
グランピングの利用規約は、他施設の禁止事項をコピーしても機能しません。自施設にどの火器があり、どの区画で何時まで使えて、どの天候で中止するのかを先に決め、その決定を契約条件・行動ルール・現地掲示の3層に振り分けることが出発点です。
グランピングは、ホテルの客室にはない要素を同時に抱えます。屋外の火、夜間の音、天候に左右される設備、区画をまたぐ動線、日帰り来訪者。これらは「宿泊契約の条件」とも「施設内で守ってもらう行動」とも性質が違うため、1枚のページに混ぜると、現場で判断できない文章になります。
この記事の要点 - 宿泊約款(契約条件)、施設利用規則(守ってほしい行動)、現地ハウスルール(掲示)を分けて設計する - 火気は「設備・場所・時間・監視・消火・禁止」の6要素に分解して条文化する - 悪天候は「施設が提供できるか」と「宿泊者が到達できるか」を分けて判断する - 取消料の比率は他館の数字を写さず、自施設の実績から検討する - 規約本文だけでなく、同意取得の記録、掲示物、版番号、改定履歴まで一組で運用する
本稿は、グランピング施設・貸別荘・小規模宿泊施設の運営者が、自施設の規約を点検・新設するための実務ガイドです。法的な有効性を個別に保証するものではありません。営業許可の種別、立地の条例、取引の実情によって必要な記載は変わります。弁護士、行政書士、所轄消防署、保健所など、該当する専門家・所管行政庁へ必ず確認してください。
目次
まず7工程|規約は「禁止事項リスト」から書き始めない
最初に「花火禁止・大声禁止・22時以降静粛」と並べてしまうと、なぜその線引きなのかを説明する資料が後から作れません。先に設備と実際に起きた事象を棚卸しし、その結果として条文と掲示を決めます。

| 工程 | やること | 最初に作る記録 |
|---|---|---|
| 1. 設備を棚卸し | 客室テント、火器、共用棟、水回り、電源、駐車場、立入禁止区域を一覧化する | 設備・区画一覧 |
| 2. 事象を集める | 過去1年の苦情、事故、ヒヤリハット、設備破損、近隣からの連絡を書き出す | 事象台帳 |
| 3. 層を分ける | 契約条件、行動ルール、現地掲示のどれで扱うかを振り分ける | 3層対応表 |
| 4. 条文を書く | 適用範囲、人数、火気、騒音、ペット、中止、損害、免責を文章化する | 規約本文 |
| 5. 予約前に見せる | 予約ページと予約確定メールで、判断に関わる条件を確認できるようにする | 表示画面の保存 |
| 6. 現地で掲示・同意 | チェックイン時の説明、掲示物、同意取得、多言語版を配置する | 同意記録・掲示写真 |
| 7. 定期見直し | 苦情・事故・中止判断の件数を四半期で確認し、将来予約分から改定する | 改定履歴 |
工程2を飛ばさないでください。実際に起きた事象がない禁止事項は、現場で運用されないまま形骸化します。逆に、繰り返し起きている事象(就寝時間帯の焚き火、予約人数を超える来訪、指定区域外での車両乗り入れなど)は、条文・掲示・チェックイン説明の3か所すべてに入れる価値があります。
開業前で事象データがない場合は、設備メーカーの取扱説明書に書かれた禁止事項、所轄消防署との協議で指摘された事項、同規模施設が公開している規約の構成を暫定の材料にし、開業3か月後と6か月後の見直し日を先に決めておきます。許可取得段階で行政と交わした条件は、そのまま規約の骨格になります。開業手続の全体像はグランピング開業の許可と費用|手続き7ステップとチェックリストで整理しています。
宿泊約款・施設利用規則・現地ハウスルールを3層に分ける
「利用規約」という1語には、性質の異なる3種類の文書が混ざりがちです。先に層を分けると、どこに何を書くかで迷わなくなります。

- 第1層:宿泊約款(契約の条件)——申込みと契約の成立時点、料金と支払方法、取消しと違約金、施設側から契約を解除できる場合、不可抗力の扱いなど。予約を確定する前に示す必要があるのはこの層です。
- 第2層:施設利用規則(守ってほしい行動)——火気、騒音、人数、来訪者、喫煙、ペット、駐車、立入禁止区域、備品の扱い、違反時の措置など。約款から参照する別文書にすると改定しやすくなります。
- 第3層:現地ハウスルール(掲示・説明)——第2層のうち、その場で判断が必要なものを短文・図記号にしたもの。テント内、火器の近く、共用棟、駐車場に分けて掲示します。
| 層 | ここで決めること | 見せる場所 |
|---|---|---|
| 宿泊約款 | 契約の成立、料金、取消し、解除、不可抗力 | 予約ページ、最終確認画面、予約確認メール |
