
結論: 2026年9月7日、ポイント付与禁止の後に寄付者が何で返礼品を選んでいるかを聞いた300人規模の調査結果が公表されました。返礼品を選ぶときに最も重視することの1位は「日常的に消費できる食品」31.7%で、「応援したい地域・自治体で選ぶ」は0.7%、「地元・ゆかりのある地域だから」は1.7%にとどまりました。リピートするジャンルの1位は牛肉・豚肉・鶏肉43.7%、2位が魚介類・海産物34.7%です。返礼品を出す側にとっての意味は明快で、産地の物語よりも先に「これは毎日の食卓で使い切れるか」が判断されているということです。商品ページの直しは今週から着手できます。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県(特に田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊など南紀エリア)で、市町村のふるさと納税に返礼品を提供している農水産・食品加工・菓子・小売の事業者と、その担当者 読了後にできること: 公表された調査数値をもとに、自社の返礼品ページの書き出し・内容量の表記・配送時期の告知・同梱物を、今週中に手直しできる状態になる
「ポイントが無くなった分、うちの寄付も減るんでしょうか」
ふるさと納税の返礼品を出している事業者から、この不安が出やすい時期に入りました。ポータルサイト独自のポイント付与が禁止されてから、まもなく1年が経ちます。還元率で選ばれていた時代が終わった以上、次に何で選ばれるのかが分からないまま、去年と同じ商品ページのまま年末を迎えようとしている——という状態の方は少なくないはずです。
不安の原因は、判断材料が「寄付者向けの記事」しか流通していないことにあります。ポイントが消えて損か得か、控除の上限はどうなるか。これは寄付する側の関心事です。返礼品を出す側が本当に知りたいのは、ポイントという物差しが消えたあと、寄付者は何を見て品を選び、何をきっかけに翌年もう一度同じ品を選んでいるのかという一点でしょう。
この記事では、2026年9月7日に公表された300人調査と総務省の一次情報をもとに、①何が公表されたのか、②和歌山の返礼品分野のどこに効くのか、③商品ページと商品設計で直す5か所、④この調査から言えない4つのこと、⑤FAQ 8問、の順で整理します。まだ確認できていない将来の見通しや「来年こうなるはず」という憶測は書きません。現時点で公表されている範囲だけを、出典つきで並べます。自社の返礼品ページを1つ開きながら読み進めてください。
目次
2026年9月7日公表|300人調査が示した「ポイントの次」の選ばれ方
まず事実からです。株式会社AZWAY(運営メディア「イエベース」)が2026年9月7日に公表した調査は、ふるさと納税の利用経験がある20〜60代の男女300人にインターネットで聞いたもので、調査期間は2026年6月10日から7月1日です。ポイント付与が禁止された2025年10月1日から、8〜9か月が経った時点の回答にあたります。
事業者にとって重要な数値は、次の3つの設問に集まっています。
| 設問 | 上位の回答 | 事業者にとっての意味 |
|---|---|---|
| リピートしている(したい)ジャンル(複数回答) | 牛肉・豚肉・鶏肉43.7%/魚介類・海産物34.7%/米・雑穀31.3%/野菜・果物24.3%/日用品・消耗品23.3% | 繰り返し選ばれるのは主菜と主食。上位は「献立に組み込める品」 |
| 返礼品を選ぶ際に最も重視すること(単一回答) | 日常的に消費できる食品31.7%/普段は買わない高品質な食材23.3%/コスパ(還元率の高さ)18.3%/地域の特産品・名産品9.0% | 「日常」と「非日常のごちそう」で過半。地域名は最重視の理由になりにくい |
| 制度変更をふまえた今後の利用意向(単一回答) | 積極的に利用したい35.7%/今までと同じくらい22.0%/より慎重に選んで21.0%/やめることを検討1.7% | 市場そのものは残る。ただし「慎重に選ぶ」層が2割いる |

