
結論: 静岡市が2026年9月8日に、市内中小企業向けの無料AI研修(各期20社・累計40社/全3回)の受講企業募集を公表しました。対象は静岡市内に事業所を持つ中小企業なので、和歌山県の事業者は申し込めません。ただし公開されているカリキュラムは「①自社課題の棚卸し→②実データでプロンプトを作る→③成果発表と社内ルールづくり」という3回構成で、これは自社で社内研修を組むときの設計図としてそのまま使えます。和歌山県も県内企業向けの生成AI講習を実施していますので、次の募集の確認先とあわせて整理します。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県、特に南紀(田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)で事業を営む中小企業・小規模事業者の経営者と、宿泊・観光・飲食・小売・農水産の現場責任者 読了後にできること: 自治体が組んだAI研修のカリキュラムを型として借り、半日×3回の社内AI研修の日程・参加者・宿題・成果物を今週中に紙1枚で決められる状態になる
「AIを使えと言われても、うちで誰が教えるんですか」
白浜(和歌山)への移住準備で地域の事業者の方と話す中で、この種の声を耳にします。ツールの話は毎日のように流れてくる。無料で試せることも知っている。それでも社内で使われないのは、教える人と、教わる時間が決まっていないからです。
AI導入がうまくいかない原因は、たいてい道具選びではありません。「誰が・いつ・何を持ち寄って・何を作って帰るか」が決まっていないことにあります。自治体が税金を使って設計する法人研修は、まさにこの部分を先に決めてから始まります。だからこそ、公開されたカリキュラムは中小企業にとって無料の教材になります。
この記事では、2026年9月10日時点で公表されている静岡市の研修の中身を一次情報で確認したうえで、和歌山県内で使える講習・相談窓口、半日×3回の社内AI研修を自社で組む手順、そのままコピペで使える8本のプロンプト、研修が定着するかどうかを分けるチェックリストを整理します。手元に、直近1か月で「これは面倒だった」と感じた作業を3つ書き出しながら読み進めてください。
目次
9月8日に公表された静岡市の無料AI研修|市内40社・申込は10月14日まで
最初に事実です。静岡市は令和8年度「AI活用促進に向けた法人研修業務」を公募型プロポーザルで委託し、静岡市の公募ページによると、契約予定者はFunTre株式会社(得点217点/250点)、委託期間は契約締結日から令和9年3月12日までです。所管は経済局商工部産業振興課経営支援係(電話054-354-2346)。そのFunTre株式会社が2026年9月8日に受講企業の募集開始をプレスリリースで公表しました。
公表されている中身は次のとおりです。
| プログラム | 日程・規模 | 申込締切 |
|---|---|---|
| 生成AI利活用セミナー(事前セミナー) | 第1回 9月16日(水)14:00〜16:00/第2回 9月24日(木)14:00〜16:00・オンライン(Zoom)・無料 | 各回とも開催日前日まで |
| 業務効率化に向けたAI活用研修 第1期 | 10月28日(水)・11月12日(木)・11月25日(水) 各10:00〜16:30 | 2026年10月14日(水) |
| 業務効率化に向けたAI活用研修 第2期 | 12月23日(水)・2027年1月13日(水)・1月28日(木) 各10:00〜16:30 | 特設ページに記載なし |

研修の会場は静岡労政会館5階視聴覚室(静岡市葵区黒金町5-1)で、オンライン配信もあります。定員は各期20社・各社2名まで、累計40社。受講料は無料で、対象は「静岡市内に事業所を有する中小企業(みなし大企業を除く)」と「中小企業者で組織する団体」です。セミナーのほうは「静岡市内の中小企業等(IT未経験・AI初心者歓迎)」とされています。詳細は受講企業向け特設ページとセミナー案内ページで公開されています(参照日: 2026-09-10)。
