株式会社Tip ロゴ 株式会社TipTIP INC.
和歌山DX総合研究所和歌山の企業に、実践できるDXを。記事一覧
AI活用 公開:  更新:

オンプレミスAIが中小企業へ|クラウドとの使い分け基準と5ステップ【2026年9月】

オンプレミスAIが中小企業へ|クラウドとの使い分け基準と5ステップ【2026年9月】

結論: 大阪のシステム会社が2026年9月1日、GPU搭載パソコン1台規模から始める「社内完結型AI(オンプレミスAI)」の導入支援を開始しました。中小事業者にとっての意味は「新しい機械を買うべきだ」ではありません。外に出せないデータと、出してよいデータの線を今のうちに引いておくことです。線さえ引けてしまえば、多くの業務は今日からクラウドAIで進められます。

この記事の要点 対象読者: 和歌山県(特に田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)で宿泊・観光・飲食・小売・農水産を営む事業者と、顧客名簿・見積・カルテなど社外に出せない情報を扱う法人の責任者 読了後にできること: 自社の業務を「クラウドAIに載せてよいもの」と「社内に留めるもの」に仕分けし、社内ルールを紙1枚にまとめて今週中に配れる状態になる

「これ、うちのお客様の名簿を入れても大丈夫なんですか」

AIの話になると、必ずこの質問が出ます。そして多くの事業所では、答えが出ないまま「じゃあ、うちはやめておこう」で終わります。結果として、名簿とまったく関係のない業務——館内案内の翻訳や、仕入れ表の集計まで——一緒に止まってしまいます。

止まる原因は、AIへの理解不足ではありません。「使うか、使わないか」という1つのスイッチで考えてしまっていることにあります。実際の判断は2段階です。まず扱うデータを分け、次にデータごとに置き場所を決める。この順番を踏めば、「名簿は社内に置く。案内文はクラウドで書く」という当たり前の結論にたどり着きます。

この記事では、2026年9月3日に公表された社内完結型AIの導入支援サービスの事実を一次情報で確認したうえで、クラウドAIと社内完結型AIの使い分け5基準、和歌山・南紀の事業者が今週進める5ステップ、そのままコピペで使える8本のプロンプト、始める前のチェックリストをまとめます。手元に「先月いちばん時間を食ったパソコン作業」を1つ思い浮かべながら読み進めてください。

目次
  1. まず結論:社内完結型AIのニュースを受けて今週やる5ステップ
  2. 何が起きたか|「社内完結型AI+Dify」導入支援の発表内容(2026年9月3日)
  3. 和歌山・南紀の事業者に何が効くか|業種別の影響
  4. どこに線を引くか|クラウドAIと社内完結型AIの使い分け5基準
  5. 今週やる5ステップ(プロンプト8本つき)
    1. ステップ1: 社外に出せない情報を棚卸しする
    2. ステップ2: 業務を「クラウド可」と「社内限定」に仕分ける
    3. ステップ3: クラウド可の業務を1つ、30分だけ試す
    4. ステップ4: 相談に持ち込む「要件メモ」を1枚作る
    5. ステップ5: 社内ルールを紙1枚にして配る
  6. 【要注意】社内完結型AIでつまずく4つの誤解
    1. 誤解1: 「オンプレミスにすれば情報漏えいはなくなる」
    2. 誤解2: 「Difyを社内に置けば、データは一切外に出ない」
    3. 誤解3: 「クラウドAIは業務では使えない」
    4. 誤解4: 「まず全社導入。大きなPoCから始める」
  7. 社内データを扱うAIを始める前のチェックリスト(8項目)
  8. 数字で見る現在地|中小企業のAI導入は20.4%
  9. よくある質問
    1. Q. オンプレミスAIとは何ですか?
    2. Q. 社内完結型AIとクラウドAIは、どちらが優れていますか?
    3. Q. 費用はいくらかかりますか?
    4. Q. Difyとは何ですか?
    5. Q. 顧客名簿をChatGPTに入れると情報漏えいになりますか?
    6. Q. 和歌山県内でも導入できますか?
    7. Q. パソコン1台でも本当に動きますか?
    8. Q. 導入費用に補助金は使えますか?
  10. まとめ:今日から始める3つのアクション
  11. 参考・出典

