
結論: 新宮市が2026年9月8日に更新した結婚新生活支援事業のページによれば、対象は令和8年(2026年)1月1日〜令和9年(2027年)3月31日に婚姻またはパートナーシップ宣誓をした世帯で、補助上限は1世帯30万円、夫婦・パートナーともに婚姻日の年齢が29歳以下なら60万円です。申請するのは世帯本人であって会社ではありません。ただし「新宮市で働くと、住まいの初期費用がここまで軽くなる」という事実は、求人票と面接でそのまま使えます。使えるのは新宮市に住む人だけで、期限は令和9年3月31日です。
この記事の要点 対象読者: 新宮市・那智勝浦町・串本町・田辺市など南紀で若手や移住者を採用したい中小事業者と、宿泊・観光・飲食・小売・農水産の現場責任者 読了後にできること: 自社の従業員・内定者のうち誰が対象になりうるかを洗い出し、住宅手当との重なりを確認したうえで、求人票と面接で使える一文を今週中に用意できる状態になる
「給料はこれ以上、上げられません」
南紀で人を採ろうとしたとき、最後にぶつかるのがこの壁ではないでしょうか。都市部の求人と時給や月給を並べられると勝ち目がない。だから求人を出しても応募が来ない、来ても他社に流れる。白浜への移住準備で地域の事業者と話していると、採用の話題はたいていここに行き着きます。
けれど、若い人が就職先を選ぶときに見ているのは、月給の数字だけではありません。「ここで暮らし始めるのに、最初にいくらかかるのか」です。敷金・礼金、引越代、家具家電、そして新居のリフォーム。結婚と就職が近い時期に重なる20代にとって、この初期費用は月給の差より重く感じられます。
新宮市の結婚新生活支援事業は、まさにその初期費用に効く制度です。しかも上限60万円という額は、月給に置き換えれば数か月分に相当します。ところが制度の告知は「新婚世帯のみなさんへ」という顔をしているため、採用する側の事業者はほとんど見ていません。ここに、他社との差がそのまま残っています。
この記事では、白浜(和歌山)への移住準備を進めながら地域の事業者と話している立場から、①9月8日更新の告知で何が公表されたか(要件と金額と期限)②南紀のどの町の従業員に効くか③9月中に社内で片づける作業とコピペで使えるプロンプト8本④求人票の書き方でよくある4つの誤解⑤自社の確認8項目、の順に整理します。手元に従業員名簿と、いま出している求人票を1枚用意しながら読み進めてください。
目次
9月8日更新の告知で公表されたこと|9つの要件と上限60万円
まず事実の確認からです。新宮市の結婚新生活支援事業のページ(更新日2026年9月8日/参照日2026-09-10)に書かれている内容を、事業者の視点で整理すると次のようになります。
| 項目 | 公表されている内容 | 事業者が気にすべき点 |
|---|---|---|
| 補助の上限 | 1世帯あたり上限30万円。夫婦・パートナーともに婚姻日の年齢が29歳以下の世帯は上限60万円 | 29歳以下かどうかで倍違う。新卒・第二新卒の採用に効く |
| 対象になる世帯 | 令和8年1月1日〜令和9年3月31日に婚姻またはパートナーシップ宣誓を行った世帯 | 対象者は「これから」生まれる。いま在籍中の若手も含まれうる |
| 所得の要件 | 夫婦・パートナーの所得の合計が500万円未満(貸与型奨学金を返還している場合は年間返済額を控除) | 世帯所得で見る。共働きの合算に注意 |
| 年齢の要件 | 夫婦・パートナーともに婚姻日・宣誓日における年齢が39歳以下 | 39歳以下で30万円、29歳以下で60万円の二段構え |
| 住まいの要件 | 新宮市内に住居があり住民登録済み。1年以上、新宮市に定住する意思があること | 通勤圏でも市外在住なら対象外。転入とセットで効く |
| その他の要件 | 市税等の滞納がないこと、過去にこの制度の補助を受けていないこと、暴力団関係者でないこと | 過去に受けていれば再度は使えない |
| 講座の受講 | 夫婦・パートナーともに指定講座を受講すること | 見落とされやすい必須要件(後述) |
補助の対象になる費用は、令和8年4月1日〜令和9年3月31日に支払った、新居の住宅購入費・家賃・敷金・礼金など、引越費用、リフォーム工事費です。逆に対象外として明記されているのは、倉庫・車庫に係る工事費用、門・フェンス・植栽等の外構に係る工事費用、そしてエアコン・洗濯機等の家電購入・設置に係る費用です。

事業者として最初に押さえておきたいのは、この制度の申請主体は世帯であって会社ではないという一点です。会社が代理で申請することはできませんし、会社が「支給します」と約束できるものでもありません。会社にできるのは、知らせること、要件を満たしやすい環境を整えること、そして採用の場でその事実を正確に伝えることの3つです。