もう一つ、事業者の目線で見逃せない数字があります。同じ「最も重視すること」の設問で、「応援したい地域・自治体で選ぶ」は0.7%、「地元・ゆかりのある地域だから」は1.7%、「地域の特産品・名産品」は9.0%でした。3つを足しても11.4%です。単一回答の設問なので「地域を全く見ていない」という意味ではありませんが、少なくとも最後の決め手として地域名が働いている人は多数派ではないことが示されました。
失敗・後悔を聞いた設問(複数回答)も、商品設計に直結します。1位は「大量に届いて冷凍庫が満杯」25.0%、2位が「年末ギリギリに慌てて選んで後悔」23.0%です。期待外れだった理由では「品質・量が期待と違った」が27.3%でした。つまり、選ばれなかった理由よりも、選ばれたあとに起きている不満のほうが具体的に把握されているということです。ここは、商品ページの書き方だけで減らせる余地が残っています。
利用頻度は「毎年利用している(習慣化している)」が60.0%、年間寄付総額は「3〜5万円」が40.7%で最多でした。1人あたり数万円の枠を、毎年ほぼ同じ手つきで使い切っている層が中心だということです。
ポイント付与はいつ・何が禁止されたのか(制度の事実確認)
ここは事実だけを短く確認します。総務省は2024年6月28日付けの告示改正で、ふるさと納税の指定基準を見直し、寄付者にポイント等の経済的利益を付与する事業者を通じた寄付の募集を禁止しました。適用開始は2025年10月1日です(総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」、改正の概要資料(PDF))。
運用面では、各ポータルが公式に告知しています。楽天ふるさと納税の告知には「2025年10月1日より、ポータルサイトによるふるさと納税へのポイント付与ができなくなりました」と明記され、通常ポイントや買いまわりのポイント付与、SPUの対象外となる一方、「カード決済に伴って付与されるポイントにつきましては、引き続きカード会社から付与されます」と説明されています(楽天ふるさと納税におけるポイント付与ルール変更のおしらせ)。

つまり、寄付者の画面から消えたのは「サイトが上乗せしていた還元」であって、返礼品の価値そのものではありません。事業者が動かせる変数が、ポイントという上乗せが無くなった分だけ相対的に大きくなった、というのが現在地です。なお、2026年10月から始まる次の指定対象期間では地場産品基準の運用も変わります。掲載され続けるかどうかの確認は別テーマなので、ふるさと納税2026年10月改正|返礼品事業者が9月中に確認する5点【2026年9月】を先に済ませてください。本記事は「掲載されている前提で、どう選ばれるか」の話です。
和歌山の返礼品はどこに位置しているか|魚介34.7%・果物24.3%の読み方
調査は全国の寄付者に聞いたもので、和歌山県内の事業者を対象にしたものではありません。そのうえで、和歌山の主力返礼品をジャンル順位に重ねると、分野ごとに置かれた位置がはっきり分かれます。
| 和歌山の主な分野 | 調査での位置 | この結果から先に手を付けるところ |
|---|---|---|
| 水産(那智勝浦のまぐろ、串本・すさみの魚介) | 魚介類・海産物34.7%で2位 | 「冷凍庫が満杯」25.0%への配慮。サイズ・小分け・保存方法を先に書く |
| 柑橘(有田・田辺・湯浅などのみかん類) | 野菜・果物24.3%で4位 | 「日常的に消費できる食品」31.7%に寄せる。1日◯個・◯週間で食べ切る目安を書く |
| 梅・梅干し(みなべ・田辺) | 野菜・果物/加工食品の中間。加工食品・惣菜は9.0% | 毎日の食卓での使われ方を先頭に。塩分・粒数・保存期間を明記する |
| 菓子・加工品・工芸 | お菓子・スイーツ18.7%、ギフト・体験2.0% | 「普段は買わない高品質な食材」23.3%側に寄せる。贈答・季節の理由づけを作る |

読み取り方の注意を2つ書きます。1つ目は、上位ジャンルでないことは不利を意味しないということです。リピートの上位は肉・魚介・米で、これは全国の産地が同じ土俵にいる激戦区でもあります。野菜・果物24.3%は「毎日使う主食ほどではないが、届いたら確実に消費される品」という位置づけで、日常消費の文脈に置き直せる余地が大きい分野です。
