飲食店の予約対応を整理するアシスタントです。以下の【材料】から、Googleビジネスプロフィールと店頭で使う「よくある質問と回答」を英語で8組作ってください。
【材料】
・予約の可否と方法: (例: 電話のみ・当日不可)
・営業時間と最終入店: (例: 11:00-14:00/13:30最終入店)
・席数と相席の有無:
・子ども連れ・大きな荷物の可否:
・支払い方法:
条件: 1回答は25 words以内。【材料】にない条件を推測で補わず、不明な項目は「要確認」と出力してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、丁寧すぎる英語を目指さないことです。忙しい時間帯に長い説明はできません。「Please wait here.」「Cash only, sorry.」で十分に伝わります。伝わるかどうかを決めるのは語彙の多さではなく、言うことを事前に決めてあるかです。
使う道具と、費用をかけたくない場合
ここまでの7ステップは、無料の道具だけで完結します。Googleビジネスプロフィール、Google翻訳、ChatGPTの無料版、掲示のデザインはCanvaの無料版、印刷はコンビニのマルチコピー機。追加で必要なのは、A5・A6の用紙代とラミネート代くらいです。
券売機の入れ替えやキャッシュレス端末の導入など、お金がかかる部分に進むときは、小規模事業者向けの補助金や、自治体の多言語化・キャッシュレス化の支援制度を先に調べてください。公募は期間が区切られているため、締切から逆算する必要があります。制度の探し方と申請の段取りは宿泊業で使える補助金まとめ|5制度の対象・補助上限額と申請の段取り【2026年8月】にまとめました。宿泊業向けの整理ですが、探し方と段取りの部分は飲食店でも同じです。採択は審査次第です。当社は申請代行を請け負っておらず、必要な場合は提携する専門家をご紹介します。
店タイプ別の打ち手例
同じ「小さな飲食店」でも、業態によって最初に効く一手は変わります。自店に近い行から着手してください。
| 店のタイプ | 最初に効く打ち手 | 特に表示すべき情報 |
|---|---|---|
| ラーメン・定食などの回転型 | 券売機の使い方と写真の刷新 | 注文の流れ・待ち時間・辛さ・分量 |
| 居酒屋型 | お通しと支払い方法の事前表示 | お通しの金額・1人あたり予算・席のルール |
| カフェ・喫茶型 | Googleマップの写真と営業時間 | Wi-Fi・電源・滞在時間・持ち帰り可否 |
| 予約制の専門店型 | 英語の予約手段とキャンセル規定 | 予約方法・コース内容・所要時間・遅刻時の扱い |

複数の顔を持つ店(昼は定食、夜は居酒屋など)は、時間帯ごとに掲示を分けてください。Googleビジネスプロフィールの営業時間も、昼と夜で分けて登録できます。迷ったら、外国人客が実際に来ている時間帯を先に整えます。判断材料がなければ、直近の口コミに書かれた来店時間を数えてみてください。
なお、観光地の飲食店は「近くの宿」との相性が良い立地です。宿は宿泊客から食事処を聞かれる場面があります。英語のメニュー写真を1枚渡しておくと、紹介してもらえる可能性があります。宿側が何を見て紹介先を選んでいるかは民宿・ペンションの集客方法|予約を増やす7ステップとコピペ文例集【2026年8月】にまとめているので、近隣の宿と話す前に目を通しておくと会話が早く進みます。
「うちの宿の場合はどうすればいい?」——そんな段階のご相談こそ歓迎です。
最大60分の無料ヒアリングで、貴施設の集客の現在地と次の一手を一緒に整理します。
※契約を前提とした営業は一切いたしません。30分の情報交換のみでも歓迎です。
【要注意】外国人観光客が来ない店に共通する4つのパターン
7ステップを進めても、次の4つのどれかに当てはまると成果が出ません。順に確認してください。
共通点1: Googleマップの営業時間が、実際の店と食い違っている
❌ よくある間違い: 数年前に誰かが登録したままの営業時間が残っている。臨時休業や中休みも反映していない。
⭕ 正しいアプローチ: 営業時間・中休み・定休日・臨時休業を、当日でよいので必ず反映する。年末年始や祭りの日程も先に入れておく。
なぜ重要か: 訪日客の店探しは地図アプリに強く集中しているからです。Paykeの調査では滞在中のGoogleマップ利用率は99%、メニューや営業時間を調べる手段として地図アプリを使う人は67.10%でした。「開いていると思って歩いてきたのに閉まっていた」という体験は、その日の予定を壊された不満として口コミに残ります。写真や説明文よりも、まずここです。
共通点2: 「英語メニュー」を用意した気になっている
❌ よくある間違い: 料理名だけを機械翻訳したA4の紙を1枚、レジ横に置いている。写真も価格も材料の記載もない。
⭕ 正しいアプローチ: 主力10品に絞り、写真・価格・15語以内の説明・主な材料の4点を揃える。紙が難しければQRコードから読む形にする。