もう一つ、事業者が見落としがちなのが講座の受講要件です。新宮市のページでは、ライフデザイン支援講座等、プレコンセプションケアに関する講座、医療機関への妊娠・出産に関する相談、共家事・共育て講座が指定されており、受講方法として「わかやま“こどもまんなか”ちゃんねる」の講座動画を視聴し、受講報告書を提出する形が案内されています。動画視聴で済む設計なので難しくはありませんが、「知らずに申請直前で気づく」パターンが一番もったいない箇所です。
なお、申請期限そのものは本記事の参照時点(2026-09-10)で新宮市のページに明記が見当たりません。対象費用の支払期間が令和9年3月31日までである以上、遅くともそれ以降に手続きが続くとは考えにくいのですが、確認できていないことは確認できていないと書きます。実際の締切と予算の残りは、新宮市子育て推進課(0735-23-3344)に直接確認してください。現時点で公表されているのは、ここまでです。
南紀のどこで使えるか|新宮・田辺・串本・那智勝浦で条件が違う
次に「誰に効くのか」です。この制度は国の交付金を使って市町村が実施するため、隣の町でも中身が違い、そもそも実施していない町もあります。
和歌山県こども未来課の地域少子化対策重点推進交付金の活用について(参照日2026-09-10)には、令和8年度の市町村実施事業として、和歌山市・海南市・橋本市・有田市・田辺市・新宮市・紀の川市・岩出市・紀美野町・湯浅町・広川町・みなべ町・日高川町・すさみ町・那智勝浦町・串本町の16市町村分の結婚新生活支援事業へのリンクが並んでいます。裏を返せば、この一覧に名前のない市町村に住む従業員は、原則としてこの制度を使えません。
南紀の主な自治体を並べると、次のようになります。
| 自治体 | 補助の上限 | 対象になる婚姻日・宣誓日 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 新宮市 | 30万円/夫婦とも29歳以下は60万円 | 令和8年1月1日〜令和9年3月31日 | 新宮市 結婚新生活支援事業(子育て推進課) |
| 田辺市 | 30万円/夫婦とも29歳以下は60万円 | 令和8年1月1日〜令和9年3月31日 | 田辺市 結婚新生活支援事業(子育て推進課) |
| 串本町 | 30万円/夫婦とも29歳以下は60万円 | 令和8年1月1日以降に入籍した世帯 | 串本町 結婚新生活支援事業補助金 |
| 那智勝浦町 | 最大60万円 | 令和8年1月1日〜令和9年3月31日 | 那智勝浦町 結婚新生活支援事業補助金 |

期限の書き方も自治体ごとに違います。田辺市のページには申請期限が令和9年3月31日(火曜日)と明記されており、対象費用の支払期間は令和8年4月1日〜令和9年3月31日かつ原則婚姻日以降とされています(更新日2026年6月17日)。串本町は「支払い完了後、その日以降の最初の3月31日までに交付申請書を提出」という書き方です。那智勝浦町は対象費用の支払期間に「婚姻日から1年以内」という条件が加わります(更新日2026年7月29日)。
つまり、複数の市町にまたがって人を雇っている事業者ほど、「うちの従業員は全員60万円もらえます」といった一律の説明はできません。従業員の住所地ごとに確認する必要があります。
制度の後ろ盾は国です。こども家庭庁の令和8年度地域少子化対策重点推進交付金のページ(令和8年6月25日現在)では、47都道府県それぞれの活用状況が公表されており、結婚新生活支援事業はこの交付金を使った市町村の取り組みとして位置づけられています。国の枠組みがある以上、市町村ごとの上限額や要件は近い形になりますが、細部は必ず自治体ごとに違うという前提で読んでください。
新宮市そのものの事業者向け制度と混同しやすいので補足すると、市が事業者に直接出す補助金は別系統です。そちらは新宮市の補助金|事業者が使える市の制度7件と申請の順番に整理しています。結婚新生活支援事業は「従業員個人の世帯に効く制度」で、会社の経費が減るわけではない、という切り分けを最初にしておくと社内の説明がぶれません。
対象者の洗い出しから求人票の書き換えまで|9月中に片づける社内作業
ここからが本体です。以下のプロンプトは、ChatGPTなどの対話型AIに貼り付けて使います。初めての方は、スマホのアプリストアで公式アプリを入れ、メールアドレスで登録し(3分ほどで終わります)、文例をコピーして( )の中を自社の情報に書き換えて送信するだけです。
1. 在籍者と内定者から「対象になりうる人」を洗い出す