2つ目は、地域名で押し切る書き出しの効きが弱いということです。「南紀の恵み」「熊野の海の幸」という言葉は、地域の特産品・名産品を最重視する9.0%には届きますが、31.7%の「日常的に消費できる食品」には届きません。地域名を消す必要はなく、順番を変えるだけです。1行目に「何が・どれだけ・いつ届くか」、そのあとに産地。この入れ替えだけで、拾える層が変わります。
なお、寄付総額「3〜5万円」が40.7%で最多という結果は、1万円前後の返礼品を3〜5品組み合わせる寄付者が中心だということでもあります。高額品1本に絞るより、1万円前後で内容量が分かりやすい品を持っているかどうかが効きます。
商品ページと商品設計で直す5か所
ここからが実務です。制度の行方を待つ必要はありません。300人調査で示された「日常的に消費できる」「量が期待と違った」「冷凍庫が満杯」「年末ギリギリ」という4語に対応させるだけで、直す場所は5か所に絞れます。
| 直す場所 | 対応する調査結果 | 今日できる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. 商品名と説明文の1行目 | 日常的に消費できる食品31.7% | 1行目から地域名を外して読み直す |
| 2. 内容量と置き場所の記載 | 冷凍庫が満杯25.0%/量が期待と違った27.3% | 冷凍庫の何段分かを実測する |
| 3. 1枚目の写真 | 量が期待と違った27.3% | 全量を1枚に収めて撮り直す |
| 4. 配送時期の先出し | 年末ギリギリに慌てて後悔23.0% | 昨年12月の最長発送日数を調べる |
| 5. 同梱物 | 毎年利用60.0% | 箱に入れる紙が何もないか確認する |

各項目には、そのままコピーして対話型AI(ChatGPTなど)に貼り付けられる文例を付けました。( )の中を自社の事実に置き換えて使ってください。
1. 商品名と説明文の1行目を「日常の消費」に書き換える
自治体のポータル掲載では、事業者が自由に触れる部分と、自治体の担当課を通さないと直せない部分があります。まずは自社で原稿を作り、担当課に差し替えを依頼する形が現実的です。原稿がある状態で持ち込むかどうかで、反映までの速さが変わります。
あなたはふるさと納税の返礼品ページを書く編集者です。以下の材料から、商品名(30字以内)と説明文の1行目(60字以内)を3案ずつ作ってください。
【材料】
・品目と産地: (例: 和歌山県◯◯町の温州みかん)
・内容量と規格: (例: 5kg・Mサイズ約40個)
・発送時期: (例: 2026年12月上旬〜下旬)
・想定される食べ方と消費ペース: (例: 家族4人で約2週間)
条件: 1行目は「何が・どれだけ・いつ届くか」から始め、産地の説明はそのあとに置く。【材料】にない等級・受賞歴・数量は書かない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたはふるさと納税の返礼品ページを書く編集者です。以下の説明文を、日常的に消費できることが伝わる文章に書き直してください。200字以内。
【材料】
・現在の説明文: (そのまま貼り付け)
・毎日・毎週どう使われるか: (例: 朝食のデザート、弁当の1品)
・使い切りの目安: (例: 冷蔵で約3週間)
条件: 「絶品」「最高級」などの主観的な形容は使わず、量・期間・使い方の事実で置き換える。【材料】にない情報は追加しない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
2. 内容量と「届いたあとの置き場所」を書く
失敗の1位が「大量に届いて冷凍庫が満杯」25.0%だという事実は、量が多いこと自体が満足につながるとは限らないことを示しています。特に冷凍の水産品と、まとめ買い規格の果物は、届いたあとの置き場所を先に書いておくだけで、期待と実物のずれが減ります。
あなたは食品の商品説明を書くライターです。以下の材料から、返礼品ページに載せる「届いたあとの保管の目安」を150字前後で書いてください。