| 施設利用規則 | 火気、騒音、人数、来訪者、喫煙、ペット、車両、違反時の措置 | 約款から参照する別紙、事前案内メール |
| 現地ハウスルール | その場で判断が必要な行動(消火時刻、灰の捨て場、立入禁止) | 火器の近く、テント内、共用棟、駐車場の掲示 |
第1層の設計では、観光庁が公開するモデル宿泊約款(国際観光ホテル整備法のページ)が構成の土台になります。申込み、成立、宿泊客からの解除、施設側からの解除、天災その他やむを得ない事由で宿泊させられない場合の取扱いといった条項の並びを確認し、自施設に必要な項目が抜けていないかを照合してください。条文番号と文言は改正されることがあるため、必ず現行のモデル宿泊約款PDFで確認します。
ただし、モデル宿泊約款は登録ホテル・旅館の制度を前提に作られたモデルであり、すべての宿泊施設へそのまま適用される法定書式ではありません。届出の要否も営業許可・登録の状況によって変わります。取消料の比率についても、他館の数字を書き写すのではなく、自施設の取消実績・再販実績・回避できた費用から検討します。この考え方はキャンセルポリシーの作り方|小さな宿の料率設計・例外対応・テンプレ10選で、算定台帳の作り方まで整理しています。
第1層・第2層をあらかじめ用意して一括して契約内容にする形をとる場合、民法の定型約款に関する規定(e-Gov法令検索の民法・第548条の2から第548条の4)が関係します。相手方の権利を制限し義務を加重する条項のうち、取引の実情に照らして相手方の利益を一方的に害すると認められるものは合意したとみなされない、という考え方が置かれています。また、取消しに伴う違約金については、消費者庁の消費者契約法 逐条解説が第9条の解説を公開しており、平均的な損害を超える部分を無効とする枠組みが示されています。「規約に書いたから何でも有効」という前提で設計しないでください。
宿泊者名簿の記載事項や、宿泊を断れる場合の考え方は旅館業法の側の論点です。厚生労働省の旅館業法の改正について(2023年12月13日施行)では、名簿の記載事項に「連絡先」が加わり「職業」が削除されたこと、過重な負担となる特定の要求があった場合の宿泊拒否に関する整理、特定感染症に関する協力の求めなどが案内されています。規約の文言をこれらの制度と食い違わせないよう、該当部分は保健所へも確認してください。
規約本文に入れる14項目|グランピング固有の追記
第1層・第2層をあわせて、最低でも次の14項目を決めます。番号は自施設の条文番号に置き換えてください。
- 適用範囲——どの予約経路(自社サイト、電話、OTA、旅行会社)に適用するか。OTA予約は各予約画面に表示された条件が適用される場合があることを明記する
- 契約の成立時点——予約確定操作か、施設からの承諾連絡か。リクエスト予約や仮押さえと区別する
- 料金と支払方法——基本宿泊料、食事・アクティビティ、入湯税等、追加人数料金、支払期限
- 取消し・変更——受付方法、受付時刻の基準、時期区分、基準額、連泊短縮、人数減の扱い
- 利用開始・終了時刻——チェックイン最終時刻、無連絡不泊として扱う時刻、レイトチェックアウト
- 人数と来訪者——宿泊できる人数の上限、日帰り来訪者の可否と時間帯、追加時の手続と料金
- 火気——使用できる設備・器具、場所、時間帯、監視の条件、消火の手順、禁止行為
- 騒音と時間帯——静粛時間、音響機器、屋外での会話や音楽の扱い
- 喫煙——喫煙可能場所、テント内・幕内の扱い、吸い殻の処理
- ペット・持ち込み——同伴可否、対象区画、持ち込み禁止物(花火、発電機、持ち込みストーブなど施設判断)
- 車両・駐車——駐車可能台数、乗り入れ禁止区域、夜間の移動
- 立入禁止区域と自然条件——河川、池、斜面、林地、野生動物、増水時の扱い
- 中止・退場——規約違反や危険行為があった場合に利用を中止できる場合と、その際の料金の扱い
- 損害・原状回復・免責——備品の破損や汚損、回復費用の請求方法、施設が責任を負わない範囲と、負う範囲
グランピング固有で漏れやすいのは6・7・11・12です。特に人数は、料金だけでなく、火器の数、寝具、避難時の人数把握にも関わります。一棟貸しに近い形態で運用している施設は、一棟貸しの人数過少申告対策|宿泊者名簿・追加料金・当日確認の当日確認手順もあわせて設計すると、規約と現場運用がつながります。
14項目に加えて、版番号・施行日・適用対象(予約日基準か宿泊日基準か)・問い合わせ窓口を必ず入れてください。改定前に成立した予約へ新しい条件を後から当てはめないためには、予約ごとにどの版を表示したかを残す必要があります。
火気ルールの作り方|設備・場所・時間・監視・消火・禁止で書く