まず結論:社内完結型AIのニュースを受けて今週やる5ステップ

最初に全体像です。5つとも設備投資は不要で、今週中に終わります。

ステップ やること 所要時間の目安
1. データの棚卸し 社外に出せない情報を種類ごとに書き出す 30分
2. 業務の仕分け 業務を「クラウド可」「社内限定」に分ける 30分
3. 30分だけ試す クラウド可の業務を1つ、無料の範囲で試す 30分
4. 要件メモ 社内完結型AIを相談するための材料を1枚にする 45分
5. 社内ルール 入力してよい情報・いけない情報を紙で配る 45分
社内データを外に出さないAIを検討する5ステップのフロー図

ポイントは順番です。多くの事業所はステップ4(見積りを取る)から入り、何に使うかが決まらないまま構成と価格の話を始めてしまいます。先にステップ1と2を済ませておけば、相談の場で「うちはこの3業務のために、この種類のデータを社内に置きたい」と一言で説明できます。

もう1つのポイントは、5つのうち4つがAIを使わない机上の作業だということです。データの棚卸しと社内ルールは、どのサービスを選んでも、あるいは何も導入しなくても資産として残ります。次に新しいAIのニュースが出たときも、ステップ3から再開できます。

何が起きたか|「社内完結型AI+Dify」導入支援の発表内容(2026年9月3日)

大阪市中央区の株式会社ラスティックシステム(代表取締役: 山下明則)が2026年9月3日、中小企業・小規模事業者向けの「社内完結型AI(オンプレミスAI)+Dify」導入支援サービスを、2026年9月1日から開始したと発表しました。

同社の発表資料から確認できた事実は次のとおりです(参照日: 2026-09-08)。

  • サービス開始日: 2026年9月1日
  • 対象: 中小企業・小規模事業者
  • 構成: 大規模なGPUサーバーや高額なPoC(概念実証)ありきではなく、GPU搭載PC1台の小規模構成から対応
  • 想定用途: 社内規程・マニュアルを検索できるAIチャットボット、会議音声や動画から議事録を作成・検索するAI、注文書や帳票を読み取るAI-OCRなど
  • 費用の目安: 初期費用は数十万円台、月額運用サポート費も数万円程度から(いずれも同社発表による目安)
  • 対応エリア: 大阪・関西圏を中心に展開。オンラインで対応できる相談・ヒアリングは全国対応

ここで言う「オンプレミス」とは、AIを動かすコンピュータを自社の事務所やサーバー室に置き、そこで処理を完結させる方式のことです。対義語が「クラウド」で、こちらはインターネットの向こう側にある事業者のコンピュータに処理を任せます。ChatGPTのようなサービスは後者にあたります。

発表で名前が挙がっている「Dify(ディファイ)」は、AIチャットボットやAIワークフローをノーコードで組み立てるための、オープンソースのアプリ開発プラットフォームです。Dify公式ドキュメントのセルフホスト設置手順では、Community Editionを自社の環境にDocker Composeで設置する方法が案内されています。つまり「自社のサーバーに置いて動かせる土台」が無償で公開されているため、小規模構成の提案が成り立ちやすくなっている、という背景があります。

この方向は1社だけの動きではありません。リコーは2025年4月7日に、高セキュリティなオンプレミス環境で生成AI活用できる「RICOH オンプレLLMスターターキット」を発表しています。同社の発表によれば、700億パラメータの自社製LLM(日英中3言語対応)と生成AI開発プラットフォーム「Dify」、環境構築・導入・運用支援サービスをまとめたパッケージで、金融の稟議書作成や製造業の研究開発での情報索引などを想定用途に挙げています。大手のパッケージと、中小向けの小規模構成。上と下の両方から選択肢が増えたというのが、今回のニュースの位置づけです。

社内完結型AIの発表で確認できた事実とまだ分からないことの対比図解

一方で、公表されていないこともはっきりさせておきます。和歌山県内の事業者への提供実績、中小企業の日本語業務で何時間減ったかという実測値、構成別の総額、他社サービスとの性能比較は、いずれも本記事の執筆時点(2026年9月8日)では確認できていません。現時点で公表されているのは、上記の箇条書きまでです。ですからこの記事では、製品の評価ではなく「自社で線を引く手順」に絞って書きます。