【材料】
・品目と形状: (例: 冷凍まぐろ切り落とし 500g×4パック)
・外箱のサイズ: (例: 縦◯cm×横◯cm×高さ◯cm)
・保存温度と期限: (例: -18℃以下・製造日から◯か月)
・小分けの有無: (例: 1パックずつ個包装)
条件: 一般的な家庭用冷凍庫のどのくらいの場所を使うかを、材料のサイズから計算できる範囲でのみ書く。計算できない場合は書かない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは返礼品の商品設計を手伝う企画者です。以下の材料から、同じ品目で「量の選択肢」を3規格提案してください。表形式(規格名/内容量/想定寄付額の考え方/向いている世帯)で出してください。
【材料】
・現在の規格と寄付額: (例: 5kg・1万円)
・小分けや複数回発送が可能か: (可能/不可・可能なら最小単位)
・繁忙期に出荷できる上限: (例: 12月は週◯箱まで)
条件: 寄付額は「考え方」だけを書き、確定額は書かない(自治体が決めるため)。出荷上限を超える提案はしない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
3. 1枚目の写真を「届いた状態」に差し替える
期待外れの理由1位が「品質・量が期待と違った」27.3%である以上、写真の役割は美しさより量の証明です。盛りつけた完成写真は2枚目以降でよく、1枚目は開梱した状態の全量が一目で分かるカットに差し替えます。スマホ1台で撮り直せます。
あなたは食品の商品撮影のディレクターです。以下の材料から、返礼品ページ用の撮影カット表を8枚分作ってください。表形式(枚数の順番/写す内容/狙い/撮影の注意)で出してください。
【材料】
・品目と規格: (例: 梅干し 1kg・塩分8%)
・箱と個包装の状態: (例: 化粧箱・パック2つ)
・比較物として置けるもの: (例: 500mlのペットボトル)
・撮影できる場所: (例: 作業場の窓際)
条件: 1枚目は開梱直後の全量が分かるカットにする。スマホ1台・自然光で撮れる内容に限る。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
4. 12月の集中と発送時期を先に告知する
「年末ギリギリに慌てて選んで後悔」23.0%は、寄付者側の事情に見えますが、事業者にとっては受注が12月に偏る理由そのものです。発送時期を先頭に書き、遅れる可能性のある期間を先に明示するほうが、問い合わせも苦情も減ります。ポータル別の掲載状況の棚卸しがまだの方は、ふるさと納税ポータル比較|満足度1位はANA・楽天、出品事業者の7手順【2026年9月】を先に読むと、どのページを直すべきかが決まります。
あなたはふるさと納税の返礼品ページを書く編集者です。以下の材料から、発送時期の案内文を120字前後で作ってください。
【材料】
・通常の発送までの日数: (例: 入金確認後2〜3週間)
・年末年始の休業日: (例: 12月30日〜1月4日)
・繁忙期に延びる見込み: (例: 12月は最大◯週間)
・時期指定の可否: (可/不可)
条件: 期日を断定せず「◯週間程度」と幅で書く。【材料】にない配送業者名や到着日は書かない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
5. 箱の中に「次の注文先」を残す
毎年利用している人が60.0%という結果は、寄付者の側にはすでに習慣があるということです。一方で、その習慣がどの自治体・どの事業者に向くかは毎年選び直されます。届いた箱の中に自社の名前と連絡先が残っていなければ、寄付者はあなたの商品を指名で探せません。ここが、ふるさと納税を自社の顧客づくりに接続できるかどうかの分かれ目になります。自社ECをまだ持っていない場合の進め方は、和歌山の食品ECで売上を伸ばす7ステップ|梅・みかん通販の実務ガイド【2026年8月】にまとめています。
あなたは産直事業者の販促物を作るライターです。以下の材料から、返礼品に同梱するA6サイズのカード文面を200字以内で作ってください。