グランピングの規約でもっとも差が出るのが火気です。「火気の取扱いには十分ご注意ください」と書いても、現場では何も決まりません。次の6要素に分解します。

1. どの設備・器具なら使えるか
施設が用意した焚き火台、BBQグリル、ガス機器、薪ストーブなど、施設が提供した設備だけを対象にするのか、宿泊者の持ち込みを認めるのかを最初に決めます。持ち込みを認める場合は、燃料の種類(炭・薪・ガス・ガソリン・アルコール)ごとに条件を分けます。持ち込みを認めないなら、その理由(消火体制・設置場所・保険の条件など)を一文添えると、現場での説明が楽になります。
2. どの場所で使えるか
「所定の炉台の上のみ」「テント前デッキの指定位置のみ」「共用ファイヤーピットのみ」のように、位置を特定して書きます。あわせて、幕体・タープ・樹木・LPガス設備からの距離、風速の目安、直火の可否を決めます。区画ごとに条件が違う場合は、区画名を明記した表にしてください。
3. 何時から何時まで使えるか
使用開始時刻、終了時刻、就寝前に完全消火する時刻を分けて書きます。「22時消灯」とだけ書くと、22時に火を消し始めればよいのか、22時には消火済みなのかが伝わりません。「21時30分までに消火を開始し、22時00分までに完全消火」のように、行動と時刻を対応させます。
4. 誰が監視するか
「火をつけている間は成人の同伴者が常時その場にいること」「離れる場合は完全に消火すること」を条文化します。子どもだけの使用、就寝中の放置、屋外の火を残したままの入浴・入室は、現場でもっとも起きやすい事象です。
5. どう消すか
水バケツ・消火砂・消火器の位置と、使用後の炭・灰の捨て場所を指定します。灰の処理は事故だけでなく設備破損にも直結するため、掲示と条文の両方に入れます。消火設備そのものの点検周期は別の話で、グランピング施設のメンテナンス|法定点検7種の周期と年間カレンダーに整理しています。
6. 何を禁止するか
禁止は理由とセットで書くと守られます。特に、テント・幕体・車内など換気が不十分な空間での燃焼器具の使用は、明確に禁止事項として置いてください。製品評価技術基盤機構(NITE)はテント内での一酸化炭素中毒への注意喚起で、「テント内に限らず換気の不十分な場所でたき火や調理などを行うと、一酸化炭素濃度が上昇し、中毒にいたるおそれがあります」と説明しています。寒い時期に「幕内で暖を取りたい」という要望は必ず出るため、代替手段(施設が用意した暖房、湯たんぽ、電気毛布など)を同時に案内する設計が現実的です。
なお、火気を扱う設備の設置基準や、防火管理者の選任・消防計画の届出が必要になる条件は、建物の用途、規模、収容人員、市町村の火災予防条例によって変わります。一律の答えはありません。規約を書く前に、所轄消防署へ図面を持って相談し、そこで示された条件を条文に反映してください。
悪天候の扱い|「提供できるか」と「到達できるか」を分ける
悪天候のキャンセル規定は、「台風なら無料」「警報が出たら無料」と一文で処理すると、必ず運用が破綻します。判断を2つに割ってください。

分岐1:施設が宿泊サービスを提供できない場合
暴風でテントを撤収した、増水で区画が使えない、停電・断水が続いている、避難指示区域に入ったなど、施設側が契約したサービスを提供できない状態です。この場合は、施設の判断で中止・変更を行う条項が必要になります。モデル宿泊約款にも、天災その他やむを得ない事由により宿泊させることができない場合の取扱いを定める条項が置かれています(条文番号と文言は現行PDFで確認してください)。提供していないサービスの料金をどう扱うかを、あらかじめ文章にしておきます。
グランピングでは「全面中止」と「一部制限」の間が広いことが特徴です。テント泊は中止するが常設棟は使える、宿泊はできるが焚き火とBBQは中止する、といった中間の状態を想定し、一部制限時の料金の扱いまで書いておくと、当日の交渉が減ります。
分岐2:施設は提供できるが、宿泊者が到達できない/取りやめる場合
施設は通常営業しているが、宿泊者の出発地が被災した、利用予定の交通機関が運休した、本人の判断で行くのをやめた、というケースです。これは分岐1とは別に扱います。一律に無料とする運用も、一律に全額請求する運用も、どちらも実態に合いません。予約確定時の条件、公式に発表された運休・規制の情報、代替経路の有無、日程変更の可否を確認して判断する手順を、内部規程として持ってください。
判断の引き金は「公式情報」で書く
「大雨のとき」ではなく、誰が見ても同じ結論になる基準を使います。気象庁の警報・注意報の種類では、特別警報8種類、警報8種類、注意報17種類が整理されています。たとえば「対象市町村に暴風警報または大雨特別警報が発表された場合は、施設判断でテント泊を中止することがある」のように、発表主体・種類・対象地域を特定して書けます。
