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熱中症特別警戒アラートは10月21日まで|南紀の事業者が決める作業中止基準【2026年9月】

熱中症特別警戒アラートは10月21日まで|南紀の事業者が決める作業中止基準【2026年9月】

結論: 那智勝浦町は2026年9月7日にページを更新し、熱中症特別警戒アラートの運用と指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)を改めて周知しました。ただし事業者にとって先に効くのは、アラートが出るかどうかではありません。2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則が、暑さ指数(WBGT)28以上または気温31以上の場所で連続1時間以上・1日4時間超の作業を行う事業者に、①報告体制の整備 ②悪化を防ぐ手順の作成 ③関係者への周知を罰則付きで義務づけているからです。決めるべきは「誰が・どの数字で・作業を止めるか」と「その判断をどう残すか」の2つです。

この記事の要点 対象読者: 和歌山県(特に田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)で、屋外作業・厨房・配送や送迎を抱える事業者と現場の責任者 読了後にできること: 自社のどの作業が法令上の対象になるかを1時間で洗い出し、この記事の文例をコピペして、作業中止の基準・報告ルート・記録様式を今週中に紙1枚にできる状態になる

「アラートが出たら休むんですよね? まだ一度も出てませんけど」

現場でこう返されると、話がそこで止まります。実際、熱中症特別警戒アラートは2024年の運用開始以降、環境省の発表履歴で確認するかぎり発表実績がありません(2026年9月9日参照)。発表の条件が「都道府県内の全ての暑さ指数情報提供地点で、翌日の日最高暑さ指数が35に達する」という厳しいものだからです。

つまり、アラートを待って動く設計にしてしまうと、事業所の熱中症対策は永遠に始まりません。一方で、職場の熱中症による死傷者数は令和7年に1,803人と統計開始以来最多を更新しています。止めるべき日は、アラートの出ない日にも来ているということです。

ここを取り違えたまま夏を越えると、次の2つが同時に起きます。作業者の体調不良に気づくのが遅れること。そして、後から「あの日、誰がどう判断したのか」を誰も説明できないことです。

この記事では、白浜(和歌山)への移住準備を進めながら地域の事業者と話す立場から、アラートの発表基準という事実の整理と、南紀の屋外作業・厨房・配送それぞれに効いてくる影響、そして10月21日の運用期間終了までに決めておく中止ラインと記録の型を、そのままコピペで使える8本の文例プロンプトとあわせて公開します。手元に自社の就業規則と作業手順書を開きながら読み進めてください。

目次
  1. アラートが出た日、現場が最初に見る順番(早見表)
  2. 何が起きたか|那智勝浦町が9月7日に更新した「特別警戒アラート」の周知
  3. 南紀の誰に効くか|屋外作業・厨房・配送で分かれる影響
  4. 10月21日までに決めておく:中止ラインと報告ルート(コピペ文例つき)
    1. 対象になる作業を洗い出す(WBGT28・気温31・1時間・4時間)
    2. 中止・短縮の線を「数字と時刻」で決める
    3. 体調不良の報告ルートと、その場でやる手順を書く
    4. 就業規則・作業手順書のどこに書くかを決める
    5. 周知と記録を「その日のうちに終わる形」にする
  5. 【要注意】アラートをめぐって現場でこじれる4つの誤解
    1. 誤解1: 「アラートが出ていないから、うちはまだ大丈夫」
    2. 誤解2: 「屋内の作業だから対象外」
    3. 誤解3: 「水分と塩分を用意してあるから対策済み」
    4. 誤解4: 「口頭で全員に言ってあるから周知した」
  6. 自社の現在地を確かめる8項目(チェックリスト)
  7. 数字で見る|職場の熱中症は1,803人で過去最多、死亡は19人に減少
  8. よくある質問
    1. Q. 熱中症特別警戒アラートが発表されたら、事業者は作業を止めなければいけませんか?
    2. Q. 熱中症警戒アラートと特別警戒アラートは何が違いますか?
    3. Q. 対象になる作業かどうかは、どう判断すればいいですか?
    4. Q. 屋内の厨房も対象になりますか?
    5. Q. 一人で運転する配送や送迎は、どう対応すればいいですか?
    6. Q. 記録は何を、どのくらい残せばいいですか?
    7. Q. 費用をかけずに始められることはありますか?
    8. Q. 作業を中止した時間の賃金はどうなりますか?
  9. まとめ:今日から始める3つのアクション
  10. 参考・出典

アラートが出た日、現場が最初に見る順番(早見表)

