
結論: 2026年9月4日、財務省は令和9年度(2027年度)の一般会計概算要求額が約143.1兆円になったと公表しました。要求はまだ「決定」ではありません。ただし各省庁の要求書は、来年度の補助金メニューの予告編です。今週やるべきことは、申請そのものではなく、GビズIDの取得・数字の棚卸し・相談窓口との顔合わせという「公募が出た瞬間に走り出せる状態」づくりの3つです。
この記事の要点 対象読者: 和歌山県(特に田辺・白浜・新宮・みなべ・串本・那智勝浦・御坊)で宿泊・観光・飲食・小売・農水産・製造などを営む中小事業者と、法人の経営者・現場責任者 読了後にできること: 令和9年度概算要求のうち自社に関係する枠を特定し、公募開始までの数か月で何を準備すればよいかを、社内のスケジュール表に落とせる状態になる
「補助金があるって聞いたときには、もう締切が来週でした。」
補助金の話題でいちばんよく聞くのが、この種の後悔ではないでしょうか。公募要領が出てから見積を取り、図面を描き、賃上げの計画を立てて、gBizIDを申請して——という順番で動くと、多くの制度で用意されている1か月前後の公募期間はあっという間に消えます。結果として、出せたけれど内容が薄い申請書になるか、そもそも間に合わないかのどちらかになります。
この構造を変えられる唯一のタイミングが、実は「今」です。国の補助金は、いきなり公募が現れるわけではありません。8月末に各省庁が財務省へ概算要求を出し、9月にその内容が公表され、12月に政府予算案が決まり、年度内に予算が成立してから公募要領が出ます。つまり要求書を読めば、来年度どのあたりに予算が厚くなりそうかが、公募の半年以上前に見当をつけられるということです。
この記事では、2026年9月4日に財務省が公表した令和9年度概算要求の中身を一次資料で確認したうえで、南紀の事業者が今週から着手できる6ステップと、そのままコピペで使える8本のAIプロンプト、そして「概算要求のニュースを読むときにやりがちな4つの誤解」を整理します。手元にご自身の事業の直近3年分の設備投資額と従業員数を思い浮かべながら、読み進めてください。
なお、以下に書くのは2026年9月6日時点で各府省庁が公表している範囲だけです。補助金の名称・補助上限額・補助率・公募時期は、年末の予算案と年度内の予算成立を経て確定します。確認できていない将来の仕様については、この記事では書きません。
目次
まず結論:公募が出る前にやる6ステップ(今週からの段取り)
最初に全体像です。申請書はまだ書けませんが、申請書を書くための材料は、今この時期にしか落ち着いて集められません。
| ステップ | やること | 今日できる最初の一歩 |
|---|---|---|
| 1. 枠の仕分け | 自社が関係する省庁・枠を1枚に整理する | 事業内容と設備投資の予定を箇条書きにする |
| 2. 数字の棚卸し | 直近3年の投資額・人員・賃金を並べる | 決算書3期分と賃金台帳を机に出す |
| 3. GビズID | 電子申請の共通アカウントを取得する | マイナンバーカードの有効期限を確認する |
| 4. 相談窓口 | 商工会・商工会議所・よろず支援拠点に顔を出す | 最寄りの窓口に電話で面談を予約する |
| 5. 計画の骨子 | 投資枠の言葉で事業計画を1枚書く | 「省力化」「AI」「賃上げ」で自社を説明してみる |
| 6. 見積・型番 | 設備の見積と仕様を先に集める | 業者2社に相見積の依頼メールを送る |

ポイントは、6つのうち5つが「補助金が確定していなくても無駄にならない作業」だという点です。数字の棚卸しも、GビズIDも、相見積も、補助金が使えなかったとしても経営判断の材料としてそのまま残ります。逆に、公募要領が出てから慌てて着手すると、この5つが全部同時に降ってきます。
所要時間の目安は、ステップ1〜3が合計3〜4時間、ステップ4〜6が2〜3週間です。特にステップ3のGビズIDは、書類申請を選ぶと審査に時間がかかるため、最初に手をつけてください(詳細はステップ3で説明します)。
何が起きたか|令和9年度の概算要求は143.1兆円
まず事実関係を、一次資料で確認できる範囲だけ並べます。
一般会計143.1兆円・「強く豊かな日本」投資枠12.2兆円
概算要求とは、各府省庁が翌年度に必要と考える予算を財務省に要求する手続きで、例年8月末が締切です。財務省は令和9年度分を取りまとめ、2026年9月4日に公表しました。
同日の片山財務大臣の閣議後記者会見(令和8年9月4日)では、次の数字が示されています。
- 令和9年度の一般会計概算要求額は「約143.1兆円」
- 新設された「強く豊かな日本」投資枠の一般会計での要求額は「約12.2兆円」
- これにGXやAI・半導体に関するエネルギー対策特別会計での投資枠要求を加えると「全体で約14.2兆円の要求」