現時点で公表されているのはここまでです。プレスリリースでは事前セミナーは全3回とされ、第3回のテーマは「AIで『稼ぐ力』を最大化する」と示されていますが、参照日時点で特設ページに掲載されているのは第1回・第2回の日程だけでした。第2期の申込締切も同様に未掲載です。研修の受講企業がどこになるか、受講後にどんな成果が出たかも、当然ながらまだ公表されていません。この記事でも、そこから先の推測は書きません。
静岡市が組んだ全3回のカリキュラムを分解する
注目すべきは、日程よりもカリキュラムの組み立て方です。特設ページで公開されている各回の内容は、次の3段構えになっています。

第1回: ツールの話の前に、自社の業務フローを棚卸しする
1回目は「自社の業務フローを見直し、AIで効率化できる『自社課題』を棚卸し」したうえで基礎を学ぶ設計です。ここでいう棚卸しとは、業務を工程に分けて、時間がかかっている順に並べ直す作業を指します。
順番が重要です。多くの社内勉強会は「ChatGPTとは何か」から始まり、その日は盛り上がっても翌週には誰も使っていません。自社の困りごとを先に特定してから道具を触ると、学ぶ側の目的が「使えるようになること」ではなく「あの作業を短くすること」に変わります。
第2回: 実データを使って、業務に組み込めるプロンプトを作る
2回目は「実データを用いて、実務にそのまま組み込める高精度なプロンプトを作成・検証」する回です。研修用のサンプルではなく、自社の実際の文書やデータを持ち込む点が肝になります。
宿や飲食店なら、実際に届いた口コミ、実際の予約表、実際の仕入れ表です。架空の材料で作ったプロンプトは、現場に戻った瞬間に使えなくなります。プロンプトの実例はChatGPTを旅館・民宿で使う15の方法|コピペで使えるプロンプト集【2026年8月】にまとめています。
第3回: 成果発表と、社内に残す導入計画・利用ガイドライン
3回目は成果発表に加えて、「社内に定着させるための導入計画や利用ガイドラインの策定まで伴走」する構成です。研修の出口を「わかった」ではなく「文書ができた」に置いているということです。
利用ガイドラインとは、社内で生成AIを使うときの決まりごと(入力してはいけない情報、出力を人が確認する範囲、使ってよいツールなど)を書いた文書を指します。この3回目があるかどうかが、研修が一過性のイベントで終わるか、業務の仕組みとして残るかの分かれ目になります。
和歌山の事業者に効く3点|参加はできないが、確認先と型は使える
ここからが本題です。静岡市の研修に和歌山県の事業者は申し込めません。オンライン配信があっても、対象は市内に事業所を持つ中小企業等です。そのうえで、南紀の事業者が今日確認できることは3つあります。

1つ目は、県の生成AI講習の枠が実在することです。 和歌山県は「令和8年度生成AI実践講習企画運営業務」の公募型プロポーザルを実施し、契約予定者は株式会社インソース(評価点268点/300点満点)、委託上限額は5,500,000円(税込)、委託期間は契約締結日から令和9年2月28日までと公表されています。想定受講者は「県内企業のDX担当者」です。所管は商工労働部企業政策局企業振興課(電話073-441-2715)。つまり和歌山県にも、静岡市と同種の県内企業向け講習の予算枠があります。
2つ目は、今年度の一部の募集はすでに終わっているという事実です。 わかやま企業応援ナビによると、「生成AIを活用した新規事業立案力講習」は令和8年7月31日・8月6日・8月20日・9月10日の全4回、会場は和歌山県JAビル(和歌山市美園町5-1-1)、定員50名、受講料無料で、申込締切は令和8年7月17日(金)でした。県内企業に所属し全日程に参加できる方が対象で、締切はすでに過ぎています。県の「生成AIに関する講習について」のページは、参照日時点では令和7年度分の案内(活用講習は令和7年10月24日・定員30名・無料、実践講習は令和7年11月14日と11月28日の2日間・定員30名程度・無料)が掲載された状態でした。令和8年度の実践講習の受講者募集がいつ告知されるかは、参照日時点では確認できていません。