最初に全体像です。上から順に見る場所と決めることを固定しておけば、暑い日の朝に迷う場面はほぼなくなります。

場面 見る情報 先に決めておくこと
前日の午後 環境省の暑さ指数の予測値とアラートの発表状況 翌日の作業の前倒し・入れ替えを誰が決めるか
作業前 作業場所のWBGT(暑さ指数)の実測値 測る場所と測る時刻(朝・正午・15時など)
作業中 数字と作業者の様子の両方 短縮・中断・中止に切り替える数値の線
体調不良の申し出 誰に・どう伝わるか 報告のルートと、その場で行う冷却・救急要請の手順
作業後 その日の判断の記録 1行で残す様式と保管場所
熱中症特別警戒アラート発表時に現場が動く5段階のフロー図

ポイントは、順番の1番目を「アラートが出たかどうか」にしないことです。アラートは都道府県単位の情報で、現場のWBGTはその日その場所の数字です。判断の主役は後者で、アラートは「今日は特に危ない日だ」と全員の意識を合わせるための材料と考えてください。

所要時間の目安は、この記事の内容をひととおり整えて2〜3時間です。厚生労働省の「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」は令和8年5月1日から9月30日までが期間とされており、9月中の今はまさにその期間中にあたります。

何が起きたか|那智勝浦町が9月7日に更新した「特別警戒アラート」の周知

事実関係を、一次情報だけで整理します。ここから先の予測は書きません。

那智勝浦町は2026年9月7日、『熱中症特別警戒アラート』を運用しています!(実施時期にご注意ください)というページを更新しました。内容は、アラートの発表基準、発表時の行動、防災行政無線での周知、そして町が指定した指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)の一覧(令和8年9月1日時点)です。担当は町の福祉課健康推進係(電話 0735-52-2934)と記載されています。

発表基準は制度側で決まっています。環境省の熱中症特別警戒情報とはによれば、熱中症特別警戒アラートは「都道府県内において、全ての暑さ指数情報提供地点における、翌日の日最高暑さ指数(WBGT)が35(予測値)に達する場合等に発表」されます。発表は前日の午後2時です。

一段下の熱中症警戒アラートは基準が違います。同じく環境省の説明では、府県予報区等内の「いずれかの」地点で翌日または当日の日最高暑さ指数が33に達すると予測される場合に発表され、時刻は前日の午後5時と当日の午前5時です。「全地点で35」と「いずれか1地点で33」——この差が、発表頻度の差になっています。

熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラートの発表基準の違いを示す図解

和歌山県の熱中症特別警戒アラート等については、県内の暑さ指数情報提供地点を11地点(かつらぎ、友ケ島、和歌山、高野山、清水、龍神、川辺、栗栖川、新宮、西川、潮岬)と示しています。高野山を含むこれら全ての地点で翌日のWBGT35が予測されて初めて、県に特別警戒アラートが出るということです。

運用期間には注意点があります。環境省の報道発表令和8年度熱中症特別警戒アラート及び熱中症警戒アラートの運用を開始します(2026年4月14日発表)と和歌山県のページは、いずれも令和8年度の運用期間を2026年4月22日から10月21日までとしています。一方、那智勝浦町のページには「4月第4水曜日から10月第4水曜日」「令和8年度は、4月22日から10月28日」と書かれています(いずれも2026年9月9日参照)。期間の終わりごろは、環境省と県の公表を基準に確認するのが確実です。

そして、発表実績です。環境省の熱中症警戒アラート発表履歴を2026年9月9日時点で確認したところ、特別警戒アラートの欄はいずれの都道府県も発表なしの表示でした。2024年の制度開始以降、記録的な高温だった年も含めて発表に至っていません。

現時点で公表されているのはここまでです。 発表基準の今後の見直しや、南紀の事業者向けに新しい支援制度が用意されるかどうかについて、2026年9月9日時点で確認できる公表はありません。判断は、公表された基準と自社の現場の数字だけで行ってください。

なお、クーリングシェルターの位置づけも押さえておく価値があります。和歌山県のページは、特別警戒アラートが発表されたときに、あらかじめ公表された開放可能日時においてクーリングシェルターが開放されると説明しています。一方で那智勝浦町のページは、アラートの発表に関わらず、外出中に暑さで気分がすぐれないときなどに利用してよいと案内し、あわせて「運用期間中、常時冷房がついているわけではありません」と注記しています。配送・外回り・現場巡回のある事業者は、この一覧を先に印刷して車に積んでおくと、緊急時の退避先として使えます。