- 比較対象は「令和7年度補正と令和8年度当初予算の合計額」で「約141兆円」、その差は「約2.5兆円の増」
要求額の集計資料は、財務省の令和9年度予算のページに「令和9年度一般会計概算要求・要望額・『「強く豊かな日本」投資枠』等」として掲載されています(令和8年9月4日付)。この報道を最初に目にした方が多いであろう紀伊民報の記事「27年度予算要求143兆円/成長投資枠12兆円」(2026年9月5日)も、この公表を受けたものです。
「強く豊かな日本」投資枠は、令和9年度から新設された要求区分です。中小企業向けの補助金の多くがこの枠を使って要求されているため、来年度のメニューを読むうえで最初に押さえるべきキーワードになります。

中小企業向け:4つの補助金が1本の交付金に束ねられている
中小企業関連は、中小企業庁が令和9年度 中小企業・小規模事業者関係 概算要求等ポイント(PDF)を公表しています。同資料に記載されている主な事業と要求額は次のとおりです。
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金: 6,980億円
- 地域の産業クラスター形成に向けたサプライチェーン形成支援補助金: 2,376億円(うち1,376億円は後年度負担分)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業: 2,200億円
- 日本政策金融公庫補給金・出資金: 604億円
- 中小企業信用補完制度関連補助事業: 518億円
- 中小企業活性化・事業承継総合支援事業: 280億円
- 小規模事業対策推進等事業: 175億円
- 中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業: 96億円
- 中小企業取引対策事業: 40億円
- 小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資): 33億円
現場の事業者にとって重要なのは、いちばん上の中小機構運営費交付金6,980億円です。同資料では、この交付金の中に次の4つの補助金が並べて記載されています。
- 中小企業成長加速化補助金
- 省力化・デジタル化・AI投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- M&A・事業承継補助金
このうち「省力化・デジタル化・AI投資補助金」は、資料に「人手不足や生産性向上等の課題を抱える中小企業・小規模事業者等を対象に、業務効率化やAX・DXの推進に向け、AIを含むデジタル技術の活用や省力化設備の導入を一体的に支援」と説明されています。設備の省力化とデジタル・AIの導入を「一体的に」支援すると書かれている点が、これまでの制度との読みどころの違いです。小規模事業者持続化補助金については「小規模事業者等が、経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援」と、従来どおり商工会・商工会議所の関与が前提として書かれています。
なお、この資料は「<令和9年度 経済産業省関係 概算要求等 抜粋>」という位置づけで、経済産業省全体の要求は令和9年度概算要求・税制改正要望について(経済産業省)にまとめられています。経済産業省関係の令和9年度概算要求額は、同省の概要資料で7兆7,859億円とされています。
現時点で公表されているのはここまでです。 補助上限額・補助率・要件・公募回数は、この概算要求資料には記載がありません。「上限がいくらになる」という情報が出回っていたら、それは推測か、前年度の制度の数字です。
観光・農林水産・雇用の3分野も要求額が動いている
南紀の事業者に関係が深い他省庁も見ておきます。
観光庁は、令和8年8月28日に令和9年度の概算要求概要を公表しました(観光庁予算のページに「概算要求(令和8年8月28日)」として掲載)。資料では国際観光旅客税財源事業が1,800億円(前年度1,300億円)、一般財源事業が100億円(前年度83億円)、東日本大震災復興特別会計が6億円(前年度7億円)とされ、合計でおよそ1,900億円規模の要求です。国際観光旅客税の税収増を背景に、旅客税財源の事業が500億円ほど積み増されている形になります。
農林水産省は、令和8年8月31日に令和9年度農林水産予算概算要求についてを公表し、「総額3兆1,377億円を要求します」としています。このうち「強く豊かな日本」投資枠は4,272億円です。事業の内訳は令和9年度農林水産予算概算要求の概要に、輸出促進、スマート農業技術活用促進、スマート水産業推進、養殖業成長産業化などの項目別資料として掲載されています。