3つ目は、待っている間にやることがあるということです。 次の募集を待つだけでは、その間の数か月が空白になります。静岡市が公開した3回のカリキュラムは、そのまま自社で再現できます。無料の経営相談は和歌山県よろず支援拠点(中小企業庁の事業、和歌山市本町二丁目1番地 フォルテワジマ6階、073-433-3100)が通年で受け付けていますし、県の支援制度全体の並びは和歌山県のデジタル化支援メニュー完全ガイド|使える制度と申し込み手順【2026年8月】で整理しています。市の窓口の使い方は田辺市のAI導入相談|無料で試す手順と窓口に持ち込む資料の作り方【2026年8月】が近い内容です。
10月14日を自社の締切に読み替える|半日×3回の社内AI研修の組み立て方
静岡市の申込締切は10月14日(水)です。和歌山の事業者にとってこの日付は関係がない——のではなく、「自社の1回目をいつ開くか」を決める目安として使えます。ここでは、静岡市の3回構成をそのまま社内向けに縮めた設計を示します。所要は半日×3回、道具は無料のAIとふだんのパソコンだけです。
以下のプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。( )の中を自社の事実に置き換えてください。
準備: 誰を出すか決める(各回2名まで、が現実的)
静岡市の研修は「各期20社/各社2名まで」という定員設計です。この「2名まで」は制約ではなく、設計思想として真似する価値があります。1名だと社内に戻ったとき孤立し、5名だと誰も自分ごとにしません。決めるのは、①現場で一番手が止まっている業務の担当者、②その業務の決裁ができる人、の2名です。
あなたは中小企業の人材育成に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、社内AI研修に出す2名の人選案と、その理由を整理してください。
【材料】
・業種と規模: (例: 白浜町の客室12室の旅館、従業員9人)
・手が止まりがちな業務: (例: 予約の電話対応、口コミ返信、シフト作成)
・パソコンやスマホの操作に慣れている人: (例: 40代のフロント担当)
・投資や運用ルールを決められる人: (例: 女将)
出力: ①推薦する2名の役割と選定理由 ②その2名に事前に伝えるべきこと ③人選で外すべきパターン。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
第1回(半日): 業務を工程に割り、時間の順に並べる
1回目でやることは、AIの説明ではなく棚卸しです。参加者には「直近1か月で面倒だった作業」を3つずつ書いて持ってきてもらいます。その場で工程に分解し、1回あたりの所要時間と月の回数を書き込みます。
あなたは業務プロセスの改善に詳しいコンサルタントです。以下の材料から、業務を工程に分解し、AIで短縮できる可能性の高い順に並べてください。
【材料】
・業種と業務名: (例: 旅館の口コミ返信)
・現在の手順: (例: 管理画面を開く→内容を読む→文面を考える→投稿する)
・1回あたりの所要時間と月の回数: (例: 1件15分・月40件)
・使っている道具: (例: 予約サイトの管理画面、紙のメモ)
出力: ①工程ごとの所要時間の内訳 ②AIで短縮できる工程とできない工程の仕分け ③短縮できる可能性が高い順の並べ替えと理由。計算は入力した数値の範囲で行い、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは中小企業のAI活用に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、社内AI研修 第1回(半日)の進行表を作ってください。
【材料】
・参加者: (例: フロント担当1名、女将1名)
・持ち寄る材料: (例: 面倒だった作業を各自3つ)
・使える時間: (例: 13:30〜17:00)
・当日のゴール: (例: 取り組む業務を1つに絞る)
出力: 15分単位の進行表(時刻/内容/使う道具/その時間の成果物)。休憩を1回入れてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、1回目で扱う業務を1つに絞ることです。棚卸しをすると10個も20個も出てきますが、全部やろうとすると2回目までに誰も宿題を終えられません。
第2回(半日): 実データでプロンプトを作り、その場で検証する
2回目は、1回目で選んだ業務の実物を持ち込みます。実際の口コミ、実際の問い合わせメール、実際の献立表です。作ったプロンプトは、その場で3回以上試して、出力が毎回使える水準かを確認します。