南紀の誰に効くか|屋外作業・厨房・配送で分かれる影響

ここからが本題です。「アラートが出たら」ではなく「2025年6月からすでに」効いている話をします。

2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、職場の熱中症対策は事業者の義務になりました。厚生労働省の各労働局が示す説明によれば、対象となるのは、WBGTが28以上または気温が31以上の場所で、継続して1時間以上または1日あたり4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。義務の中身は、①熱中症の自覚症状がある作業者などを報告させる体制の整備、②作業からの離脱・身体の冷却・医師の診察や処置など、症状の悪化を防ぐための手順の作成、③その体制と手順の関係者への周知、の3つで、罰則付きとされています(広島労働局 職場における熱中症対策の強化)。

「うちは建設業ではないから関係ない」と読み飛ばされがちですが、条文が見ているのは業種ではなく作業環境と作業時間です。南紀の事業者に引き直すと、次のような分かれ方になります。

現場 高温が効いてくるところ 先に決める1つ
屋外作業(農・水産・建設・清掃・草刈り・イベント) 午前の作業でも気温31を超えやすく、対象作業に該当しやすい 何時から何時までを作業禁止帯にするか
厨房・バックヤード(旅館・飲食・食品加工) 屋内でも火気と湿度でWBGTが上がり、屋外より高くなる場合がある 厨房のどこで、いつWBGTを測るか
配送・送迎・外回り(運送・宿の送迎・訪問営業) 単独作業で異変に気づく人がいない 誰に・何分おきに連絡を入れるか
屋外作業・厨房・配送の現場別に熱中症対応の要点を整理した図解

特に見落とされやすいのが厨房です。暑さ指数は気温だけでなく湿度と輻射熱を含む指標なので、火を使い蒸気がこもる場所は、外気温がそれほどでなくても数値が上がります。屋内だから対象外という判断は、条文の読み方としても現場の実感としても成り立ちません。

配送・送迎の単独作業も同じです。報告体制の整備が義務になっているということは、「異変を感じた本人が、誰かに伝えられる状態にあるか」が問われるということです。1人で車に乗っている時間帯にその手段がなければ、体制があるとは言いにくいでしょう。

いつから効くのかという問いへの答えは、2025年6月1日からすでに、です。そのうえで2026年3月には、厚生労働省が職場における熱中症防止のためのガイドラインを策定・公表しました(職場における熱中症予防情報サイトに掲載)。規則で義務づけられた3点に加えて、事業者が業種・業態に応じて取り組む事項が整理された文書です。内容は原典で確認してください。

判断基準と告知・記録を先に決めておくという考え方そのものは、天候由来のリスク全般に共通します。大雨・台風の週に同じ枠組みで動く手順は、台風・大雨のキャンセル対応|宿泊・飲食が今週決める規定と告知の順番【2026年9月】にまとめています。熱中症の中止基準を作るときは、この記事の判断基準表と同じ様式に列を足すのが早道です。

10月21日までに決めておく:中止ラインと報告ルート(コピペ文例つき)

ここからが本体です。各文例プロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。はじめての方は、スマホのアプリストアで公式アプリを入れ、メールアドレスで登録すれば3分で始められます(無料版で足ります)。( )の中を自社の事実に書き換えてから送信してください。

出てきた文章は下書きです。最後に自社の実態と突き合わせて直す作業だけは、あなたの仕事として残ります。

対象になる作業を洗い出す(WBGT28・気温31・1時間・4時間)

最初にやるのは対策ではなく、線引きです。自社のどの作業が「熱中症を生ずるおそれのある作業」に当たるのかを、作業名・場所・時間帯の粒度で書き出します。ここが曖昧なままだと、手順書を作っても誰も自分ごとだと思いません。

暑さ指数は環境省の熱中症予防情報サイトで、地点ごとの予測値と実況値を無料で確認できます。和歌山県内の地点では、栗栖川・新宮・西川・潮岬などが南紀側の目安になります。ただし現場の数値は建物や舗装の影響で変わるため、最終的には自社の作業場所での実測が要ります。

あなたは中小企業の労働安全衛生に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、熱中症対策の対象になりうる作業を洗い出してください。

【材料】
・業種と所在地: (例: 那智勝浦町の旅館・客室20室)
・作業の一覧: (例: 朝の厨房、客室清掃、送迎運転、屋外の草刈り、館外の駐車場誘導)
・それぞれの場所と1日の作業時間: (例: 厨房5時〜10時、草刈り9時〜11時)
・測定できる環境の数値: (例: 8月の厨房の室温、屋外の気温)

判断の目安: 暑さ指数(WBGT)28以上または気温31以上の場所で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業。

出力: ①対象になりそうな作業と、その理由 ②判断がつかないので実測が必要な作業 ③実測の優先順位。
条件: 【材料】にない作業や数値を補完しない。判断がつかない点は「要実測」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