なぜ重要か: 外国人客が読み取りたいのは料理名ではなく「自分が食べられるものか、いくらか」だからです。日本政策金融公庫の調査では、外国人客を受け入れる際の課題として「店舗内の案内表示、メニュー表等の多言語対応」を挙げた企業が32.5%と最多でした。多くの店が同じ場所でつまずいています。

共通点3: 外国語の口コミを放置している
❌ よくある間違い: 日本語の口コミには返信しているが、英語や中国語の口コミは読めないので触れていない。低評価だけが未返信で残っている。
⭕ 正しいアプローチ: Googleマップの自動翻訳で内容を読み、AIに返信案を作らせて24〜48時間以内に返す。低評価にも事実と改善策を1つ添える。
なぜ重要か: 飲食店は、訪日客がつまずきやすい場所だからです。観光庁の調査では、コミュニケーションで困った場所として飲食店が都市部・地方部とも約50%で最多でした。つまずいた体験は口コミに書かれます。そしてその口コミを読むのは、書いた本人ではなくこれから店を選ぶ人です。返信は、あなたが厨房に立っている時間にも働く営業ツールで、しかも無料です。
共通点4: 現場のルールを決めず、担当者まかせにしている
❌ よくある間違い: 英語ができるアルバイトがいる日は丁寧に対応し、いない日は身振り手振りで押し切る。断り方も人によってばらばら。
⭕ 正しいアプローチ: 使う翻訳アプリを1つに決め、頻出の10フレーズを紙にして貼る。満席時・時間制限・対応できない食事制限の断り方も文言を決めておく。
なぜ重要か: 対応の当たり外れが、そのまま口コミの星のばらつきになるからです。日本政策金融公庫の調査で、外国人客の受け入れに慎重な理由の1位は「言語、文化の違いから発生するトラブルを可能な限り回避したい」(44.2%)、2位は「多言語に対応ができる従業員が不足している」(38.4%)でした。言うことを先に決めておけば、この2つの不安は同時に小さくなります。決めていないと、毎回ゼロから考えることになります。
ここまでの内容は、すべて無料の道具だけで完結できます。それでも「メニューを作り直す手が足りない」「地図と口コミを見る時間がない」という店があるのも事実です。株式会社Tipは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応します)。これまでのコンサルティングは上場企業を含む20社以上に提供してきましたが、観光地の飲食店支援はこれから実績を積み上げていく段階です。無料ヒアリングは最大60分、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。この記事のチェックリストで埋まらなかった項目をメモして持ってきてください。申し込みは予約フォーム(TimeRex)、またはお問い合わせフォーム・info@tip-biz.co.jp からお願いします。
外国人観光客が来る店・来ない店の違い(チェックリスト)
現在地の確認に使ってください。スマホでGoogleマップの自店ページを開きながら、当てはまるものにチェックを入れます。
- □ Googleビジネスプロフィールのオーナー確認が済んでいる
- □ 営業時間・中休み・定休日・臨時休業が今日時点で正確である
- □ 写真が15枚以上あり、主力料理・入口・席の様子が写っている
- □ 説明文とカテゴリに英語が入っており、意味が通る状態になっている
- □ 主力メニューに写真・価格・ひとこと説明・主な材料が揃っている
- □ 外国語の口コミにすべて返信している(低評価も含む)
- □ 支払い方法とお通しの有無が、店に入る前に分かる場所に書いてある
- □ 翻訳アプリと頻出フレーズが決まっており、誰が対応しても同じになる

チェックが0〜2個なら、今週はステップ1だけで構いません。3〜5個ならステップ2〜4、6〜8個ならステップ5〜7で仕上げの段階です。特に見落とされやすいのは、最後の「誰が対応しても同じになる」という項目です。ここだけは道具ではなく、決め事で埋まります。
飲食費は年2兆円超、それでも準備をした飲食店は3分の1|今やる理由
「うちのような小さな店が今さらやっても遅いのでは」と感じるかもしれません。データはむしろ逆を示しています。
まず市場です。日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人で、前年比15.8%増と年間の過去最高を更新しました。観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年暦年・確報)では、訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円。このうち飲食費は2兆688億円で、費目別の構成比は宿泊費36.6%、買物代27.0%に次ぐ21.9%を占めます。1人あたりで見ると、旅行支出22万9千円のうち飲食費は5万円です。滞在中に5万円を食事に使う人が、4,000万人以上歩いているということになります。