最初にやるのは求人票の修正ではなく、いま社内にいる人の確認です。対象は令和8年1月1日以降に婚姻・宣誓した世帯なので、今年に入って結婚した従業員がいれば、その人はすでに対象かもしれません。制度を知らずに期限を過ぎるのは、本人にとっても会社にとっても損失です。
もう一つの理由は、社内に「実際に使った人」が1人でもいると、求人票の一文が途端に具体的になることです。抽象的な制度紹介より、「先月入社した社員が実際に申請しました」のほうが伝わります。ただし本人の同意なしに結婚や住所の情報を採用広報に使うことはできないため、必ず本人に確認してください。
あなたは中小企業の労務担当を支援するアシスタントです。以下の材料から、自治体の新婚世帯向け補助制度(結婚新生活支援事業)の対象になりうる従業員・内定者を洗い出す確認表を作ってください。
【材料】
・事業所の所在地と従業員数: (例: 新宮市・従業員12名)
・従業員の居住市町村の内訳: (例: 新宮市8名、那智勝浦町3名、三重県紀宝町1名)
・39歳以下の従業員数と、把握している範囲での年齢層:
・今年(令和8年)に入って結婚・入籍した人の有無: (例: 1名/不明)
・今後6か月以内の入社予定者:
出力: ①確認が必要な人のリスト(氏名欄は空欄のまま項目だけ) ②本人に聞いてよいこと・聞くべきでないことの区別 ③居住市町村ごとに確認すべき窓口 ④声のかけ方の例文(プライバシーに配慮した1〜2文)。
条件: 個人情報の取得は本人の同意が前提であることを明記してください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
注意点は、聞き方です。結婚予定や交際状況を会社から尋ねることは、採用の場面では特に慎重であるべき領域です。個別に踏み込むのではなく、休憩室の掲示や社内チャットで「新宮市にこういう制度があります」と全員に等しく知らせる形が無難です。その掲示文も、AIに下書きさせれば5分で用意できます。
あなたは小規模事業所の総務担当です。以下の材料から、休憩室の掲示と社内チャットに出す制度のお知らせ文を2種類(掲示用200字以内・チャット用120字以内)作ってください。
【材料】
・自治体名と制度名: 新宮市/結婚新生活支援事業
・公表されている内容: 対象は令和8年1月1日〜令和9年3月31日に婚姻またはパートナーシップ宣誓をした世帯、夫婦ともに39歳以下、世帯所得の合計500万円未満、市内に住民登録、上限30万円(夫婦とも29歳以下は上限60万円)、指定講座の受講が必要
・問い合わせ先: 新宮市子育て推進課 0735-23-3344
・社内の相談窓口: (例: 総務/店長)
条件: 特定の個人に向けた文面にせず、全員向けの案内にすること。会社が支給するかのような表現を使わないこと。「該当するかどうかは市の窓口で確認できます」という一文を必ず入れること。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
2. 会社の住宅手当が、補助額を削っていないか確認する
ここが、この制度で事業者だけが持てる視点です。新宮市のページには、家賃について勤務先から住宅手当が支給されている場合はその額を控除すると明記されています。つまり、会社が家賃補助として月2万円を出していれば、その分だけ補助対象になる家賃が小さくなります。
一方で、引越費用・住宅購入費・リフォーム工事費は家賃ではありません。ここに補助を充てる場合、会社の住宅手当は補助額に影響しない構造になっています。

だからといって、いま出している住宅手当を廃止しましょうという話ではありません。住宅手当は毎月続く支援で、補助金は一度きりです。会社が考えるべきなのは、同じ人件費を「毎月の家賃補助」に全部寄せるのが最適かどうかという設計の問題です。たとえば入社時の引越費用実費補助という形にすれば、自治体の補助と費目がぶつかりにくくなります。
ただし手当の名称変更や新設は、賃金規程・雇用契約書・社会保険料の算定・課税の扱いに影響します。ここは断定を避けます。制度設計を変える前に、必ず社会保険労務士や税理士に確認してください。当社は補助金・助成金の申請代行を請け負っておらず、申請サポートが必要な場合は提携する専門家におつなぎする形になります。
あなたは中小企業の人事制度を整理するアドバイザーです。以下の材料から、自社の住宅関連手当と自治体の新婚世帯向け補助制度が重なっていないかを点検する表を作ってください。断定はせず、確認先を必ず併記してください。
【材料】
・現在の住宅関連手当: (例: 家賃補助 月20,000円、対象は賃貸住まいの正社員)
・入社時に支給しているもの: (例: なし/引越支度金3万円)
・従業員の主な居住市町村:
・自治体制度の該当箇所: 家賃は勤務先の住宅手当の額を控除、引越費用・住宅購入費・リフォーム費は控除の対象外
・変更したくない条件: (例: 既存社員の手取りは減らさない)
出力: ①重なりが生じる費目と生じない費目の整理 ②手当の設計を変えずにできる工夫 ③設計を変える場合に社労士・税理士へ確認すべき論点リスト ④従業員への説明時に誤解されやすい点。
条件: 税務・労務上の可否を断定しないでください。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
3. 求人票に足す一文を、事実だけで組み立てる
いよいよ求人票です。ここで一番やってはいけないのは、自治体の制度を自社の福利厚生であるかのように書くことです。「入社で最大60万円支給」と書けば応募は増えるかもしれませんが、実際に支給するのは市であり、要件審査があり、対象外になる人もいます。労働条件の誤認を招く記載は、入社後のトラブルに直結します。
書くべきは、事実と、主語と、確認先です。次の3点を守れば安全に書けます。
- 主語を「新宮市」にする(「当社」ではない)
- 金額は上限であることと、要件があることを併記する
- 一次情報の確認先(市の担当課または市のページ)を添える

そのうえで、求人票の「福利厚生」欄ではなく「備考」や「求人PR」欄に置くのが実務的です。ハローワークに求人を出す場合の入力欄と手順は、ハローワーク新宮への求人の出し方|事業所登録から公開まで7ステップにまとめています。記載の可否に迷ったら、掲載前に窓口で確認するのが確実です。
あなたは求人票の文面を整える編集者です。以下の材料から、自治体の支援制度を紹介する求人票用の短い文章を3案(80字・120字・200字)作ってください。
【材料】
・自治体名と制度名: 新宮市/結婚新生活支援事業
・公表されている内容: 対象は令和8年1月1日〜令和9年3月31日に婚姻またはパートナーシップ宣誓をした世帯、夫婦ともに39歳以下、世帯所得の合計500万円未満、新宮市内に住民登録、上限30万円(夫婦とも29歳以下は上限60万円)
・自社ができること: (例: 住まい探しの相談、初出勤日の調整)
・掲載媒体: (例: ハローワーク、自社採用ページ)
条件: 主語を必ず「新宮市」にし、当社が支給するかのような表現を使わないこと。「必ず」「全員」「確実に」を使わないこと。金額には「上限」と明記し、要件審査があることと市の担当課に確認する旨を必ず入れること。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
自社の採用ページ側にも同じ一文を置いておくと、求人媒体を見た人が最後に確認しに来る場所で情報がそろいます。採用ページに何を載せるかの全体像は、田辺市の採用サイト制作|載せる7項目と自社で作る7ステップが参考になります。
あなたは中小企業の採用ページを構成するライターです。以下の材料から、採用ページに追加する「新宮市で暮らす」セクションの見出しと本文(400字以内)を作ってください。
【材料】
・自治体の支援制度: (例: 新宮市 結婚新生活支援事業/上限30万円・夫婦とも29歳以下は上限60万円)
・その他に案内できる公的制度: (分かっている範囲のみ。分からなければ空欄)
・自社ができる支援: (例: 引越日の勤務調整、社宅の紹介、住まい探しへの同行)
・地域の暮らしの事実: (例: 通勤時間、買い物先、保育園の場所。実際に知っていることだけ)
条件: 【材料】にない制度・金額を追加しないこと。自治体の制度は主語を自治体にすること。地域の魅力を誇張せず、確認できる事実だけを書くこと。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
4. 面接での説明を、担当者ごとにぶれないようにそろえる
求人票を直しても、面接で担当者が「たしか60万円もらえるらしいですよ」と曖昧に話してしまえば台無しです。特に複数人で面接している事業所では、説明の粒度をそろえておく必要があります。
伝える順番は、①制度の実施主体は市であること ②上限額と、29歳以下で額が変わること ③要件(住所・年齢・所得・講座受講)④確認先、の4つです。応募者から「自分は対象になりますか」と聞かれたら、会社が判定してはいけません。「市の窓口で確認できます」と案内するのが正解です。
あなたは採用面接の準備を支援するアドバイザーです。以下の材料から、面接担当者が使う説明トークスクリプトと想定問答を作ってください。
【材料】
・自治体の支援制度と公表内容: (例: 新宮市 結婚新生活支援事業/上限30万円・夫婦とも29歳以下は上限60万円/世帯所得500万円未満/39歳以下/市内に住民登録/指定講座の受講が必要)