あなたはプロンプト設計の専門家です。以下の材料から、この業務専用のプロンプトを作ってください。
【材料】
・業務名: (例: 英語の口コミへの返信)
・入力できる材料: (例: 口コミ本文、評価、利用状況)
・望む出力の形式と長さ: (例: 日本語150字と同じ内容の英文)
・守ってほしい条件: (例: 言い訳をしない、事実だけを書く)
・入れてはいけない情報: (例: 宿泊者の氏名、電話番号)
出力: ①完成プロンプト ②穴埋め箇所の説明 ③出力を人が確認すべき点のリスト。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは品質管理の担当者です。以下のプロンプトと出力を評価し、実務で使える水準かを判定してください。
【材料】
・使用したプロンプト: (そのまま貼り付け)
・出力結果を3回分: (そのまま貼り付け)
・実務で許容できない条件: (例: 事実と違う設備を書く、敬語が崩れる)
出力: ①3回の出力のブレの大きさ ②実務で危険な箇所の指摘 ③プロンプトの修正案。判断できない点は「未確認」と書いてください。
※そのままコピーして使えます
現場で効くのは、うまくいった例より「うまくいかなかった出力」を全員で見る時間です。AIが事実でないことを書く場面を一度見ておくと、人が確認すべき範囲が体感でわかります。
第3回(半日): 利用ガイドラインと導入計画を文書にして終わる
3回目の出口は文書です。研修が終わった翌日から、参加していない従業員も同じルールで使えるようにします。
あなたは社内規程の作成に詳しい担当者です。以下の材料から、中小企業向けの「生成AI利用ガイドライン」の草案をA4見開き2ページ相当で作ってください。
【材料】
・業種と従業員数: (例: 飲食店、従業員12人)
・使う予定のツール: (例: ChatGPTの無料版)
・扱う情報の種類: (例: 予約者の氏名・電話番号、仕入先の見積)
・すでにある社内ルール: (例: 個人情報は持ち出し禁止)
出力: ①入力してよい情報・してはいけない情報 ②出力を人が確認する範囲 ③使ってよいツールと申請の要否 ④困ったときの相談先 ⑤見直しの時期。法令の解釈が必要な箇所は「専門家に確認」と明記し、事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは業務改善の推進役です。以下の材料から、3か月分の社内AI導入計画を作ってください。
【材料】
・研修で取り組んだ業務: (例: 口コミ返信)
・研修で作った成果物: (例: 返信用プロンプト1本、ガイドライン草案)
・次に広げたい業務: (例: 予約確認メール、シフト表のたたき台)
・関われる人と時間: (例: 2名・週1時間)
出力: 月ごとの実施項目/担当/確認する数字(回数・所要時間)/振り返りの日付。数値目標は入力した実績値からの計算に限り、根拠のない目標は書かないでください。
※そのままコピーして使えます

研修後: 使った記録を残し、次の公的支援に備える
最後に、記録です。「何の業務に、月何回、何分使ったか」をメモしておくと、次に県の講習や補助金に申し込むときの申請材料になります。
あなたは記録の整理が得意なアシスタントです。以下の材料から、AI活用の記録シートの項目と、月次の振り返りメモの雛形を作ってください。
【材料】
・対象業務: (例: 口コミ返信、予約確認メール)
・記録できる項目: (例: 件数、1件あたりの所要時間、担当者)
・振り返りに使える時間: (例: 月30分)
出力: ①記録シートの列の定義 ②月次メモの雛形(実績/気づき/次にやること) ③記録が続かないときの簡略版。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
あなたは公的支援の相談準備を支援するアドバイザーです。以下の材料から、講習や助成金の相談窓口に持ち込むA4 1枚の論点メモを作ってください。
【材料】
・事業の概要: (例: 田辺市の飲食店、従業員8人)
・社内研修でやったことと成果物: (例: 半日×3回、プロンプト2本とガイドライン草案)