厚生労働省は、令和9年度厚生労働省所管予算概算要求関係で概要と主要事項を公表しています。このうち賃上げ関連では、労働新聞社の報道(2026年9月3日)によれば、業務改善助成金に「強く豊かな日本」投資枠を活用して543億円を計上し、令和8年度当初の21億円から大幅な増額を要求しているとされています(この金額は同紙の報道による数字で、一次資料は上記の厚生労働省の概算要求資料です)。
和歌山の事業者にどう効くか|業種別の影響マップ
ここからが本題です。143兆円という数字そのものは、あなたの店や宿の売上と直接の関係がありません。関係があるのは「自社がどの省庁の、どの枠の対象に入るか」だけです。
| 事業のタイプ | 注目する省庁・枠 | 今から集めておく材料 |
|---|---|---|
| 宿泊(旅館・民宿・ペンション・ヴィラ) | 中小企業庁の省力化・デジタル化・AI投資補助金/観光庁の観光地・観光産業関連 | 客室数・稼働率・従業員数・省力化したい業務と現行の作業時間 |
| 飲食・小売 | 中小企業庁の小規模事業者持続化補助金/厚生労働省の賃上げ支援 | 直近3期の売上と客数・パート時給の一覧・販路開拓の計画 |
| 農業(梅・柑橘) | 農林水産省のスマート農業技術活用促進・輸出促進 | 作付面積・出荷量・導入したい機械の型番と見積 |
| 水産・水産加工 | 農林水産省のスマート水産業・養殖業成長産業化 | 漁獲量/生産量・加工設備の老朽度・衛生管理の課題 |
| 製造・建設 | 中小企業庁の新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業/サプライチェーン形成支援 | 設備の型番と稼働年数・取引先構成・不良率などの生産データ |
| 事業承継を控える全業種 | 中小企業庁のM&A・事業承継補助金/中小企業活性化・事業承継総合支援事業 | 後継者の有無・株主構成・直近3期の決算書 |

「いつから効くのか」も整理しておきます。国の予算は、12月の政府予算案の閣議決定、年明けの通常国会での審議を経て、通例は年度内に成立します。公募要領が出るのはその後です。したがって、令和9年度の予算による新しい公募に実際に応募できるのは、早くても2027年春以降になります。今からの半年強は、申請の時期ではなく準備の時期だという整理になります。
一方で、和歌山県や市町の補助金は国とは別のスケジュールで動きます。県・市町の当初予算は3月議会で議決され、4月以降に順次募集が始まる制度が多く、こちらは国の動きを待たずに来春の募集が視野に入ります。地域の制度は田辺市の事業者が使える補助金まとめ|創業・設備・販路の制度と申請手順【2026年8月】と南紀の町の補助金まとめ|上富田・すさみ・みなべ・串本・那智勝浦の制度と窓口【2026年8月】で市町別に整理しています。
今週やる6ステップ(完全版)
ここからは手順です。各ステップのプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIにそのまま貼り付けて使ってください。( )の中を自社の情報に書き換えるだけで動きます。
ステップ1: 自社が関係する「枠」を仕分ける
最初にやるのは、143兆円のニュースを自社の言葉に翻訳することです。上の業種別マップを見ながら、自社が関係しそうな枠を2つか3つに絞ります。全部を追いかけると、どれも準備が中途半端になります。
あなたは日本の中小企業向け補助金制度に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、令和9年度概算要求で私の事業が関係しそうな枠を絞り込んでください。
【材料】
・事業内容と所在地: (例: 和歌山県白浜町で客室8室の民宿)
・従業員数(正社員/パート):
・直近1年でやりたい投資: (例: 予約管理システムの導入、厨房設備の更新)
・困っていること: (例: 人手不足でチェックイン対応が回らない)
出力: ①関係しそうな省庁と枠を最大3つ、優先順位つきで ②それぞれについて「なぜ自社が対象になり得るか」を1〜2文 ③今の段階では確定していない事項の一覧。制度の補助上限額・補助率・公募時期は推測せず「未確定」と書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、AIの出力をそのまま信じないことです。制度名や金額の記憶は古い可能性があるため、出てきた枠は必ず各省庁の概算要求資料で確認してください。この記事の「参考・出典」に一次資料のリンクをまとめています。
ステップ2: 直近3年の数字を棚卸しする
補助金の審査は、ほぼ例外なく「数字で書かれた現状」を求めます。売上・従業員数・賃金・設備投資額・生産量。これらが手元に揃っていないと、公募が出てから決算書を探すところから始まることになります。