ただし、警報の発表と施設の提供可否は同じではありません。警報が出ていなくても局地的な突風で撤収が必要な日もあれば、警報が出ていても区画によっては安全に運営できる日もあります。警報は「施設が判断を始める引き金」であって、「自動的に全額返金するスイッチ」ではないという整理を、条文と内部手順の両方に書き分けてください。
判断のたびに、確認した気象情報のURL・発表時刻・対象地域、施設の設備状況、決定内容、決定者、宿泊者への連絡時刻を記録します。この記録があると、同じ状況で担当者が変わっても判断がぶれません。
そのまま編集できるひな形10本
以下は完成した法定文書ではなく、自施設の設備・立地・営業許可に合わせて埋めるためのたたき台です。角括弧内は必ず書き換え、公開前に専門家と所管行政庁へ確認してください。
ひな形1|利用規約の柱書き
【[施設名] 利用規約/第[版番号]版】
施行日:[YYYY年MM月DD日]/適用対象:[YYYY年MM月DD日]以降に成立したご予約
第1条(適用範囲)
本規約は、[施設名](以下「当施設」)が提供する宿泊および付帯サービスの利用に適用します。
当施設の[公式サイト・電話・メール]で成立した直接予約には本規約が適用されます。
予約サイト・旅行会社等を通じたご予約には、各予約の確定画面・確認書に表示された条件が適用される場合があります。
第2条(構成)
本規約は、本文のほか、別紙[施設利用規則]および館内・区画内の掲示で構成します。
別紙および掲示は本規約の一部として、ご利用者に遵守いただきます。
第3条(契約の成立)
宿泊契約は、当施設が申込みを承諾した時点で成立します。
[予約システム上の「予約確定」表示/当施設からの予約確認メールの送信]をもって承諾とします。
第4条(改定)
当施設は本規約を改定することがあります。
改定後の規約は、[施行日]以降に成立したご予約に適用します。
既に成立したご予約には、ご予約時に表示した版を適用します。
お問い合わせ:[窓口名/電話/メール/受付時間]
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ひな形2|施設利用規則(別紙)の骨格
【[施設名] 施設利用規則/第[版番号]版】
1. 利用人数:ご予約人数を超えるご利用はできません。
宿泊可能人数は1区画あたり[○名]です。
2. 来訪者:宿泊されない方のご入場は[可/不可]です。
可の場合は[受付時間/料金/人数上限/受付方法]に従ってください。
3. 火気:別掲「火気使用ルール」に従ってください。
4. 静粛時間:[22:00]から[翌7:00]までは、屋外での会話・音楽・調理をお控えください。
5. 喫煙:喫煙は[指定喫煙所]のみ。テント・幕体内および[対象区域]は禁煙です。
6. ペット:[同伴可の区画/不可]。同伴可の場合は[条件]に従ってください。
7. 車両:駐車は[1区画○台/指定位置]。[乗り入れ禁止区域]への進入はご遠慮ください。
8. 立入禁止:[河川/斜面/林地/設備区画]へは立ち入らないでください。
9. 持ち込み禁止:[花火/発電機/持ち込み燃焼器具/その他]の使用はできません。
10. 備品:破損・汚損が生じた場合は、[受付時間内に/退場前に]スタッフへお知らせください。
本規則に反する行為があった場合、当施設はご利用の中止をお願いすることがあります。
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ひな形3|火気使用ルールの条文
【火気使用ルール/第[版番号]版】
1. 使用できる設備・器具
当施設が設置・貸与する[焚き火台/BBQグリル/ガスコンロ/薪ストーブ]のみ使用できます。
[持ち込み燃焼器具・燃料]の使用は[可/不可]です。可の場合の条件:[燃料種別/設置場所]
2. 使用できる場所
[区画名]の[所定の炉台上/デッキ指定位置/共用ファイヤーピット]でのみ使用できます。
幕体・タープ・樹木・ガス設備から[○m]以上離してください。直火は[可/不可]です。
3. 使用できる時間
使用開始:[○時○分]/消火開始:[○時○分]までに開始/完全消火:[○時○分]まで
荒天時([対象気象情報]が発表された場合等)は、当施設の判断で使用を中止することがあります。
4. 監視
点火から完全消火まで、[成人]の方が常時その場で監視してください。
その場を離れる場合、就寝前、入浴前、外出前は必ず完全に消火してください。
5. 消火