では、受け入れる側はどうか。日本政策金融公庫が2025年6月に生活衛生関係営業3,141企業(うち飲食業1,446企業)へ行った調査では、最近1年間に外国人観光客の利用があった飲食業は59.8%。ところが、外国人客を受け入れるための取り組みを「実施している」と答えた飲食業は34.0%にとどまりました。6割の店に外国人客が来ているのに、準備をしている店は3分の1しかないということです。そして、取り組みを実施している企業(644社・複数回答)が効果を実感したのは、キャッシュレス決済の導入(45.0%)、メニューや施設内の案内等の工夫(25.5%)、Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備(23.0%)。いずれも、この記事の7ステップで扱った範囲に収まります。
受け入れに慎重な理由も公表されています。最多は「言語、文化の違いから発生するトラブルを可能な限り回避したい」(44.2%)、次いで「多言語に対応ができる従業員が不足している」(38.4%)でした。裏返せば、ステップ5・7で扱った「ルールを先に書く」「言うことを決めておく」の2つは、この不安そのものへの対処になります。
順位を決めるのが広告出稿ではなく口コミであることは、世界規模の指標でも同じです。トリップアドバイザーの「2025 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト レストラン」も、2024年8月1日から2025年7月31日までに投稿された口コミと評価をもとに選ばれています(高級店部門の日本1位は東京の「鉄板焼 炭焼 さいとう」で、世界11位・アジア2位)。規模も価格帯もまったく違う店の話です。ただし、材料が口コミである点は、地図アプリの中で比べられる6席の店でも変わりません。
最後に、あなたの店の規模に引き直します。平均客単価2,000円の店が、1日3組・6名を「入り方が分からない」という理由で取りこぼしているとすれば、1日1万2,000円、月25日営業で月30万円です。この「1日3組」は仮に置いた数字なので、必ず自店の実数に置き換えてください。目安を知る方法はあります。店の前で立ち止まってスマホを見てから離れた人を、3日間だけ数えてみることです。その数が、あなたの店の取りこぼしに近い数字になります。拾うためのコストは、印刷代と数時間の作業だけです。
よくある質問
Q. 外国人観光客の集客は、飲食店ならまず何から始めればいいですか?
Googleビジネスプロフィールの営業時間と写真の更新からです。訪日客の店探しは地図アプリに集中しているため、ここが古いままだとメニューを直しても届きません。スマホでGoogleマップまたはGoogle検索から自店名を検索し、「プロフィールを編集」から営業時間を直す作業は5分で終わります。写真15枚の追加まで含めても、最初の作業は1〜2時間です。
Q. 小規模な店でもインバウンド集客はできますか?
できます。むしろ席数の少ない店ほど、必要な人数が少なくて済むぶん変化を実感しやすい面があります。1日3組増えれば十分という規模なら、広告を出さずにこの記事の7ステップだけで進めやすくなります。大手と同じ土俵で認知を競う必要はありません。
Q. 飲食店の外国人対応で、英語が話せるスタッフがいません。どうすればいいですか?
翻訳アプリで問題ありません。観光庁の調査では、コミュニケーションで困った際の対応として「ICTツール(自動翻訳システムや翻訳アプリケーション等)を活用して対応した」が都市部・地方部とも70%以上を占めています。無料で使えてカメラ翻訳とオフライン利用ができるGoogle翻訳を店の共通アプリに決め、この記事のステップ7にある10フレーズを紙にして貼っておけば、実務はほぼ回ります。
Q. Googleマップは外国人観光客にどのくらい使われているのですか?
民間調査ではありますが、Paykeが2025年6月に訪日客1,827人へ行った調査で、日本滞在中にGoogleマップを使った人は99%、「Googleマップしか使っていない」と答えた人は65.90%でした。メニューや営業時間を調べる手段としても67.10%が地図アプリを挙げています。まず地図を整える理由はここにあります。
Q. インバウンドで成果が出ている飲食店の傾向を示すデータはありますか?
個人店の売上を公開した一次情報は多くありません。最も近いのは日本政策金融公庫の調査です。取り組みを実施している企業(644社・複数回答)が効果を実感したのは、キャッシュレス決済の導入45.0%、メニューや施設内の案内等の工夫25.5%、Wi-Fi等の整備23.0%でした。上位3つはいずれも高額な設備投資ではなく、「使えること・分かることを客に伝える」種類の打ち手です。同じ調査で取り組みの実施率は飲食業の34.0%にとどまっているため、この3つを揃えるだけでも上位3分の1に入ります。