あなたは中小企業の経営計画づくりを支援するアドバイザーです。以下の材料を、補助金の申請書で使える形に整理してください。
【材料】
・直近3期の売上高: (例: 4,800万円/5,100万円/5,400万円)
・従業員数の推移(正社員/パート):
・直近3年の設備投資: (内容と金額。無ければ「なし」)
・パート・アルバイトの時給の下限と平均:
・今いちばん時間を取られている業務と、その作業時間: (例: 電話予約の受付、1日90分)
出力: ①3期分の推移表 ②数字から読み取れる自社の強みと弱みを各2つ ③補助金の申請書で「現状の課題」として書ける文章を200字。数字は【材料】にあるものだけを使い、無い数字は「要確認」と書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
ここで出した「1日90分」のような作業時間は、省力化の効果を説明する土台になります。ストップウォッチで測る必要はありません。1週間、思い出せる範囲でメモを取るだけで十分です。
ステップ3: GビズIDプライムを取得しておく
国の補助金の電子申請は、GビズIDプライムという共通アカウントで行うものが大半です。ここでつまずく事業者が毎回一定数います。
GビズIDの公式サイトによると、申請方法はオンライン申請と書類申請の2つがあり、事業区分やマイナンバーカードの保有状況によって選べる方法が変わります。オンライン申請はGビズIDアプリでマイナンバーカードを読み取る方式で、公式サイトには「アカウント作成および有効期限の更新のいずれも、24時間365日、速やかに行われるようになりました」と記載されています。一方、書類申請については「書類申請の審査期間が従来の最大2週間から最大1か月に変更されました」と案内されています。
つまり、マイナンバーカードが手元にあるなら今日中に終わる作業で、無ければ最大1か月かかる作業です。公募開始まで半年あるうちにやっておけば、この差は問題になりません。すでに持っている方も、有効期限の更新が必要かどうかだけ確認しておいてください。
ステップ4: 商工会・商工会議所・よろず支援拠点に顔を出す
小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁の資料でも「商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援」と書かれているとおり、商工会・商工会議所の関与が前提の制度です。公募が始まってから初めて窓口に行くと、同じ時期に相談が集中します。
また、中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業(96億円の要求)には、よろず支援拠点が含まれます。和歌山県内にも拠点があり、相談は無料です。今の時期なら、じっくり時間を取ってもらえます。
あなたは中小企業の経営相談に同席するアシスタントです。以下の材料から、商工会・商工会議所やよろず支援拠点への初回相談に持っていく「相談メモ」をA4一枚分(600字以内)で作ってください。
【材料】
・事業内容と所在地:
・従業員数と直近の売上高:
・やりたい投資と概算金額:
・相談したいこと: (例: 令和9年度に使えそうな補助金の当たりをつけたい)
・すでに使ったことのある補助金: (無ければ「なし」)
出力: ①事業の概要(150字) ②現状の課題(150字) ③やりたいこと(150字) ④担当者に聞きたい質問リスト5個。制度名や金額を断定せず、質問の形で書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
面談で聞くべきことは1つに絞れます。「来年度、うちのような事業者が使えそうな制度の情報は、いつ・どこで出ますか」です。制度の内容ではなく、情報が出る場所と時期を押さえるのが、この段階の目的です。
ステップ5: 「投資枠」の言葉で事業計画の骨子を1枚書く
令和9年度の要求で目立つのは、「省力化」「AI・デジタル」「賃上げ」「輸出・販路開拓」という言葉です。自社の投資計画をこの言葉で説明できるかどうかが、書類の通りやすさに直結します。逆に言えば、同じ設備投資でも説明の切り口を変えるだけで、対象になる枠が増えることがあります。
まずは省力化・AIの切り口です。
あなたは中小企業の事業計画づくりを支援するコンサルタントです。以下の材料から、省力化・デジタル化・AI活用を軸にした事業計画の骨子をA4一枚分(800字以内)で書いてください。
【材料】
・事業内容と所在地:
・省力化したい業務と現在の作業時間: (例: 予約の電話対応、1日90分/人)
・導入を検討している設備・システム: (型番や製品名がわかれば記入)