消火用[水バケツ/消火砂/消火器]は[設置場所]にあります。
使用後の炭・灰は[指定の灰捨て場]へ。土中埋設・排水溝への投棄はできません。
6. 禁止事項
テント・幕体内、車内など換気が不十分な場所での燃焼器具の使用は、
一酸化炭素中毒のおそれがあるため、暖房目的を含め一切できません。
寒い時期は[施設が用意する暖房/貸出品]をご利用ください。
[花火/持ち込み発電機/指定場所以外での調理]もできません。
本ルールに反する使用を確認した場合、当施設は使用の中止および消火をお願いします。
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ひな形4|現地掲示用の短文(火器の近く)
火のルール([区画名])
○ 使える場所:この炉台の上だけ
○ 使える時間:[○:○]〜[○:○]([○:○]までに火を消してください)
○ 離れるとき・寝る前:必ず完全に消す
× テントの中・車の中では絶対に燃やさない(一酸化炭素中毒のおそれ)
× 花火・持ち込みの燃焼器具
消火用の[水バケツ/砂]:[位置]
灰を捨てる場所:[位置]
困ったとき:[電話番号](24時間)
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ひな形5|悪天候時の中止・変更条項
第[○]条(荒天その他やむを得ない事由による変更・中止)
1. 天候、自然災害、設備の故障その他当施設の責めに帰すことができない事由により、
ご予約いただいた宿泊またはサービスの全部もしくは一部を提供できないと当施設が判断した場合、
ご宿泊の中止または内容の変更をお願いすることがあります。
2. 前項により当施設がご宿泊を中止した場合、
提供していないサービスに係る料金は[収受しません/次のとおり取り扱います:具体的な扱い]。
3. 前項により内容を一部変更した場合([テント泊から常設棟への変更/焚き火・BBQの中止]等)、
料金の取扱いは[具体的な扱い]とします。
4. 当施設が第1項の判断を行う際は、[気象庁が発表する対象市町村の警報・特別警報]、
[自治体が発表する避難情報]、および当施設の設備状況を確認します。
ただし、これらの発表があった場合に常に中止するものではなく、
発表がない場合でも安全上必要と判断したときは中止することがあります。
5. 当施設が営業しており、ご予約のサービスを提供できる場合において、
ご宿泊者側の事情(交通機関の運休、出発地の状況、ご判断による取りやめ等)により
ご利用いただけないときは、第[○]条(取消し)の定めによります。
当施設は、個別の事情を確認のうえ、日程変更等の代替案をご案内する場合があります。
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ひな形6|悪天候時に宿泊者へ送る連絡文
件名:[宿泊日]のご宿泊について(予約番号:[番号])
[お名前]様
[確認日時]時点で、[対象市町村]に[警報等の名称]が発表されています。
当施設の状況は次のとおりです。
・施設の営業:[通常営業/一部制限/中止]
・ご予約の区画:[利用可/利用不可/変更提案あり]
・制限する内容:[焚き火・BBQの中止/屋外設備の使用停止 など]
・判断の根拠:[確認した公式情報の名称・発表時刻・URL]
つきましては、次のいずれかをお選びください。
1. 予定どおりご宿泊(上記の制限つき)
2. [代替日]への日程変更(差額:[○円/なし])
3. ご宿泊の取消し(取扱い:[具体的な扱い])
[回答期限:MM月DD日 HH:MM]までに[窓口]までご連絡ください。
ご回答がない場合は、[○]としてお手続きします。
道中の安全を最優先にご判断ください。
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ひな形7|人数・来訪者・騒音の条項
第[○]条(利用人数および来訪者)
1. 1区画のご利用人数は[○名]を上限とします。
ご予約人数を超えてご利用される場合は、事前にお申し出ください。
設備・寝具・安全確保の都合により、お受けできない場合があります。
2. 当日、ご予約人数と異なることが判明した場合、
当施設は事実を確認のうえ、ご予約内容および宿泊者名簿を訂正し、
[追加料金の基準:1名あたり○円/プラン料金差額]をご請求することがあります。
3. 宿泊されない方のご入場は[可/不可]です。
可の場合、受付は[○時〜○時]、[1区画○名まで]、[受付方法]とします。
第[○]条(静粛時間)
1. [22:00]から[翌7:00]までは、屋外での会話、音楽の再生、調理をお控えください。