和歌山・南紀の事業者に何が効くか|業種別の影響

今回の変化を現場の言葉に翻訳すると、「AIを使いたいが、この情報だけは外に出せない」という理由で丸ごと止まっていた業務に、別の置き場所という選択肢が加わったということです。

誰に効くかは、扱っている情報の種類で決まります。宿泊者名簿、健康状態を書いた予約備考、取引先ごとの見積単価、従業員の給与や評価、患者・利用者のカルテ。これらを日常的に扱う事業者ほど、線引きの価値が大きくなります。逆に、公開している案内文やメニューが中心の業務であれば、社内完結型AIを検討する必要は今のところありません。

いつから効くかも整理しておきます。今回のサービスはオンラインの相談・ヒアリングが全国対応と発表されているため、南紀からでも相談自体は今日から可能です。ただし展開の中心は大阪・関西圏と明記されているため、機器の設置や現地保守がどこまで対応範囲かは、相談時に必ず確認してください。ここは発表資料からは読み取れない部分です。

業種 外に出しにくいデータの例 今週の最初の一歩
宿泊(旅館・民宿・民泊) 宿泊者名簿、予約備考のアレルギー・持病、団体客の名簿 名簿を含まない「館内案内の多言語化」をクラウドで試す
飲食・小売 仕入先ごとの単価表、常連客の連絡先、従業員のシフトと時給 単価を伏せた「メニュー説明文の下書き」をクラウドで試す
農水産(梅・みかん・水産) 通販の受注者リスト、出荷先ごとの取引条件、契約書 個人名を外した「出荷手順書の整理」をクラウドで試す
士業・医療介護・建設 カルテ、ケア記録、見積原価、図面、NDA付きの資料 社内規程・マニュアルの検索を社内完結型の候補に置く
業種別に外に出しにくいデータと最初の一歩を整理した図解

逆に、今回の発表で何も変わらない領域もはっきりしています。布団を上げる、皿を洗う、梅を選別する、常連さんと世間話をする。現場の価値の中心にある身体の仕事は、AIの置き場所を変えても1ミリも変わりません。旅館・ホテルの業務のうちどこがAIで減らせてどこが減らせないかは、旅館・ホテルの人手不足はAIでどこまで減らせるか|7業務の適用マップ【2026年8月】で7業務に分けて整理しています。

どこに線を引くか|クラウドAIと社内完結型AIの使い分け5基準

ここが今回の記事の本題です。判断は「安全か危険か」ではなく、「この業務のこのデータを、どちらに載せるか」という置き場所の設計として行います。

クラウドAIと社内完結型AIの使い分けを2分岐で示した判断図解

線を引くときの基準は、次の5つです。

  1. 個人情報が含まれるか: 氏名・連絡先・生年月日・健康状態など、特定の個人が分かる情報が入るか
  2. 契約や業法上の守秘義務があるか: 取引先とのNDA、業務委託契約の再委託条項、資格業の守秘義務に触れるか
  3. 間違いが外に出るか: 出力がそのままお客様に届くのか、社内の下書きで止まるのか
  4. 使う頻度と量: 毎日大量に流す業務か、月に数回の業務か
  5. 誰が運用を続けられるか: 機器・更新・バックアップの面倒を見る人が社内にいるか
判断軸 クラウドAIが向く場合 社内完結型AIを検討する場合
扱うデータ 公開済みの案内文、匿名化した数値、社外向け文章 名簿・カルテ・原価・人事情報など持ち出しを避けたいもの
始めやすさ アカウント登録だけで当日から使える 相談・構成の決定・設置が必要で、費用と時間がかかる
続けやすさ 事業者側が更新するため社内の手間が小さい 機器と更新を自社で抱えるため、担当と予算が要る

5番目の基準は見落とされがちですが、実務では最も重いところです。社内にコンピュータを置くということは、故障・更新・バックアップ・退職者のアカウント整理を自社で引き受けるということでもあります。導入支援サービスの月額運用サポート費は、この負担を外に出すための費用だと理解しておくと、見積りの読み方が変わります。