【材料】
・事業者名と所在地: (例: 和歌山県◯◯町の◯◯農園)
・作り手の一言: (例: 3代で続けている、収穫は手摘み)
・自社の窓口: (公式サイト/電話/LINEのうち、実際にあるものだけ)
・次の旬と時期: (例: 温州みかんは12月、清見は3月)
条件: 寄付や自治体への言及はせず、生産者からのあいさつとして書く。存在しない窓口・特典は書かない。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは産直事業者の販促物を作るライターです。以下の材料から、同梱カードの裏面に載せる「次の旬のお知らせ」を150字以内で作ってください。
【材料】
・年間の出荷カレンダー: (例: 12月みかん/2月はっさく/6月南高梅)
・案内できる連絡手段: (公式サイト/電話/LINEのうち、あるものだけ)
・注文の最小単位: (例: 3kg箱から)
条件: 値引きや特典は【材料】にある場合のみ書く。断定的な入荷保証はせず「例年◯月ごろ」と書く。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
この調査から言えないこと|4つの誤解
数字は使い方を誤ると逆効果になります。今回の調査で特に誤読されやすい4点を挙げます。
誤解1: 「地域で選ぶは0.7%だから、産地の情報は不要」
❌ よくある間違い: 0.7%という数字を見て、商品ページから産地の説明や生産者の話を削ってしまう。
⭕ 正しいアプローチ: 順番を変えるだけにする。1行目は内容量と時期、産地と作り手はその直後に置く。
なぜ重要か: この0.7%は「返礼品を選ぶ際に最も重視すること」を1つだけ選ぶ単一回答の結果です。地域を見ていないという意味ではなく、最後の決め手にはなりにくい、という意味にとどまります。同じ設問で「地域の特産品・名産品」は9.0%あり、「地元・ゆかりのある地域だから」1.7%と合わせれば11.4%です。削ると、この層を丸ごと落とします。
誤解2: 「リピート1位は肉だから、うちも肉の返礼品を始めるべき」
❌ よくある間違い: 上位ジャンルの数字だけを見て、自社の主力と関係のない品目に手を広げる。
⭕ 正しいアプローチ: 自社の分野の中で「日常的に消費できる」文脈に置き直せないかを先に考える。
なぜ重要か: 2026年10月からの指定対象期間では地場産品基準の運用が変わり、区域内で生じた付加価値の考え方がより重視されます。品目を増やす前に、その品が自社と自治体の区域でどう作られているかの整理が必要です。制度側の確認はふるさと納税2026年10月改正|返礼品事業者が9月中に確認する5点【2026年9月】を参照してください。
誤解3: 「利用を続ける人が85.3%だから、去年と同じで大丈夫」
❌ よくある間違い: 「積極的に利用したい」35.7%と「今までと同じくらい」22.0%を中心に、利用を続ける意向の合計が85.3%(発表者による集計)だという数字だけを見て安心する。
⭕ 正しいアプローチ: 3番目の「返礼品をより慎重に選んで利用したい」21.0%を主戦場と見る。
なぜ重要か: 慎重に選ぶ層は、内容量・保存・発送時期の記載を読み込む層でもあります。ここは商品ページの記載精度がそのまま結果に出る層で、5か所の手直しが最も効きます。逆に、記載が曖昧なままだとこの2割から先に外されます。
誤解4: 「寄付額を下げれば選ばれる」
❌ よくある間違い: ポイントが無くなった分の埋め合わせとして、寄付額の引き下げを自治体に相談する。
⭕ 正しいアプローチ: まず内容量・規格・発送時期の表記を直し、それでも動かないときに条件の相談に進む。
なぜ重要か: 「コスパ(還元率の高さ)」を最重視する人は18.3%で、「日常的に消費できる食品」31.7%と「普段は買わない高品質な食材」23.3%の合計55.0%より小さい層です。加えて、寄付額の設定は自治体側の判断であり、募集経費の上限という制約もあります。取引条件の考え方はふるさと納税の仲介手数料1,490億円|和歌山の返礼品事業者が今週見る3つの数字【2026年9月】で整理しています。