・自社の職種と想定応募者: (例: 宿泊業の接客・20代の県外在住者)
・自社ができる支援:
・答えられないこと: 個別の対象可否、支給時期、審査結果
出力: ①60秒で話せる説明スクリプト ②想定質問8つと答え方 ③会社が答えてはいけない質問と、その受け流し方の例文。
条件: 支給を約束する表現、対象可否を会社が判定する表現を使わないこと。結婚予定・交際状況を会社から尋ねる質問は作らないこと。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
面接で結婚の予定を尋ねるのは避けてください。制度の案内は「聞く」ではなく「全員に等しく伝える」形で成立します。
5. 県外・市外からの採用では、書類の逆算スケジュールを渡す
移住を伴う採用で効いてくるのが、書類の段取りです。新宮市のページには、必要書類として交付申請書(様式第1号)のほか、婚姻後の戸籍謄本、所得証明書、市税等の滞納がない証明書、契約書・賃貸借契約書・領収書、誓約書、受講報告書などが挙げられており、転入の場合には前住所地に関する書類が必要になる旨の記載があります。
前住所地の役所で取る書類は、引っ越してからでは手間が増えます。内定を出した時点で「入社前に取っておくと楽な書類」を一覧にして渡すだけで、内定者の負担は目に見えて減ります。これは費用ゼロでできる差別化です。
あなたは移住を伴う入社の手続きを整理するアシスタントです。以下の材料から、内定者に渡す「入社までにやること」の逆算スケジュール表を作ってください。
【材料】
・入社予定日: (例: 令和8年12月1日)
・現住所と転入先: (例: 大阪府→和歌山県新宮市)
・自治体の補助制度で必要と案内されている書類: 交付申請書、婚姻後の戸籍謄本、所得証明書、市税等の滞納がない証明書、契約書・賃貸借契約書・領収書、誓約書、受講報告書(転入の場合は前住所地に関する書類が必要)
・自社の手続き: (例: 雇用契約書、社会保険、通勤経路の届出)
出力: ①入社2か月前・1か月前・2週間前・入社後にやることの表 ②転出前に現住所の役所で取るべき書類 ③会社が代行できること・できないことの区別 ④内定者に送るメール文(300字以内)。
条件: 書類名は【材料】にあるものだけを使い、追加しないこと。制度の可否は必ず自治体窓口で確認する旨を入れること。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
もう一つ、忘れられがちなのが「うちで使える支援の全体像」を1枚にまとめることです。自治体の制度、会社の制度、そして地域の相談先を並べておくと、応募者は比較検討がしやすくなります。地元の相談先としては、新宮商工会議所の入会と使い方|会費の確認7ステップと商品券で触れている経営相談の窓口も選択肢になります。
あなたは採用資料を作る担当者です。以下の材料から、応募者に渡す「新宮市で働き始めるときに使える支援」の1枚資料の骨子を作ってください。
【材料】
・自治体の制度(確認済みのものだけ): (例: 新宮市 結婚新生活支援事業)
・自社の制度: (例: 引越支度金、社宅、通勤手当)
・地域の相談窓口: (例: 新宮市子育て推進課、商工会議所)
・分かっていないこと: (例: 申請期限、予算の残り)
出力: ①掲載項目の一覧 ②各項目に書く要素(主体・内容・確認先) ③「分かっていないこと」の正直な書き方の文例 ④A4片面に収める構成案。
条件: 確認できていない制度・金額を追加しないこと。自治体制度は主語を自治体にすること。事実に基づかない推測は「仮説」と明記してください。
※そのままコピーして使えます
業種別|この制度が採用の決め手になりやすい場面
南紀の主な業種ごとに、どの採用場面で効くかを整理しました。
| 業種 | 効きやすい採用場面 | 求人票で並べて書くとよい自社の材料 |
|---|---|---|
| 宿泊(旅館・民宿・ペンション) | 通年雇用の若手スタッフ、支配人候補の県外採用 | 住まい探しの相談、繁忙期の勤務シフトの実際 |
| 飲食 | 調理・ホールの正社員登用、Uターンの受け皿 | 週の休みの取り方、まかないの有無 |
| 小売・土産物 | 店舗スタッフの新卒・第二新卒採用 | 勤務地の固定、通勤距離 |
| 農水産・加工 | 独立志向の若手、家族での移住 | 作業内容の季節変動、住居の確保状況 |
| 建設・整備 | 資格取得を前提とした20代採用 | 資格取得支援、社用車の使用可否 |
共通するのは、制度そのものは差別化にならないという点です。同じ市内の会社なら条件は同じだからです。差がつくのは、制度を知っていて、書類の段取りまで一緒に考えてくれる会社かどうかという運用面です。