Q. 英語メニューは翻訳アプリの訳をそのまま貼ってよいですか?
料理名や説明文は概ねそのままで構いませんが、アレルギーと宗教上の禁忌に関わる部分だけは必ず人の目で確認してください。出汁の魚介、調味料のアルコール、揚げ油の共有といった要素は、機械翻訳では抜け落ちます。繁体字や韓国語を自分で検証できない場合は、料理名のローマ字表記を必ず併記し、断定できない材料は「要確認」のまま残すのが安全です。
Q. 現金だけの店は、外国人観光客に敬遠されますか?
現金のみであること自体より、「入るまで分からないこと」が敬遠されます。入口に「CASH ONLY」と最寄りATMまでの距離を書けば、納得した人だけが入ってきます。日本政策金融公庫の調査ではキャッシュレス決済の導入が効果を実感した取り組みの1位(45.0%)ですが、導入が難しい店は、まず明示から始めてください。
Q. 外国人観光客が増えると、常連さんが離れませんか?
そのリスクは席数の少ない店ほど現実的です。だからこそステップ5の「入店ルールの明示」が効きます。滞在時間の目安や相席の可否を先に伝えておけば、回転が乱れにくくなります。予約制の時間帯を1枠だけ設ける、常連が来る時間帯は掲示を出さないなど、線引きは店主が決めて構いません。すべての時間を明け渡す必要はありません。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: Googleマップで自店を検索し、「プロフィールを編集」から営業時間・中休み・臨時休業を今日の実態に合わせる(5分)
- 今週中にやること: ステップ4の英文①〜④から自店に当てはまる1〜2枚を印刷し、入口に貼る。あわせて主力3品を撮り直す
- 今月中にやること: 外国語の口コミに全件返信し、ステップ5の卓上カードとステップ7の10フレーズを紙にして貼る
7つすべてを一度にやる必要はありません。1週間に1ステップでも、2か月後には「入っていい店」だと分かる状態になります。
次回予告: メニューの多言語化を、デザイン経験ゼロでも進められる手順にまとめた記事と、Googleビジネスプロフィールの設定画面に沿ってステップ1を手順化した記事を、近日公開します。
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参考・出典
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」2026年1月21日発表(2025年の年間訪日外客数42,683,600人・前年比15.8%増) https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html (参照日: 2026-08-16)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(確報)」(訪日外国人旅行消費額9兆4,549億円、飲食費2兆688億円・構成比21.9%、1人当たり旅行支出22万9千円のうち飲食費5万円) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001992584.pdf /調査トップ: https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html (参照日: 2026-08-16)
- 日本政策金融公庫「生活衛生関係営業者のインバウンド対応動向」2025年9月1日発表(2025年6月中旬調査・有効回答3,141企業/うち飲食業1,446企業。飲食業の外国人客利用59.8%、受入れの取り組み実施34.0%、課題は多言語対応32.5%、慎重な理由はトラブル回避44.2%・従業員不足38.4%。効果のあった取り組み〔キャッシュレス決済45.0%・メニューや施設内の案内等の工夫25.5%・Wi-Fi等23.0%〕は、取り組みを実施しており「効果的な取り組みはなかった」を除いた644企業を母数とする複数回答〔3つまで〕) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu25_0901a.pdf (参照日: 2026-08-16)
- 観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査(令和6年度)」2025年4月18日発表(2024年12月13日〜2025年1月22日・4,189件。困ったことはなかった51.1%、施設等のスタッフとのコミュニケーション15.2%、困った場所は飲食店が都市部・地方部とも約50%、ICTツールでの対応が都市部・地方部とも70%以上) https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_00022.html (参照日: 2026-08-16)
- 株式会社Payke「インバウンドの99%がGoogle Mapを利用! 訪日観光客の交通、飲食店探索など移動にまつわる課題を徹底調査!」2025年7月17日発表(2025年6月17〜24日・訪日客1,827人・韓国語/英語/繁体字中国語。滞在中のGoogleマップ利用99%、Googleマップのみ利用65.90%、メニュー・営業時間調べに地図アプリ67.10%)※民間の自社調査 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000022289.html (参照日: 2026-08-16)
- トリップアドバイザー「2025 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト レストラン」2025年9月24日発表(2024年8月1日〜2025年7月31日の口コミ・評価をもとに選出。高級店部門 日本1位「鉄板焼 炭焼 さいとう」、世界11位・アジア2位) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000634.000001853.html (参照日: 2026-08-16)
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※本記事の試算・打ち手に関する記載は一般的な考え方であり、成果を保証するものではありません。掲載した英文は自店の実態に合わせて必ず修正してください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。