注意点は、迷った作業を切り捨てないことです。「たぶん28は超えない」と決めつけた作業ほど、あとで温度計を置くと超えています。実測は、市販のWBGT計(黒球付きのもの)を作業場所に置くのが確実です。

中止・短縮の線を「数字と時刻」で決める

「暑かったら休憩を取る」では、判断のたびに議論になります。基準は、誰が見ても同じ結論になる形——数値と時刻と情報の名前——で書いてください。

あなたは中小企業の作業計画づくりを支援する担当者です。以下の材料から、熱中症に関する作業の「通常/短縮・時間変更/中止」の3段階の基準表を作ってください。

【材料】
・業種と作業: (例: みかん園の摘果作業、2名〜4名)
・作業場所と時間帯: (例: 屋外の斜面、8時〜16時)
・使える情報: 現場のWBGT実測値、気温、環境省の暑さ指数の予測値、熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートの発表
・止められない業務: (例: 宿泊客の朝食、当日出荷の荷積み)
・作業者の状況: (例: 60代2名、初めて夏を迎える新人1名)

出力: ①3段階それぞれの発動条件(数値・時刻・情報名で書く) ②各段階での休憩の取り方と水分・塩分の準備 ③再開の条件 ④判断者と代理者の氏名欄。
条件: 「危なそうなら」等のあいまいな表現を使わない。医学的・法的な断定はせず、確認が必要な点は「専門家に要確認」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

現場での注意点は2つあります。1つ目は、再開条件も同時に決めること。止める判断より、戻す判断のほうが揉めます。2つ目は、暑さに体が慣れていない人を別扱いにすることです。連休明けや異動直後、シーズン初日は、同じ数値でも危険度が変わります。

体調不良の報告ルートと、その場でやる手順を書く

義務の中心はここです。作業者が「しんどい」と言える先が決まっていて、言われた側が何をするか決まっている状態を作ります。単独作業のある事業所では、定時連絡の仕組みまで含めて設計してください。

あなたは労働安全衛生の手順書づくりが得意な担当者です。以下の材料から、熱中症の報告体制と緊急時手順の草案を作ってください。

【材料】
・事業所名と業種:
・現場の人数と配置: (例: 厨房3名、送迎1名の単独作業)
・連絡手段: (例: 業務用携帯、無線、公式LINEのグループ)
・最寄りの医療機関と所要時間: (例: 車で15分)
・休憩できる冷房のある場所: (例: 事務所、休憩室、指定暑熱避難施設)

出力: ①誰が誰に報告するか(第一報の相手と、不在時の代理) ②単独作業者の定時連絡の間隔と方法 ③症状を確認したときの手順(作業からの離脱・冷却・水分補給・医師の診察や処置・救急要請の判断) ④手順を書いた掲示物の文面(200字以内)。
条件: 医学的判断の断定はしない。搬送の要否など個別判断が必要な箇所は「迷ったら救急要請」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

冷却の道具は、氷・保冷剤・冷たいおしぼり・扇風機・スポーツドリンクなど、すでに厨房にあるもので足ります。足りないのは道具ではなく、置き場所と担当者が決まっていないことのほうです。

就業規則・作業手順書のどこに書くかを決める

規則の義務は「体制の整備・手順の作成・周知」であり、就業規則そのものへの記載を求める条文ではありません。それでも、繁忙期に人が入れ替わる南紀の事業所では、就業規則や作業手順書に位置づけを書いておくほうが確実に機能します。口頭の申し合わせは、担当者が変わった瞬間に消えるからです。

熱中症対応で就業規則・作業手順書に書く3点の図解
あなたは中小企業の社内規程づくりを支援する担当者です。以下の材料から、熱中症対応を社内文書に落とし込む案を作ってください。

【材料】
・現在ある文書: (例: 就業規則、パート就業規則、厨房の作業手順書、送迎マニュアル)
・決めた中止・短縮の基準: (前のステップの出力を貼り付け)
・決めた報告ルートと緊急時手順: (前のステップの出力を貼り付け)
・従業員数と雇用形態の内訳: (例: 正社員4名、パート8名、繁忙期の短期3名)

出力: ①どの文書のどの章に、どの内容を書くか ②書き加える条文の文案 ③あわせて更新が必要な書類(雇用契約書・掲示物・朝礼の台本など)の一覧。
条件: 賃金の取り扱いや懲戒に関わる部分は断定せず「社会保険労務士に要確認」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