採用そのものが年々難しくなっている前提での回し方は、和歌山の中小企業の人手不足対策|採用が難しい前提で回す7ステップにまとめています。制度の案内は打ち手の一つであって、これだけで応募が集まるわけではない、という距離感で使ってください。
【要注意】求人での使い方でよくある4つの誤解
誤解1: 「会社が代わりに申請してあげられる」
❌ よくある間違い: 良かれと思って、総務が従業員に代わって申請書類を作り、提出まで請け負う。
⭕ 正しい理解: 申請するのは補助を受ける世帯本人です。会社は申請者になれません。会社ができるのは、制度の存在を知らせること、必要書類の一覧を渡すこと、市の窓口に行く時間を勤務中に確保することなどです。
なぜ重要か: 申請書には戸籍謄本や所得証明書、市税の滞納がない証明書といった機微な個人情報が並びます。会社が預かって扱うこと自体がリスクで、万一の紛失や漏えいのほうが制度の恩恵より大きな損失になります。手を出すなら書類の「一覧」まで、と線を引いてください。
誤解2: 「うちは家賃補助を出しているから、社員はもっと得をする」
❌ よくある間違い: 会社の住宅手当と市の補助は別物なので、両方まるごと受け取れると考える。
⭕ 正しい理解: 新宮市のページには、家賃について勤務先から住宅手当が支給されている場合はその額を控除する、と明記されています。家賃に補助を充てる場合、会社の手当の分は差し引かれます。一方、引越費用・住宅購入費・リフォーム工事費に充てる場合は、この控除の対象になりません。
なぜ重要か: 「うちは家賃補助があるから安心してください」と説明した結果、本人が想定より少ない額しか受け取れなかった、という行き違いが起きるからです。会社の制度と自治体の制度は、費目レベルで重なりを見る必要があります。
誤解3: 「南紀ならどこの町でも同じ条件」
❌ よくある間違い: 「和歌山は60万円もらえる」と一括りにして、通勤圏の従業員全員に同じ説明をする。
⭕ 正しい理解: 実施しているのは県内の一部市町村です。和歌山県こども未来課のページでは令和8年度の実施として16市町村分がリンクされており、対象になる婚姻日の期間や申請期限の書き方も自治体ごとに違います。串本町は「支払い完了後、その日以降の最初の3月31日まで」、田辺市は「令和9年3月31日(火曜日)まで」、那智勝浦町は対象費用の支払いに「婚姻日から1年以内」という条件が加わります。
なぜ重要か: 新宮市に勤務していても、三重県紀宝町や熊野市から通っている従業員は新宮市の制度の対象になりません。新宮の商圏が県境をまたいで広がっていることは新宮市の人口推移|2万4,342人と県境商圏7万人の読み方7ステップでも触れたとおりで、この地域では「勤務地」と「居住地」がずれる前提で説明を組み立てる必要があります。
誤解4: 「補助が出ると求人票に書けば、応募が増える」
❌ よくある間違い: 「最大60万円支給」と大きく書いて、応募の数だけを取りに行く。
⭕ 正しい理解: 支給するのは市であり、要件審査があります。会社が支給するかのような書き方は労働条件の誤認を招きます。書くなら主語を市にし、「上限」であることと要件があることを併記し、確認先を添えてください。
なぜ重要か: 誤認して入社した人は、対象外だと分かった時点で辞めます。採用にかけた時間と教育コストがまるごと消えるうえ、地域の狭いコミュニティでは評判も残ります。応募数を1割増やすより、入社後に「話が違う」と言われないほうが、南紀の中小企業にとっては圧倒的に得です。
なお、ここまでの内容はすべて無料でできる作業です。それでも「求人票の文面を整える手が足りない」「採用ページまで作れない」という事業者があるのも事実です。私たちは白浜(和歌山)への移住準備を進めながら、地域の中小企業のデジタル面の支援に取り組んでいます。無料ヒアリングは最大60分、ご用意いただくのはいま出している求人票1枚だけで、契約前提の営業はいたしません。提案が不要なら30分の情報交換のみでも歓迎です。
自社が制度を使えているかの確認8項目
いま出している求人票と従業員名簿を横に置いて、当てはまるものにチェックを入れてください。
- □ 自社の従業員が住んでいる市町村を、全員分把握している
- □ そのうち結婚新生活支援事業を実施している市町村がどこかを確認した
- □ 令和8年1月1日以降に婚姻・宣誓した従業員がいないか(本人の申告ベースで)把握している
- □ 自社の住宅関連手当が、家賃の補助対象額から控除される仕組みを理解している
- □ 求人票に書く一文の主語が「市」になっていて、「上限」と要件と確認先が入っている