なお、「クラウドAI=入力した情報がすぐ学習に使われる」という理解は正確ではありません。OpenAIのエンタープライズ向けプライバシーの説明では、ChatGPT Business・Enterprise およびAPI(2023年3月1日以降)のデータについて "By default, we do not use your business data for training our models."(既定では、お客様の業務データをモデルの学習には使用しません)と明記されています。同ページでは、APIの入出力が不正利用の検知等のために最大30日間保持され、その後システムから削除されると説明されています。プランと設定によって条件が変わるため、契約前に自社が使うプランの記載を必ず確認してください。

その一方で、個人情報を入力する場面には別の注意が必要です。個人情報保護委員会は2023年6月2日に生成AIサービスの利用に関する注意喚起等についてを公表し、個人情報取扱事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定した利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。具体的な適否は契約内容と自社の運用によって変わるため、判断に迷う場面は無料の相談窓口や有資格の専門家に確認してください。

今週やる5ステップ(プロンプト8本つき)

ここからが実務です。プロンプトはChatGPTなどの対話型AIにそのまま貼り付け、( )の中を自社の情報に書き換えて使います。ステップ1〜2は実在の名簿を貼らず、「どんな種類の情報があるか」だけを書いて進めてください。

ステップ1: 社外に出せない情報を棚卸しする

最初にやるのは、AIの話ではなく情報の整理です。「うちには外に出せない情報がある」という漠然とした感覚を、種類の一覧に変えます。紙とペンでも構いませんが、下のプロンプトを使うと抜けが減ります。

あなたは中小企業の情報管理に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、社外に出しにくい情報の一覧を作ってください。

【材料】
・業種と規模: (例: 客室8室の旅館・従業員5名)
・日常的に扱う書類や画面: (例: 予約管理画面、宿泊者名簿、仕入れ表、シフト表、請求書)
・取引先との約束事: (例: 団体旅行会社とのNDAあり/なし)
・保管の仕方: (例: 紙のファイルとパソコンの表計算が半々)

出力: ①情報の種類ごとの一覧(個人情報を含むか/契約上の制約があるか/間違いが外に出るかの3列) ②特に扱いに注意が要る上位3つ ③今の保管方法で危ういと考えられる点3つ。実物のデータは不要です。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

ここで多くの事業者が気づくのは、危ないのはAIではなく現在の保管方法だという点です。共用パソコンのデスクトップに名簿の表計算が置きっぱなし、という状態のままAIの是非を論じても、優先順位を間違えます。

ステップ2: 業務を「クラウド可」と「社内限定」に仕分ける

次に、情報ではなく業務の側から見ます。同じ「口コミ返信」でも、公開されている口コミ本文だけを扱うならクラウド可、宿泊者名簿と突き合わせるなら社内限定、というように条件で変わります。

あなたは業務設計の実務家です。以下の業務を「クラウドAIで進めてよいもの」と「社内に留めるべきもの」に仕分けてください。

【材料】
・業務の一覧と所要時間: (例: 口コミ返信40分、仕入れ表入力90分、シフト作成60分、請求書作成50分、館内案内の翻訳30分)
・各業務で扱う情報: (ステップ1の出力を貼り付け)
・出力の行き先: (例: お客様に直接届く/社内の下書きで止まる)

出力: ①クラウド可・社内限定・条件つきの3分類 ②条件つきの業務について、クラウド可にするための加工方法(伏せ字・匿名化など) ③今週試すべき業務1つ。判断に迷う業務は「要確認」として理由を書いてください。

※そのままコピーして使えます

「条件つき」が多く出るのが普通です。伏せ字にする、氏名を通し番号に置き換える、単価を割合に直す。この加工だけで、社内限定だった業務の半分近くがクラウド可に移ることがあります。

あなたはデータの匿名化に詳しい担当者です。以下の作業手順を、個人が特定できない形に置き換える手順書を作ってください。

【材料】
・対象の作業: (例: 予約一覧から翌週の食事準備数を集計する)
・含まれる個人情報の項目: (例: 氏名、電話番号、住所)
・残す必要がある情報: (例: 人数、日付、食事の有無、アレルギーの区分)

出力: ①置き換えの手順(何を何に変えるか) ②置き換え後でも個人が推測できてしまう危険が残る箇所 ③元の情報と突き合わせる際の管理方法。断定できない点は「要確認」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

ステップ3: クラウド可の業務を1つ、30分だけ試す

線引きの図を眺めているだけでは何も進みません。ステップ2で「今週試すべき業務」に選ばれたものを、実際に30分やってみます。目的は成果ではなく、判断材料を社内に残すことです。