・概算の投資額:
・従業員数と、うち省力化の影響を受ける人数:
出力: ①現状の課題(数字入り) ②導入する設備・システムと使い方 ③削減できる作業時間の試算と、その計算式 ④浮いた時間を何に振り向けるか ⑤想定されるリスクと対策。試算は【材料】の数字だけを使い、計算式を必ず併記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
次に、賃上げの切り口です。国の補助金では賃上げの計画が加点や要件になることが多く、賃上げ支援の助成金そのものも要求額が動いています。
あなたは中小企業の労務と経営計画に詳しいアドバイザーです。以下の材料から、賃上げの計画案を3パターン(保守的/標準/積極的)作ってください。
【材料】
・従業員数(正社員/パート):
・現在の時給の下限と平均:
・直近3期の売上高と営業利益:
・今後1年で見込める省力化の効果: (ステップ5で試算した削減時間があれば記入)
出力: ①3パターンそれぞれの引上げ幅と、年間の人件費増加額の計算式 ②それぞれの原資をどこから確保するか ③実施した場合の損益への影響。人件費の計算は【材料】の数字と明示した計算式のみで行い、法令の適用可否や助成金の受給可否は断定せず「社会保険労務士に確認」と書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
観光・インバウンドや農水産の輸出を軸にする場合は、次の切り口に置き換えます。
あなたは地域の観光・一次産業の事業計画づくりを支援するコンサルタントです。以下の材料から、外から需要を呼び込む取組を軸にした事業計画の骨子をA4一枚分(800字以内)で書いてください。
【材料】
・事業内容と所在地: (例: 和歌山県みなべ町の梅農家/串本町の水産加工)
・現在の販売先の構成: (例: 農協8割・直販2割)
・増やしたい販路: (例: 首都圏の飲食店、海外、インバウンド客の直接購入)
・すでにある強み: (例: 有機栽培の認証、加工場を自社で持っている)
・概算の投資額と使いみち:
出力: ①現状の販路と課題(数字入り) ②新しい販路の候補を3つと、それぞれの必要な準備 ③初年度に現実的に狙える数量・金額の試算と計算式 ④手をつける順番。試算は【材料】の数字だけを使い、市場規模や成長率の数字は「要出典」と書いてください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
この骨子は、公募要領が出たときに「申請書の下書き」としてそのまま使えます。制度に合わせて書き直す作業は発生しますが、白紙から書くのとは所要時間がまったく違います。
ステップ6: 見積・型番・図面を先に集める
最後は、いちばん時間が読めない作業です。設備の見積は、業者の繁忙期に当たると2〜3週間かかることがあります。工事を伴う場合は現地調査の日程調整も入ります。公募期間が1か月しかない制度で、この作業を中に入れるのは無理があります。
あなたは中小企業の設備導入の実務を支援するアシスタントです。以下の材料から、設備業者に送る相見積の依頼メール文面を作ってください。
【材料】
・自社名と所在地:
・導入したい設備: (例: 客室清掃の動線を短縮する業務用機器)
・現在の課題:
・希望する納期の目安:
・見積に含めてほしい項目: (本体価格/設置工事費/保守/型番と仕様)
条件: 補助金の申請に使う可能性があることを明記し、型番・仕様・内訳が分かれた見積書を依頼する。金額の値引き交渉は書かない。丁寧語で400字以内。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
集めた材料は、社内で1つのフォルダにまとめておきます。公募開始から締切までのスケジュールも、今のうちに型を作っておくと安心です。
あなたは補助金申請のプロジェクト管理を支援するアシスタントです。以下の材料から、公募開始日を起点にした社内スケジュール表を作ってください。
【材料】
・想定する公募期間: (例: 公募開始から締切まで30日間)
・申請に関わる人: (例: 代表、経理担当、現場責任者)
・すでに揃っている材料: (例: 決算書3期分、GビズIDプライム、相見積2社分)
・まだ揃っていない材料:
出力: ①公募開始から締切までの日程表(担当者・作業内容・期限の3列) ②公募前に前倒しでできる作業の一覧 ③締切7日前までに終わらせるべきことのリスト。公募期間は【材料】の想定日数で計算し、実際の日程は公募要領で確認する旨を注記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
【要注意】概算要求のニュースで起きやすい4つの誤解
ここまでの準備を進めるうえで、判断を狂わせやすい誤解が4つあります。