- □ 面接担当者全員が同じ説明をできる状態になっている(対象可否は会社が判定しない)
- □ 内定者に渡す「入社前に取っておく書類」の一覧を用意している
- □ 講座の受講が必須要件であることを、案内文に入れている

特に見落とされやすいのが、最後の講座受講です。動画視聴と受講報告書の提出という軽い手続きですが、知らなければ申請直前で止まります。案内文に1行入れておくだけで防げます。
チェックが半分以下でも問題ありません。上の1〜3は名簿を見れば30分で終わり、4〜8も半日あれば形になります。
期限は令和9年3月31日|いま求人票を直すと効く理由
「制度の紹介を求人票に入れたところで、どれだけ効くのか」と感じるかもしれません。この制度に関しては、時期が効いています。
理由は3つあります。1つ目は、対象者がこれから増えることです。対象は令和8年1月1日以降に婚姻・宣誓した世帯で、対象費用の支払期間は令和8年4月1日〜令和9年3月31日。つまり、いまこの瞬間から年度末にかけて、対象になる人が新しく生まれ続けます。すでに終わった制度の話ではありません。
2つ目は、採用側がまだ見ていないことです。この制度は子育て・少子化対策として告知されているため、届け先は新婚世帯であって事業者ではありません。新宮市の告知ページも担当は子育て推進課です。事業者向けの補助金一覧には載らないため、求人を出している側の目に触れる機会がほとんどありません。同じ市内の他社が使っていない情報を、先に求人票に載せられる状態にあります。
3つ目は、期限が明確なことです。対象費用の支払いは令和9年3月31日まで。田辺市のように申請期限を令和9年3月31日と明記している自治体もあります。年度末に向けて、内定者や新入社員に「間に合ううちに確認してください」と伝えられる期間は、いまから半年ほどです。
制度の広がりという意味では、和歌山県こども未来課のページに令和8年度の実施として16市町村分がリンクされており、国側もこども家庭庁の令和8年度地域少子化対策重点推進交付金のページで47都道府県の活用状況を公表しています。単発の思いつきではなく、国の交付金に支えられた継続的な枠組みだということです。ただし、次年度も同じ額・同じ要件で続くかどうかは公表されていません。将来の予測は書かず、いま公表されている令和8年度分の期限を前提に動いてください。
金額の感覚を確認しておきます。上限60万円は、月給20万円の人にとって3か月分に相当します。求人票に書ける自社の条件を月1万円上げるには年12万円かかりますが、この制度は会社の負担ゼロで、対象者にとっては一度きり最大60万円です。会社が出せる金額の勝負に持ち込まず、「暮らし始めの総額」で比べてもらう。それが、この情報の使い方です。
よくある質問
Q. 新宮市の結婚新生活支援事業は、いくらもらえますか?
新宮市のページによれば、新居の住宅費・引越費用・リフォーム費用を合わせて1世帯あたり上限30万円です。夫婦・パートナーともに婚姻日における年齢が29歳以下の世帯は上限60万円になります。いずれも上限額であり、実際の支給額は対象費用の実額と審査によります。
Q. 会社が従業員の代わりに申請できますか?
できません。申請するのは補助を受ける世帯本人です。会社ができるのは、制度を知らせること、必要書類の一覧を渡すこと、窓口へ行く時間を確保することまでです。申請書類には戸籍謄本や所得証明書が含まれるため、会社が預かって扱うことはおすすめしません。
Q. 求人票に「最大60万円の補助あり」と書いてもいいですか?
主語を明確にすれば書けます。「新宮市の制度として上限60万円(夫婦とも29歳以下の場合)の補助があります。要件審査があり、詳細は新宮市子育て推進課へご確認ください」のような形です。自社が支給するかのような書き方や、「必ず」「全員」といった断定は避けてください。記載可否に迷う場合は、ハローワーク新宮への求人の出し方|事業所登録から公開まで7ステップの窓口で掲載前に確認するのが確実です。
Q. 会社の住宅手当があると、補助は減りますか?
家賃を補助対象にする場合は減ります。新宮市のページに、家賃について勤務先から住宅手当が支給されている場合はその額を控除する、と明記されています。引越費用・住宅購入費・リフォーム工事費については、この控除の記載はありません。どの費目に充てるかで結果が変わります。
Q. 田辺市や串本町の従業員にも同じ説明でいいですか?
いけません。上限額は同じ枠組みでも、対象になる婚姻日の期間や申請期限の書き方が自治体ごとに違います。田辺市は申請期限を令和9年3月31日と明記し、那智勝浦町は対象費用の支払いに婚姻日から1年以内という条件を加えています。従業員の居住市町村ごとに、その自治体のページで確認してください。