あなたは観光地の接客文を書くライターです。以下の日本語の案内文を、英語と韓国語に翻訳してください。

【材料】
・元の案内文: (館内案内・注意書き・よくある質問をそのまま貼り付け)
・掲示する場所: (例: 客室の壁、レジ横)
・伝わらないと困ること: (例: 大浴場の利用時間、支払い方法)

条件: 直訳ではなく掲示物として読みやすい短い文にする/時刻・料金・電話番号は元の表記のまま変えない/【材料】にない設備やサービスは追加しない。翻訳に迷った箇所は末尾に一覧で示してください。

※そのままコピーして使えます

宿や飲食店でクラウドAIを使う場合の具体的な用途とプロンプトは、ChatGPTを旅館・民宿で使う15の方法|コピペで使えるプロンプト集【2026年8月】にまとめています。この段階では有料契約は不要です。

ステップ4: 相談に持ち込む「要件メモ」を1枚作る

社内限定に振り分けた業務が2つ以上残ったら、初めて社内完結型AIの相談を検討する段階です。相談の前に要件メモを作っておくと、話が構成や価格から始まらずに済みます。

あなたはシステム導入の要件整理が得意なコンサルタントです。以下の材料から、社内完結型AI(オンプレミスAI)の相談に持ち込むA4・1枚の要件メモを作ってください。

【材料】
・社内に留めたい業務: (ステップ2で社内限定に分類したもの)
・扱う情報の種類と量: (例: 過去3年分の社内規程PDF 120ファイル、月30件の注文書)
・使う人数と場所: (例: 事務所の3名、うち1名は自宅からも使いたい)
・社内で機器を見られる人: (例: いない/パソコンに詳しい従業員が1名)
・予算感: (例: 初期は決めていない/月額は数万円まで)

出力: ①実現したいことを3つに絞った一覧 ②業者に必ず質問すべき項目(設置場所、保守範囲、故障時の対応、更新、撤去時の扱い) ③自社側で決めておくべきこと。金額の見込みは書かず、確認すべき質問として出してください。

※そのままコピーして使えます

あなたは相見積りの比較表を作る担当者です。以下の観点で、複数社の提案を比較する表のひな形を作ってください。

【材料】
・比較したい観点: (例: 初期費用、月額、設置場所、対応エリア、故障時の駆けつけ、データの保管場所、契約終了時の扱い)
・自社の必須条件: (例: 現地対応が可能なこと)
・譲れる条件: (例: 導入までの期間)

出力: ①比較表のひな形(項目/各社の記入欄/自社の必須条件を満たすかの判定欄) ②見積書に書かれていなくても必ず確認すべき5項目 ③比較の際にやりがちな誤り3つ。優劣の断定はせず、確認項目として書いてください。

※そのままコピーして使えます

和歌山県内には無料で使える公的な相談窓口があり、要件メモを持ち込む先として使えます。窓口の使い方と持参資料の整え方は、田辺市のAI導入相談|無料で試す手順と窓口に持ち込む資料の作り方【2026年8月】で手順化しました。

ステップ5: 社内ルールを紙1枚にして配る

最後は、決めた線を全員が読める形にすることです。ここを飛ばすと、せっかく引いた線が「社長の頭の中」にしか存在せず、現場は結局スマホで自己流に使い始めます。

あなたは中小事業者の情報管理に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、従業員向けのAI利用ルールをA4・1枚分で作ってください。

【材料】
・業種と人数: (例: 定食店・従業員4名)
・入力してよい情報: (ステップ2のクラウド可の分類)
・入力してはいけない情報: (ステップ1の上位3つ)
・使ってよい端末とアカウント: (例: 事務所の共用パソコンの会社アカウントのみ)
・困ったときの相談先: (例: 店長)

条件: 中学生でも読める言葉にする/禁止事項は理由を1行添える/判断に迷う場面の相談先を明記する。法令の断定は避け、判断が必要な点は「専門家に確認」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

あなたは社内共有が得意な管理者です。以下のルールを、パソコンが苦手な従業員に口頭で説明するための原稿にしてください。

【材料】
・ルールの要点: (前のプロンプトの出力を貼り付け)
・従業員の不安: (例: 仕事がなくなるのではないか、間違えて怒られるのではないか)
・当面やってよいこと: (例: 館内案内の翻訳の下書きまで)