2. 音響機器の使用は[時間帯・音量の目安]とします。
3. 近隣および他のご宿泊者から繰り返しお申し出があった場合、
当施設は使用の中止をお願いすることがあります。
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ひな形8|違反時の中止と料金の扱い
第[○]条(ご利用の中止)
1. 次の場合、当施設はご利用の中止をお願いすることがあります。
(1) 本規約または施設利用規則に反する行為が、お願いをしても改められない場合
(2) 火気の取扱いが定めに反し、火災または人身事故のおそれがある場合
(3) 他のご宿泊者、近隣、スタッフに対する迷惑行為・危険行為がある場合
(4) 法令または公序良俗に反する行為がある場合
2. 前項によりご利用を中止した場合の料金の取扱いは[具体的な扱い]とします。
3. 当施設は、第1項の判断を行った場合、
確認した事実、お願いした内容、時刻、対応者を記録します。
4. 第1項の適用にあたっては、事実を確認し、
まずお願い・ご説明を行うことを原則とします。
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ひな形9|損害・原状回復・免責の条項
第[○]条(損害の負担)
1. ご利用者の故意または過失により、当施設の建物、設備、備品、樹木、
その他の物件が滅失・毀損・汚損した場合、
実費([修理費/交換費/清掃費/休業補償の考え方])をご負担いただくことがあります。
2. 前項の請求にあたっては、当施設は[写真/見積書/請求内訳]をお示しします。
第[○]条(免責)
1. 当施設は、屋外施設という性質上、天候、気温、自然の生物、
周辺環境に起因する事象のすべてを回避できるものではありません。
2. 前項にかかわらず、当施設の責めに帰すべき事由により
ご利用者に損害が生じた場合の責任を、本条によって免れるものではありません。
3. 貴重品は[フロント/セーフティボックス]をご利用ください。
[車内・テント内]に残置された物品の管理については[具体的な扱い]とします。
※そのままコピーして使えます
ひな形10|同意取得と記録の内部台帳
【規約同意・説明記録】
予約番号:[ ]/宿泊日:[ ]/区画:[ ]
予約経路:[自社サイト/電話/OTA名]
表示した規約の版:[第○版]/表示画面:[プラン詳細/最終確認/確認メール]
表示日時:[ ]/保存先:[スクリーンショット・メール控えの保存場所]
チェックイン時の説明
説明日時:[ ]/説明者:[ ]/使用言語:[日本語/英語/その他]
説明した項目:[火気/消火/静粛時間/立入禁止/緊急連絡先/人数]
同意の取得方法:[署名/タブレット入力/口頭確認]
代表者氏名:[ ]/同行者人数:[ ]
滞在中の記録
発生事象:[ ]/確認時刻:[ ]/対応内容:[ ]/対応者:[ ]
気象情報を確認した場合:[情報名/発表時刻/URL/対象地域]
中止・変更の判断:[内容/判断者/連絡時刻]
退場後
破損・汚損:[有/無]/内容:[ ]/写真:[保存先]
請求:[有/無]/金額:[ ]/根拠資料:[ ]
規約改定の要否:[要/不要]/理由:[ ]
※そのままコピーして使えます
伝える・残す|予約前、現地、退場後の3段階
規約は「作った」だけでは機能しません。同じ内容を3つのタイミングで見せ、見せた記録を残します。
予約前では、判断に関わる条件(火気の可否と時間、静粛時間、人数上限、来訪者の可否、取消しの条件、悪天候時の扱い)をプラン詳細と最終確認画面に置きます。規約全文へのリンクをページ末尾に1本置くだけで終わらせないでください。小さな画面で料率表が横にはみ出さないか、実機で確認します。
現地では、チェックイン時の説明と掲示を分けます。説明は3分以内に収まる項目数に絞り、掲示は「火器の近く」「テント内」「共用棟」「駐車場」で内容を変えます。文字だけの掲示より、図記号と短文を組み合わせたほうが読まれます。
退場後は、破損・汚損の確認、事象の記録、規約改定の要否判断です。ここで蓄積した事象台帳が、次の改定の根拠になります。
多言語対応は、外国人のご利用がある施設では規約本文と掲示の両方で必要になります。観光庁のモデル宿泊約款には英語・韓国語・繁体字・簡体字の版が公開されており、日本旅館協会もモデル宿泊約款 外国語版の掲載・一部修正について(2024年2月29日)として会員向けに案内しています。翻訳版を用意する際は、日本語版と版番号を必ずそろえ、時刻・人数・金額の表記がずれていないかを1項目ずつ突き合わせてください。翻訳が古いままだと、どちらが正本か分からなくなります。