・次にやりたいこと: (例: 予約管理の見直し、従業員6人への展開)
・相談時間: (例: 60分)
出力: ①現状の事実(数字で) ②やりたいこと ③自分で調べて分かったこと ④その場で聞きたい質問を優先順に5つ。分からない項目は「未確認」と書いてください。
※そのままコピーして使えます
「無料の研修に行けば社内が変わる」ほか、起きやすい4つの誤解
自治体の研修のニュースを見たあとに起きやすい勘違いを、4つ挙げます。
誤解1: 「オンライン配信があるなら、和歌山からでも受講できる」
❌ よくある間違い: 研修にオンライン配信があると書いてあるのを見て、地域を問わず参加できると考える。
⭕ 正しいアプローチ: 対象要件を先に読む。静岡市の研修の対象は「静岡市内に事業所を有する中小企業(みなし大企業を除く)」と「中小企業者で組織する団体」で、配信方法とは別の条件です。
なぜ重要か: 自治体の産業振興予算は、その地域の事業者を支援するために組まれているからです。裏を返せば、和歌山県内の事業者には和歌山県・各市町村の枠があるということでもあります。県の講習の所管は企業振興課(073-441-2715)です。
誤解2: 「AI研修とは、ツールの使い方を教わる場だ」
❌ よくある間違い: 講師が操作方法を教えてくれる時間だと考え、自社の材料を持たずに参加する。
⭕ 正しいアプローチ: 自社課題の棚卸し(第1回)と実データでの検証(第2回)が本体だと理解する。静岡市の研修も、実データを用いてプロンプトを作成・検証する設計になっています。
なぜ重要か: 操作方法は無料の解説記事でも学べる一方、「自社のどの工程に当てるか」は自社の材料がないと決められないからです。持ち込む材料の質が、その研修の価値をほぼ決めます。
誤解3: 「生成AIの研修なら、助成金の対象になる」
❌ よくある間違い: AI研修=リスキリングだから助成対象だろうと考え、先に日程と支払いを確定させてしまう。
⭕ 正しいアプローチ: コースごとの要件を先に確認する。厚生労働省の人材開発支援助成金には7つのコースがあり、このうち事業展開等リスキリング支援コースは「新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練」が対象とされています。支給要件や提出書類は詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)に示されており、令和8年度には設備投資加算が新設されています。
なぜ重要か: 訓練の内容・実施方法・職務との関連によって取扱いが変わり、訓練を始める前に手続きが必要な場合があるからです。日程を決める前に、和歌山労働局または最寄りのハローワークに事前確認してください。当コラムは助成金の支給を保証する立場にはなく、申請サポートは提携の専門家とともに行います。
誤解4: 「全従業員を集めないと意味がない」
❌ よくある間違い: 全員参加でないと不公平だと考え、日程が合わず開催そのものが流れる。
⭕ 正しいアプローチ: まず2名で始め、3回目に作ったガイドラインと手順書で残りに広げる。静岡市の研修も「各社2名まで」という設計です。
なぜ重要か: 少人数のほうが実データを扱えて、意思決定が早いからです。人手不足の職場ほど全員参加は現実的でなく、2名で作った型を配るほうが結果的に早く広がります。人手不足とAIの関係は旅館・ホテルの人手不足はAIでどこまで減らせるか|7業務の適用マップ【2026年8月】でも整理しています。
ここまでの内容は、公表情報と無料の道具だけで進められます。それでも「進行役を誰がやるのか決まらない」「実データを持ち込む前の整理で止まる」という事業者が多いのも実情です。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、地域の中小事業者のデジタル面の支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応)。無料ヒアリングは最大60分、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
社内AI研修が続く会社・1回で止まる会社の違い(チェックリスト)