条件: 300字前後。専門用語を使わない/何が変わって何が変わらないかを明記する/「迷ったら聞いてください」で締める。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

このルールは、AIのためというより従業員のために作ります。どこまでやってよいかが紙で示されていないと、現場は毎回判断を迫られ、結果として誰も使わなくなります。

【要注意】社内完結型AIでつまずく4つの誤解

線引きの話は、次の4つのどれかで必ずつまずきます。順に確認してください。

誤解1: 「オンプレミスにすれば情報漏えいはなくなる」

❌ よくある間違い: 機器を社内に置いた時点で対策は完了したと考え、アカウント管理やバックアップを後回しにする。

⭕ 正しいアプローチ: 置き場所を変えるのは対策の一部だと理解し、パスワード管理・権限設定・退職者のアカウント削除・バックアップを同時に決める。

なぜ重要か: IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の情報セキュリティ10大脅威 2026(2026年1月29日公表)では、組織向けの脅威の1位が「ランサム攻撃による被害」、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」、7位が「内部不正による情報漏えい等」です。いずれも、社内に置いた機器だからといって免れるものではありません。同ランキングでは3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されており、AIの利用そのものが新しい論点になっていることも示されています。

誤解2: 「Difyを社内に置けば、データは一切外に出ない」

❌ よくある間違い: 「オープンソースを自社サーバーに入れる」と聞いて、それだけで外部通信がゼロになると理解する。

⭕ 正しいアプローチ: DifyはAIアプリを組み立てる土台であり、実際に文章を生成するAIモデルは別に設定するものだと理解する。どのモデルを、どこで動かす設定にしたのかを、契約前に業者へ確認する。

なぜ重要か: 同じ「Dify導入」という言葉でも、モデルまで社内で動かす構成と、社内のDifyから外部のクラウドAIを呼ぶ構成では、データの流れがまったく違うからです。今回のラスティックシステムの発表は社内完結型AIとDifyを組み合わせた支援、リコーのパッケージは自社製LLMとDifyを組み合わせた構成と、それぞれ発表資料に書かれています。確認すべき質問は「Difyを使いますか」ではなく「文章を生成するモデルはどこで動きますか」です。

誤解3: 「クラウドAIは業務では使えない」

❌ よくある間違い: 情報漏えいのニュースを見て、クラウドAIを全面禁止にし、翻訳や下書きまで手作業に戻す。

⭕ 正しいアプローチ: 業務単位で仕分ける。公開済みの案内文、匿名化した数値、社外向けの文章の下書きは、クラウドAIで進めてよい領域として明示的に許可する。

なぜ重要か: 全面禁止は、守っているようでいて実は最も危ない状態を生むからです。禁止されると従業員は個人アカウントとスマホで使い始め、会社からは何も見えなくなります。許可された道をはっきり作るほうが、結果として管理できます。新しいモデルが発表されたときの向き合い方は、GPT-6 Astra発表|和歌山の事業者への影響と今週やる5ステップ【2026年9月】でも同じ手順にまとめました。

誤解4: 「まず全社導入。大きなPoCから始める」

❌ よくある間違い: 最初から全部門を対象にした実証実験を組み、半年かけて結論が出ないまま予算を使い切る。

⭕ 正しいアプローチ: 社内限定に振り分けた業務のうち、最も回数の多い1つに絞って相談する。今回の発表でも、大規模なGPUサーバーや高額なPoCありきではなく、GPU搭載PC1台の小規模構成から始められる提案だと説明されています。

なぜ重要か: 中小事業者にとっての制約は予算だけでなく、意思決定に使える時間そのものだからです。白浜への移住準備で地域の事業者と話す中でも、検討そのものが数年止まっている、という声を聞きます。1業務・1台・数か月で区切れば、失敗しても失うのは時間と少額の費用に収まります。

社内データを扱うAIを始める前のチェックリスト(8項目)