リピートされる返礼品・されない返礼品の違い(チェックリスト)
自社のページを開いて、当てはまるものにチェックを入れてください。
- □ 商品名の先頭に、品目と内容量が入っている
- □ 説明文の1行目に「いつ届くか」が書いてある
- □ 内容量が重量だけでなく、個数やパック数でも書いてある
- □ 冷凍・冷蔵品は、保管に必要なおおよその場所が書いてある
- □ 1枚目の写真で、届く全量が一目で分かる
- □ 繁忙期に発送が延びる可能性が、期間の幅で明示されている
- □ 箱の中に、生産者名と自社の窓口が分かる紙が入っている
- □ 昨年12月に何件出荷し、何件問い合わせがあったかを言える

見落とされやすいのは最後の1行です。昨年の出荷件数と問い合わせ件数が分かると、今年直すべき場所が調査の平均値ではなく自社の事実から決まります。チェックが3つ未満でも問題ありません。上の5か所を順に直せば、1つずつ埋まる構成にしてあります。
寄付総額は過去最高、それでも決め手は「日常的に消費できる食品」
「制度が変わって市場が縮むのでは」という懸念には、公表済みの統計が答えを出しています。
総務省が2026年7月31日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」によると、令和7年度(2025年度)の全国の受入額は約1兆3,314億円、受入件数は約5,963万件で、過去最高を更新しました。ポイント付与の禁止が2025年10月1日に適用された年度の実績です。同調査では、令和8年度課税における控除額が約9,524億円、控除適用者数が約1,151万人と示されています。
つまり、ポイントという上乗せが消えても、寄付そのものは縮んでいません。300人調査で「利用をやめることを検討している」が1.7%にとどまったことと整合します。市場が残ったうえで、選ばれ方の物差しだけが「還元率」から「返礼品そのもの」に移った、と読むのが現時点で確認できる範囲です。
ここに、和歌山の事業者にとっての機会があります。ポイント倍率はポータルの資本力の勝負でしたが、内容量の書き方、写真の1枚目、発送時期の先出し、同梱物は、規模に関係なく今日から直せる領域です。観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組む立場から見ても、こうした「読めば分かる情報を、読まれる順番に置き直す」作業は、費用がかからない割に後回しにされがちな部分です。
一方で、確認できていないことも明記しておきます。今回の調査は300人という規模で、和歌山県内の返礼品に限った集計ではありません。ジャンル別の寄付額推移や、ポイント禁止前後の同一事業者の受注比較は、現時点で公表されたデータの中に見当たりませんでした。この記事で書いているのは、公表済みの数値から言える範囲までです。
よくある質問
Q. ふるさと納税のポイント廃止は、いつから何が禁止されたのですか?
総務省の2024年6月28日付け告示改正により、寄付者にポイント等を付与する事業者を通じた寄付の募集が禁止され、2025年10月1日から適用されています。楽天ふるさと納税の公式告知でも「2025年10月1日より、ポータルサイトによるふるさと納税へのポイント付与ができなくなりました」と案内されています。クレジットカード決済に伴うポイントは、引き続きカード会社から付与されます。
Q. ポイントが無くなって、寄付は減ったのですか?
全国計では減っていません。総務省の現況調査によれば、令和7年度の受入額は約1兆3,314億円・約5,963万件で過去最高でした。ただしこれは全国の合計値であり、個別の自治体や事業者の受注が同じ動きだったことを意味しません。自社の昨年度の出荷件数と比べて判断してください。
Q. リピートされる返礼品のジャンル1位は何ですか?
2026年9月7日公表の300人調査では、リピートしている(したい)ジャンルの1位が牛肉・豚肉・鶏肉で43.7%、2位が魚介類・海産物34.7%、3位が米・雑穀31.3%、4位が野菜・果物24.3%でした(複数回答)。上位は献立に組み込める主菜・主食が占めています。