現在地の確認に使ってください。当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 研修で扱う業務を1つに絞り、工程と所要時間を数字で書き出している
- □ 参加者が2名(現場担当と決裁できる人)に決まっている
- □ 実際の口コミ・メール・帳票など、自社の実データを持ち込む段取りがある
- □ 入力してはいけない情報(氏名・電話番号・取引先の見積など)を先に決めている
- □ 出力を人が確認する範囲を、業務ごとに文書で決めている
- □ 3回目の出口が「文書ができた状態」(ガイドライン・導入計画)に設定されている
- □ 研修後の記録(件数・所要時間)を残す担当と、振り返りの日付が決まっている
- □ 次の公的講習・助成の確認先(県企業振興課・よろず支援拠点・労働局)を控えている

特に見落とされやすいのが、最後の「確認先を控える」です。チェックが少なくても心配はいりません。この記事の3回構成は、上から順に進めればチェックが1つずつ埋まる並びにしています。
数字で見る|利用率は86.4%、それでも中小企業のAI導入は20.4%
「うちが今から研修をやっても遅いのでは」と感じるかもしれません。公表されている数字は、むしろ逆を示しています。
まず全体です。総務省の令和8年版 情報通信白書「生成AIの業務利用状況」によると、自社の何らかの業務で生成AIを利用している割合は日本で86.4%となり、2024年度の調査と比較して大幅に増加しています。用途は文書作成・資料作成等が最多です。
一方で、中小企業の実態は別の数字が示しています。中小機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)は、令和7年11月17日〜12月12日に全国の中小企業10,000社へ配布し、有効回答1,668社(回収率16.7%)を得た調査です。ここでは、AIの導入率(「全社的に導入している」3.6%+「一部の業務で導入している」16.8%)は20.4%。「導入を予定・検討中」の18.6%を合わせても39.0%です。業務部門別に見ると、総務・管理部門68.3%、営業・販売・サービス部門60.3%、経営・企画部門58.5%に対し、製造・生産部門は34.9%。導入済み企業が使っているAIサービスは生成AIが82.6%で最多、次点の音声認識・音声対話AI(29.8%)を大きく引き離しています。
同じ調査で、AIの導入目的は「業務効率化/作業時間の短縮」が87.0%と突出し、2位の「品質向上」(32.3%)と50ポイント以上の差があります。効果として「業務効率化/作業時間の短縮」を挙げた企業は83.2%。そして、不足している情報としては「成功事例や活用事例などの情報」が83.3%、「適切なベンダーや製品を選定する情報」が79.8%と続き、必要な公的支援では「導入費用などの助成」が77.9%、「導入事例などの情報提供」が70.5%を占めました。
要するに、個人としては使っている人が多いのに、会社として導入できている中小企業は5社に1社。足りないのはツールではなく「自社ではどう使うか」の事例と型です。だからこそ、自治体が公開したカリキュラムは、そのまま埋めるべき穴になります。今から半日×3回を回した会社は、和歌山の同業の中では確実に少数派の側です。
よくある質問
Q. 中小企業向けのAI研修を自治体がやっている例はありますか?
あります。静岡市は令和8年度「AI活用促進に向けた法人研修業務」として、市内中小企業向けに無料の事前セミナーとAI活用研修(各期20社・累計40社、全3回)を実施しています。和歌山県も「令和8年度生成AI実践講習企画運営業務」を委託しており、想定受講者は県内企業のDX担当者です。実施の有無や募集時期は自治体ごとに異なるため、所管課のページで確認してください。
Q. 和歌山県の生成AI講習は、いつ募集がありますか?
参照日(2026-09-10)時点で、令和8年度の実践講習の受講者募集は確認できていません。県の「生成AIに関する講習について」のページには令和7年度分の案内が掲載された状態でした。今年度の「生成AIを活用した新規事業立案力講習」(全4回・定員50名・無料)の申込締切は令和8年7月17日で終了しています。募集の告知先は和歌山県企業振興課(073-441-2715)とわかやま企業応援ナビです。