誤解1: 「概算要求=決まった予算」だと読んでしまう
❌ よくある間違い: 「143兆円の予算が付いた」「省力化の補助金が6,980億円に決まった」と受け取り、その前提で設備の発注を進めてしまう。
⭕ 正しいアプローチ: 概算要求は各省庁の「要求」であり、財務省の査定を経て12月に政府予算案として閣議決定され、通常国会で審議・議決されて初めて予算になります。要求額と最終的な予算額は一致しません。
なぜ重要か: 補助金が出る前提で契約を結んでしまうと、多くの制度では交付決定前の発注が対象外になるため、補助金を受けられないまま支出だけが残ります。準備は進めても、発注は公募要領を読んでからです。
誤解2: 「令和8年度」と「令和9年度」を取り違える
❌ よくある間違い: 「令和8年度の概算要求」で検索し、1年前の情報をもとに今年の準備を組み立ててしまう。
⭕ 正しいアプローチ: 令和8年度(2026年4月〜2027年3月)はすでに始まっている今年度で、その予算は昨年の手続きで確定済みです。2026年8月末に提出され9月に公表されたのは、令和9年度(2027年4月〜2028年3月)分です。
なぜ重要か: 制度名も金額も年度ごとに変わるからです。今年度に募集中の制度を探しているのか、来年度の制度に備えたいのかで、見るべき資料が変わります。今年度に使える制度を今すぐ探しているなら、宿泊業で使える補助金まとめ|5制度の対象・補助上限額と申請の段取り【2026年8月】のような現行制度の記事から確認してください。
誤解3: 「前年比で大幅増=補助金が増える」と読む
❌ よくある間違い: 143.1兆円という数字を前年度当初予算と単純に比べ、「国が大盤振る舞いを始めた」と結論づける。
⭕ 正しいアプローチ: 財務大臣の会見では、比較対象が「令和7年度補正と令和8年度当初予算の合計額 約141兆円」とされ、その差が「約2.5兆円の増」と説明されています。これまで補正予算で措置していた経費を当初予算に取り込む方針が背景にあるため、当初予算だけを見ると大きく増えて見えます。
なぜ重要か: 総額の伸びと、自社が使う制度の予算の伸びは別物だからです。見るべきは総額ではなく、自分に関係する事業の要求額と、その前年度当初予算との比較です。中小企業庁や観光庁の資料には、この比較が事業単位で載っています。
誤解4: 「公募が出てから動けばいい」と考える
❌ よくある間違い: 制度が確定していない段階で動いても無駄だと考え、公募開始のニュースを待つ。
⭕ 正しいアプローチ: 準備の中身のうち、GビズID・決算数字の整理・相見積・支援機関との関係づくりは、どの制度でもほぼ共通して必要になります。制度が変わっても無駄になりません。
なぜ重要か: 公募期間は制度によりますが、1か月前後に設定されることが珍しくないからです。その中で見積取得・計画策定・電子申請の登録をすべて行うのは、通常業務を回しながらでは現実的ではありません。準備が終わっている事業者だけが、内容を練る時間に公募期間を使えます。

なお、補助金の申請そのものを外部に丸投げすることはおすすめしません。事業計画は自社の言葉で書くほど通りやすくなりますし、書く過程が経営の整理そのものになるからです。私たちは観光地の宿や店舗のデジタル支援に取り組む立場から、数字の棚卸しやAIを使った計画づくりのお手伝いはできますが、申請の可否や採択を保証することはできませんし、認定支援機関としての手続きが必要な場面は提携する専門家におつなぎしています。無料ヒアリングは最大60分で、提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
概算要求の段階でやる準備・やらない準備(チェックリスト)
現在地の確認に使ってください。当てはまるものにチェックを入れます。
- □ 自社が関係しそうな省庁・枠を2〜3個に絞れている
- □ 直近3期の売上・従業員数・設備投資額を1枚の表で見られる
- □ GビズIDプライムを取得済み、または申請中である
- □ パート・アルバイトの時給の下限と平均を即答できる
- □ いちばん時間を取られている業務と、その作業時間を数字で言える
- □ 商工会・商工会議所またはよろず支援拠点の担当者と話したことがある
- □ 導入したい設備の型番・仕様・概算金額が分かる資料がある
- □ 補助金の情報が最初に出る場所(省庁サイト・支援機関の案内)をブックマークしている

特に見落とされやすいのが、4つ目の「時給の下限と平均」です。賃上げ関連の要件や加点は近年の補助金で定番になっており、この数字が出てこないと計画が組めません。チェックが3つ未満でも問題ありません。上の6ステップを順に進めれば、1つずつ埋まる構成になっています。
数字で見る「厚くなる場所」|前年度当初予算との比較