相談や契約に進む前に、現在地を確認してください。当てはまるものにチェックを入れます。

  • □ 社外に出せない情報の種類を、紙に書き出してある
  • □ 業務を「クラウド可」「社内限定」「条件つき」に仕分けてある
  • □ クラウド可の業務を1つ、実際に試して所要時間を記録した
  • □ 使ってよい端末とアカウントを決めてある(個人スマホの扱いを含む)
  • □ 入力してよい情報・いけない情報を、従業員に紙で配ってある
  • □ 名簿や原価表のバックアップの場所と頻度を決めてある
  • □ 退職者・異動者のアカウントを止める手順が決まっている
  • □ 業者に聞く質問(保守範囲、故障時の対応、契約終了時のデータの扱い)を用意した
社内データを扱うAIを始める前のチェックリスト図解

特に見落とされやすいのが、7項目目の退職者アカウントです。社内に機器を置くと、権限管理の責任も社内に移ります。ここが決まっていない状態で導入を急ぐと、置き場所を変えただけで穴はそのまま、という結果になりかねません。チェックが3つ未満でも心配はいりません。この記事の5ステップは、上から順に進めればチェックが1つずつ埋まる構成にしてあります。

数字で見る現在地|中小企業のAI導入は20.4%

「もう出遅れたのでは」と感じる方もいるはずです。公的な調査を見ると、状況は少し違います。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)によると、AIの導入率は「全社的に導入している」と「一部の業務で導入している」の合計で20.4%でした。導入を検討している企業の18.6%を加えても39.0%で、6割の中小企業はまだ検討にすら至っていません。同調査では、AI活用にあたって不足している情報として「成功事例や活用事例などの情報」が83.3%、「適切なベンダーや製品を選定する情報」が79.8%と、いずれも8割前後にのぼっています。

方針の面でも差があります。総務省の令和8年版 情報通信白書(企業における生成AI活用の現状)では、生成AIを「積極的に活用する」または領域を限定して活用する方針を示した企業は全体で68.9%(前年度調査は49.7%)ですが、内訳は大企業74.0%に対して中小企業58.1%です。方針を決めている中小企業は、まだ6割弱にとどまります。

この2つの数字を重ねると、今回のニュースの意味が見えてきます。多くの中小事業者が止まっている理由は予算ではなく、判断材料と選び方が分からないことです。だとすれば、8割の事業者が「情報が足りない」と答えている状態で、自社の業務を仕分けて紙1枚のルールを配るだけでも、それは十分に少数派の行動になります。

なお、実在の提供例として本記事で挙げたのは、株式会社ラスティックシステムの導入支援(2026年9月1日開始)とリコーの「RICOH オンプレLLMスターターキット」(2025年4月7日発表)の2件で、いずれも各社の公表資料に基づく記載です。両社の性能や価格の優劣について、本記事は評価をしません。判断材料が足りないと感じる場合は、国が運営する無料の経営相談所である和歌山県よろず支援拠点のような窓口で、第三者の意見を先に聞くのが現実的です。県内で使える支援制度の全体像は、和歌山県のデジタル化支援メニュー完全ガイド|使える制度と申し込み手順【2026年8月】に整理しています。

よくある質問

Q. オンプレミスAIとは何ですか?

AIを動かすコンピュータを自社の事務所やサーバー室に置き、そこで処理を完結させる方式のことです。「社内完結型AI」「ローカルLLM」と呼ばれることもあります。インターネットの向こう側の事業者に処理を任せるクラウド型と対になる考え方で、社外に出したくないデータを扱う業務で選択肢になります。

Q. 社内完結型AIとクラウドAIは、どちらが優れていますか?

優劣ではなく用途で決まります。始めやすさと運用の手間の小ささではクラウド型に分があり、データを社外に出さない設計のしやすさでは社内完結型に分があります。この記事の使い分け5基準(個人情報/契約上の守秘義務/間違いの行き先/頻度と量/運用を続けられる人)で、業務ごとに振り分けてください。

Q. 費用はいくらかかりますか?

今回のラスティックシステムの発表では、初期費用は数十万円台、月額運用サポート費も数万円程度からと案内されています。ただしこれは同社が示した目安であり、構成・データ量・利用人数によって変わります。総額は必ず見積りで確認してください。リコーのパッケージの価格は、参照した発表資料には記載がありませんでした。

Q. Difyとは何ですか?

AIチャットボットやAIワークフローをノーコードで組み立てるための、オープンソースのアプリ開発プラットフォームです。公式ドキュメントでは、Community Editionを自社の環境にDocker Composeで設置する手順が案内されています。ただしDifyはあくまで土台で、文章を生成するAIモデルは別に設定します。「Difyを社内に置く=すべて社内で処理される」とは限らない点に注意してください。