Q. 静岡市の研修に、和歌山の会社が参加する方法はありませんか?
対象が「静岡市内に事業所を有する中小企業(みなし大企業を除く)」等と定められているため、和歌山県内のみで事業を営む会社は対象外です。オンライン配信の有無とは別の条件になります。公開されているカリキュラム(全3回の構成)を自社研修の設計に使うのが現実的な活用法です。
Q. 社内AI研修は、何人で・何時間やればいいですか?
まずは2名・半日×3回を目安にしてください。静岡市の研修も各社2名までで、1回あたり10:00〜16:30です。自社でやる場合は同じ密度を保つ必要はなく、半日ずつに縮めても構いません。大事なのは時間数より、3回目に文書(利用ガイドラインと導入計画)を残して終えることです。
Q. AI研修の費用に使える助成金はありますか?
厚生労働省の人材開発支援助成金には7つのコースがあり、事業展開等リスキリング支援コースは事業展開等に伴い新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練を対象としています。ただし訓練内容や実施方法によって取扱いが変わり、訓練開始前に手続きが必要な場合があります。日程確定の前に和歌山労働局・ハローワークへ確認してください。設備やツールの導入費用側の制度は中小企業の補助金2026年秋版|和歌山の締切一覧と今週やること【2026年9月】にまとめています。
Q. 生成AIの利用ガイドラインは、小さな会社にも必要ですか?
必要です。従業員が数人でも、お客様の氏名・電話番号・取引先の見積といった情報を扱う以上、「入力してよい情報」と「人が確認する範囲」を決めておかないと、事故が起きたときに個人の判断責任になってしまいます。A4見開き2ページで十分で、この記事のプロンプトで草案は作れます。法令の解釈が必要な部分は専門家に確認してください。
Q. 研修をやっても、結局使われずに終わりそうです。
出口を「わかった」ではなく「成果物」に置いてください。静岡市の研修が3回目に導入計画とガイドラインの策定まで含めているのは、そのためです。加えて、月1回30分の振り返り日をあらかじめカレンダーに入れておくと、止まっている理由が早く見つかります。
Q. 研修の前に、無料で相談できる窓口はありますか?
和歌山県よろず支援拠点(中小企業庁の事業、073-433-3100)で無料の経営相談ができます。市町村の窓口の使い方や持ち込む資料の作り方は田辺市のAI導入相談|無料で試す手順と窓口に持ち込む資料の作り方【2026年8月】、県全体の支援制度は和歌山県のデジタル化支援メニュー完全ガイド|使える制度と申し込み手順【2026年8月】で確認できます。
まとめ|9月16日・10月14日・11月を自社のカレンダーに置き換える
- 今日やること: 直近1か月で面倒だった作業を3つ書き出し、1回あたりの所要時間と月の回数を数字で埋める
- 今週中にやること: 社内AI研修に出す2名を決め、第1回の日程(半日)をカレンダーに入れる。あわせて和歌山県企業振興課とわかやま企業応援ナビで、令和8年度の講習の募集告知を確認する
- 今月中にやること: 第1回を開いて取り組む業務を1つに絞り、第2回に持ち込む実データ(口コミ・メール・帳票)を用意する
静岡市の締切である10月14日は、和歌山の事業者にとっては「同じ月に自社の1回目を開く」という目安に読み替えられます。3回のうち、外部に依存する作業は1つもありません。
次回予告: AI検索に自社の情報を正しく拾わせる準備は、LLMO対策の始め方|中小企業が今日できる一次情報の整え方7ステップ【2026年9月】で扱っています。
参考・出典
- 静岡市「公募型プロポーザル『AI活用促進に向けた法人研修業務』」(令和8年度/企画提案書提出締切6月5日17時必着、審査結果通知6月22日、委託期間 契約締結日〜令和9年3月12日、契約予定者 FunTre株式会社 217点/250点、所管 経済局商工部産業振興課経営支援係 054-354-2346) 静岡市 公募ページ (参照日: 2026-09-10)
- FunTre株式会社「【受講企業募集】静岡市 令和8年度『AI活用促進に向けた法人研修』参加企業の募集を開始」(2026年9月8日/対象は静岡市内に事業所を有する中小企業〈みなし大企業を除く〉および中小企業者で組織する団体、事前セミナー3回、研修2期各3回、各期20社・累計40社、受講料無料) プレスリリース (参照日: 2026-09-10)