作業を中止した時間の賃金の扱いは、就業規則の定めと個々の事情によって判断が分かれる領域です。ここは自己判断せず、社会保険労務士など専門家に確認してください。契約書や賃金台帳をまとめて見直す機会としては、和歌山の最低賃金1,101円|いつからと事業者の実務7ステップ【2026年9月】で扱った10月3日発効の改定と同じタイミングに寄せると、書類を開く回数を減らせます。

周知と記録を「その日のうちに終わる形」にする

最後は周知と記録です。作った文書は、渡すだけでは周知になりません。朝礼で読み上げる台本と、目に入る場所への掲示、そして外国人スタッフ向けの表現まで用意して、はじめて「関係者に周知した」と言える状態になります。

あなたは現場向けの説明が得意な安全担当者です。以下の材料から、朝礼で1分で読み上げる台本と、休憩室に貼る掲示文を作ってください。

【材料】
・今日の予報と暑さ指数の予測値: (例: 最高気温34度、WBGT予測31)
・今日の作業と時間帯:
・決めた中止・短縮の基準:
・体調不良のときの第一報の相手:

出力: ①朝礼台本(350字以内・話し言葉) ②掲示文(150字以内・箇条書き) ③作業者に必ず言わせる確認の一言。
条件: 【材料】にない数値を作らない。今日の数値が未確認の場合は「未確認」と書いてください。

※そのままコピーして使えます

あなたは多国籍の職場向けの表現が得意な担当者です。以下の日本語の掲示文を、外国人スタッフ向けに書き直してください。

【材料】
・日本語の掲示文: (そのまま貼り付け)
・スタッフの母語: (例: ベトナム語、インドネシア語、英語)
・伝えたい行動: (例: 気分が悪いときはすぐ〇〇さんに言う、無理をしない、水と塩をとる)

条件: ①やさしい日本語版(漢字にふりがなの指示つき) ②英語版 の2種類を出す。日本語原文にない情報を足さない。専門用語は使わず、行動が主語になる短い文にしてください。

※そのままコピーして使えます

あなたは記録様式づくりが得意な担当者です。以下の材料から、熱中症対応の記録シートと記入例を作ってください。

【材料】
・業種と規模: (例: 串本町の水産加工・従業員10名)
・測定するもの: (例: 作業場所のWBGT、気温)
・記録に残したい項目: 日時/測定値と測定場所/参照した情報(アラートの発表状況など)/決めたこと/伝えた相手と手段/体調の申し出と対応

出力: ①記録シートの列構成 ②記入例3行 ③1日の終わりに30秒で書き終えるための工夫。
条件: 現場で1行30秒以内に書ける粒度にする。記録にない事実を補完しないでください。

※そのままコピーして使えます

あなたは事業所の安全衛生の振り返りを支援するアドバイザーです。以下の材料から、今シーズンの熱中症対応の振り返りをまとめてください。

【材料】
・今シーズンの記録シート: (そのまま貼り付け)
・体調不良の申し出の件数と内容:
・作業を中止・短縮した日数と判断の内訳:
・現場から出た不満・要望:

出力: ①うまくいった点 ②来シーズンまでに直す点を重要な順に3つ ③基準表・手順書・掲示物のどれの、どの一文を書き換えるべきかの具体的な指摘。
条件: 記録にない事実を補完しない。判断がつかない点は「情報不足」と明記してください。

※そのままコピーして使えます

記録の効用は2つあります。1つは、体調不良の申し出が実際に上がってきているかを確かめられること。半年間ゼロなら、体制が機能していない可能性を疑う材料になります。もう1つは、来シーズンの基準を直す材料になることです。記録がなければ、来年もまた同じ勘で判断することになります。

【要注意】アラートをめぐって現場でこじれる4つの誤解

手順を作っても、次の4つのどれかが残っていると機能しません。順に確認してください。

誤解1: 「アラートが出ていないから、うちはまだ大丈夫」

❌ よくある間違い: 熱中症特別警戒アラートの発表を待って、対策の開始時期を決めている。

⭕ 正しいアプローチ: 判断の主役を、現場のWBGT実測値と作業時間に置く。アラートは県単位の目安として使う。

なぜ重要か: 特別警戒アラートは「県内の全地点で35」が条件で、環境省の発表履歴を見るかぎり2024年の運用開始以降の発表実績がありません(2026年9月9日参照)。出ない情報を起点に設計した仕組みは、動かない仕組みです。