Q. パートナーシップ宣誓をした世帯も対象になりますか?
新宮市のページでは、対象世帯の要件に「令和8年1月1日から令和9年3月31日までに婚姻又はパートナーシップ宣誓を行った世帯」と記載されています。婚姻届の提出だけが条件ではありません。採用の場面で説明する際も、この点を落とさずに伝えてください。
Q. 市外から通っている従業員は対象になりますか?
対象になりません。新宮市の要件には、市内に住居があり住民登録済みであること、1年以上新宮市に定住する意思があることが含まれます。新宮の商圏は三重県側にも広がっていますが、県境を越えて通っている人は新宮市の制度の対象外です。居住地の市町村に同種の制度があるかを確認してください。
Q. 制度を求人票に載せる以外に、会社ができることはありますか?
書類の段取りを渡すことです。転入を伴う場合、前住所地の役所で取る書類は引っ越し後だと手間が増えます。内定時に「入社前に取っておくと楽な書類」の一覧を渡すだけで、内定者の負担は目に見えて減ります。求人票・採用ページ・内定者向け資料の3点に同じ情報をそろえておくと、応募から入社までの説明がぶれません。採用ページ側の作り方は田辺市の採用サイト制作|載せる7項目と自社で作る7ステップを参考にしてください。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 従業員名簿を開き、居住市町村を一覧にする。新宮市・田辺市・串本町・那智勝浦町など、制度を実施している市町村に住む人が何人いるかを数える
- 今週中にやること: 自社の住宅関連手当が家賃の補助対象額から控除される仕組みを確認し、求人票に足す一文を主語「市」・上限・要件・確認先の4点で作る
- 今月中にやること: 面接担当者全員で説明をそろえ、内定者に渡す「入社前に取っておく書類」の一覧を用意する。あわせて社内掲示で全員に制度を知らせる
対象費用の支払期間は令和9年3月31日までです。求人票の書き換え自体は30分で終わります。
あわせて確認: 新宮市の申請期限と予算の状況は本記事の参照時点では公表を確認できていないため、市の発表が出た時点で本記事も更新します。
参考・出典
- 新宮市「結婚新生活支援事業」(更新日2026年9月8日。対象世帯9要件、補助上限30万円・夫婦ともに29歳以下は60万円、対象費用と対象外費用、住宅手当の控除、貸与型奨学金の控除、指定講座の受講、必要書類、担当は子育て推進課/0735-23-3344) 新宮市 結婚新生活支援事業 (参照日: 2026-09-10)
- 和歌山県こども未来課「地域少子化対策重点推進交付金の活用について」(令和8年度の市町村実施事業として16市町村の結婚新生活支援事業へのリンクを掲載) 地域少子化対策重点推進交付金の活用について (参照日: 2026-09-10)
- こども家庭庁「令和8年度地域少子化対策重点推進交付金」(令和8年6月25日現在。概要・交付要綱・実施要領を掲載、47都道府県の活用状況を公表) 令和8年度地域少子化対策重点推進交付金 / 地域少子化対策重点推進交付金、税制措置など (参照日: 2026-09-10)
- 田辺市「結婚新生活支援事業」(ページ更新日2026年6月17日。上限30万円・夫婦とも29歳以下は60万円、対象は令和8年1月1日〜令和9年3月31日の婚姻、対象費用の支払いは令和8年4月1日〜令和9年3月31日かつ原則婚姻日以降、申請期限は令和9年3月31日) 田辺市 結婚新生活支援事業 (参照日: 2026-09-10)
- 串本町「結婚新生活支援事業補助金」(上限30万円・夫婦とも29歳以下は60万円、夫婦の合計所得500万円未満、令和8年1月1日以降に入籍した世帯、申請は支払い完了後その日以降の最初の3月31日まで) 串本町 結婚新生活支援事業補助金 (参照日: 2026-09-10)
- 那智勝浦町「結婚新生活支援事業補助金」(ページ更新日2026年7月29日。最大60万円、夫婦等ともに婚姻日・宣誓日における年齢が39歳以下、対象費用の支払いは令和8年4月1日〜令和9年3月31日かつ婚姻日から1年以内) 那智勝浦町 結婚新生活支援事業補助金 (参照日: 2026-09-10)
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※本記事は2026年9月10日時点で各自治体・省庁が公表している資料に基づく整理であり、法務・税務・労務に関する個別の判断を示すものではありません。補助の対象可否・支給額・期限は審査および予算の状況により変わります。個別の適用可否は新宮市子育て推進課(0735-23-3344)または各市町村の担当課にご確認ください。手当の新設・変更に関する税務・労務上の取り扱いは社会保険労務士・税理士にご相談ください。当社は補助金・助成金の申請代行を行っておらず、申請サポートが必要な場合は提携する専門家をご紹介します。実績は代表およびメンバー個人としての活動を含みます。