営業形態によっては、都道府県・市町村の条例で独自の遵守事項が課されることもあります。制度の枠組みが施設ごとに違う点は、民泊ルールは統一されるのか|旅館業法との二重構造と和歌山の実務でも整理しています。自施設がどの制度の下にあるかを確認してから、規約の文言を確定してください。
数字で見る|火の事故と、増え続ける外国人宿泊者
規約を作り直す優先順位を決めるとき、手元の感覚だけでなく公表データを見ると判断しやすくなります。
総務省消防庁の令和7年版 消防白書「出火原因」によると、2024年(令和6年)中の総出火件数は37,141件でした。出火原因の上位は、たばこ3,058件(8.2%)、たき火2,781件、こんろ2,718件(7.3%)、放火2,377件(6.4%)です。同白書は、失火による火災が全体の75.4%であるとしています。
つまり、火災の多くは放火ではなく、日常的な火の扱いから起きています。たき火とこんろだけで年間5,499件です。グランピングは、この2つを宿泊者自身が屋外で扱う施設です。火気ルールを「注意してください」で終わらせず、場所・時間・監視・消火まで具体化する理由は、ここにあります。
もう一つは利用者の構成です。観光庁の宿泊旅行統計調査 2025年・年間値(速報値、2026年2月27日公表)では、2025年の延べ宿泊者数は6億5,348万人泊(前年比0.8%減)、うち日本人が4億7,561万人泊(同3.8%減)、外国人が1億7,787万人泊(同8.2%増)でした。客室稼働率は全体で61.8%です。日本人の宿泊が減る一方で、外国人の宿泊は増えています。
この構成変化は、規約の実務に直結します。火気の禁止事項や静粛時間を日本語の掲示だけで伝えている施設は、説明できていない相手が増えていくということです。翻訳版の整備は「あると親切なもの」ではなく、事故と苦情を減らすための実務になりつつあります。
なお、ここに挙げた数値は全国の集計であり、個々の施設で起きる事象の確率を示すものではありません。自施設の事象台帳と突き合わせて、どの項目から直すかを決める材料として使ってください。
公開前チェックリスト15項目

規約を公開・改定する前に、次の15項目を確認します。担当者2人が同じ条文を読み、同じ結論になるかを試すのが確実です。
- [ ] 適用する予約経路が書かれている(OTA予約の扱いを含む)
- [ ] 契約の成立時点が経路別に分かる
- [ ] 宿泊できる人数の上限と、超過時の手続・料金が書かれている
- [ ] 日帰り来訪者の可否と条件が書かれている
- [ ] 使用できる火器と、持ち込みの可否が特定されている
- [ ] 火気を使える場所が区画名・位置で特定されている
- [ ] 消火開始時刻と完全消火時刻が別々に書かれている
- [ ] 換気が不十分な場所での燃焼器具使用の禁止が明記されている
- [ ] 消火用具と灰の処理場所が掲示と条文の両方にある
- [ ] 静粛時間の開始・終了時刻が書かれている
- [ ] 悪天候時に「施設が提供できない場合」と「宿泊者が到達できない場合」が分かれている
- [ ] 悪天候時の一部制限(焚き火中止など)の料金の扱いがある
- [ ] 判断の引き金にする公式情報の名称と確認手順が内部規程にある
- [ ] 版番号、施行日、適用対象、改定履歴がある
- [ ] 外国語版がある場合、日本語版と版番号・数値がそろっている
チェックが埋まらない項目があっても、公開を止める必要はありません。埋まらなかった理由を事象台帳に書き、次回の見直し日を決めてください。規約は一度で完成させるものではなく、起きたことを反映して更新し続ける文書です。
よくある質問
Q. グランピングの利用規約は、宿泊約款とは別に作るべきですか?
性質が違うため、分けて作るほうが運用しやすくなります。宿泊約款は契約条件(成立・料金・取消し・解除)、利用規則は施設内で守ってほしい行動です。1枚にまとめると、行動ルールを1つ直すたびに契約条件の文書を改定することになり、版管理が煩雑になります。約款から別紙を参照する構成にしておくと、掲示の更新も速くなります。
Q. グランピングの宿泊約款テンプレートは、どこから作ればよいですか?
観光庁が公開するモデル宿泊約款が、条項の抜けを確認する土台になります。ただし、これは登録ホテル・旅館の制度を前提としたモデルで、すべての施設にそのまま適用される法定書式ではありません。取消料の比率は施設側が検討して記入する体裁で、公定の料率表ではない点はキャンセルポリシーの作り方で詳しく整理しています。本稿のひな形1〜2を骨格に、自施設の営業許可の種別を確認したうえで、弁護士・行政書士へ確認してください。