誤解2: 「屋内の作業だから対象外」

❌ よくある間違い: 厨房・バックヤード・倉庫は屋根があるので、法令上の対象作業ではないと考えている。

⭕ 正しいアプローチ: 屋内でも、WBGT28以上または気温31以上で連続1時間以上・1日4時間超なら対象になりうると考え、まず実測する。

なぜ重要か: 暑さ指数は湿度と輻射熱を含む指標です。火と蒸気のある厨房は、外より数値が高くなることがあります。実測しないかぎり、対象かどうかを判断する材料がありません。

誤解3: 「水分と塩分を用意してあるから対策済み」

❌ よくある間違い: 冷蔵庫にスポーツドリンクを常備していることをもって、対策は済んでいると考えている。

⭕ 正しいアプローチ: 規則が義務づけているのは、報告体制の整備・悪化を防ぐ手順の作成・関係者への周知の3つ。飲料の用意はその前提であって、義務の中身そのものではない。

なぜ重要か: 熱中症が重症化する場面の多くは、水分不足そのものより「気づくのが遅れること」で起きます。誰に言えばいいか決まっていない職場では、本人が我慢して作業を続けてしまいます。

誤解4: 「口頭で全員に言ってあるから周知した」

❌ よくある間違い: 夏の初めの朝礼で一度説明し、それ以降は掲示も配布もしていない。

⭕ 正しいアプローチ: 掲示物・朝礼台本・新規スタッフへの説明手順の3点をセットで用意し、いつ誰に周知したかを記録に残す。

なぜ重要か: 南紀の観光・農水産の現場は、繁忙期に短期のスタッフが入れ替わります。白浜への移住準備で地域の事業者の方と話す中でも、人の入れ替わりの多さは共通の悩みとして挙がります。夏の初めにいなかった人には、その説明は届いていません。

ここまでの内容は、WBGT計を1台用意すれば、あとは無料の道具だけで完結します。それでも「基準表と手順書を作る時間が取れない」という事業者もいるはずです。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、観光地の宿や店舗のSNS運用・集客支援に取り組んでいます(宮古島・伊豆へも現地訪問で対応)。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのは現在の就業規則と作業手順書だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。

自社の現在地を確かめる8項目(チェックリスト)

作業を始める前に、現在地を確認してください。当てはまるものにチェックを入れます。

  • □ WBGT28以上または気温31以上で1時間以上・1日4時間超になる自社の作業を書き出してある
  • □ 作業場所のWBGTを実測する道具と、測る時刻が決まっている
  • □ 作業の「通常/短縮・時間変更/中止」の発動条件を数値と時刻で決めてある
  • □ 中止した作業を再開する条件も決めてある
  • □ 体調不良の第一報を誰に入れるか、その人が不在のときの代理まで決まっている
  • □ 単独で動く配送・送迎・外回りの定時連絡の間隔が決まっている
  • □ 冷却の道具と、冷房のある退避先(自社の休憩室や指定暑熱避難施設)を把握している
  • □ その日の判断と連絡を1行で残す様式があり、実際に書かれている
熱中症対応のチェックリスト図解

特に見落とされやすいのが、下から3番目の単独作業の定時連絡です。チェックが3つ未満でも問題ありません。この記事の手順は上から順に進めれば、1項目ずつ埋まる構成にしてあります。

数字で見る|職場の熱中症は1,803人で過去最多、死亡は19人に減少

「毎年言われていることで、うちは今までなんとかなってきた」と感じるかもしれません。直近の数字は、その感覚と少しずれています。

厚生労働省が2026年5月27日に公表した令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)によると、令和7年の職場での熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,803人で、前年から546人・約43%増え、統計開始以来最多となりました。一方、死亡者数は19人で、前年から12人・約39%減っています。同じ発表では、令和7年6月から8月の平均気温の平年差が+2.36℃と統計開始以来最高を記録したこと、そして死亡者数の減少の背景として、令和7年に施行された規則改正により事業場における重篤化防止対策が進み、死亡災害の防止が一定程度図られたと考えられることが示されています。

読み方はこうです。倒れる人は増えたが、亡くなる人は減った。増えたのは暑さのせいで、減ったのは「気づいて止める」仕組みが職場に入り始めたからだ、という整理です。この記事で作る報告体制と中止基準は、まさにその仕組みにあたります。

暑さそのものも一時的な話ではありません。気象庁が2026年9月1日に作成した2026年夏(6月〜8月)の天候は、この夏の平均気温が北日本と西日本でかなり高く、7月中旬・下旬と8月下旬の西日本では1946年の統計開始以降で1位の高温になったと記録しています。近畿地方では8月上旬に酷暑日を観測した所もありました。

そのうえで、和歌山県内で特別警戒アラートが出た日は、2026年9月9日時点でまだありません。つまり、南紀の事業者にとっての現実的な想定は「特別警戒アラートは出ないが、対象作業の閾値は何十日も超える夏」です。そこに合わせて設計するほうが、実務としては合理的でしょう。