- 静岡市AI活用促進 特設ページ(研修 第1期 2026年10月28日・11月12日・11月25日/第2期 12月23日・2027年1月13日・1月28日 各10:00〜16:30、静岡労政会館5階視聴覚室〈静岡市葵区黒金町5-1〉※オンライン配信あり、定員 各期20社・各社2名まで、受講料無料、申込締切 2026年10月14日/セミナー 第1回9月16日14:00〜16:00・第2回9月24日14:00〜16:00、オンライン〈Zoom〉、申込は各回開催日前日まで) 研修 特設ページ / セミナー案内 (参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「【審査結果掲載】『令和8年度生成AI実践講習企画運営業務』業務委託に係る公募型プロポーザルの実施について」(対象 県内企業のDX担当者、委託上限額5,500,000円〈税込〉、委託期間 契約締結日〜令和9年2月28日、提出期限 令和8年4月14日17:00、審査 令和8年4月21日、契約予定者 株式会社インソース 268点/300点、企業振興課 073-441-2715) 和歌山県 公募ページ (参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県「生成AIに関する講習について」(参照日時点で掲載されているのは令和7年度分の案内。活用講習 令和7年10月24日13:00〜18:00・和歌山県民文化会館・定員30名・無料、実践講習 令和7年11月14日と11月28日の2日間・定員30名程度・無料) 生成AIに関する講習について (参照日: 2026-09-10)
- わかやま企業応援ナビ「生成AIを活用した新規事業立案力講習」(令和8年7月31日・8月6日・8月20日・9月10日の全4回、和歌山県JAビル〈和歌山市美園町5-1-1〉、定員50名、受講料無料、申込締切 令和8年7月17日) 講習の案内ページ (参照日: 2026-09-10)
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」第I部第2章「生成AIの業務利用状況」(自社の何らかの業務で生成AIを利用している割合 日本86.4%、用途は文書作成・資料作成等が最多) 令和8年版 情報通信白書 (参照日: 2026-09-10)
- 中小機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月公表/調査期間 令和7年11月17日〜12月12日、全国の中小企業10,000社へ配布、有効回答1,668社・回収率16.7%。AI導入率20.4%〈全社的3.6%+一部16.8%〉、導入予定・検討中18.6%、導入目的「業務効率化/作業時間の短縮」87.0%、導入済み企業の生成AI利用82.6%、不足する情報「成功事例や活用事例などの情報」83.3%、必要な公的支援「導入費用などの助成」77.9%・「導入事例などの情報提供」70.5%) 調査結果のポイント(PDF) (参照日: 2026-09-10)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」(7コース。事業展開等リスキリング支援コースは事業展開等に伴い新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練が対象。詳細版パンフレットは令和8年8月3日版、令和8年度に設備投資加算を新設) 人材開発支援助成金 (参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県よろず支援拠点(中小企業庁の事業・相談無料、和歌山市本町二丁目1番地 フォルテワジマ6階、073-433-3100) 和歌山県よろず支援拠点 (参照日: 2026-09-10)
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※本記事は2026年9月10日時点で公表されている情報に基づく解説です。研修・講習の日程、定員、対象要件、締切は変更される場合があります。申込前に必ず各実施主体の公式ページでご確認ください。助成金の支給可否は個別の審査によるもので、当コラムが保証するものではなく、申請サポートは提携の専門家とともに行います。労務・法務・税務の判断が必要な事項は有資格の専門家にご相談ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。