「どこが厚くなるか」は、総額ではなく事業単位の前年度比で読みます。公表資料から確認できる比較を並べます。
観光庁の令和9年度概算要求では、国際観光旅客税財源事業が前年度1,300億円から1,800億円へ、一般財源事業が前年度83億円から100億円へと要求されています。旅客税財源だけで約500億円の積み増しで、伸び率は約38%です。国際観光旅客税の税収を財源とする事業が中心のため、インバウンド関連の取組に配分が寄る構造そのものは変わりません。
賃上げ関連では、業務改善助成金が令和8年度当初の21億円に対し、令和9年度は543億円が要求されていると報じられています(労働新聞社、2026年9月3日)。金額だけを見れば20倍を超える規模ですが、これも「強く豊かな日本」投資枠を使った要求であり、査定を経て確定します。
農林水産省は総額3兆1,377億円のうち4,272億円を「強く豊かな日本」投資枠として要求しています。全体の約14%が新設枠経由という構成です。中小企業関連では、中小機構運営費交付金6,980億円の中に成長加速化・省力化デジタルAI・持続化・M&A事業承継の4補助金が並び、新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業が2,200億円で別立てになっています。
ここから読めるのは、来年度の重心が「省力化・デジタル・AI」「賃上げ」「インバウンドと輸出」の3方向にあるということです。逆に言えば、自社の投資計画をこの3方向のどれかに接続できないと、要求が厚い場所から外れます。設備の更新を「古くなったから」ではなく「この作業を何分減らすため」と言い換えられるかどうかが、来年の分かれ目になります。
AIによる省力化を具体的にどの業務から始めるかは、旅館・ホテルの人手不足はAIでどこまで減らせるか|7業務の適用マップ【2026年8月】で業務別に整理しています。県の支援メニューとの組み合わせは和歌山県のデジタル化支援メニュー完全ガイド|使える制度と申し込み手順【2026年8月】を参照してください。
よくある質問
Q. 概算要求とは何ですか? 補助金とどう関係しますか?
各府省庁が翌年度に必要と考える予算額を財務省に要求する手続きで、例年8月末が締切です。要求書には翌年度に実施したい事業が名称と金額つきで並ぶため、来年度どんな補助金が用意されそうかを、公募の半年以上前に読み取る材料になります。ただしこの段階では補助上限額・補助率・要件は決まっていません。
Q. 令和8年度と令和9年度、どちらの話ですか?
2026年8月末に提出され9月4日に公表されたのは、令和9年度(2027年4月〜2028年3月)分です。令和8年度はすでに始まっている今年度で、予算は昨年の手続きで確定しています。今年度に募集中の制度を探している場合は、この記事ではなく現行制度の情報を確認してください。
Q. 143兆円のうち、中小企業向けはいくらですか?
中小企業庁の概算要求資料では、独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金6,980億円、新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業2,200億円、地域の産業クラスター形成に向けたサプライチェーン形成支援補助金2,376億円(うち1,376億円は後年度負担分)などが並んでいます。ただしこれらは要求額で、確定額ではありません。
Q. 「強く豊かな日本」投資枠とは何ですか?
令和9年度から新設された概算要求の区分です。財務大臣の会見によると、一般会計での要求額は約12.2兆円、GXやAI・半導体に関するエネルギー対策特別会計の投資枠要求を加えると全体で約14.2兆円とされています。中小企業向けの補助金や業務改善助成金もこの枠を使って要求されており、来年度のメニューを読むうえでの鍵になります。
Q. 省力化投資補助金とIT・AI関連の補助金は今後どうなりますか?
中小企業庁の令和9年度概算要求資料には「省力化・デジタル化・AI投資補助金」という名称が記載され、「AIを含むデジタル技術の活用や省力化設備の導入を一体的に支援」と説明されています。現時点で公表されているのはこの記述までで、補助上限額・補助率・対象経費・公募回数は未定です。現行の観光分野の省力化投資については観光の省力化投資補助金|宿泊業の対象・補助率と申請の段取り【2026年8月】で解説しています。
Q. 補助金の公募はいつ始まりますか?
国の予算は12月の政府予算案の閣議決定と通常国会での審議を経て、通例は年度内に成立します。公募要領はその後に公表されるため、令和9年度予算による新しい公募に応募できるのは早くても2027年春以降です。現時点で具体的な公募開始日は公表されていません。