設備側の手当てを考える場合、空調や送風設備の導入は投資額が大きくなります。制度の使い分けは観光の省力化投資補助金|宿泊業の対象・補助率と申請の段取り【2026年8月】で整理していますが、交付決定前に発注すると対象外になる点は、どの制度でも共通する落とし穴です。

よくある質問

Q. 熱中症特別警戒アラートが発表されたら、事業者は作業を止めなければいけませんか?

アラートの発表自体が、事業者に作業中止を法的に義務づけるものではありません。環境省は、特別警戒アラート発表時には管理者が全ての人の熱中症対策の徹底を確認し、徹底できていない場合は運動・外出・イベント等の中止、延期、変更等を判断するよう求めています。実務上は、自社の基準表に「特別警戒アラート発表日は屋外作業を中止」と書き込んでおくのが、迷わない形です。

Q. 熱中症警戒アラートと特別警戒アラートは何が違いますか?

基準と発表時刻が違います。警戒アラートは府県予報区等内のいずれかの地点で翌日または当日の日最高暑さ指数が33に達すると予測される場合に、前日午後5時と当日午前5時に発表されます。特別警戒アラートは都道府県内の全ての地点で翌日の日最高暑さ指数が35に達する場合に、前日午後2時に発表されます。頻度がまったく違うので、社内基準では両者を別の行として扱ってください。

Q. 対象になる作業かどうかは、どう判断すればいいですか?

暑さ指数(WBGT)が28以上または気温が31以上の場所で、継続1時間以上または1日4時間を超えることが見込まれる作業が対象です。判断の材料は自社の作業場所での実測値なので、まずWBGT計を作業場所に置いてください。環境省の熱中症予防情報サイトの予測値は前日の計画づくりに使い、当日の判断は実測値で行うのが基本形です。

Q. 屋内の厨房も対象になりますか?

なりえます。暑さ指数は気温だけでなく湿度と輻射熱を含む指標のため、火と蒸気のある厨房は屋外より数値が高くなることがあります。屋内かどうかではなく、数値と作業時間で判断してください。旅館の朝食時間帯のように、毎日必ず1時間以上続く作業は特に確認が必要です。

Q. 一人で運転する配送や送迎は、どう対応すればいいですか?

報告体制の整備が義務である以上、単独作業者が異変を伝えられる状態を作る必要があります。定時連絡の間隔(例: 90分ごと)と連絡手段、返答がないときに誰が動くかまで決めておいてください。休憩の退避先として、自治体が指定するクーリングシェルターの一覧を車に積んでおく方法もあります。

Q. 記録は何を、どのくらい残せばいいですか?

法令が様式を定めているわけではありませんが、日時・測定値と測定場所・参照した情報・決めたこと・伝えた相手・体調の申し出と対応の6項目を1行で残す形が実務的です。判断の根拠が残っていれば、労働基準監督署の調査でも社内の引き継ぎでも同じ紙が使えます。天候起因の判断記録の作り方は台風・大雨のキャンセル対応|宿泊・飲食が今週決める規定と告知の順番【2026年9月】の様式が流用できます。

Q. 費用をかけずに始められることはありますか?

あります。作業の洗い出し、基準表づくり、報告ルートの決定、掲示物、記録様式は、いずれも費用がかかりません。実費が発生するのは主にWBGT計と、冷却用の備品です。空調・送風設備のような大きな投資を検討する段階になったら、町や国の制度を確認してください。那智勝浦町の制度の探し方は那智勝浦町の補助金|県の対象外でも町が手厚い4層の組み方【2026年8月】で整理しています。

Q. 作業を中止した時間の賃金はどうなりますか?

賃金の取り扱いは、就業規則の定めと個々の事情によって判断が分かれる領域のため、この記事では断定しません。基準表を作るタイミングで、社会保険労務士など専門家に確認してください。少なくとも「中止したときにどう扱うか」を先に決めて文書化しておけば、当日に現場で交渉が起きる事態は避けられます。

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: WBGT28以上または気温31以上で1時間以上・1日4時間超になる自社の作業を、作業名と時間帯で書き出す
  2. 今週中にやること: 「通常/短縮・時間変更/中止」の発動条件を数値と時刻で決め、体調不良の第一報の相手と代理を紙に書いて掲示する
  3. 今月中にやること: 記録シートを作って運用を始め、10月21日の運用期間終了までの残りの高温日で試す