Q. 火気のルールは、例文をそのまま使ってよいですか?
そのままは使えません。使ってよい器具、設置位置、幕体からの距離、消火設備の位置は施設ごとに異なり、市町村の火災予防条例によっても条件が変わります。本稿のひな形3・4は角括弧を埋める前提の骨格です。所轄消防署に図面を持って相談し、示された条件を反映してから公開してください。
Q. テント内でストーブを使いたいと言われたら、どう断ればよいですか?
理由と代替案をセットで伝えるのが実務的です。NITEは、換気が不十分な場所での焚き火や調理によって一酸化炭素濃度が上昇し中毒にいたるおそれがあると注意喚起しています。「規則だから」ではなく「一酸化炭素中毒のおそれがあるため」と説明し、施設が用意する暖房や貸出品を同時に案内してください。禁止事項と代替手段は、掲示でも並べて書くと伝わります。
Q. 悪天候のキャンセルは、警報が出たら無料にすべきですか?
警報の発表と、施設がサービスを提供できるかは別の問題です。警報は施設が判断を始める引き金として使い、実際の設備状況を確認したうえで中止・一部制限・通常営業を決めます。一律に無料とする運用も、一律に全額請求する運用も実態に合いません。判断のたびに確認した公式情報と決定内容を記録してください。
Q. 取消料の割合は、他のグランピング施設と同じでよいですか?
近隣相場は比較材料にはなりますが、根拠にはなりません。区画数、食材の発注期限、再販できる期間、決済条件が違えば損失も違います。消費者庁の逐条解説でも、平均的な損害は業界平均ではなく当該事業者の同種契約について検討するものとして説明されています。算定台帳の作り方はキャンセルポリシーの作り方で解説しています。
Q. 規約に書けば、何を決めても有効になりますか?
なりません。あらかじめ用意した条項をまとめて契約内容とする形では、民法の定型約款に関する規定が関係し、相手方の利益を一方的に害すると認められる条項は合意したとみなされない考え方が置かれています。違約金についても消費者契約法の枠組みがあります。強い文言を足すより、事実を確認して判断する手順を残すほうが実務的です。
Q. 規約を改定したら、既存の予約にも適用できますか?
既に成立した予約には、予約時に表示した版を適用するのが基本です。改定時は旧版を上書きせず、版番号・公開日・適用開始日・変更理由・承認者を残し、予約ごとにどの版を表示したかを紐づけてください。自社サイト、予約エンジン、OTA、チェックイン台本、掲示物を一つのチェックリストで同時に更新すると、表示の不一致を防げます。
まとめ|今日・今週・今月で進める3ステップ
- 今日やること:設備・区画一覧と、過去1年の苦情・事故・ヒヤリハットを1枚に書き出す(工程1〜2)
- 今週中にやること:3層対応表を作り、ひな形1〜3の角括弧を自施設の内容で埋める
- 今月中にやること:所轄消防署へ火気の条件を相談し、掲示物(ひな形4)と同意記録の台帳(ひな形10)を現場に置く
グランピングの利用規約は、禁止事項の数で守られるものではありません。起きた事象を記録し、判断の手順を決め、同じ内容を予約前・現地・退場後の3か所で見せる。この循環ができている施設の規約は、短くても現場で機能します。
参考にした一次情報・公式情報
以下は2026年9月17日に公開状態と内容を確認しました。制度・統計・各サイトの仕様は更新されるため、規約の作成・改定時には最新版を再確認してください。
- 観光庁「国際観光ホテル整備法(モデル宿泊約款の掲載ページ)」
- 観光庁「モデル宿泊約款(日本語版PDF)」
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値 速報値/2026年2月27日公表)」(延べ宿泊者数6億5,348万人泊、外国人1億7,787万人泊、客室稼働率61.8%)
- 厚生労働省「旅館業法の改正について(2023年12月13日施行)」
- 総務省消防庁「令和7年版 消防白書 第1章 出火原因」(2024年の総出火件数37,141件、たき火2,781件、こんろ2,718件)
- 消費者庁「消費者契約法 逐条解説」(第9条ほか)
- e-Gov法令検索「民法」(第548条の2〜第548条の4 定型約款)
- 気象庁「警報・注意報の種類」(特別警報8種類・警報8種類・注意報17種類)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「テント「1. 一酸化炭素中毒に注意」」
- 日本旅館協会「モデル宿泊約款 外国語版の掲載・一部修正について(2024年2月29日)」
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※本記事は実務上の考え方を整理したもので、個別の法的判断・有効性を保証するものではありません。規約の最終確認は弁護士・行政書士・所轄消防署・保健所など該当する専門家および所管行政庁へご相談ください。