Q. 和歌山県や市町の補助金も概算要求で変わりますか?
県・市町の制度は自治体の予算編成で決まるため、国の概算要求とは別のスケジュールです。ただし国の制度と連動する事業もあります。県・市町の当初予算は3月議会で議決され、4月以降に募集が始まる制度が多いため、地域の制度は国より早く動くと考えてください。
Q. 申請は自分でできますか? 誰に相談すればいいですか?
小規模事業者持続化補助金のように、商工会・商工会議所の支援を前提とする制度があります。まずは最寄りの商工会・商工会議所と、無料で相談できるよろず支援拠点に行くのが確実です。ホームページやシステムの投資を絡める場合の考え方は持続化補助金でホームページを作る方法|宿・飲食店の申請6ステップと文例【2026年8月】にまとめています。なお、税務・法務の判断が絡む部分は税理士・社会保険労務士などの有資格者に確認してください。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: GビズIDプライムの取得状況を確認する。未取得なら、マイナンバーカードでのオンライン申請に着手する
- 今週中にやること: 決算書3期分と賃金台帳を出し、ステップ2のプロンプトで数字を1枚の表にまとめる
- 今月中にやること: 商工会・商工会議所またはよろず支援拠点に面談を申し込み、「来年度の情報がいつ・どこで出るか」を確認する
令和9年度の公募が動き出すのは、早くても来春です。半年あります。この半年を「情報を待つ時間」にするか「材料を揃える時間」にするかで、公募が出た日の走り出しは変わります。
次に読む記事: 今年度に募集がある制度から着手したい方は、宿泊業で使える補助金まとめ|5制度の対象・補助上限額と申請の段取り【2026年8月】から確認してください。
参考・出典
- 財務省「片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和8年9月4日)」(一般会計概算要求額 約143.1兆円、「強く豊かな日本」投資枠 一般会計 約12.2兆円・全体 約14.2兆円) https://www.mof.go.jp/public_relations/conference/my20260904.html (参照日: 2026-09-06)
- 財務省「令和9年度予算」(「令和9年度一般会計概算要求・要望額・『「強く豊かな日本」投資枠』等」令和8年9月4日公表、概算要求基準の閣議了解 令和8年7月30日) https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2027/index.html (参照日: 2026-09-06)
- 中小企業庁「令和9年度 中小企業・小規模事業者関係 概算要求等ポイント」(中小機構運営費交付金6,980億円ほか事業別要求額) https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r9/gaisan_point.pdf (参照日: 2026-09-06)
- 経済産業省「令和9年度概算要求・税制改正要望について」(経済産業省関係の概算要求額 7兆7,859億円) https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2027/index.html (参照日: 2026-09-06)
- 観光庁「観光庁予算」(令和9年度概算要求概要、令和8年8月28日掲載。国際観光旅客税財源事業1,800億円・一般財源事業100億円ほか) https://www.mlit.go.jp/kankocho/yosan_zeisei/yosan/index.html (参照日: 2026-09-06)
- 農林水産省「令和9年度農林水産予算概算要求について」(令和8年8月31日、総額3兆1,377億円・「強く豊かな日本」投資枠4,272億円) https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/yosan/260831.html /事業別の概要: https://www.maff.go.jp/j/budget/r9yokyu.html (参照日: 2026-09-06)
- 厚生労働省「令和9年度厚生労働省所管予算概算要求関係」(概算要求の概要・主要事項) https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/27syokan/ (参照日: 2026-09-06)
- 労働新聞社「厚労省9年度概算要求 業務改善助成金に543億円 支給上限額を引上げ」(2026年9月3日) https://www.rodo.co.jp/news/225065/ (参照日: 2026-09-06)
- デジタル庁ほか運営「GビズID」(オンライン申請は24時間365日、書類申請の審査期間は最大1か月) https://gbiz-id.go.jp/top/ (参照日: 2026-09-06)
- 紀伊民報「27年度予算要求143兆円/成長投資枠12兆円」(2026年9月5日/共同通信配信。本記事の起点となった報道。全文は有料会員限定) https://www.agara.co.jp/article/682388?rct=nationwide (参照日: 2026-09-06)
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※本記事は2026年9月6日時点で各府省庁が公表している資料に基づく整理です。概算要求は決定した予算ではなく、制度名・要求額・補助上限額・補助率・公募時期はいずれも今後変更されます。申請の可否や採択を保証するものではありません。税務・法務・労務の個別判断は、税理士・社会保険労務士等の有資格者にご確認ください。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。