Q. 寄付者が返礼品を選ぶとき、一番重視しているのは何ですか?
同調査の単一回答で、1位は「日常的に消費できる食品」31.7%、2位が「普段は買わない高品質な食材」23.3%、3位が「コスパ(還元率の高さ)」18.3%でした。日常の消費と非日常のごちそうで過半を占め、還元率は3番手です。
Q. 「地域で選ぶは0.7%」なら、産地の紹介はやめるべきですか?
やめる必要はありません。0.7%は「最も重視すること」を1つ選ぶ設問の結果であり、「地域の特産品・名産品」9.0%、「地元・ゆかりのある地域だから」1.7%を合わせれば11.4%になります。1行目を内容量と発送時期にして、産地はその直後に置く——順番の入れ替えで十分です。
Q. 商品ページの文章は、事業者が自分で直せるのですか?
自治体とポータルの運用によって異なります。事業者が直接編集できる場合と、自治体の担当課を通す場合があります。いずれにせよ、差し替え原稿を用意してから相談するほうが早く進みます。本記事の文例で原稿を作り、担当課に「この内容に差し替えたい」と伝えてください。
Q. 内容量を増やしたほうが選ばれますか?
一概には言えません。同調査の失敗・後悔で1位だったのは「大量に届いて冷凍庫が満杯」25.0%です。「量が多い・大容量」を最重視する人は3.7%でした。量を増やすより、届いたあとの保管の目安と小分けの有無を書くほうが、期待とのずれを減らせます。
Q. ふるさと納税の寄付者を、自社の顧客にしてもよいのですか?
同梱物で生産者として自己紹介し、自社の窓口を案内すること自体は一般的に行われています。ただし、返礼品の内容や同梱物の扱いは自治体との取り決めによるため、事前に担当課へ確認してください。自社ECや直販の立ち上げ方は、梅農家のネット販売|農家直送の通販を始める7ステップと許可の実務【2026年8月】で品目ごとの実務を解説しています。
まとめ:今日・今週・今月の作業
- 今日やること: 自社の返礼品ページを1つ開き、説明文の1行目に「何が・どれだけ・いつ届くか」が書かれているかを確認する
- 今週中にやること: 1枚目の写真を全量が分かるカットに撮り直し、内容量と保管の目安を本記事の文例で書き起こす
- 今月中にやること: 12月の発送遅延の見込みを幅で明示した案内文を自治体の担当課に提出し、同梱カードの原稿を用意する
ポイントという物差しが消えた分、寄付者は返礼品そのものの情報を読んでいます。読まれる順番に情報を置き直すだけなら、費用はかかりません。
参考・出典
- 株式会社AZWAY(イエベース)「リピートしている返礼品と利用の本音に関するアンケート」2026年9月7日公表。調査期間2026年6月10日〜7月1日、ふるさと納税の利用経験がある20〜60代男女300人、インターネット調査(任意回答): ふるさと納税のリピート返礼品1位は?300人が選ぶ定番とポイント禁止後の本音(PR TIMES) (参照日: 2026-09-09)
- 総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(令和6年6月28日付け告示改正、ポイント付与を行う事業者を通じた募集の禁止は令和7年10月1日から適用): 報道資料 / ふるさと納税の指定基準の見直し(概要・PDF) (参照日: 2026-09-09)
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」2026年7月31日公表。令和7年度の受入額約1兆3,314億円・約5,963万件、令和8年度課税の控除額約9,524億円・控除適用者数約1,151万人: 調査結果(PDF) (参照日: 2026-09-09)
- 楽天ふるさと納税「ポイント付与ルール変更のおしらせ」(2025年10月1日以降のポイント付与の取り扱い): おしらせページ (参照日: 2026-09-09)
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※本記事は2026年9月9日時点で公表されている情報に基づく整理です。制度の適用や返礼品の掲載可否の判断は、寄付先自治体の担当課の案内に従ってください。税務・法務の個別判断は専門家にご相談ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。