Q. 顧客名簿をChatGPTに入れると情報漏えいになりますか?

一律に「なる/ならない」と言い切ることはできません。個人情報保護委員会は、個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定した利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう注意喚起しています。まずは名簿を入れずに済む業務から始め、名簿を扱う運用は契約プランの条件を確認したうえで、無料相談窓口や有資格の専門家に相談してから設計してください。

Q. 和歌山県内でも導入できますか?

今回の発表では、大阪・関西圏を中心に展開し、オンラインで対応できる相談・ヒアリングは全国対応と案内されています。南紀からでも相談自体は可能ですが、機器の設置や故障時の現地対応がどこまで含まれるかは発表資料からは読み取れません。相談の際に、対応エリアと駆けつけ条件を必ず確認してください。

Q. パソコン1台でも本当に動きますか?

今回の発表では、大規模なGPUサーバーや高額なPoCありきではなく、利用人数・用途・予算に合わせてGPU搭載PC1台の小規模構成から始められる提案だと説明されています。ただし、扱う文書量や同時に使う人数によって必要な構成は変わります。ステップ4の要件メモに「文書の量」と「同時に使う人数」を書いておくと、無理のない構成かどうかを業者と確認しやすくなります。

Q. 導入費用に補助金は使えますか?

制度によって対象経費や要件が異なり、AIの利用料そのものが対象になるかは制度ごとの判断です。採択の可否をこの記事で保証することはできません。和歌山県内の事業者が使える制度と申し込みの順番は和歌山県のデジタル化支援メニュー完全ガイド|使える制度と申し込み手順【2026年8月】で整理していますので、対象になるかどうかは必ず窓口で確認してください。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: 社外に出せない情報の種類を紙に書き出す(ステップ1)
  2. 今週中にやること: 業務を「クラウド可」「社内限定」「条件つき」に仕分け、クラウド可の1業務を30分試す(ステップ2〜3)
  3. 今月中にやること: 社内限定が2つ以上残ったら要件メモを1枚作り、入力ルールを従業員に配る(ステップ4〜5)

AIの置き場所をめぐるニュースは、これからも出続けます。そのたびに振り回されないために残しておくべきなのは、最新の製品知識ではなく、自社のデータの一覧と、紙1枚の社内ルールです。

私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応)。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは「先月いちばん時間を食ったパソコン作業のメモ」だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。

次回予告: 社内限定に振り分けた業務を、実際にどんな順番で相談・比較していくかを、質問リスト付きで整理する記事を準備しています。

参考・出典

あわせて読みたい

※本記事は2026年9月8日時点で公表されている一次情報に基づきます。サービス内容・費用・対応エリアは変更される可能性があるため、判断の前に必ず各社の公式ページで最新情報をご確認ください。特定の製品・サービス間の優劣を判定するものではありません。法務・税務・投資の判断は、有資格の専門家にご相談ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。

ASK AI

この記事を、いつものAIで深掘りする。

記事タイトルとURLを含む質問文が自動で入り、要点・自社への当てはめ・実行手順・注意点を相談できます。

※記事タイトルとURLを含む質問文を自動入力します。自動入力に対応していない場合は質問文をクリップボードへコピーしてAIを開きます。相談内容の保存・利用は各サービスの規約と設定に従い、株式会社Tipが会話内容を取得することはありません。

河原将太の写真

河原 将太株式会社Tip 代表取締役社長

東京都立大学在学中に事業を開始し法人化。大手エネルギー関連企業へのAIコンサルティング、上場企業を含む20社以上へのコンサルティング提供、1投稿で1億回以上再生されたSNSコンテンツの企画に携わる(実績は代表およびメンバー個人としての活動を含む)。現在は和歌山の企業・観光事業者へのSNS・AI・DX支援と、県内のホテル・リゾート開発構想に取り組む。詳しいプロフィール

本記事は、株式会社Tipが公開情報・一次情報・実務での検証結果をもとに作成し、必要に応じて更新しています。掲載内容は最終更新日時点の情報です。

公開日: 2026.09.13 最終更新日: 2026.09.13