夏が終わってからでは、来シーズンまで検証の機会がありません。まだ暑い日が残っている今のうちに、一度だけでも基準表どおりに判断してみてください。

次回予告: 天候によるリスクを事業全体の判断基準に落とし込む手順は、台風・大雨のキャンセル対応|宿泊・飲食が今週決める規定と告知の順番【2026年9月】で詳しく解説しています。

参考・出典

  • 那智勝浦町「『熱中症特別警戒アラート』を運用しています!(実施時期にご注意ください)」2026年9月7日更新(発表基準、防災行政無線での周知、指定暑熱避難施設一覧=令和8年9月1日時点、常時冷房ではない旨の注記、担当: 福祉課健康推進係) 那智勝浦町 新着情報 (参照日: 2026-09-09)
  • 環境省「令和8年度熱中症特別警戒アラート及び熱中症警戒アラートの運用を開始します」2026年4月14日発表(運用期間: 令和8年4月22日〜10月21日、警戒アラート=WBGT33以上・前日17時/当日5時、特別警戒アラート=WBGT35以上・前日14時) 環境省 報道発表資料 (参照日: 2026-09-09)
  • 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症特別警戒情報とは」(都道府県内の全ての暑さ指数情報提供地点で翌日の日最高暑さ指数が35に達する場合等に発表、指定暑熱避難施設の開放、管理者による中止・延期・変更の判断) 環境省 熱中症特別警戒情報とは (参照日: 2026-09-09)
  • 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症特別警戒アラート・熱中症警戒アラートの発表履歴」(特別警戒アラートの発表実績を確認) 環境省 発表履歴 (参照日: 2026-09-09)
  • 和歌山県「熱中症特別警戒アラート等について」(県内の暑さ指数情報提供地点11地点=かつらぎ、友ケ島、和歌山、高野山、清水、龍神、川辺、栗栖川、新宮、西川、潮岬。令和8年度の運用期間は4月22日〜10月21日) 和歌山県 熱中症特別警戒アラート等について (参照日: 2026-09-09)
  • 広島労働局「職場における熱中症対策の強化について」(令和7年6月1日施行の改正労働安全衛生規則。対象作業=WBGT28以上または気温31以上で連続1時間以上または1日4時間超。体制整備・手順作成・関係者への周知を罰則付きで義務づけ) 広島労働局 職場における熱中症対策の強化 (参照日: 2026-09-09)
  • 厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」2026年3月公表 職場における熱中症防止のためのガイドライン(PDF・厚生労働省) / 職場における熱中症予防情報サイト(STOP!熱中症 クールワークキャンペーン期間: 令和8年5月1日〜9月30日) (参照日: 2026-09-09)
  • 厚生労働省「令和7年『職場における熱中症による死傷災害の発生状況』(確定値)を公表します」2026年5月27日公表(死傷者1,803人・前年比546人増/約43%増で統計開始以来最多、死亡19人・前年比12人減/約39%減、令和7年6〜8月の平均気温の平年差+2.36℃) 厚生労働省 報道発表 (参照日: 2026-09-09)
  • 気象庁「2026年夏(6月〜8月)の天候」2026年9月1日作成(北日本・西日本でかなり高い、7月中旬・下旬と8月下旬の西日本は1946年の統計開始以降1位の高温、8月上旬は近畿地方で酷暑日を観測した所あり) 気象庁 季節の天候 (参照日: 2026-09-09)
  • 環境省 熱中症予防情報サイト(地点別の暑さ指数の予測値・実況値) 環境省 熱中症予防情報サイト (参照日: 2026-09-09)

あわせて読みたい

※本記事は2026年9月9日時点で公表されている一次情報に基づいて執筆しています。アラートの発表状況や運用期間は変わる可能性があるため、実際の判断は必ず最新の発表をご確認ください。労働時間・賃金の取り扱いなど個別の労務判断は社会保険労務士等の専門家に、法令の適用に関する判断は所轄の労働基準監督署にご確認ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。

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河原 将太株式会社Tip 代表取締役社長

東京都立大学在学中に事業を開始し法人化。大手エネルギー関連企業へのAIコンサルティング、上場企業を含む20社以上へのコンサルティング提供、1投稿で1億回以上再生されたSNSコンテンツの企画に携わる(実績は代表およびメンバー個人としての活動を含む)。現在は和歌山の企業・観光事業者へのSNS・AI・DX支援と、県内のホテル・リゾート開発構想に取り組む。詳しいプロフィール

本記事は、株式会社Tipが公開情報・一次情報・実務での検証結果をもとに作成し、必要に応じて更新しています。掲載内容は最終更新日時点の情報です。

公開日: 2026.09.13 最終更新日: 2026.09.13